Desire 2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
リー
「何ですかそれは?」
リュウガはその筒を広げ、船長たちに見せた。
ヴァン
「お前っ! それはセビルの宝の地図じゃねぇか!」
セシル
「どこでそんな物を…」
リュウガ
「ヒロインがいたからだって!
ふはっやっぱヒロインはオレ達のカリプソだなっ!!」
ヒロイン
「???」
何の事かとキョトンとやり取りを見ていたヒロイン。
リュウガはその表情が可愛くて、「ふっ」と笑った。
リュウガ
「さぁてそろそろ引き上げるか!
お目当ての海賊たちもやっつけたし、目的は果たしたもんな」
リュウガの掛け声に従って、船長たちも歩き出した。
ヒロインの近くにどうしても行きたがるロイの肩に手回し
リュウガはグイグイと歩き出す。
ヒロイン
「あ…ナギ…ありがと…」
茫然と立ち尽くしていると、隣にナギが立ち
そっと肩を抱いてくれた。
そう声を掛けても、ナギは返事もせず
見上げると、不機嫌な表情をしていた。
シリウス号に戻り、着替えをしたヒロインは
ワイワイと賑わう食堂に向かった。
満月でもないのに、体が戻ったお祝いと
海賊たちを倒したという名目で
宴が始まっている。
ナギはキッチンで忙しそうに動いている。
それを見たヒロインは、ナギの手伝いをしようと
厨房へと向かう。
リュウガ
「いや~やっぱ自分の体が一番だなっ!!」
解き放たれたように、ガブガブと酒を煽るリュウガ。
ソウシ
「程々にしてくださいよ?」
リュウガ
「うるせー! 1日一滴も酒を飲んでねぇんだぞ?!
チビチビ飲んでられるかっ!!」
迷惑を掛けてしまったという負い目があるソウシには
これ以上止める権利はない。
タメ息を付きながら、リュウガの事を気遣った。
厨房に入ったヒロイン。
ナギの不機嫌オーラがまだ消えていない事が分かった。
ヒロイン
「お手伝い…するね?」
ナギ
「………」
返事を返されなかったが、ヒロインは黙って皿を用意したり
ナギが盛り付けた皿を運んだりした。
ナギが何で不機嫌なのかは、大体想像がつく。
体が入れ替わって振り回してしまった事、
それに一番の原因は、リュウガがこの体で戦った事だ。
海賊たちとの戦いの後から一言も話をしてくれない。
ヒロイン
「………」
(このままは嫌だな…)
ナギはこういう時、なかなか気持ちを話してくれないし
切り替えて接してくれる事も少ない。
最後の皿を手に取った時、ヒロインはナギに話し掛けた。
ヒロイン
「ナギ…その…心配掛けて…ごめんね?
…元の体に戻れたし…その…」
ナギも手を止めて顔を上げてくれたその時…
ソウシ
「あっ! ナギ、ヒロインちゃん!」
厨房のドアが勢いよく開き、ソウシが入ってきた。
ソウシ
「もう料理も片付けもその辺でいいからね。
今回迷惑掛けちゃったから、コレ…」
そう言って、ソウシはメモを渡してきた。
ヒロイン
「? コレ…」
そのメモには、どこかの店の名前と住所が書いてあった。
ソウシ
「出航は明日だって言うし、ほらナギともゆっくり出来なかったでしょ?
今日は2人で、そこの宿屋に泊まってきて?」
ヒロイン
「えっ!?」
ソウシ
「後は私たちでするから!」
思い掛けないソウシの申し出に戸惑っていると
無言だったナギが、グッと手首を掴んできた。
ヒロイン
「!?」
ナギ
「…すいません…
昼前には戻ります」
ソウシは無表情なナギを見て、優しく笑った。
ソウシ
「うん。
…船長の事も許してやってね?
ヒロインちゃんの体で無茶な事したけど
でもあそこで船長が参戦してくれなかったら
ヤバかったのはナギも分かってるでしょ?」
ナギ
「………」
ナギは顔をしかめた。
分かっているから、この気持ちをどこにぶつけたらいいのかが分からなく
余計にイライラしていた。
ハヤテ
「ナギ兄ー? 料理まだー?」
食堂から大きな声がした。
ソウシ
「ほらっ! 早く行きな?
捕まったらいけなくなっちゃうよ!!」
ソウシに背中をグイグイ押されて、ナギとヒロインは
船尾の方から街へと抜け出した。
ハヤテ
「ナギ兄~?」
ソウシ
「ここからはぜーんぶセルフサービスね?」
最後の皿を食堂のテーブルに置く。
ハヤテ
「はぁ?! 何でッスか?
ナギ兄は? ヒロインもいねーじゃん」
ソウシ
「あぁ、2人は今夜街の宿屋に泊まるから行かせたよ?」
ハヤテ
「はぁ!? なんスかそれっ!」
リュウガ
「ガキじゃねぇんだから、そのくらい分かんだろ!?
体が入れ替わって、ナギも相当参ってたからなぁ…」
シン
「フン…たかが一日二日で、あそこまでなるなんて
あのナギが信じられん…」
そんな話をしながらも、黙々と食事が進むメンバーを余所に
ひとりだけ顔を真っ赤にしているメンバーがいた。
ソウシ
「…あれ? トワ、食べないの?」
トワ
「あ…た、食べますけど…」
ハヤテ
「あ? 何お前、顔すげぇ赤いぞ?!」
そう言うと、トワはバッと顔を背けた。
シン
「…ガキがここにいた事を忘れてた…」
リュウガ
「がはははっ 何だよトワっ!
ナギとヒロインのしてるトコでも想像したか?!」
トワ
「そっそんなっ!!」
ハヤテ
「バーカ。 ナギ兄とヒロインがヤッてるなんて
前から分かってる事だろ?
今更何言ってんだよ」
トワ
「………」
純情なトワに、メンバーはやれやれとタメ息をこぼした。
ソウシ
「まぁ2人の事はそっとしておこう。
私たちも大いに飲まないとねぇ~」
リュウガ
「んぅ? 悪りぃがオレもこの後出かけるぜ?」
シン
「……人の事言えませんね…」
リュウガ
「がははっそうイジメんなよ。
自分の体に戻ったと思うと、女と試したくなるだろぅ?」
更に呆れかえるメンバー。
しかし体が入れ替わり、相当不自由をしていた事を知っているので
あまり強くも言えず、今日の宴はそうそうにお開きとなった。
その頃、ソウシに指定された宿屋へ向かい
用意された部屋に着くと、ヒロインは驚いた。
ヒロイン
「えっ!? スゴ… こんないい部屋に泊まっていいの?!」
今まで泊まったどの部屋よりも豪華で、街でひと際高い建物とあって
窓からの眺めも最高だった。
ヒロイン
「ここ最上階で、しかも一番いい部屋…
ホントに甘えちゃっていいのかな…」
振り返りながら聞いたが、ナギは疲れた表情を浮かべ
ボスッとベッドに座った。
ヒロインもはしゃいでしまった事を反省して
おずおずとナギの傍にいった。
ヒロイン
「ナギ…? 大丈夫?
やっぱり、船に戻る?」
あまりにも反応のないナギ。
段々心配になってきた。
ヒョコっとナギの顔色を覗き込むと、ナギは何か考えているようだった。
ヒロイン
「……紅茶でもいれようか…
あそこにお茶のセットがあるし…」
そっとしておいた方がいいのかもと、ヒロインはナギの傍を離れた。
ナギ
「……ヒロイン… 後でいいから…こっちこいよ…」
ヒロイン
「え…う、うん…」
ぎこちなく歩き、ナギの隣に座った。
何も話さないナギ。
何か話をしなくてはと、ヒロインが頭を働かせていると
グッとナギの手が肩に掛かった。
ヒロイン
「あ…」
コテッとナギの胸に寄り掛かる。
何だかこうしてもらうのは久しぶりだ。
リュウガの体ではないのだから、存分に甘えていい。
スリッと顔を胸に埋める。
すると、ナギの手がそっと髪を撫でた。
ナギ
「…ごめん…な?
…お前が悪い訳じゃねぇのに…気ぃ使わせて…」
ヒロインは首を振った。
ナギ自身、自分が不機嫌だという事を自覚しているのだろう。
ナギ
「戦っている時、戻ったって分かったのに
お前の事、守るどころか
船長と一番危険な場所にいさせちまって…」
ヒロイン
「そんなの! ナギのせいじゃないよ!!」
ナギ
「……船長がお前の体で戦っている時も
何も出来なくて…
もし何かあったらって、スゲェ心配で…」
抱き締めるナギの手に力が入った。
ナギ
「入れ替わって戸惑ってた時も
何も出来なくて…ホントごめんな?」
ヒロイン
「ナギ…」
ナギは不甲斐ない自分に、ずっと苛立っていた。
ヒロイン自身もいつ元に戻るかわからない不安と戦い
ナギの接し方に八つ当たりしてしまった。
そっとナギの胸から体を起こし、ナギを見つめた。
こんな不安げなナギ、あまり見た事ない。
不謹慎だが、そこまで心配してくれるナギに
キュンと胸が高鳴った。
ヒロイン
「…私も…ナギに当たっちゃってごめんなさい…
もう元に戻ったから…
その…ナギともっと近くになりたい…」
その言葉に少し驚いているようだったが
ナギはそのまま口唇を寄せた。
ヒロイン
「ん…」
触れるだけの優しいキス。
ようやく感じる事の出来る感触に、ヒロインは物足りなさを覚える。
そっと目を開け、ナギを見つめると
ナギは優しい笑みを浮かべていた。
ヒロイン
「…? どうしたの?」
ナギ
「ん? …なんかやっぱヒロインだなって…」
ヒロイン
「えっ? わっ!!」
ナギの笑顔に見とれていると、ボスッとナギと一緒にベッドへ寝転ばされた。
横向きに見つめ合ったまま
元通りになったお互いを確認し合った。
今思えば、あれだけ短い時間の入れ替わりだったというのに
こうしているのが懐かしく思え、妙に胸を高鳴らせた。
最初に目を逸らしたのはヒロインの方だった。
ナギ
「ふっ… 何だよ…?」
ヒロイン
「だ、だって… 何だか恥ずかしいもん…」
その反応を見て、ナギは顔が綻ぶ。
ナギ
「やっぱ…ヒロインだな…」
ヒロイン
「え…?」
ナギ
「…船長と入れ替わって、姿はお前なのに全然違うし
すげぇ戸惑った…
でもやっぱ中身もお前に戻った今は、全部がお前じゃなきゃダメなんだなって思った…」
ナギの指が愛しそうに口唇に触れる。