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ヒロイン
「えっ……」
ハヤテ
「さっすがヒロイン!!!
お前マジいいヤツ!」
頭を優しく包むように抱かれ、一瞬何が起きたか分からなかった。
トワ
「ハッハヤテさん!!」
ハヤテ
「あ?」
ヒロインを抱きしめたまま、隣に座るトワを見下ろすと
トワは「あっちを見ろ」とでも言うように
指を指している。
ハヤテは指された方へ振り向くと
ゴツンと頭に思いっきりゲンコツを食らった。
ハヤテ
「っっ痛ってぇ~~!!!」
そう言って、ハヤテの手が緩むと
ナギの手が肩を抱き、胸の中へと抱き寄せられた。
シン
「……学習能力のないサルめ…」
ソウシ
「ハヤテ、少し落ち着いて…」
呆れたようにハヤテに話しかけるソウシとシン。
そしてナギは調子に乗っているハヤテに
厳しく言った。
ナギ
「…くだらねぇ事して、食う気がねぇんだったら
食わなくていい!」
ヒロイン
「ナ、ナギ!」
するとハヤテはバンッとテーブルを叩き
席を立った。
ハヤテ
「だったら食わねぇよっ!」
ヒロイン
「ハヤテさんっ!」
ハヤテは食堂を出て、勢いよくドアを閉めると
そのままドスドスと廊下を歩いて言ってしまった。
シン
「…騒がしいヤツ…」
リュウガ
「がーはっはっ!!
ハヤテもまだまだガキだなぁ」
ソウシ
「笑ってる場合じゃないですよ?
もぉ…仕方ないなぁ…」
そう言って、ソウシはハヤテを追って食堂を出た。
トワ
「あ…あの…」
ハヤテを追うべきか、それとも大人しくしておいた方がいいのか…
戸惑っているトワに、リュウガがあっけらかんと言った。
リュウガ
「ほっとけほっとけ!
さっさと食うぞ! 食わねぇヤツが悪いんだ!」
そう言ってリュウガとシンは、サンドイッチを頬張り始めた。
ヒロインは不機嫌に顔をしかめて座っているナギの袖をクイッと引っ張った。
ナギ
「…何だ…」
ヒロイン
「…ナギも行って?」
ヒロインはハヤテの皿に山盛りのサンドイッチを乗せて
ナギに差し出した。
ナギ
「………」
ヒロイン
「ナーギ」
ナギ
「………」
訴えるようなヒロインの視線が突き刺さる。
冷静さを少し取り戻したナギは、一瞬にして湧き上がった嫉妬心のせいで
つい大人気ない態度を取ってしまった事に後悔していた。
チラッとヒロインを見下ろすと
頑固な表情で皿を持っていた。
ナギ
「チッ…そんな顔すんなよ…」
ヒロイン
「……こんな事になる為にサンドイッチ作ったんじゃないもん…
私が届けても意味ない…」
そう言って、更にグッと皿を差し出す。
ナギは「はぁ…」とタメ息をついて、その皿を受け取った。
ナギ
「……今回だけだからな…」
皿を受け取り立ち上がると、ヒロインは嬉しそうにニッコリ笑った。
ナギは何とも決まり悪く、不本意ではあったが
ヒロインの言う通り、こんな空気のまま昼飯を食っても意味がない。
ナギが食堂を出ると、ヒロインはホッとして
ナギの皿とソウシの皿にサンドイッチとサラダやマッシュポテトをよそった。
リュウガ
「ふっお前にかかっちゃナギも形無しだな?」
シン
「お前に関わるとロクな事がないからな…
ハヤテもいつんなったら学習するのか…」
ヒロイン
「どういう意味ですか?
シンさんもサンドイッチいらないって事ですか?!」
拗ねた表情でそう言うと、シンが軽く頬をつねってきた。
ヒロイン
「んぁっ! シンひゃんっ!」
シン
「どの口が言ってる…
お前が日頃どれだけオレの世話になっているか分かっているのか?」
そう言って、つねった頬を揺らす。
ヒロイン
「んん~痛いれす!
シンひゃんはチョコいらないんれすね?」
苦し紛れにそう言うと、シンはパッと手を離した。
ヒロイン
「?」
軽く痛む頬を擦りながら、ヒロインはあっけなく手を離したシンを怪訝に見つめた。
ヒロイン
「…シ、シンさん…?」
シン
「……こんだけいい匂いさせといて汚いぞ…
このオレに食ってもらえるだけありがたいと思え。」
ヒロイン
「!?」
高飛車な言い方とは裏腹に、シンの表情はどこか不安げで
それでいて少し照れているようにも見える。
トワ
「ふふっシンさん、朝からずっと楽しみにしてましたもんね♪」
シン
「うるさい!
オレは腹が減ってるんだ!」
そう言って、ガブッとサンドイッチにかぶりつく。
するとリュウガが大きな声で笑いながら
シンの背中をバンバン叩く。
リュウガ
「がっははは!! オメェも人の事いえねぇなぁ~!?
結局シンもナギもハヤテも、ヒロインには弱ぇなぁ~」
そうやって笑いながらも、ピリついた空気を緩和させてしまう
ヒロインの不思議な空気に、リュウガもいつも惹かれてしまう。
トワ
「よかったです♪
ナギさんとハヤテさんも、すぐ仲直りして戻ってきますよ!
ヒロインさん、サンドイッチ食べていいですか?」
ヒロイン
「うん♪ トワくんの好きなツナと卵のサンドイッチあるよ!」
トワ
「覚えててくれたんですか?
うわっ感激です~~!!」
そう言ってトワはギュッとヒロインの手を握って、ブンブン振る。
シン
「……ここにも学習能力が低いヤツがいたな…」
リュウガ
「ふははっ! シリウスはバカばっかりだな?!
ナギが見てなくて良かったじゃねぇか?!」
シン
「…そういう船長もですよ?
酒に酔った勢いで抱きついたり、触ったりしないで下さいよ?
今日のナギは相当苛立ってるので…」
楽しそうにトワとヒロインのやり取りを見ているリュウガに
その言葉は届いてないようだった。
シンは「はぁ…」とタメ息をつきながら
大好物のクリームチーズとブルーベリージャムのサンドイッチを頬張った。
ソウシ
「ハヤテぇ…ほら、子供じゃないんだから
食堂戻って食べよう?」
ハヤテ
「………」
一向に口を開かないハヤテに、ソウシは「はぁ…」とタメ息をついた。
ハヤテの部屋に来たものの、ハヤテはベッドに座り
頑なに口を閉ざしふてくされている。
ソウシは腕組みをしながら、壁にもたれかかった。
ソウシ
「…ハヤテ…分かるよ?
ヒロインちゃん、ナギと付き合い出して
どんどん可愛くなるし、いい子だし…」
ハヤテ
「べ…別に…」
ソウシ
「あっ、やっとこっち見て話してくれた♪」
ハヤテ
「!」
ソウシの思惑にスッカリ乗ってしまったハヤテは
拗ねた表情を浮かべ顔を背けた。
ソウシ
「ふふっヒロインちゃんもきっと心配してるよ?」
ハヤテ
「……ソウシさん…」
ソウシ
「ん?」
自分でも分かるくらい情けない顔をしている。
それでも唯一気持ちを話せるソウシに恥を忍んで
吐き出した。
ハヤテ
「…オレ…自分でもよく分かんないんス…
この船に乗ってる女がヒロインだけだから
こんな気持ちになるのか
ヒロインだからそうなのか…
…オレ…なんか自分でも気持ちが分かんなくて…」
あまりにも素直なハヤテの言葉に一瞬驚いたが
すぐに優しい笑みを浮かべた。
ソウシ
「うん… そうだね。
でも考えてみて?
ヒロインちゃんが自分勝手で、何もしないような女の子だったら
ハヤテにそんな感情って湧く?」
ハヤテ
「それは…」
ソウシ
「ね?
この船にいるのがヒロインちゃんだから
ハヤテも私も…他の皆も好きになっちゃったんじゃないかな?」
壁にもたれかかっていたソウシは、ハヤテの傍に行き
不安そうな表情を浮かべているハヤテの頭をそっと撫でた。
ハヤテ
「…だから…まだ好きとか分かんないんスよ…
ナギ兄のモノって分かってるし、無理矢理何かしたいなんて思わないし…」
ソウシ
「そう?
ヒロインちゃんが自分だけを見てくれたらいいなぁって思った事はないの?」
ハヤテ
「え…」
ソウシは意地悪く問いかけた。
他人から見れば、ハヤテがヒロインを好きな事は分かり切った事だ。
ナギだって気づいているだろう。
気付いてないのは、ハヤテとヒロイン…
あとはトワくらいなもんだろう。
キョトンとした目を向けてくるハヤテを見つめていると
ギィ…とハヤテの部屋のドアが開いた。