不機嫌なのは…
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慌てて階段を降りると、薄暗い倉庫の中にヒロインはナギの姿を見つけた。
多分階段を降りてくる音で、ヒロインが追い掛けてきた事は分かっているはずなのに、振り返りもしない。
声を掛けることを戸惑ったが、
ギュッと手を力を握り、ナギに近づいた。
相変わらずガチャガチャと、保存食用の瓶詰めが並んでいる棚を探っている。
ヒロインは、後ろからギュッとナギの大きな背中を抱きしめた。
ヒロイン
「ナギ…ごめんね?」
その言葉にナギの動きがピタッと止まった。
ナギの優しい匂いがふっと鼻をかすめ、
くだらない意地を張らないで、もっと早くこうすれば良かったと胸が痛んだ。
ヒロイン
「私… つまんないことで…」
そう言いかけた時、ガタっと倉庫室の入口で音がし、
ナギに回した手をパッと離した。
リュウガ
「んぉ… なんだぁ?
わりぃお楽しみ中だったかぁ?」
ニカっと笑い、夕食用のお酒を探しに来たリュウガ。
少しの沈黙が流れ…
ヒロイン
「私…トワくんにお風呂掃除頼まれてたんだ…」
そう言って、ヒロインは階段を駆け上っていった。
リュウガ
「…ナギ、わりぃな…」
ナギ
「いえ…」
ナギの無表情な顔を見て、リュウガはガシガシと頭を掻いて
倉庫室を出て行くナギを見送った。
=================
夕食の時間になった。
ハヤテ
「えっ…今日ってメシ…これ?」
テーブルに並んだのは、保存食として積んであった物ばかり。
トワ以外のメンバーはナギがビーフシチューをダメにしたコトを知っている。
トワ
「わぁ僕ピクルス大好きです!
でもナギさん今日ビーフ…んぐぐ!!」
隣の席に座っているハヤテが、トワの口にピクルスを押し込んだ。
ナギは相変わらず無口に食事をしている。
こんなにも近くにいるのに、ナギとの心の距離を感じてしまう。。
胸がいっぱいになり、なかなか食べられないヒロイン。
ソウシ
「ヒロインちゃん大丈夫? 食事進んでないみたいだけど…」
心配そうに声を掛けてくるソウシ。
ヒロイン
「あっはい! 食べてますよ!
なんかおやつ食べ過ぎて、あんまりオナカ減ってなくて…」
シン
「フン、お前も意外と繊細なんだな」
シンの意味深な言葉にドキリとし、ナギにバレないように慌てて言い返した。
ヒロイン
「意外とって! ヒドイです!!」
そのやり取りに笑いは生まれるものの、
いつもだったらご飯を残そうとするヒロインに
「残したら海に放り投げる」だの、
「二度と食べられない様にする」だの言われるのに
今日のナギからは、その言葉も掛けられない。
そう思うと、やはり食事は喉を通らなかった。
さすがのトワも2人の間に何かあったと察し、
ナギとヒロインを心配そうに見つめた。
今日のシリウス団の夕食は
とても静かなものとなった。。
================
食事が終わり、キッチンではナギとヒロインが洗い物と仕込みをしていた。
やはり会話はなく、ナギの包丁の音と
ヒロインの食器を洗う音しか聞こえない。
気まずさが限界に達した時、
ヒロイン
「あの!私!!」
ナギ
「お前さ…」
同時に発せられた言葉に、一日ぶりに目があったナギとヒロイン。
ヒロインは、そのナギの顔を見て泣きだしそうになった。
とても不安そうで、心配そうで
いつものナギからは考えられないくらい切ない顔。
ナギ
「…オレなんかしたか?」
その言葉に、じわっと涙が浮かぶ。
ナギ
「オレ…一日中考えてたんだ…
何にそんなに怒ってる?」
「違う」と言いたいのに、涙がついにこぼれてしまい、
上手く言葉にならない。
そんなヒロインを見て、自分の胸へ引き寄せるナギ。
ナギ
「…ごめん…な? 泣くな…」
ナギの胸の中で、フルフルと頭を振った。
違うよナギ。
私のつまらない感情に、一日悩ませてごめんね?
そう伝えたいのに、出てくるのは涙ばかり。
ヒロイン
「…ヒッ…ナ…ギ… ヒッ…」
ナギの腕に力が入り、筋肉質な胸に閉じ込められた。
ナギ
「昨日…オレが抱きつくなって言った事か?」
ヒロイン
「?」
頭の上から聞こえるナギの切ない声。
ナギ
「理髪店から1人で帰らせた事か?」
ヒロイン
「…グズッ…え?…」
ナギ
「…宿で、お前を抱きしめて眠りたがったことか?」
!?
その言葉に思わず顔を上げナギを見上げた。
ビックリした表情のヒロインを見て
ナギは言った言葉を思い出し、赤くなった。
ナギ
「ち、違うのかよ?!
じゃあなんだよ、昼間にお前の嫌いなトマト出したことか?
昨日お前が転びそうになった時、ちゃんと受け止められなかった事か?
………あとは……」
次々出てくる的外れな言葉にヒロインは思わず笑ってしまった。
ヒロイン
「ふ、クスクスクス…」
ナギ
「あぁ? なんだよ!
なに笑ってんだよ!! こっちは一日中考えて…!」
耳まで赤いナギの顔をみて、
あぁ自分は、ナギに愛されて欲張りになっていたんだと反省した。
理髪店に行って髪型が変わったコト
買ったばかりのいつもと違うシャツを着てるコト
他愛のない変化を気付いて欲しい、
不機嫌だったのはそんな乙女心からくるものだった。
リュウガやソウシの様に『言葉』にして欲しかっただけなのに、
ナギの言った『的はずれな言葉』は、
自分が思っている以上にヒロインを見てくれている事を証明してくれた。
『言葉』なんかなくてもナギは
いつも見ててくれたんだ。
一日中、自分の事を必死に考えてくれたかと思うと
愛しくて愛しく堪らなかった。
ナギ
「…何で怒ってたんだ?」
冷静な声で問いかけるも、ヒロインを見下ろすナギの顔は相変わらず赤い。
ヒロイン
「クスクスクス…もぅなんだったか忘れちゃったよ」
ナギ
「はぁ? 忘れたってお前…!」
ヒロインはギュウとナギに抱きついた。
ナギはそれ以上聞いてはこなかった。
そっと頬に手が触れ、ヒロインはナギを見上げた。
優しく笑い掛けるナギ。
そっと目を閉じると柔らかい唇が触れた。
ヒロイン
「ナギ…大好き…ごめんね?」
まだ涙が目に溜まっているヒロインの瞼にナギが優しくキスをする。
ヒロイン
「…ナ…ギ…」
ナギは頬へキスをしながら「ん?」と聞く。
ヒロイン
「ん…お鍋…焦がしちゃったの?」
その言葉にピタッとキスが止まった。
ヒロイン
「わ、私の…せい?」
近くにあるナギの目を覗き込む。
ナギ
「…お前の事…考えてた…
って、あんま聞くな!
チッ 鍋、お前に磨かせるんだった…」
ヒロイン
「……!」
照れ隠しのナギらしい言葉にヒロインは嬉しくて笑顔になる。
ふっと笑うナギの声が聞こえたと思うと
ブニっ!
ヒロイン
「ひったぁ~いぃ~~!」
ギュっとヒロインの鼻をつまみ、
ナギ
「このオレに鍋を焦がさせるなんて女、お前が初めてなんだよ!」
冷たい目で見下ろすが、その言葉にどんどん表情が明るくなるヒロイン。
ヒロイン
「ナギの…初めて…?」
これ以上ないくらいの笑顔に、ナギは今まで感じた事のない感情が沸いた。
オレの言葉や行動でこんなにも一喜一憂して
全身でオレを愛してくれてる…
今腕の中で笑っている子が、
何よりも大切で悲しませたくない…
強くそう思った。
ナギ
「ヒロイン?」
ヒロイン
「ん?」
ナギ
「…まぁ…お前の為なら
焦げた鍋、また磨いてもいい…」
ヒロイン
「!!!!!」
ナギなりの精一杯の『言葉』にヒロインは
嬉しくて少しだけ背伸びをして
ナギの唇にキスをした。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒
多分階段を降りてくる音で、ヒロインが追い掛けてきた事は分かっているはずなのに、振り返りもしない。
声を掛けることを戸惑ったが、
ギュッと手を力を握り、ナギに近づいた。
相変わらずガチャガチャと、保存食用の瓶詰めが並んでいる棚を探っている。
ヒロインは、後ろからギュッとナギの大きな背中を抱きしめた。
ヒロイン
「ナギ…ごめんね?」
その言葉にナギの動きがピタッと止まった。
ナギの優しい匂いがふっと鼻をかすめ、
くだらない意地を張らないで、もっと早くこうすれば良かったと胸が痛んだ。
ヒロイン
「私… つまんないことで…」
そう言いかけた時、ガタっと倉庫室の入口で音がし、
ナギに回した手をパッと離した。
リュウガ
「んぉ… なんだぁ?
わりぃお楽しみ中だったかぁ?」
ニカっと笑い、夕食用のお酒を探しに来たリュウガ。
少しの沈黙が流れ…
ヒロイン
「私…トワくんにお風呂掃除頼まれてたんだ…」
そう言って、ヒロインは階段を駆け上っていった。
リュウガ
「…ナギ、わりぃな…」
ナギ
「いえ…」
ナギの無表情な顔を見て、リュウガはガシガシと頭を掻いて
倉庫室を出て行くナギを見送った。
=================
夕食の時間になった。
ハヤテ
「えっ…今日ってメシ…これ?」
テーブルに並んだのは、保存食として積んであった物ばかり。
トワ以外のメンバーはナギがビーフシチューをダメにしたコトを知っている。
トワ
「わぁ僕ピクルス大好きです!
でもナギさん今日ビーフ…んぐぐ!!」
隣の席に座っているハヤテが、トワの口にピクルスを押し込んだ。
ナギは相変わらず無口に食事をしている。
こんなにも近くにいるのに、ナギとの心の距離を感じてしまう。。
胸がいっぱいになり、なかなか食べられないヒロイン。
ソウシ
「ヒロインちゃん大丈夫? 食事進んでないみたいだけど…」
心配そうに声を掛けてくるソウシ。
ヒロイン
「あっはい! 食べてますよ!
なんかおやつ食べ過ぎて、あんまりオナカ減ってなくて…」
シン
「フン、お前も意外と繊細なんだな」
シンの意味深な言葉にドキリとし、ナギにバレないように慌てて言い返した。
ヒロイン
「意外とって! ヒドイです!!」
そのやり取りに笑いは生まれるものの、
いつもだったらご飯を残そうとするヒロインに
「残したら海に放り投げる」だの、
「二度と食べられない様にする」だの言われるのに
今日のナギからは、その言葉も掛けられない。
そう思うと、やはり食事は喉を通らなかった。
さすがのトワも2人の間に何かあったと察し、
ナギとヒロインを心配そうに見つめた。
今日のシリウス団の夕食は
とても静かなものとなった。。
================
食事が終わり、キッチンではナギとヒロインが洗い物と仕込みをしていた。
やはり会話はなく、ナギの包丁の音と
ヒロインの食器を洗う音しか聞こえない。
気まずさが限界に達した時、
ヒロイン
「あの!私!!」
ナギ
「お前さ…」
同時に発せられた言葉に、一日ぶりに目があったナギとヒロイン。
ヒロインは、そのナギの顔を見て泣きだしそうになった。
とても不安そうで、心配そうで
いつものナギからは考えられないくらい切ない顔。
ナギ
「…オレなんかしたか?」
その言葉に、じわっと涙が浮かぶ。
ナギ
「オレ…一日中考えてたんだ…
何にそんなに怒ってる?」
「違う」と言いたいのに、涙がついにこぼれてしまい、
上手く言葉にならない。
そんなヒロインを見て、自分の胸へ引き寄せるナギ。
ナギ
「…ごめん…な? 泣くな…」
ナギの胸の中で、フルフルと頭を振った。
違うよナギ。
私のつまらない感情に、一日悩ませてごめんね?
そう伝えたいのに、出てくるのは涙ばかり。
ヒロイン
「…ヒッ…ナ…ギ… ヒッ…」
ナギの腕に力が入り、筋肉質な胸に閉じ込められた。
ナギ
「昨日…オレが抱きつくなって言った事か?」
ヒロイン
「?」
頭の上から聞こえるナギの切ない声。
ナギ
「理髪店から1人で帰らせた事か?」
ヒロイン
「…グズッ…え?…」
ナギ
「…宿で、お前を抱きしめて眠りたがったことか?」
!?
その言葉に思わず顔を上げナギを見上げた。
ビックリした表情のヒロインを見て
ナギは言った言葉を思い出し、赤くなった。
ナギ
「ち、違うのかよ?!
じゃあなんだよ、昼間にお前の嫌いなトマト出したことか?
昨日お前が転びそうになった時、ちゃんと受け止められなかった事か?
………あとは……」
次々出てくる的外れな言葉にヒロインは思わず笑ってしまった。
ヒロイン
「ふ、クスクスクス…」
ナギ
「あぁ? なんだよ!
なに笑ってんだよ!! こっちは一日中考えて…!」
耳まで赤いナギの顔をみて、
あぁ自分は、ナギに愛されて欲張りになっていたんだと反省した。
理髪店に行って髪型が変わったコト
買ったばかりのいつもと違うシャツを着てるコト
他愛のない変化を気付いて欲しい、
不機嫌だったのはそんな乙女心からくるものだった。
リュウガやソウシの様に『言葉』にして欲しかっただけなのに、
ナギの言った『的はずれな言葉』は、
自分が思っている以上にヒロインを見てくれている事を証明してくれた。
『言葉』なんかなくてもナギは
いつも見ててくれたんだ。
一日中、自分の事を必死に考えてくれたかと思うと
愛しくて愛しく堪らなかった。
ナギ
「…何で怒ってたんだ?」
冷静な声で問いかけるも、ヒロインを見下ろすナギの顔は相変わらず赤い。
ヒロイン
「クスクスクス…もぅなんだったか忘れちゃったよ」
ナギ
「はぁ? 忘れたってお前…!」
ヒロインはギュウとナギに抱きついた。
ナギはそれ以上聞いてはこなかった。
そっと頬に手が触れ、ヒロインはナギを見上げた。
優しく笑い掛けるナギ。
そっと目を閉じると柔らかい唇が触れた。
ヒロイン
「ナギ…大好き…ごめんね?」
まだ涙が目に溜まっているヒロインの瞼にナギが優しくキスをする。
ヒロイン
「…ナ…ギ…」
ナギは頬へキスをしながら「ん?」と聞く。
ヒロイン
「ん…お鍋…焦がしちゃったの?」
その言葉にピタッとキスが止まった。
ヒロイン
「わ、私の…せい?」
近くにあるナギの目を覗き込む。
ナギ
「…お前の事…考えてた…
って、あんま聞くな!
チッ 鍋、お前に磨かせるんだった…」
ヒロイン
「……!」
照れ隠しのナギらしい言葉にヒロインは嬉しくて笑顔になる。
ふっと笑うナギの声が聞こえたと思うと
ブニっ!
ヒロイン
「ひったぁ~いぃ~~!」
ギュっとヒロインの鼻をつまみ、
ナギ
「このオレに鍋を焦がさせるなんて女、お前が初めてなんだよ!」
冷たい目で見下ろすが、その言葉にどんどん表情が明るくなるヒロイン。
ヒロイン
「ナギの…初めて…?」
これ以上ないくらいの笑顔に、ナギは今まで感じた事のない感情が沸いた。
オレの言葉や行動でこんなにも一喜一憂して
全身でオレを愛してくれてる…
今腕の中で笑っている子が、
何よりも大切で悲しませたくない…
強くそう思った。
ナギ
「ヒロイン?」
ヒロイン
「ん?」
ナギ
「…まぁ…お前の為なら
焦げた鍋、また磨いてもいい…」
ヒロイン
「!!!!!」
ナギなりの精一杯の『言葉』にヒロインは
嬉しくて少しだけ背伸びをして
ナギの唇にキスをした。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒