Desire 2
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……そう言った自分を呪いたくなる。
(……ぜ、絶対バレるよぉ…)
自分を取り囲んで、匆々たる船長たちが話をしてる。
セシル
「北の海は今のトコ問題ない。
ただ東の海から、放浪した海賊もどきが流れてきて
困ってる次第です…」
ヴァン
「あぁ? オレんトコのモンが海賊もどきだってのか!?」
一触即発の雰囲気が漂い、オドオドとそのやり取り見つめていると
恋人のフリをして横にいたヒロインの姿をしたリュウガがグイグイと肘で合図を送る。
リュウガ(ヒロイン)
「っ! オ、オイ、その辺にした方がいいよ!」
(あれ…?)
リュウガの口マネをしようと、言葉を探しながら話たが
今のはとんでもなく間違いだった気がする。
リー
「……今のは何ですか?」
ヴァン
「変なモンでも食ったか?!」
後ろにいるシリウスメンバーからも、吹き出す声が聞こえた。
隣にいるリュウガが、物凄い顔で睨んでいる。
リュウガ(ヒロイン)
「いやっそうじゃねぇ…
せっかく集まったのに、そんな事話してても仕方ない…
本題に入ろう」
セリフを読んでいるような話し方に違和感を覚えるも
船長たちは、ようやく本題に入ってくれた。
リー
「今回集まったのは、どこの海にも属さない
無法者の海賊どもの事です」
セシル
「あぁ、その話は私も聞いた。
かなり傲慢で女子供にも容赦しない」
ヴァン
「襲われた街や船は、すっからかんになるまで
搾り取られるってな?」
そんな話を聞いていて、身震いがした。
リー
「とても無視出来る話ではないと思って…
海賊王のあなたから意見を聞きたい」
リュウガ(ヒロイン)
「!」
またしても視線が集まり、心臓がバクバクと跳ねた。
本物のリュウガならすぐ傍にいるのに
話さなくてはいけないのは自分だ。
チラチラとリュウガの方を見るが、リュウガは何故か見つめ返すだけで
何も力を貸してくれない。
(どうしろっていうの??!)
リュウガ(ヒロイン)
「そ、その話はオレも聞いた事がある。
そんなのをこの海にのさばらせておく訳にはいかねぇなぁ」
そう言い切った後、チラッとリュウガに視線を向けると
リュウガはコクコクッと頷いた。
どうやら間違いを言ってはないようで、ホッと安心した。
ヴァン
「じゃあどうするよ?
見つけてとっ捕まえるか??」
セシル
「そんな連中が、素直に応じるとも思えない…
無駄にやり合っても、船を傷つけるだけだ」
リー
「そんな事を言っていたら、埒が明きません。
海賊のイメージを悪くする連中を一丸となって…」
話しの流れと雰囲気で、セシルだけが
なかなかの曲者という事が分かった。
船長でもなんでもないヒロインが、話を聞いているだけで
イライラしてきた。
ヴァン
「リュウガはどう思う?
お前んトコ、今回は手下たちも連れて来とるが
この話、買ってくれるって事か?!」
またしても心臓がドキッと跳ねた。
リー
「そうなんですか?
確かにシリウスの乗組員は、全員腕が立つ。
任せるには安心だが…」
リーの視線が、隣にいるリュウガを…
というか、ヒロインを見ている。
セシル
「…その女、まだ捨ててなかったのか?」
リー
「セシル船長、失礼な言い方ですよ?
シリウスには女性が乗っている。
もし彼女に何かあったらと考えると…」
リー船長の優しい発言に、ヒロインは感動した。
ヒロイン(リュウガ)
「あたしは平気だよっ
海賊の船に乗ってるんだ、何も恐れる事はないぜ!」
その言い方に、ヒロインは慌ててリュウガの腕をグッと掴み
耳元で言った。
リュウガ(ヒロイン)小声
「な、何なんですかその言い方!」
ヒロイン(リュウガ)小声
「あ? いつも通りだろ?」
リュウガ(ヒロイン)
「ぜんっぜん違います!!」
小さな小競り合いをしていると、『ゴホン』と
セシルが咳払いをした。
リュウガ&ヒロイン
「「!?」」
2人はハッとして、セシルの方を見た。
セシル
「だから嫌なんだ…
女がいるとロクな事がない…
そもそも海賊船に女が乗ると不吉だと言い伝えられてるだろ」
ヒロイン(リュウガ)
「はっ、笑わせんな!
そんなの迷信にきまってんんっ!」
何が起きたのかと船長たちが呆然とヒロインの姿をしたリュウガを見つめる。
リュウガ(ヒロイン)
「な、何言ってんだこいつぅ!
あはははっ!!
確かに、女が乗る事に初めは色々あったが
今ではすっかりシリウスの一員だ」
口を手で押さえられたリュウガは
コクコクと頷くしか出来ない。
それにしても、全然頼りにならないリュウガに
ヒロインは縋るように視線を送った。
ヴァン
「まぁそうだろぅよ!
女好きのリュウガが大海原に出て、禁欲状態なんて耐えられねぇだろ!?
がはははっ」
リュウガ(ヒロイン)
「あ、あはははっ
そうなんだよ! コイツがいてくれれば………ん?」
(って、完全に船長の女で
欲を満たす為にいるって思われてるっ!)
リュウガ(ヒロイン)
「コ、コイツはそんなんじゃない!
オレはもっとグ、グラマーな方が…」
自分で言っていて悲しかった。
後ろでまたメンバーが笑っているのが分かる。
どうしようもない状況に俯いていると、隣にいるリュウガと
テーブルを囲んでいる船長たちの顔が強張った。
リュウガ(ヒロイン)
「??」
後ろを見ると、シリウスのメンバーも何かを感じたようだった。
セシル
「……だから女は不吉だと言ったんだ」
セシルの声にハッと顔を向けると同時に
建物の入り口が開き、ガラの悪そうな輩がゾロゾロと入ってきた。
リュウガ(ヒロイン)
「!!?」
男1
「お~スゲェ眺めだ。
東西南北の船長様がお集まりとは…」
男2
「やっぱ噂は信じるもんだなぁ…
こりゃ首取ったら、相当名が売れるぜ」
汚く笑う男たち。
だが誰一人として動揺している者はいない。
男3
「オイオイ海賊王さんよぉ?
今日は随分と大人しいねぇ…いつものバカげた自信はどうしたよ?
ヒャハハハ!!」
ヒロインは思わず体が硬直した。
男たちの言う通り、いつものリュウガだったら
余裕の一言を言って退けている所だろう。
リュウガ(ヒロイン)
「……何なんだ…」
この張り詰めた空気に呑み込まれそうなヒロインから出た精一杯の言葉。
男1
「あ~~ん?
随分と余裕こいてるじゃねぇか?!
おっ! 何だよ女がいるじゃねぇか!!
こいつぁ楽しめそうだなぁ」
男たちは一体何人いるのだろう。
入り口に見えているのは10人前後だが
名立たる船長たち相手に、この人数で戦う馬鹿はいない。
セシル
「…お前たちだな無法者の海賊どもは…」
男2
「ハッ光栄だねぇ~
随分名が知れ渡ったもんだ。
だが、今日からは海中の男たちがオレたちを羨む。
海賊王を殺した海賊ってな?」
ヒロイン(リュウガ)
「チッ…」
リュウガは小さく舌打ちをした。
こんな連中、何人いようがどうにでもなる。
だが、今狙われているのは自分ではなく
自分の姿をしたヒロインだ。
リュウガは後ろにいるナギに視線を送った。
ナギはコクッと頷く。
男1
「さぁて、そろそろおっぱじめるとするかよ?
オラ、剣を抜けよ海賊王さんよ?」
ヒロインの心臓はドキッと跳ねた。
しかしここで動揺してはいけない。
ゆっくりと立ち上がろうとした瞬間、ドカッと隣にいるリュウガに足を蹴られ
ヒロインはバランスを崩し、後ろへ倒れた。
するとパンッという乾いた音が響き、後ろの壁に穴が開いた。
その穴の両隣にいるナギとシン。
もしリュウガに足を蹴られていなかったら
銃弾が頭を貫通していただろう。
ナギに体を支えられ、ヒロインは転ばずに済んだ。
リー
「…なるほど。
無法者には礼儀もルールもない…」
ヴァン
「めんどくせぇなぁ…
年寄りを動かすんじゃねぇよ…
オレはここで座ってっから、お前らあっちでやれ」
そう言って、ヴァンは被っていた帽子を顔に被せ
椅子の上で居眠りを始めた。
ヒロインはこんな状況で眠り出すヴァンを
目を丸くして見つめた。
セシル
「はぁ…確かに探す手間が省けた…」
ヒロイン(リュウガ)
「…おめぇら準備はいいか?」
シリウスメンバー
「はいっ」
リュウガの掛け声と共に、全員が戦闘態勢になる。
男2
「面白れぇ女だな?
シリウスの男共は、この女にイカれちまってるってことか?」
セシル
「…リュウガ… お前いつまで寄り掛かってるつもりだ…」
リュウガ(ヒロイン)
「あっ…」
そう言って体を起こそうとしたが、ナギの手がそうはさせなかった。
男2
「何だ? そっちが動かねぇならこっちから行くぞっ
オラァ!!!」
掛け声と共に、男たちがなだれ込む。
想像して以上に男たちの仲間は多くいた。
入り口だけではなく、裏口から二階に至るまで
完全に取り囲まれていた。
ハヤテ
「すっげぇ数!!」
シン
「よそ見をするな! 二時の方向っ!!」
シンの言葉の直後、ナイフが飛んできた。
ハヤテ
「チッ…飛び道具が多過ぎだろ…
オラ、トワッ頭下げろ!」
銃弾がトワの頭の上を通り抜けた。
トワ
「数が多過ぎて、身動きがとりずらいですぅ」
ソウシ
「ホラ手を動かすっ!
ナギっ裏手に3人回った!」
話しながらも鮮やかに男たちを倒していくシリウスメンバー。
しかし標的であるリュウガを目指して、男たちが次々と襲い掛かる。
その輩をナギが次々と倒していく。
ヒロインはナギの後ろで身を隠しているしか出来ない。
セシル
「リュウガーーっ! 何をふざけている!!
さっさと剣を抜け!!」
リー
「ヴァン船長のように、呑気に見物なんて出来る状況じゃないですよっ!!」
剣を振るいながら怒りをぶつける2人。
どうしようかとオロオロしていると
背後に人の気配を感じた。
そして振り向こうとした瞬間、「ぐぁっ」という断末魔が聞こえた。
目を瞬かせていると、ふと腰が軽くなった事に気が付いた。
ヒロイン(リュウガ)
「まともに向かって来ねぇのが気に入らねぇな…
オラ、相手になってやるよっ!」
ヒロインの腰から剣を抜き取ったリュウガ。
体はヒロインだが、いつも握っている剣の重みを感じ
闘志がみなぎった。
男1
「ふははっ! 何だあの女!!
海賊王のマネか?! 二刀流の女剣士様ってか?!」
大笑いする男たち、だが次の瞬間
男たちの顔は真顔になった。
あまりにも見事な剣裁き、人数や力でどうこうなる相手ではない。
体から放たれるオーラで分かる。