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その夜、医務室でひとり眠るヒロインは
何度も何度も寝返りを打っていた。
リュウガ(ヒロイン)
「全然寝れない…」
ベッドが変わったからだろうか…
いや、隣にナギがいないからだ。
背中で、体全体で感じるナギのぬくもりがないと
安心して眠れない。
だが、自分からこうして逃げ出しておいて
今更一緒に寝て欲しいなんて言えない。
(それに船長の体だし…)
暗がりに翳した手は、大きくゴツゴツした男の手だった。
リュウガ(ヒロイン)
「はぁ…」
翳した手をギュッと握り、コツッと額に降ろした。
明日目が覚めれば、元に戻っているだろうか?
自分の体に戻って、思い切りナギに抱きしめられたい。
そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされた。
コンコン…
こんな時間に誰だろう…。
リュウガ(ヒロイン)
「はい」
返事を返すと、そっとドアが開き
ナギが部屋に入ってきた。
リュウガ(ヒロイン)
「ナギ…」
ナギ
「遅くにごめんな…
寝てたか?」
リュウガ(ヒロイン)
「んーん… 全然眠れない…」
暗がりの中、ギシと床板を軋ませて
ナギが近づいてくる。
安心する…
ナギの気配、ナギの匂い…
いつも傍で感じているモノ。
ナギはベッドで体を起こすヒロインの横に来ると
そのままベッドに腰掛けた。
ナギ
「ふっ…ベッド、小さいな…」
リュウガ(ヒロイン)
「ん… 船長大きいから…
ナギが寝ても足が出ちゃうね」
ナギ
「ん… そうだな」
リュウガ(ヒロイン)
「………」
会話が続かない…。
でもお互い何を考えているか分かる。
恋人をもっと感じたい。
リュウガ(ヒロイン)
「ナギ…? ……寂しい…」
ナギ
「ん?」
リュウガ(ヒロイン)
「こんなに傍にいるのに…」
暗がりで見つめ合うナギとヒロイン。
ナギ
「お前が寝付くまでここにいる」
リュウガ(ヒロイン)
「でも…」
ナギ
「いいから、横になれ」
そう言われ、体をベッドに沈めた。
ナギ
「ヒロイン?」
リュウガ(ヒロイン)
「ん…?」
ナギ
「…上手く接する事が出来なくてごめんな?
早く思い切りお前を抱きしめたい…」
聞き間違いなんじゃないかと、ヒロインは目をパチクリさせた。
それは、スキンシップが出来ない今
ナギなりの精一杯の愛情表現だった。
ヒロインは嬉しかった。
普段言葉にしないナギが、こうも分かりやすく言ってくれた事が…
リュウガ(ヒロイン)
「うん、私も…」
ナギと心が通じ合っていると分かると、ヒロインは心が軽くなった。
ナギが手を繋いでくれる。
感触も手の大きさも、いつもと全然違うけど
それでも安心する。
そして、張り詰めていた物がふっと切れ
ヒロインは睡魔に襲われる。
リュウガ(ヒロイン)
「ナギ……ありがと…」
そのまま瞼が降りてきて、ヒロインは深い眠りについた。
============
翌朝。
窓から差し込む陽を感じ、目を覚ました。
そしてハッとして、体を起こした。
両手を目の前に差し出すが、見えている手は
ゴツゴツした男の手だった。
リュウガ(ヒロイン)
「はぁ…ウソでしょ…
今日の夜、船長会議なのに…どうしよう…」
がっくりと項垂れていると、ふとオナカの辺りに軽い重みを感じた。
不思議に思い、視線を向けると
そこには太い腕が抱きしめるように置かれていた。
ナギ
「ん…」
リュウガ(ヒロイン)
「!」
隣を見ると、同じベッドにナギが寝ていた。
自分たちの部屋のベッドより、医務室のベッドは少し広いが
男2人が眠るには、狭すぎる。
(ナギ…一緒に寝てくれたんだ…)
少し疲れたような顔色のナギの寝顔を、そっと指で撫でた。
ナギもいっぱい悩んでくれたのだろう。
また愛しさが増し、元に戻れてない苛立ちを覚える。
すると…
ヒロイン(リュウガ)
「ヒロイン~! 起きてっか?
着替えどこにあんだ…よ……っお、お前らまさかっっ!!!?」
リュウガ(ヒロイン)
「???」
ノックもなしに開いたドアの前で、硬直しているリュウガ。
ヒロインは不思議に思いながらリュウガを見つめた。
するとリュウガはツカツカと医務室の中を歩き
まだ寝ているナギの上に馬乗りになった。
ヒロイン(リュウガ)
「オイナギっ!! 起きろっ!!
お前、オレの体に何かしたんじゃねぇだろうな?!」
ナギ
「ん…なん…ヒロイン?」
ヒロイン(リュウガ)
「ヒロインじゃねぇよ! オレだっ!
ナギ、お前オレのケツ掘ったりしてねぇよな!?」
それを聞いて、ヒロインは顔がボッと熱くなった。
そして全力で否定した。
リュウガ(ヒロイン)
「そんな事してません!! もぉ!
朝から何言ってるんですかっっ!!」
ヒロイン(リュウガ)
「お前らの感じじゃ、容姿変わってもしちまいそうだからよぉ…」
リュウガ(ヒロイン)
「しないです!!
着替えですか? だったら部屋に取りに行ってきます」
そう言って、足早に部屋を出て行くヒロイン。
ナギに馬乗りのまま、ヒロインを見送ると
急に腰に手が回った。
ヒロイン(リュウガ)
「んぉ?」
ナギ
「ヒロイン? 元…戻ったのか?」
寝ぼけているナギがグッと抱き寄せ、リュウガはナギの胸に抱き寄せられてしまった。
ナギ
「ヒロイン…」
ヒロイン(リュウガ)
「ナギっ! オレだ!!
寝ぼけてんじゃねぇ!」
両手を突っ張り、ナギの胸から抜け出そうとするも
いつもの力が入らない。
ヒロインの力はこの程度なんだと思い知った。
ふっと腕の力が緩んだかと思うと、手が頬に掛かり
上を向かされる。
ヒロイン(リュウガ)
「う…だ、だからっオレはっ!」
このままだとキスされてしまう。
そう感じたリュウガだが、抵抗しようにも動く事が出来ない。
ダメだと思った瞬間、着替えを手にしたヒロインが戻って来た。
リュウガ(ヒロイン)
「船長、今日はコレで… って!何してるんですかぁぁ!!!!」
勢いよくベッドに駆け寄り、ナギとリュウガを引き離した。
ナギ
「ん…あ…?」
ヒロイン(リュウが)
「ね、寝ぼけてんじゃねぇよ!」
無駄に心臓がドキドキとしてしまい、リュウガは戸惑いを隠せない。
リュウガ(ヒロイン)
「船長…今日の船長会議、どうするんですか?」
ヒロイン(リュウガ)
「どうするもねぇよ。 このまま行くしかねぇだろ?
お前とオレとで行って、オレが隣で指示だすから」
リュウガ(ヒロイン)
「……不安です…」
ヒロイン(リュウガ)
「だーいじょうぶだっての!
あぁそれから、シンが早めに島に着きそうだって言ってたから
今日は買い出しに出るからな?」
リュウガ(ヒロイン)
「買い出し…」
ヒロイン(リュウガ)
「船でじっとしてても仕方ねぇし、船長会議が始まるまでの時間
気晴らしにナギと歩いてこい」
リュウガ(ヒロイン)
「船長…」
不安で押し潰されそうだった気持ちが、少し和らいだ。
リュウガもシンも、気遣ってくれたのだろう。
ナギ
「…船長はどうするつもりなんですか?」
ヒロイン(リュウガ)
「あ? オレは酒場に行く!
昨日も全然飲めなかったしよぉ…」
リュウガ(ヒロイン)
「だからダメです! 私の体なんですからっ!」
流れでいけるのではと思っていたリュウガは、
案の定ダメ出しをくらい、不貞腐れた表情を見せた。
ヒロイン(リュウガ)
「いーよ、部屋で寝てる。
なんか昨日はあんま眠れなかったしよぉ…
やっぱ酒がねぇとダメだな…」
嫌味たらしくヒロインに向かってそう言ったが
ヒロインは毅然と態度を変えなかった。
ヒロイン(リュウガ)
「まぁいい… 夕方には戻って来いよ?
会議の段どりしとかねぇとな…」
そう言ってリュウガは部屋を出て行った。
リュウガ(ヒロイン)
「もぉナギ! ちゃんと目を覚まして!!
危なく船長とキスしちゃうトコだったよ!?」
ナギ
「…悪い… 目の前にお前がいたから戻ったのかと思った…」
そうだったらどんなにいいか…。
いつまで薬の効果は効くのだろう。
たかがケムリを吸っただけだというのに…
リュウガ(ヒロイン)
「はぁ… 朝ごはん…用意しよ…」
一気に元気のなくなったヒロイン。
トボトボと部屋を出て行く姿を見ながら
自分の不甲斐なさに苛立った。
ガシガシと頭を掻きながら、ナギはベッドから起き上がった。