chocolat
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ベッドに寝転び、本を読んでいたナギは
チラッと時計を見た。
さっき見た時から3分しか経ってない。
ナギ
「…遅せぇな…」
厨房にヒロインを残し、先に風呂に入ったナギ。
まだ片付けが終わってないのかと、心配になってきた。
ナギが厨房を出る時は、皿を2、3枚しまえば
片付けが終わりそうだったが…。
昼間にあれだけ体が燃え上がった反動か
ヒロインの戻りをソワソワしながら待っていたナギ。
広げた本をパタリと締め、ベッドから体を起こした。
ナギ
「…何やってんだアイツ…」
そう言って立ち上がろうとすると、ヒロインが勢いよく部屋に駆け込んできた。
ナギ
「!?」
ヒロイン
「! あ…た、ただいま!!」
ナギ「……あぁ…お帰り…」
思い切り息の乱れているヒロイン。
何かあったのか聞こうとしたが、それよりも早く
ヒロインが駆け寄ってきた。
ヒロイン
「ナギ、これ…」
ナギ
「?」
手に提げていたバスケットから、小さな箱を取り出すヒロイン。
ヒロイン
「バレンタインのチョコだよ?
ナギのは特別なの♡ 開けてみて?」
ナギ
「……あぁ…」
ヒロインのにこやかな笑顔に負け
もうこれ以上、何も聞けない状態になってしまった。
仕方なく、ナギは渡された箱を開ける。
ナギ
「! コレ…」
ヒロイン
「ふふっ覚えてくれてた?」
ナギは箱の中身を見て、驚きながらも温かい感情が
ジワジワと湧き上がるのを感じた。
ナギ
「…覚えてるに決まってるだろ?」
それは、ナギとヒロインがまだ付き合う前のバレンタインに
ヒロインが自分にだけ作ってくれた特別なお菓子だった。
ナギはそのお菓子を優しく見つめ、微笑んだ。
ナギ
「あの頃より…ずっと上手に焼けてるな…」
小振りの箱に入ったハート型のチョコレートケーキ。
あの当時よりも、綺麗にデコレーションされ
見た目も味も十分美味しそうだった。
ヒロイン
「あの時は、ナギとメンバーのみんなに見つからないように
コッソリ焼く事に必死だったから…
今回はじっくり作ったから、自信作だよ?
あ…でも、もう今日は甘いの嫌だよね?
冷蔵庫にしまって…」
そう言って、ナギから箱を受け取ろうと手を伸ばしたが
ナギはヒョイッとヒロインの手をかわした。
ヒロイン
「?!」
ナギ
「…食うに決まってんだろ?
フォークあんのか?」
ヒロイン
「あ…見せるだけのつもりだったから…
今取って来るね?」
まさか今食べてくれるなんて!
ヒロインは嬉しい反面、ナギが無理をしていないか心配になった。
あれだけオヤツの時間に甘いモノを食べていたのに
大丈夫だろうか?
ドアの方へと引き返しながら、そんな事を考えていると
ナギが声を掛けた。
ナギ
「ヒロイン」
ヒロイン
「ん?」
ナギ
「フォーク…後でいいから、こっちこいよ…」
ヒロイン
「え…う、うん…」
おずおずとベッドへ引き返す。
座っているナギの近くまで来ると、手を掴まれ
グッと引き寄せられた。
ヒロイン
「わっ!」
横向きにナギの膝に座る様な形になり
一気に心拍数が上がる。
ナギの体から、石鹸のいい香りがする。
うっとりとその香りに酔っていると、ナギの手がアゴに掛かり
グッと上を向かせる。
ヒロイン
「ん…」
そして、ナギの唇が触れ
その感触をしっかり確かめながら目を閉じていると
自分の体温とは違う温かな舌が、唇を割って入ってきた。
ヒロイン
「んっ…ンっ…」
柔らかく、何度も舌を絡ませ
ナギは角度を変えながら、深くいやらしいキスを繰り返す。
ナギの熱いキスに絆されて、ヒロインはどんどん体が溶けていく。
思考もナギに侵され、何も考えられない…
すると、背中を支えていたナギの手がスルッと
背骨をなぞり
そのままシャツの裾から、侵入してきた。
少し冷たいナギの手の感触に、一瞬ビクッと体が跳ねた。
ナギ
「チュッ…悪い…冷たかったか…?」
少し離れた唇。
コツッとオデコをつけたまま、ナギは反対の手で頬を包み込む。
甘い吐息を漏らしながら、小さく首を振ると
背中に触れるナギの手が、ブラジャーのホックに掛かる。
ヒロイン
「あっ…ナギ…待って…?」
軽くナギの胸を押し返すヒロイン。
ナギ
「もう待てねぇよ…
昼からどんだけ待たされてると思ってんだ?」
熱を帯びたナギの目に見つめられると
何をされてもいいと思えてしまう。
しかしヒロインは、そのままナギの足から立ち上がり
顔を赤くしながら言った。
ヒロイン
「…分かってる…
だから…準備…させて?」
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「お風呂入って、すぐ戻ってくるからっ!」
そう言って、着替えなどを掴むと
ヒロインは慌てて部屋を出て行った。
残されたナギは、またしても寸止め状態になり
「はぁ…」とタメ息をつきながら、ベッドへ倒れ込んだ。
こんなにも欲しいと思っているのは自分だけなんじゃないか…?
そんな想像すら浮かぶ。
考えてみれば、初めてのバレンタインの時から
そうだった。
ヒロインが自分以外の男にチョコを作っている事に腹を立て
随分と素っ気なくしたものだ。
「好きだ」とも伝えていないのに、
独占欲だけがドンドン膨らみ
いつの間にか、不機嫌になる事で
ヒロインに気に掛けさせるような
子供染みた嫉妬と愛情表現をするようになっていた。
初めの頃のヒロインには
きっと何の事かも分からず、ただ不機嫌な自分に戸惑っていただろう。
そして、こうして身も心も独占している今でも
まだ嫉妬している…
どうしようもないヒロインへの想い。
ナギは頭を冷やすため、厨房へフォークを取りに行くことにした。
・・・・・・・・・・・・
ヒロインが部屋に戻ってきたのは
20分ほどしてからだった。
何だか落ち着き無く、もじもじして
顔を赤くしているヒロイン。
ベッドの上で胡座をかいているナギと向かい合わせになるように
ヒロインはベッドに乗った。
その瞬間、甘い花のような香りが
ナギの鼻を掠めた。
ナギ
「…いつもと違う香りがする…」
するとヒロインは、まだ乾ききっていない髪に触れ
ニッコリ笑った。
ヒロイン
「ソウシさんがトリートメント剤を作ってくれたの!」
ナギ
「ドクターが?」
ヒロイン
「そうなの!
ずっと髪がバサバサしてて気になってたの…
でも今スゴイサラサラ~」
満足そうに微笑んでいるヒロインを見て
ナギは何だか胸がチリッと焦げ付いた。
不機嫌に視線を逸らしていると
ヒロインが両手をついて、体を乗り出した。
ナギ
「!? な、何だ?」
ヒロイン
「…ナギ…また怒ってる…」
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「ナギを喜ばせたかったのに…」
キレイな髪になるのも、バレンタインのチョコを作るのも
ナギの為にしたい事だったのに、ナギはやっぱり
今日1日不機嫌だった。
しょんぼりしていると、ナギが「はぁ…」と小さなタメ息をついた。
ヒロイン
「?」
ナギ
「…いつになってもダメだな…オレは…」
ヒロイン
「ナギ?」
ナギの顔を見つめると、そっと背中に手が回り
優しく抱き寄せられた。
ナギ
「…こんなに傍にいるのに…」
きっとヒロインも分かっているだろう。
どれだけ嫉妬心が強いかという事を…。
ヒロイン
「ナギ? 私もそうだよ?」
その言葉にナギは顔を上げた。
ヒロイン
「船にいる時は、ナギを独り占めしている気がして
安心だけど、港に降りるとナギがよそ見しないか心配になる…」
ナギ
「ヒロイン…」
ヒロイン
「私も…いっぱい嫉妬してるよ?
私と会う前のナギを知ってる女の人とか
…やっぱり嫌だもん…」
胸の中で素直に話すヒロインが可愛くて
ナギはそっと体を離した。
そして右手を頬に掛けた。
ナギ
「…オレの方がヤバイ…
こんなに独占欲が強いなんて思わなかった…」
ナギの目が切なく見つめ、胸がキュンと締め付けられる。
何年経っても、好きという気持ちが尽きない。
何度ナギに恋をすればいいのだろう。
ヒロインは自分からチュッとナギにキスをした。
ナギ
「!?」
ヒロイン
「…今日は…私がするね…」
そう言うと、ヒロインは着ていたシャツのボタンを解いていく。
白い肌が徐々に露わになり、何度も見ている光景なのに
ナギはゴクリと喉が鳴った。
こんなに積極的なのは、今日がバレンタインだからだろうか…
顔を赤くするヒロインを見て、ナギはいつものように
部屋の灯りを落とそうと、ベッドサイドのランプに手を伸ばす。
ヒロイン
「あ… 今日は…消さないで…?」
ナギ
「!? だってお前…」
明るい所で抱かれるのが恥ずかしいと、ヒロインはいつだって
部屋を暗くする事を求めてきた。
ヒロインの言葉に、ナギは一気に興奮度が増した。
こんなに恥ずかしそうにしているのに
それでも自分の為にしようとしている姿は
相当いい。
パサッという衣擦れの音が聞え、視線をヒロインの体に向けると
ナギは下着姿のヒロインを目の当たりにし、胸が高鳴った。
そして思わず微笑んだ。
ナギ
「ふっ…
珍しい色だな?」
恥ずかしくて顔を上げられないヒロインは
俯きながら答えた。
ヒロイン
「…うん… ナギには特別なチョコ…あげる…」
ナギ
「…食っていいのか?」
ヒロイン
「…ん…」
返事を聞くと、ナギはそっとヒロインをベッドへと寝かせた。
そしてヒロインに覆いかぶさり、見下ろした。
ナギ
「ヒロイン…?
ありがとな?
やっぱお前とのバレンタインが毎年一番特別だって思う…」
ヒロイン
「ナギ…」
ナギ
「…お前もそう思ってくれるか?
……そう言えばお前のバレンタインの思い出一度も聞いた事ねぇな」
ヒロイン
「えっ?」
この状況で何を聞いてくるのかと思い
ナギを見上げたが、ナギの目は答えを待っているかのようだ。
ヒロイン
「…そんなの…ナギとの…」
ナギ
「オレに会う前は?」
ヒロイン
「え…」
ナギがこんな事を聞いてくるのは珍しい。
ふざけているのかと思ったが、ナギの目は至って真剣で
そして少し心配そうだ。
なんだかその姿が可愛く思えた。
こんなに心配そうに感情を出すナギは、そう見る事は出来ない。
ヒロインはニッコリ笑って答えた。
ヒロイン
「…好きな人に手作りのクッキーを焼いて渡した事がある…
美味しいって食べてくれて、嬉しかったな」
するとナギは眉をしかめて「そうか」と答えた。
ヒロインだって大人なんだから、そんな事くらい想定内だったはずなのに
いざ言葉にされると、結構なダメージを受けた。
黙り込んでしまったナギに、ヒロインはそっと手を伸ばし
首に手を回した。
ヒロイン
「ナギ? いつも大切にしてくれてありがとう。
…私が5歳の時のバレンタインの思い出だよ?」
ナギ
「あ?!」
ヒロイン
「ふふっ
こんなに大好きで、ずっと一緒に居たいって思える人は
ナギが初めて…
全部…ナギが初めて…」
そのままヒロインの手に導かれるまま、ナギはヒロインの唇を塞いだ。
甘くて優しい香りが鼻を掠め、柔らかな唇の感触が
思考を溶かしていく。
ヒロイン
「…んっ…ナギ…大好き…」
唇が離れると、ナギはチュッとヒロインのオデコにキスをした。
ナギ
「…溶ける前に食っていいか?」
ヒロイン
「クスッ…うん…残さず全部…食べてね?」
ナギ
「ふっ…あぁ…」
ナギはチョコレート色の下着を外していく。
今年のバレンタインは、いつにも増して
濃厚で甘い魅惑の味を知る事になったナギ。
トロけてしまいそうな表情のヒロインを
大切に、いつまでも抱きしめた。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒