Desire 2
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男2
「な、なんだこの女っ!!」
男3
「オイ! あの女を狙え!」
ナギは背後にいるヒロインを守るのに必死だったが
視界に入ったリュウガの姿に、思わず声を荒げた。
ナギ
「船長っ!!
ヒロインの体なんですっ! 頼むから前にはっクソッ!!」
リュウガの元へ向かいたいが、次々とリュウガの体をしたヒロインへと向かってくる。
ナギ
「チッ!」
リュウガはナギの声を無視して、次々と男たちを倒していく。
しかしパッと頬に軽く剣の先が走った。
ヒロイン(リュウガ)
「いつもよりリーチが短けぇな…」
ヒロインの身長はリュウガよりも20センチ以上違う。
いつもは届く距離が、この身長では届かない。
ヒロイン(リュウガ)
「オイソウシっ!! この体、いつ戻るんだっ!」
ソウシ
「分かりませんよっ!
もうそろそろ切れてもいい頃なんですけど…」
ヒロイン(リュウガ)
「その返答聞き飽きたぞっ!
いい加減にしろっっ!!」
戦いながら会話するリュウガ。
ヒロインももどかしい。
自分がリュウガである為に、ナギがこんなにも襲い掛かられている。
何か出来る事はないだろうか…
キョロキョロと周りを見渡していると、足元に大きな石が転がっていた。
(コレ投げられる!)
少しでも相手の気が逸れればいい。
グッと石を掴んだ時だった。
リュウガ
「っ!」
守ってくれているナギの隙をついて、ドスッと剣の切っ先がヒロインの心臓を貫いた。
ナギ
「!?」
男
「ひゃははっやったぞ!!
海賊王の心臓を抉ったぞ!!!」
その言葉に建物中にいた海賊たちが雄たけびを上げる。
ナギはすぐに男を殴り倒すと、ヒロインを抱いた。
ナギ
「ヒロイン!?」
ヒロイン(リュウガ)
「オイヒロイン!!」
リュウガも戦いながらも、声を掛ける。
ナギは顔を蒼白して、ヒロインの胸に手を当てる。
薄暗い部屋で、手にはべっとりと液体がついた。
ナギ
「ヒロイン! 返事しろっ!」
リュウガ(ヒロイン)
「…ん…?」
ナギ
「ヒロイン?!」
リュウガ(ヒロイン)
「びっくり…した…」
刺されたにも関わらず、ヒロインは意識も言葉もハッキリしている。
ソウシ
「ナギっ状況は!? とにかく止血をっ
クソッ!」
メンバー全員が駆け寄りたいのに、海賊どもはチャンスとばかりに手を緩めない。
リュウガ(ヒロイン)
「痛いけど…思ってたより全然…痛くない…
感覚…なくなっちゃったのかな…」
腕の中で力なく笑うヒロイン。
ナギは頭が真っ白になる。
リュウガ(ヒロイン)
「…ブドウの香りがする…
血の匂いじゃなくて、こういう香りがするんだね死ぬ時って…」
ナギ
「……?」
ブドウ?
確かにさっきからブドウの甘い香りがする。
ナギ
「!?」
ナギはヒロインの体を抱き直し、グッと着ているジャケットを捲った。
ナギ
「………」
リュウガ(ヒロイン)
「…ナギ?」
固まっているナギを見て、ヒロインは不安げに見つめた。
そんなにヒドイ事になっているのか…?
ナギ
「…船長が酒好きで助かった…」
リュウガ(ヒロイン)
「え…?」
するとナギはジャケットの内ポケットから
穴の開いたアルミの携帯ボトルを取り
カラン…と床に転がした。
シン
「フンっ悪運の強いヤツだ」
ヒロイン(リュウガ)
「がははっ オレの酒好きもバカにできねぇな?!
ヒロインの命を救ったぜ!」
男
「チッ しぶといヤツだな…」
海賊たちは一層躍起になって襲い掛かる。
ナギ
「ヒロイン、刺されてねぇけど
胸んトコ衝撃で肋骨とか折れてるかもしれねぇ
そこでじっとしてろ!」
そう言って、ナギはまた襲い掛かってくる男たちに向かっていく。
(刺されてなかったの?)
確かに体を動かすと、胸の下辺りがズキンと痛む。
ナギが演技の為と持たせてくれたボトルが
命を救ってくれた。
あまりの出来事に、転がったボトルを眺めていると
ドクンッ
心臓が跳ねた。
リュウガ(ヒロイン)
「痛っっ 何コレ…」
瞬間の痛みに、シャツの胸元を握りしめる。
(やっぱ刺されてた…?)
しかしこの痛みは、もっと内側から来るものだ。
ハッとリュウガの方を見ると、リュウガも同じように
胸を押さえて苦しんでいる。
(コレ…もしかして…)
グッと目を閉じ、和らいだ痛みと一緒に目を開けると
両手にずっしりと重い剣を構え
男たちが切りかかって来るところだった。
ヒロイン
「えっ?えっ? ちょっきゃぁぁ」
(やられるーーーー)
と、思った瞬間
目の前の男に大きな石が飛んできて、見事顔面に当たった。
茫然とその光景を見つめていると、握っていた剣を覆うように
大きな手が包み込んだ。
ヒロイン
「っ!」
リュウガ
「ヒロイン、一緒に戦え!
お前の手が小さいから、剣が離れないよう
布で巻き付けちまったんだ」
そう言われ、手に視線を落とすと
すぐには解けそうにない程グルグル巻きに布が手に巻き付いていた。
リュウガは器用にヒロインの手を取り
次々に男たちを倒していく。
ヒロイン
「せ、船長っ!」
リュウガ
「恐かったら目ぇ閉じとけ!」
恐怖で体が固まってしまう。
いつ切りつけられてもおかしくない。
リュウガ
「セシルーー
女が不吉って言い伝え、嘘っぱちだって見せてやるよ」
セシル
「!?」
その言葉の直後、リュウガの弾いた剣が
ヒロインの体を掠り、着ていたシャツの前がハラリと切れた。
ヒロイン
「え……」
あまりの恐怖に硬直していると、何故か胸元がスースーと涼しかった。
ヒロイン
「??」
男たちの視線が一気に集まる?
その視線を辿ると、シャツとブラジャーが破れ
かろうじて乳首が裂かれたシャツに隠れている状態だった。
ヒロイン
「キャッ!!!」
リュウガ
「ふははっヒロイン~~
お前の胸は最高の武器だぜっ!」
気を取られていた男たちは、あっという間に倒されていった。
そして半数が減ったと思った頃…
最高のタイミングで現れた…。
ロイ
「ヒロイン~~~~
無事かっ!? 南の海域を司るこのロイ船長を忘れて
船長会議をするとは何事だ!!」
リュウガ
「くははっやっぱ来やがった!!!
ヒロイン会いたさに、ぜってぇ来ると思ってたぜ」
ロイの登場により、男たちはこの戦いには勝てないと悟った。
男1
「ふんっまだ終わっちゃいねぇからな?
いつでも命を狙ってると肝に…」
リュウガ
「何帰ろうとしてるんだ…」
男がハッと気づくと、すぐ傍にリュウガが立っていた。
リュウガは剣を持たず丸腰だったが
銃も剣もある男は、その気迫に負けた。
男1
「なっ…」
リュウガ
「お前がケンカを売った相手は、世界中の海を守ってる男たちだ。
忘れるなよ? どこまでもお前たちを追いかけてやるからな?
逃げられると思うなよ?!」
男1
「ひっひぃ!!」
事の重大さに気付いたのか、リーダー格の男が逃げ出し
他の男たちも蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
ロイ
「ムッ…何だ?もう終わりか?
せっかくこのオレ様が……っ!
ヒロインっ!無事か?」
ロイが駆け寄ってくるが、慌ててナギはヒロインを抱き締めた。
ロイ
「バンダナ… そこまでして独り占めしたいのか?」
ナギ
「チッうるせーな…
こっち見んじゃねぇ」
ロイ
「何!? このロイ様が現れたというのに
なんて言い草だ!!!」
いつも以上に冷たいナギの態度にロイは怒りだした。
しかしナギはシャツを切り裂かれたヒロインを隠すのに必死だった。
ソウシ
「あははっ確かにあのタイミングでロイが現れたのは
かなりおいしかったよね?」
ロイ
「そうだろうとも!
ヒロインが襲われているのではと心配で心配で…」
ハヤテ
「それはそうとよぉ…
ロイは船長会議に呼ばれてなかったんだろ?
何でここが分かったんだ?」
トワ
「確かに!」
一気にロイに視線が集まる。
ロイは得意気に答える。
ロイ
「それは決まっているだろう!
いつだってヒロインの事を思っているからだ!
自然と船もヒロインを追いかける…」
浸りきった表情を浮かべているロイ。
シン
「…つまりストーカーって事だろ…」
辛辣なシンの言葉に、さっきまであれ程の激しい戦いをしていた場が
一瞬にして静まり返った。
ロイ
「なっ何を言う!?」
ヒーローらしい登場をしたものの、ロイの立ち位置は
急降下した。
リー
「ロイ船長に知らせは届いていなかったのですか?」
激しい戦いの後とは思えない程涼しい顔をして襟元を直すリー。
ヒロインはナギに抱かれながら、その様子を眺めていた。
セシル
「確かに案内は送った」
すると、「くわぁ」とあくびをしながら
顔に乗った帽子をどけて、ヴァンが言う。
ヴァン
「どうせカモメ便なんぞ目に入らなかったんだろうよ?
そのお嬢さんしか目にねぇみたいだしよ?」
ロイ
「うっ…」
何も言い返す事の出来きなくなったロイ。
それを鼻で笑いながら、セシルが鋭い視線を送る。
セシル
「ところで… 女!」
ナギが着ていたシャツを肩に掛けてくれていたヒロインは
急に声を掛けられ、ビクッと肩が上がった。
ヒロイン
「わ…私…ですか?」
ギュッとシャツの前を握りしめ顔を向けた。
セシルは品定めでもするように、上から下までじっくりと見つめる。
セシル
「…さっきのアレはなんだ?
その体であそこまでの剣捌き…
まるでリュウガが乗り移ったかのようだったぞ?」
ヒロイン
「そ、それは…」
チラリとリュウガを見ると、バチッと視線がぶつかった。
もうリュウガに任せるしかない。
縋るような視線をリュウガに投げる。
リュウガ
「あ~… なんだ、その…
まぁそういう時もあるよなっ!
火事場のなんちゃらって、ヤマトの言葉であるよなっ! がははっ
っってぇ…こりゃ肋骨1本いってんなぁ…」
胸の下を擦りながら、顔をしかめるリュウガ。
あまりにも下手過ぎる切り抜け文句に
シリウスメンバー全員が項垂れた。
リー
「女性というのは、まだまだ知りえない事が多そうですね」
ヴァン
「がははっ だったらリュウガに手ほどきを教えてもらえっ!」
生真面目なリーは、本当にリュウガに何かを教えてもらいたそうに見つめている。
セシル
「…結局、女が船に乗っていると不吉というのを覆せなかったなリュウガ?」
セシルはニヤリと笑う。
するとリュウガは、臆することなく満面の笑みを浮かべる。
リュウガ
「分かってねぇなぁ…
コイツがいたから男たちの気が逸れて
その上ロイまで来たんだぞ?
それに…」
そう言ってリュウガは懐から筒状に丸まった羊皮紙を取り出した。