chocolat
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ヒロイン
「ナギ…?」
抱きしめると、フンワリとチョコレートの甘い香りがした。
ナギ
「ふっ…お前の事だ」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「お前から初めてチョコもらった時の事…」
そう言うと、抱きしめるナギの手に少し力が入ったのを感じた。
ナギ
「…お前がオレの事、好きかもって初めて知った日」
ヒロイン
「ナギ…覚えててくれたの?」
ナギ
「当たり前だろ?
…それまで、お前の気持ちなんて分からねぇし…」
初めて聞いた。
ナギがこんな風に、気持ちを言葉にしてくるのは珍しい。
それに何年も前の事なのに…。
いつもは素気なくしているのに、こういう事を言われると
ヒロインの胸は甘く締め付けられ、ナギから離れたくなくなってしまう。
ヒロイン
「ふふっ」
ナギ
「ん?」
思わずこぼれてしまった笑みを隠すように
ヒロインは振り向いて、ナギの胸にギュッと抱きついた。
ヒロイン
「ナギ…ありがとう…
いつもいつもナギに癒されちゃうよ」
ナギの胸にスリッと頬を寄せ、ヒロインはうっとりと目を閉じた。
毎日一緒で、船に乗ると同じ毎日の繰り返し…
それなのに、ナギを想う気持ちが薄れないのは何故なのか不思議に思った事がある。
付き合いも何年か経てば、付き合い始めの頃のような
新鮮な気持ちが少しずつ落ち着いていくと思っていた。
だが、元から言葉も少ないナギが
こうして時折現わす言葉や感情に、いつもドキドキと胸が鳴る。
これはナギの性格の特権のような気がする。
ナギは優しく手をヒロインの頭に乗せ
ポンポンと撫でた。
ナギ
「…それはオレの方だ
今日のチョコ、楽しみにしてるな?」
ヒロイン
「うん♡
特別な日だもん! もう洗い物も終わるから
1人で平気だよ?
ナギの事もおもてなししたいから、もう少しキッチン貸してね?
立ち入り禁止だよ?」
そう言って、胸から上げた顔は
なんとも可愛くて、ナギはヒロインの頬にそっと手を掛けた。
ナギ
「…手伝って欲しい事あったら、いつでも言えよ?」
ヒロイン
「…うん…」
かなりの至近距離で見つめ合ったまま、動けなくなってしまった。
(…キス…して欲しいな…)
その気持ちが通じたのだろうか?
ナギの顔が近づき、唇がそっと触れた。
それだけで体が熱くなり、満たされた気持ちになった。
少し離れた唇と一緒に、甘いタメ息をつこうとしたが
すぐにナギの舌が唇を割って入ってきた。
ヒロイン
「んっ…ふぁ…ナ…んっ」
まだ明るい厨房で、ナギがこんな激しいキスをしてくるのは初めてかもしれない。
息をつくのを許さないとでもいうように
ナギの舌は柔らかく絡まり、
意識がぼぅっとなる。
ナギは何度も角度を変え、深く深くキスを繰り返す。
ナギ
「ん…はぁ…ヒロイン…」
ヒロイン
「ナ…ギ…はぁ…んっ」
溺れてしまいそうなキスに、ヒロインは必死にナギのシャツを掴んだ。
チュッと音を立てて、ナギの唇が離れると
ヒロインは「はぁ…」と甘いタメ息を漏らし
ナギの胸にもたれかかった。
ナギ
「…悪い…ちょっとやり過ぎた…」
クテッと力が抜けたように体を預けるヒロインを見て
ナギは節操のない自分を恥じた。
ここ数日、ヒロインと体を結んでいないせいもある。
欲しくて堪らなくなってしまった。
ヒロイン
「…んーん… 嬉しかった…よ?」
ナギ
「!」
てっきり「やり過ぎだ」と怒られると思っていたナギは
予想外の言葉に、思い切りやられてしまった。
ナギ
「…お前…そんな事言うと…」
ヒロイン
「んっ…はぁっナギっ…んっもぉダメぇ…んっ!!」
押さえの利かなくなったナギは、さっきの続きのような深いキスをしながら
腰に触れていた右手を動かし、シャツの上から柔らかな膨らみにそっと触れた。
ヒロイン
「ナっ!! ダ…ぁんっ…やぁっ!」
声が漏れないよう、ナギの舌と唇が塞いでくる。
こんな場所で、こんなエッチなキスをされるなんて…
ヒロインはこのままナギに身を任せてしまいそうになる。
ヒロインだって、ナギが欲しくて堪らない。
ヒロイン
「ふっ…ンッ…ナギっ待って…」
そう言うと、ナギは手を止めてくれ
そっと唇も離したくれた。
だが、ナギの目は熱を帯びていて
すぐにでも続きをしたそうな感じだ。
ヒロイン
「…はぁ…ナギ…あの…今は用意とかもしなきゃだから
その…夜…続きしてくれる?」
ナギ
「…夜?」
ヒロインは恥ずかしそうに俯き
返事を待っているようだ。
ナギは「ふっ」と微笑み
ヒロインの頭にそっと手を置いた。
ナギ
「あぁ分かった。
夜な? 期待してるからな?」
ヒロイン
「き、期待!?
えっ期待されても… で、でも頑張る!!」
ナギ
「!?」
ヒロイン
「…ナギの期待に応えられるか分からないけど
喜んで欲しいから…頑張るっ!!」
意欲に満ちた目を向け、必死に答えるヒロインを見て
ナギは思わず吹き出してしまった。
ナギ
「ふっふはっ!
お前…クククッ…気合い入り過ぎだろ」
ヒロイン
「えぇ!?
そんなんじゃ…なくもないけど…
でもバレンタインの用意はしなくちゃだから
もう出てって!!」
一生懸命答えたのに、笑われてしまった事が恥ずかしくて
ヒロインはナギの胸から出て、背中をグイグイと押して厨房から追いやる。
ナギ
「ふっ分かった分かった!
何か手伝える事あったら、いつでも声掛けろよ?」
ヒロイン
「…うん」
それだけ答えると、ヒロインは食堂のドアを閉めた。
そしてドアにもたれ掛かり、「はぁ…」とタメ息をついた。
(ナギ…ズルイよ…)
こんな場所であんなキスをするなんて…
きっと今、ナギが欲しくて堪らない顔をしている。
本当は早くシンの所に行って
準備に必要な物をもらいに行かなければいけないのに…。
自分でも自覚するくらい顔が火照ってる。
そっと両手で頬を包み、ヒロインは目を閉じた。
(ナギ…)
大好きなナギとさっきまでキスをしていた甘い感触が蘇る。
今夜、ナギと本当にするのだろうか?
何もかもが満たされて、とろけてしまいそうな
ナギとのエッチをしたい。
こんな風に考えるなんておかしいだろうか…
ナギとは数え切れないほど体を結んでいるのに
それでも欲しいと思ってしまう。
(…私…相当淫乱なのかも…)
少しだけ触れられた胸が、熱くなった気がした。
今日はメンバーの皆に感謝の気持ちを伝える日でもあるが
ナギには特別な気持ちをお返ししたい。
ただの自己満足で、ナギは喜ぶかなんて分からないが
ナギが望む物なら何でもあげたいと思ってしまう。
(ナギ…喜んでくれるかな…)
ナギだけにこっそり用意したプレゼントを思い出し
ヒロインは小さく笑った。
ヒロイン
「……よっし、シンさんトコ行こ!」
パンッと両頬を叩き、ヒロインは気持ちをキュッと引き締めた。
・・・・・・・・・・・・・
ノックをしてシンのいる航海室へと入ると
シンは海図の上で二つ足のコンパスを走らせていた。
シン
「……何だ?」
視線を海図に落としたまま、シンはヒロインに声を掛けた。
ヒロイン
「あ…忙しい所すいません。
あの…シンさん、キャンドルを分けて欲しいんですけど…」
シン
「…何に使う?」
シンの口調は怒っているのかと思う位冷たく
ヒロインは出直した方がいいか戸惑ってしまう。
ヒロイン
「…バレンタインので使いたいんですけど…
で、でもシンさん忙しそうだし…また後で…っ!」
そう言って振り返ろうとすると、シンは「行ける」と声を上げた。
ヒロイン
「?」
どうしたのかと、シンを見つめると
シンは満足げな笑みを浮かべている。
ヒロイン
「どこか…探してたんですか?」
シン
「船長がずっと行きたがっていた島だ。
季節によって海流が変わって、いつも近づけなかったんだが
今いる船の位置と、気候を考えると島に行けると思う」
シンが海図を真剣に眺めていたのは、その為だったのかと納得した。
ヒロイン
「どこの島ですか?」
シン
「アグラバーだ」
ヒロイン
「アグラバー?」
シン
「砂漠の王国と言われている。
あそこは酒も女も武器も、全てが揃っている」
(…女…って…)
確かにリュウガが行きたがりそうな訳だ。
ヒロイン
「次の目的地はそこなんですね…
砂漠って暑そうですね。 今これだけ寒いのに、何だか不思議な感じです」
シン
「まぁ着くと言っても二週間は先の話だ。
どのみちどこかの港には寄るようだな」
ヒロイン
「そうですか!
しばらく港に寄ってなかったので、それも楽しみです♪」
嬉しそうなヒロインの声に、シンは初めて顔を上げて
ヒロインを見つめた。
ヒロイン
「? 何ですか?」
ヒロインはキョトンとした顔をしている。
シンはヒロインから漂う甘い香りを感じた。
シン
「もう出来たのか?」
ヒロイン
「え? あっチョコですか?
もう少しなんです。 シンさんのキャンドル頂ければ
もう準備オッケーです」
シン
「…お前、オレに聞く前から貰う気満々だな…」
ヒロイン
「あはは…
そうなんです…シンさんキャンドルいっぱい持ってるの知っていたので…」
シンは呆れながらも部屋の奥にあるチェストを目指す。
シン
「どの位のがいる?」
ヒロイン
「えっと…あまり大きくなくていいんですけど…」
そう言ってシンの横に並び
一緒にチェストの引き出しを覗き込んだ。