コトダマ
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ヒロイン
「!! ナ、ナギ??」
ナギ
「何よそよそしくしてんだよ?」
ヒロイン
「それは…その…」
顔を赤くして、使える右手で布団を手繰り寄せるヒロイン。
隠された顔が想像出来て、ナギは「ふっ」と微笑んだ。
そして布団を掴むと、ヒロインを覗き込んだ。
ナギ
「何だ…? 照れてるのか?」
ヒロイン
「!」
さらに顔を赤くして、ヒロインは困った顔をする。
(ふっ…可愛いヤツ…)
ナギはそっとオデコに唇を当てた。
ナギ
「…お前は、今日スゲぇ頑張ったからな…
言ったろ?
オレの前では弱音吐いていいって…」
ヒロインの顔の横についた手で、そっと髪を撫でる。
ナギ
「…オレもちゃんとお前を感じたいから
一緒に寝ていいか?」
そう言うと、ギュッと目を瞑りながら
必死にコクコクと頷く。
ナギ
「ふっ…お前、言葉話せよ…
腕、痛かったらいつでも言えよ?
痛み止めも数時間しかもたねぇから、また飲まねぇとだし…」
ナギがベッドに横になりながらそう言うと
ヒロインは小さな声で「うん…」と答えた。
あれだけ怖い思いをしたのに、何とも思わないヤツはいないだろう。
ナギはヒロインの胸の内が分かっていた。
それなのに、自分を責め
上手く甘える事の出来ないヒロインを見て
自分と重なった。
ナギ自身も、身に覚えのある感情だ。
誰かの為と思ってした行動が、結局周りを巻き込み
その事で自分を責め、意固地になってしまう。
その感情がリアルに感じ取れ
あまりにも健気で、とても愛しく思えた。
それにこの可愛さ…。
初めてヒロインと一緒にベッドで寝た日を思い出させる。
体を硬くして、なるべく肌が触れ合わないように
壁際ギリギリに寝ている。
ナギは思わず吹き出してしまった。
ナギ
「ふっ…クククッ…何だよその避け方!?」
ヒロイン
「えっ!? さ、避けてなんかないよ!」
ナギ
「だったら…」
ヒロイン
「わっ!」
ナギ
「もっとこっちに来い」
体をグッと抱き寄せ、ナギとの距離が隙間なく埋まった。
ヒロイン
「あ…」
ナギの体温を感じ、ドキドキはまだ治まらないが安心する。
ナギの腕が首の下に入り、腕枕をされると
さらにナギの体に近づいた。
ヒロイン
「ん…」
ナギ
「痛むか?」
ヒロインは優しいナギの声にそっと目を閉じた。
ヒロイン
「んーん… はぁ…ナギいい匂い…」
スリッとナギの腕に頬を寄せる。
ナギ
「…何も菓子なんか作ってねぇぞ?」
ヒロイン
「えっ…」
ヒロインは目をパチクリさせながら
ナギを見つめた。
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「ふ…ふふっ!」
ナギ
「チッ…何だよ、泣いたり笑ったり忙しいやつだな」
急に笑い出すヒロインを、不機嫌に見つめる。
ヒロイン
「んふふっ、そうだね!
でもナギのいい匂いは、お菓子だけじゃなくて…」
そう言って、ゆっくり目を閉じ
また腕に顔を埋める。
ヒロイン
「優しい匂い… こうして近くにいないと分からなくて
私だけが知ってる安心する香り…」
深く呼吸をすると、満足そうに笑みを浮かべる。
それを見ていたナギは、あまりにも可愛くて
体の奥がジンと熱くなった。
ナギ
「…あんまりクンクンするな。
ふっ…犬みてぇだな」
ヒロイン
「ふふっ…犬でもいいも…ん…」
ナギ
「?」
急に会話が途切れ、ヒロインの顔を見ると
嬉しそうに笑いながら、小さな寝息を立てていた。
ナギ
「ふっ…」
ナギは様子を見る為に起こしていた頭を、コテッとベッドに沈めた。
しばらくヒロインの寝顔を眺め
ナギはボソッと呟いた。
ナギ
「…お前は頑張り過ぎだ…
……よく…頑張ったな…」
起こさないよう、そっと唇をオデコに押し当てると
ヒロインが「ふっ」と笑った。
起こしてしまったかと、見つめていると
目を閉じたまま、微笑んでいた。
ヒロイン
「…いーにおい…」
ナギ
「!」
ナギは一瞬目を見開いたが
すぐに微笑んだ。
ナギ
「…まだ言うか…」
安心しきった寝顔に、ナギもホッとする。
こうして腕の中にいる事。
それだけで幸せだ。
ナギはもう一度オデコにキスをすると、深く寝入った事を確認して
そっと医務室を出た。
============
翌朝。
ここ最近感じた事のない程、スッキリとした目覚めを迎えていた。
ヒロイン
「ん~…よく寝た…っっ!!!」
思い切り伸びをしてしまい、昨日痛めた腕が悲鳴を上げた。
ヒロイン
「っ…痛ったぁ~…うぅ~~~」
体を丸くしながら、腕の痛みが和らぐのを堪えていると
医務室のドアがノックされた。
ヒロイン
「…は、はい…」
何とか声を上げると、部屋に入って来たのはソウシだった。
ソウシ
「おは…… あっ、もしかして傷が痛む?」
心配そうに駆け寄るソウシに、ヒロインはゆっくり体を起こしながら首を振った。
ヒロイン
「ち、違うんです…
すっかり忘れて伸びしちゃって… もぅ平気です…」
ソウシ
「そっか、良かった。
顔色もいいみたいだね? …起きてご飯食べられそう?」
ヒロイン
「はい。 あの…ソウシさん本当にありがとうございました。
ちゃんとお礼も言えずに寝ちゃって…」
そう言うと、ソウシは柔らかく笑って
頭を撫でてきた。
ソウシ
「良かった。
ヒロインちゃんがちゃんとココに戻ってきてくれて…
昨日は、私も感情的になっちゃってごめんね?
ガーゼと包帯換えるから、腕出してくれる?」
ヒロイン
「あ…はい…」
ヒロインはシャツのボタンを外し
左の肩を出したが、腕を動かす事が出来ない。
消毒液の準備をしているソウシの背中に声を掛ける。
ヒロイン
「ソウシさん…あの…袖抜けないです…」
ソウシ
「あぁそうだよね!
いいよそのままにしておいて」
ソウシは医師だし、キャミソールを着ているのでそこまで意識する事なんてないが
何故か気恥ずかしく思う。
消毒セットを持ってソウシがこちらに来ると
優しく袖を抜いてくれた。
ヒロイン
「ありがとうございます…」
ソウシ
「いーえ、ヒロインちゃんはいい子だね?」
ヒロイン
「え?」
ソウシ
「傷の手当ってなると、この船のメンバーは全員嫌がるんだよ…
いい大人が痛いからとか言って、逃げ回るし…」
ヒロイン
「ふふっ想像つきます!」
楽しそうに笑うヒロインの声にソウシは安心した。
ソウシ
「本当に良かった。
もうあんな無茶な事しちゃダメだよ?
私でこれだけヒヤヒヤしたんだから
ナギなんて、おかしくなっちゃうよ…」
そう言って、丁寧にガーゼを替え
包帯を巻いてくれた。
ヒロイン
「…はい…すみませんでした…」
ソウシ
「動き回る時、ツライよね?
腕つってあげるね」
ソウシは三角巾でヒロインの腕を固定すると
痛み止めと炎症止めの薬を手渡した。
ソウシ
「ナギにゴハンもらってきな?
食べ終わったら、薬飲んでね?」
ヒロイン
「はい!
あ…ソウシさん、今何時ですか?」
ソウシ
「ん? えっとお昼過ぎたトコ」
ヒロイン
「えっ!? あ…私、そんなに寝ちゃったんですね…」
ソウシ
「ゆっくり眠れて良かったよ。
やっぱナギの効果って絶大だよね?」
ソウシは優しくニッコリ微笑む。
ヒロイン
「…そう…ですね…」
ソウシ
「ふふっ、明日は出航するみたいだから
皆バタバタしてるけど、気にしないでね?」
そう言ってソウシは部屋を出て行った。
ヒロインもその後を追うように、身なりを整えて
廊下に出た。
ソウシに腕をつってもらって良かった。
歩く振動も、意外に傷を刺激する。
ヒロインはナギの所在を探し、まずキッチンへと向かった。
しかし中には誰もいなかった。
明日出航と言っていたから、食材の在庫を調べているのだろうか?
そうなると、倉庫の方にいるのだろうか?
ヒロインはまた廊下を戻り、薄暗い階段を降りようとした時だった。
ジョルジュ
「ヒロインっ!」
ヒロイン
「! あれ?ジョルジュさん?」
廊下の向こう側から、不安そうな表情を浮かべたジョルジュが走ってきた。
ジョルジュ
「大丈夫か?!」
ヒロイン
「あっはい! ご心配お掛けして…」
そう言うと同時に、フワッとジョルジュに抱きしめられた。
ジョルジュ
「良かった… 本当に良かった…
あんな思いをさせてすまなかった」
思い切り抵抗しようかと思ったが、ジョルジュの声が切なくて
ヒロインはそのままで話した。
ヒロイン
「…お父さんはあの後どうなりましたか?」
ジョルジュ
「親父は…」
ジョルジュが話し出そうとした瞬間、どこからともなくシリウスのメンバーが現れ
あっという間に、ジョルジュとヒロインの周りを取り囲んだ。
ジョルジュ
「…オイオイ…シリウス海賊団ってのはどうなってんだ?
どっかでヒロインの行動を監視してんのか?」
ジョルジュは抱きしめた手を離し、両手を上げながら
ゆっくりとヒロインから離れた。
リュウガ
「おめぇみてぇなのが、ちょっかい出さねぇように
皆気を張ってるって事だ!」
ジョルジュ
「よく言うぜ…
似たようなもんだろ? ヒロインの寝顔見に
何度も医務室行ってたクセによ?」
リュウガ
「なっ!」
トワ
「えっ何ですかそれ?」
ハヤテ
「…怪しいと思ってたんだよなぁ…
何回も医務室の前でバッタリ会ったし…」
シン
「…そんな暇があるのに、航路の相談には乗れないという事か…」
皆の白い目を集め、リュウガはシドロモドロ言い訳をする。
リュウガ
「バ、バカ野郎! 仲間が怪我してるっつーのに
心配しない船長がどこにいる!
様子を見に行ってただけだっ!!」
すると、グッとヒロインの腰に手が回り
いい匂いのする胸に抱き寄せられた。