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リュウガ(ヒロイン)
「わぁ~! スゴイスゴイ~♪
こんなに大きな港、久しぶりですね!!」
間もなく着港しようとするシリウス号の舳先で
身を乗り出しているヒロイン。
トワ
「あははっ 船長のこんな姿見られるなんて
ホント貴重ですね!」
ヒロイン(リュウガ)
「バカ野郎! その姿で女みたいにはしゃぐんじゃねぇ!」
するとヒロインは頬を膨らませて振り返る。
リュウガ(ヒロイン)
「もぉいちいち言わないでください!」
ハヤテ
「うわぁ… 全然可愛くねぇ…」
もういい加減、このリアクションにはウンザリする。
リュウガ(ヒロイン)
「船長だって、私の姿で大股開いて座ったり
胸元のボタン開けすぎたりしないで下さい!!」
また不機嫌になり、いつもの和んだ空気が流れないシリウス号。
見かねたソウシが、リュウガとヒロインの間に入った。
ソウシ
「まぁまぁ、ほら港に着いたよ?
気分転換に買い物でもしてきなよ」
リュウガ(ヒロイン)
「…はい…」
そう言うと、ナギが一番最初に船を降り
手を差し出して来た。
ナギ
「? どうした? 手」
いつも港へ降りる時、当たり前のようにしてくれる事だが
この姿では人目も気になり、躊躇ってしまう。
リュウガ(ヒロイン)
「大丈夫! ホラ、船長の体だし
この位余裕だよ!」
スタスタと渡し板を歩くヒロイン。
ナギ
「………」
リュウガ(ヒロイン)
「…ごめんね… 私、今日はひとりになりたい…
遠くまで行かないから… ごめん…」
ナギ
「!? ヒロインっ!」
ヒロインは人ごみの中を走り去ってしまった。
ナギ
「チッ…」
シン
「…バカにも程があるな…
あの姿でウロついて、誰かに襲われたらどうするつもりだ」
トワ
「あっ! でも今は男の姿だから安心…」
シン
「…男の、船長の姿だから危険なんだろ?
命を狙いにきたら、アイツ…死ぬぞ」
その言葉を聞いて、走り出したのはナギとリュウガ。
ナギ
「っ! 船長!!
船長は船に残ってて下さい! ヒロインの体なんですからっ」
ヒロイン(リュウガ)
「バカ言えっ! オレの体だぞ!?
殺されるかもしれねぇのに、黙っていられるか!」
いつも以上に足の速いヒロインの姿を見て
また思い知らされる。
ナギ
「チッ…」
早くヒロインを見つけないと…
・・・・・・・・・・
ヒロインはトボトボと賑わう街を歩いていた。
洋服もアクセサリーも、見たい物は沢山あるのに
この姿では店に入る事すら躊躇ってしまう。
店員1
「あら~いい男♡ 彼女に何か贈り物?」
リュウガ(ヒロイン)
「!! あっい、いや違っ」
店員2
「ホントにいい男~♡ 少し話し相手になってよぉ」
あっという間に女達に囲まれてしまった。
(船長ってこんな時どうしてるっけ?!)
こういう光景は何度も見ているが、どんな風にリュウガが躱していたかなんて覚えていない。
軽い感じで…
リュウガ(ヒロイン)
「悪いが…きょっ今日の相手は決まってる!」
街の女1
「それとは別に私はどう?」
そう言ってグイグイと豊かな胸を押し付けてくる。
リュウガ(ヒロイン)
「ちょっわっ!」
街の女2
「…リュウガじゃない!?
信じられない! リュウガ戻って来たのね?」
リュウガ(ヒロイン)
「えっ?」
街の女2
「あんなに毎晩してたのに、急にいなくなるからぁ~
今夜は私の家に来るでしょ?」
街の女3
「ちょっと待ってよ! リュウガは私と約束してたのよ!
ねぇそうでしょ!?」
街の女4
「私の緑の目がいいって言ったよね!?」
目の前で繰り広げられるリュウガの争奪戦。
ある意味ここまで女性を惚れさせる事の出来るリュウガを尊敬してしまう。
ボンヤリとそのやり取りを見ていると、女達の視線が一気に集まった。
リュウガ(ヒロイン)
「っ! えっと…」
詰め寄られ、戸惑っていると
突然グイッと後ろから腕を引かれた。
ボスッと誰かの胸に背中が当たる。
リュウガ(ヒロイン)
「…?」
ふわっと鼻を掠める香りで、すぐに誰だか分かった。
ナギ
「何やってんだ」
リュウガ(ヒロイン)
「あ…ナギ…」
ナギの登場により、明らかにヒロインの表情がホッとしたのが分かり
女たちは眉をひそめる。
だが顔立ちの整った男が2人も並ぶとは
なんともいい眺めだ。
街の女2
「ちょ…何なの? リュウガ?」
リュウガ(ヒロイン)
「あ…」
何かを言わないと… そう思って口を開いたが
ナギがそれを止めた。
ナギ
「…この人は今日大切な用がある」
街の女3
「はぁ?! 何それっ!
私との約束は?」
街の女2
「私とのでしょ?! あの夜を忘れたの?」
尚も迫る女たちに、ナギは「はぁ…」とタメ息を漏らす。
ナギが苛立っているのが分かる。
ナギ
「…面倒臭ぇな…」
ボソっとそう呟いたかと思うと、
ナギは急に顔を近づけ、チュッと頬にキスをした。
女たち
「「!?」」
リュウガ(ヒロイン)
「なっ!?」
突然のキスに、ヒロインは思わず体を離す。
しかしグッとナギに腰を持たれ、
距離は更に近づいた。
ナギ
「…分かったか?
もう女には興味がないそうだ」
ナギの言葉に、その場にいた女たちは全員目を丸くして佇んだ。
そしてその間に、ナギはヒロインを連れてその場を去った。
リュウガ(ヒロイン)
「ナ、ナギっ! あんな事言っちゃって良かったの?」
ナギ
「しょうがねぇだろ?
第一、お前が1人で飛び出して行くのがいけねぇんだろ?!
ひとりになりたいなら、なりたいで
行先くらい教えろ!」
余裕のないナギの口ぶりに、ヒロインはハッとした。
ナギはどれだけ探し回ってくれたのだろう…。
手を引かれながら、ヒロインはナギの背中を見つめた。
リュウガ(ヒロイン)
「…ごめんなさい…」
小さな声で呟く言葉に、ナギは胸が痛くなった。
謝らせたい訳ではない。
ナギ
「………もう今日は大人しく船にいろ。」
リュウガ(ヒロイン)
「……うん…」
元気のない返事を返すヒロイン。
ナギは通り過ぎる商店街をチラッと見た。
そして足を止めた。
リュウガ(ヒロイン)
「? ナギ…?」
ナギ
「……あれ…買って帰るか?」
リュウガ(ヒロイン)
「え…?」
ナギの視線の先を追うと、そこはお菓子屋だった。
ナギ
「…お前、港に寄ると
いつもその国の菓子買って、食ってるだろ?」
リュウガ(ヒロイン)
「そう…だけど…」
そう言うと、ナギはヒロインを残して店の中へと入って行った。
リュウガ(ヒロイン)
「はぁ…」
もう何度目のタメ息だろう。
やっぱりこのモヤモヤした気持ちは、元の体に戻らないと消えないのだろうと思った。
でも、ナギが追いかけて来てくれたのは
とても嬉しかった。
そんな事を考えていると、ナギが大きな袋を抱えて帰って来た。
リュウガ(ヒロイン)
「ナギ… 随分買い込んだね?」
ナギ
「あぁ… おら早く帰らねぇと船長会議の時間になるぞ?」
リュウガ(ヒロイン)
「船長会議…」
最大の難関が立ちはだかった…。
結局元にも戻らず、リュウガは「大丈夫だ」と言っていたが
一体何を話せばいいのだろう。
また気持ちが暗く塞ぎ込みそうだった。
トボトボとナギの後ろを歩き、船へと戻る。
船長会議までの時間、何だか落ち着かずソワソワしていると
甲板に息を切らしたリュウガが駆け込んできた。
リュウガ(ヒロイン)
「っ! 船長!どうしたんですか?」
慌てて駆け寄ると、リュウガは肩で息をしながら
コツッと握った拳で頭を叩いてきた。
ヒロイン(リュウガ)
「はぁ…はぁ…戻って来てるなら、そう言え…
はぁ…探し回っただろ?」
リュウガ(ヒロイン)
「え… す、すみません!
探してくれてたんですか?」
ヒロイン(リュウガ)
「あ~苦しい…はぁ…クソッ…」
リュウガは不機嫌に船内へと歩いて行く。
ヒロイン(リュウガ)
「あ…あと20分したら出るからな?
ちゃんとジャケットと帽子被ってここにいろよ?」
リュウガ(ヒロイン)
「は、はい!」
ついに来た…
もうどうする事も出来ない…。
トワ
「ヒロインさん…
僕ジャケットと帽子持ってきますね?」
心配そうな表情を浮かべたトワがそう言ってくれた。
ソウシ
「船長はあぁ言ってたけど、私たちもついて行くからね?」
リュウガ(ヒロイン)
「えっ!?」
シン
「船長会議ってのは、他の海賊たちからしたら
襲撃するいいチャンスなんだ。
あくまで秘密厳守だが、どこで情報が洩れているか分からない」
ハヤテ
「多分他の船長たちの手下も近くにいるだろうけど
オレたちはお前を守る為に一緒にいく」
リュウガ(ヒロイン)
「ハヤテさん…」
何だかんだ言って、皆心配をしてくれている事が分かり
ヒロインはじんわりと涙が浮かぶ。
自分でも思っている以上に緊張をしていたようだ。
ナギ
「ヒロイン、コレ持っていけ」
リュウガ(ヒロイン)
「?」
そう言ってナギから手渡されたのは、お酒を入れるアルミ製の携帯ボトルだった。
ナギ
「船長のフリをしなくちゃだろ?
中身はブドウジュースだから安心しろ」
ソウシ
「あははっ細かいね!
確かに、船長がシラフで会議に参加するなんてありえないもんね」
リュウガ(ヒロイン)
「皆さん…」
体が入れ替わって、こんなにもツライ思いをしているのは自分だけだと思ってた。
だが、皆こうして考えてくれていた。
リュウガだって街中を探し回ってくれていた。
こんな素敵なメンバーに囲まれて、ヒロインは幸せ者だと思った。
リュウガ(ヒロイン)
「本当にありがとうございます!
私、やれるだけやってみます!!」