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やっとの事で、朝食が始まり
みんながチビヒロインを構いたくてしかたない。
とりあえずチビヒロインは、トワとハヤテに挟まれ食事をする事になった。
小さいヒロインは、足が床につかず
プラプラと宙に浮いている。
食堂の椅子は背もたれがない為、ソウシが「しっかり支えてあげて」と念を押し、
ハヤテが腰に手を回し、支えている。
向かいの席のナギは、正面からチビヒロインを見る形になり、
大人のヒロインを思うと、子供の頃はこんなだったのかと
顔がニヤケてしまう。
トワ
「あれ?ヒロインちゃん、ゴハンいらないの?
オナカ空いてない?」
ナギが食べやすいように小さめに切ったパンや卵焼きを用意したが、
チビヒロインは手をつけていない。
ハヤテ
「お前、食わないとナギ兄に三枚におろされるぞ。」
ハヤテの言っている意味は分からないだろうが、
何か怖い事になると感じたのか
チビヒロインは、不安そうにナギを見る。
ナギ
「ハヤテ!
…ヒロイン、無理に食わなくていいんだぞ。」
ナギの言葉にホッとしたのか、チビヒロインはフルーツのお皿に手を向け
オレンジを取った。
トワ
「あっオレンジだったら食べれるの?
皮取ってあげるね?」
トワはニコニコして、オレンジの皮をむく。
ソウシ
「ふふふ、トワは優しいね。
なんだか嬉しそう」
大変な事態には変わりないが、なんだかとっても和やか朝食となった。
・・・・・・・・・・・・・・・
その後、リュウガの計らいで
近くの港へ寄港する事になった。
サイズの合っていない服を着ているチビヒロインに、
いつ元に戻るか分からないが、洋服や身の回りの物を買ってやる為だ。
みんながそれぞれチビヒロインに、デレデレで
どこにいるのか気にしたり、手が空けば相手をしにやってくる。
不思議な事にチビヒロインは、朝食後もナギの傍にいた。
他のメンバーが色々と声を掛けたが
全てに首を振り、ナギの足にしがみついた。
ナギはキッチンで洗い物をしていた。
その後ろでチビヒロインは椅子に座り、足をプラプラさせながら鼻歌を歌っている。
ナギはふっと笑っていた。
子供が出来たら、こんな風にちょっとした事で
幸せを感じたりするんだろうか?
背中に感じる小さな存在に、ヒロインとの将来をぼんやりと考えていた。
すると、ガタッと音がし
ナギは振り返るなり右手を差し出した。
ナギ
「だから危ねぇって言っただろ!?」
泡だらけの手で、椅子から落ちたチビヒロインの頭をキャッチした。
ナギは床に頭を打ち付けなかった事に安心したが、
チビヒロインの目には涙が浮かんでいた。
チビヒロイン
「う…うわぁ~ん」
ナギは慌ててチビヒロインを起こし、抱きしめた。
いつもの調子でつい怒鳴ってしまった事に反省した。
ナギはもちろん、この船に乗っているメンバーは
誰一人子供の世話なんて、まともにした事はないだろう。
ナギ
「悪かった!もぅ泣くな!!」
それでも泣き止まないチビヒロイン。
ナギはこんなにも子供に泣かれると慌てるのかと、ドキドキしていた。
下手したらヒロインに泣かれるより、慌てているかもしれない。
ナギ
「そうだ! ヒロイン、シンの部屋に行って
船の本見せてもらえ!
ここにいるとまた危ないからな」
包丁を使ったり、火を使うキッチンにいると
思いのほかヒヤヒヤしてしまう。
朝食の準備中も、何度も注意をした。
そういうとチビヒロインは、やっと泣き止み
コクコクと頷いた。
ナギはくしゃくしゃっと頭を撫でた。
ナギ
「いい子だな!
シンの部屋分かるか? 階段登ってすぐの部屋だぞ?
ひとりで行けるか?」
コクッと頷くチビヒロインを見て、微笑むナギ。
自分にもこんな感情があるんだなと、笑みがこぼれる。
この子が子供だからなのか、本当はヒロインだからなのか分からない。
トトトっとドアに向かって走り、キッチンを出て行くチビヒロイン。
ナギはかわいくて、ニヤケてしまう。
するとクルッと向きを変えると
ナギに向かってニッコリ笑う。
チビヒロイン
「いってきまっ…なぎにぃちゃ!」
ナギ
「ぷっ!」
あまりの可愛さにナギは笑ってしまった。
大人のヒロインももちろんかわいいが、子供のヒロインのかわいさは格別だ。
シンの所へ行かせた事に、少し後悔した。
・・・・・・・・・・・・・・・
どのくらい時間が経っただろうか。
シンの部屋へ行ったチビヒロインがなかなか帰ってこない。
心配する事ではないが、ナギはそわそわと時計を見ていた。
部屋を見に行こうかと一度は、作業の手を止めたが
過保護になっている様な気がしてやめた。
そんな事を考えていると、キッチンのドアに
シンに抱っこされたチビヒロインが現れた。
その光景にナギは正直驚いた。
シン
「…オレは港に着くように、舵で忙しいのに
子守を押しつけるとはどういうことだ」
シンの腕の中でニコニコしながら、船の本を広げているチビヒロイン。
ナギ
「…その割には、抱いてきたのか…」
ぎこちなくチビヒロインを抱いているシンに
ナギは笑ってしまいそうになる。
それに気付いたのか、シンは言い返そうとしたが、チビヒロインが遮った。
チビヒロイン
「しんにぃちゃ!コレ! すごぉいねぇ~!」
一生懸命本の中の船を指差して、シンに伝える。
シンは戦意を失い、優しい顔でチビヒロインを見つめる。
シン
「それは昔の人が乗っていた船だ。
その船を奴隷に漕がせて… なんだ?」
シンはウザッたそうにナギを見る。
ナギ
「ふっ、お前もなんだかんだ言って、
子供には甘いんだな」
ナギはシンの顔を見て、吹き出してしまった。
シン
「……そういうお前もなんだそれは?
お前の方こそ、甘いだろ?!」
ナギは調理台の上に、ホイップクリームとチョコソースのかかった
ホットケーキを用意していた。
朝食をろくに食べなかったチビヒロインに、
特別に作った物だった。
シンの言葉に、「確かにな」とナギは顔を少し赤めた。
シン
「フン、じゃオレはいくぞ?
ヒロイン、本は汚すなよ?
汚したら海の藻屑にするからな?」
チビヒロイン
「もじゅく…?」
シン
「もくずだ、も、く、ず!
…もういい! ナギ 頼んだぞ」
シンは少し照れくさそうにキッチンを出て行った。
チビヒロインは、降ろされた場所で
必死に「も、じゅ、く」だの「も、く、じゅ」だの練習している。
ナギ
「ほら、冷めるぞ? 食えるか?」
ナギがホットケーキを見せると、
チビヒロインの周りに花が咲いたかと思うくらい
ニコニコの笑顔でナギの足に抱きついてきた。
ナギはまたしても、チビヒロインのかわいさにやられてしまった