1章
夢小説設定
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数時間後ーー。
「おはよ~。アリア~」
「おはよ」
アランシアって、意外と寝起きいい。
キルシュやピスタチオなんてまだ寝てるし。
「ガナッシュ、おはよう」
「おはよう……なんだか静かだな」
ガナッシュの言う通り静か過ぎる。
こういう時ほど何かが起こりそうな感じがする。
「とりま、ねぼすけ達起こすか」
キルシュの耳元に近付き……。
「あ!キャンディおはよ!」
「え、キャンディ?」
「いねーよバカ」
キルシュ単純過ぎる。
いい加減アランシアがキレてもおかしくないぞ。
「ほら支度して」
それぞれ支度し始める面々。
「キルシュ~、ビニールシャツ脱げば~?変だよ~?」
「なんだよ、似合ってるだろ!」
「ピーちゃん。この木のくつ臭いからあげる」
「いらないっぴ!」
「チッ……なら」
「遠慮する」
ちょっと即答過ぎませんかねガナッシュさん!?
「でも何か地味じゃねガナっち」
「そうか?」
「もっと腕にシルバー巻くとかSA☆」
「……素直にマジックリングって言えないのか?」
「無理」
それから順次支度をして、終わると同時に段々外が騒がしくなっていた。
気になって宿から出てみれば、パペットが横たわっていた。
「また殺しかッ!?」
「死んでマスわん!!」
「まいったね。また殺しですか」
パペットの会話は始めは仲間の死を悼んでいたが、それだけだった。
ただそこにある事実として認知するだけ。
そして有り得ない程の早さで、日常の一部になっていった。
「どうして!?どうして私達が、こんなに惨めに殺されなきゃいけないの!?」
ただ一人。ミルフィーユを除いて。
「虚しいと言うか……ここまでくると恐ろしい」
死すらも、ただ淡々と受け入れてしまうなんて。
騒ぎも間もないまま、村長の家に行くとミルフィーユが泣いていた。
一旦、出直そうとしたが……。
「取り込み中、申し訳ないが……」
「ガナッシュ少し自重しようか」
鞭で打つような行いは、あまり好かないんだけども!?
「ごめんなさい……」
馬鹿ガナッシュ!
謝られっちゃったじゃないか!
「はい。ウークルの羽」
渡されたのは緑のような青のような綺麗な羽根。
当然モモヒキなどではない。
「遺跡まで案内します」
「オイラ達、急いでないから後でいいっぴ!」
ピスタチオが慌てて言うが、ミルフィーユは歩いて行ってしまった。
「オレ達はよそ者でしかないってことなんだよ。やっかい払いしたのさ」
それはそうだろうけどさ……。
そもそもけしかけたのはガナッシュなんだが。
「よそ者かも知れないけどさ……それはそれとして、やっぱり違うと思うんだよ」
ミルフィーユは既に出てしまったので、仕方なく彼女を追いかけるようにアリア達は歩みを進める。
「ミルフィーユ……辛そうだっぴ」
そりゃあそうだろう。
自分の仲間が死んで悲しくないヤツなんか普通はいない。
そのうえ、じい様にもあんな心の無い事言われては、悼む心を持つ彼女はまた傷付いてしまう。
「何が運命なんだか……」
それは自ら切り拓いていくもののはずだ。
少なくとも、私はそう思っている。
「只でさえ居たたまれない空間で、生きているって言うのに。それはおかしいわよ」
「……アリアってさ~」
「ん?」
「前から気になってたけど、色々と物知りだよね」
クラスメート達に比べれば、人生経験が少しばかり豊富なだけだ。
「わたしたちが分からない、なんていうか……深いとこまで知ってるみたいな~」
「ええ?そんな事ないよ。思ったことを口にしてるだけだよ」
「…ボラが激しいっぴ」
「なにか言ったかなピーちゃん?ん?」
ピーちゃんもなかなか煽りセンスを持っている気がするのは気のせいかな。
「やぁミルフィーユ」
「ティラミス??」
あれは確か宿屋の……何でここに?
「また一人死んだね。どう思う?」
「どう?って……悲しいに決まってるじゃない!!」
「そうか……つまりキミの中に、ハートがあるってことだ」
ハート?なに言ってるんだ?
「生き物はハートがなくなったり、壊れたりした時に死ぬんだ。逆にいえば、死んだ生き物でもハートを入れてやれば、動き出す」
それは違う。違う。
「オマエのハートが欲しい。弟を生き返らせたいんだ」
ティラミスは、咄嗟にミルフィーユの首に手を掛ける。
「や、やめて……く、苦しいわ…………ティ…ラミ…………」
「なにしてるっぴ!!」
「ミルフィーユ!!大丈夫か!!」
キルシュとピスタチオが駆け寄る。
「チッ!よそものがッ!」
捨て台詞を吐きながら、ティラミスが遺跡へと消える。
「ミルフィーユさん!!大丈夫ですか~!?」
「ごほっごほっ……大丈夫…」
「トルーナ村へ戻ろう。アイツをなんとかしなきゃ」
「やめてください……。私達の問題なんです。よそから来た方に決めてほしくありません」
ミルフィーユは首を振り、遺跡へと向かう。
「あ~ん。勝手に行っちゃうし~」