Magnolia
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ヒロインが大広間に現れたのは、それから20分程してからだった。
残ったメンバーに、大まかな説明を受けて
エドモンドと執事は、納得していないようだったが、一応納得してくれた。
執事
「しかし… そのような事、初めて聞きます」
エドモンド
「確かに信じられないが、だが私は目の前で見たのだぞ?」
疑いようもない事実に、認めるしかなかった。
リュウガ
「それにしても随分時間かかってんな?」
ナギ
「…今、ドクターに髪の毛してもらってます」
ハヤテ
「はぁ? ガキのクセに…」
シン
「…お前にだけは言われたくないだろうな…」
トワ
「小さくても女の子ですもんね!
どんなかなぁ~ またスッゴク可愛いんだろうな♪」
チビヒロインを見たメンバーの反応を想像しただけで
また胸がざわつく。
どうしようもない感情に、ナギが「はぁ…」と大きなタメ息をついた時だった。
ソウシ
「お待たせ~!」
陽気なソウシの声が大広間に響き、一緒に小さな足音が
弾むように入ってきた。
リュウガ
「おぉ!? なーんだヒロイン!
お前、随分可愛くしてもらったな?」
リュウガの足元にしがみ付くと、チビヒロインは息をするのを忘れてしまったのではないかと思うくらい
一気に話し出した。
チビヒロイン
「あのねあのね ヒロインはね、おはなのくにのおひめさまなの!
それでね きょうはおうじさまのぶとうかいによばれてね?
キラキラのおうじさまとね? こうやってね? ……はぁ…」
やはり一気に話すのは無理だったようだ。
息を飲みながら聞いていたリュウガも吹き出してしまった。
リュウガ
「ぶはっ!! クククッちゃんと聞いてるから息くらいしろっ!」
そう言ってリュウガはヒロインを抱き上げた。
チビヒロイン
「はあてにぃちゃっ みてみて!」
チビヒロインはリュウガの腕の中で両手を広げてハヤテにドレスを見せた。
ハヤテ
「あぁ、似合ってるぞ!
お前は何でも似合うなっ!」
そう言って頭を撫でようと手を伸ばすハヤテ。
しかしその手をシンが掴んだ。
ハヤテ
「はぁ? 何してんだよ!?」
シン
「バカ猿。 ドクターが作った髪が崩れるだろ?
ヒロインだって女なんだから、そのくらいのデリカシーを持って接しろ」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるシン。
ハヤテは「チッ」と舌打ちをすると、シンの手を払い退けた。
シン
「ヒロイン、随分可愛くしてもらったな?」
チビヒロイン
「うん♡ しんにぃちゃだーいすき♡」
そう言って、リュウガの腕から身を乗り出し
シンの元へと乗り換えた。
リュウガ
「なんだよ… シンのテクニックは恐ろしいな…
子供にも通用するのかよ?」
大人のヒロインにだったら、絶対見せないようなユルユルの笑顔を見せて
シンは嬉しそうにチビヒロインと話している。
ソウシ
「ふふっ、あのシンもあんなだもんね?」
ナギ
「………」
チビヒロインはシンにもリュウガに話したような事を一生懸命に話している。
そして気づいたかのように、ハッとして
シンに「おりる」と言った。
シンは少し残念そうに、チビヒロインを床に降ろした。
するとチビヒロインは、ナギの前に立った。
チビヒロイン
「なぎにぃちゃ!
そうしにぃちゃがかわいくしてくれたの!
ヒロインフワフワ?」
周りのみんなにも聞いていたのに、改めて自分にも聞いてくれるなんて…
よっぽどこの恰好が嬉しかったのかと思うと
ナギは「ふっ」と笑ってしまった。
ナギ
「ふっ、あぁ本物のお姫様みたいだ。
王子様のエドと踊りたいんだろ?」
チビヒロイン
「……うん…」
そう言って、チラッとエドモンドを見ると
チビヒロインはサッとナギの足の後ろに隠れた。
ナギ
「? どうした?」
チビヒロイン
「………」
ナギが見下ろすと、チビヒロインは更にギュッと足にしがみ付いた。
その様子を見ていたエドモンドは、優しい笑みを浮かべてチビヒロインの傍にやってきた。
エドモンド
「やぁヒロイン、初めまして」
チビヒロイン
「………」
エドモンド
「可愛いお姫様がいると聞いてやってきたのだが…
ここには私と踊ってくれる姫はいないのか?」
大げさな芝居のような動作をするエドモンド。
チビヒロインはその言葉に、少しだけナギの足から顔を出した。
エドモンドは先ほどから感じていた想いが、一気に膨れ上がった。
正直、子供はあまり好きではないが
こんなにも可愛らしい子を目の前にして、そんな事は言っていられない。
今までこんなに可愛い子を見た事はない。
それが、自分の恋しているヒロインだなんて
それ自体も驚きだ。
エドモンドはどうしてもチビヒロインに気に入られたいと思い
片膝をついて右手を差し出した。
エドモンド
「私と一緒に踊ってくれないか?」
それはまるで絵本の王子様が見せるようなポーズだった。
するとチビヒロインは、嬉しそうな笑みを浮かべて
小さな手をそっとエドモンドの手に重ねた。
エドモンド
「!! 光栄ですヒロイン姫」
エドモンドが深くお辞儀をすると、チビヒロインはニッコリ笑って
エドモンドに抱きついた。
エドモンド
「!」
チビヒロイン
「おうじさま♡」
首にギュッと抱きついてくるチビヒロイン。
あまりの可愛さに、エドモンドはそのまま抱き上げた。
エドモンド
「こんなに可愛いお姫様は初めて会ったな!
そうだ、今夜晩餐会がある。
みんなぜひ出席してくれ!
ヒロイン、その時私と踊ってくれるか?」
チビヒロインは、周りに花が咲いたように
パァ~と顔を輝かせ、ナギを見た。
ナギ
「!」
その行動にエドモンドは笑ってしまった。
エドモンド
「ヒロインは偉いな?
子供になってもちゃんとナギの事を想っているんだな?」
チビヒロイン
「?」
何の事だか分からないようで、チビヒロインはキョトンとした表情を浮かべた。
大人のヒロインとは違う、屈託のない可愛さに
相当やられてしまったエドモンド。
見かねた執事が声を掛けた。
執事
「エドモンド様、晩餐会にお招きするのは構いませんが
ご令嬢様もいらっしゃるのですよ?
とてもヒロイン様のお相手をされている場合ではないかと…」
心配そうに様子を伺う執事。
エドモンドは不機嫌に、チビヒロインを抱えたまま振り返った。
エドモンド
「構わん。 その辺りはきちんとする。
…それぐらいいいだろう…」
その言葉で全てを察したのか、執事は深くお辞儀をして部屋を去ろうとした。
しかし驚いた事に、チビヒロインが声を掛けた。
チビヒロイン
「おひげのおじいさん!」
エドモンド&執事
「「!?」」
『おひげのおじいさん』とは自分の事だろうかと
執事はゆっくりと振り返った。
そしてチビヒロインは、エドモンドの腕から降りて
執事の元へ駆け寄った。
チビヒロイン
「おじいさんは まほうつかい?」
執事
「…は?」
背伸びをして見上げてくるチビヒロインの質問に面喰らい
執事は自分でも驚くような、間の抜けた声を出していた。
エドモンド
「ふっ! ヒロイン、この人は執事の…」
チビヒロイン
「えっ!? ひつじさん??」
黒目がちの大きな目がキラキラと輝き出す。
シン
「ヒロイン、執事だ。 し、つ、じ」
腕組みをしたシンが、冷静にそう言うも
チビヒロインの耳には全く届いていないようだ。
チビヒロイン
「…まほうつかいの ひつじさん♡」
こんな期待された目を向けられても、どうする事も出来ない執事は
オロオロしてしまった。
すると、ナギはそっとチビヒロインを抱き上げ
聞いた。
ナギ
「どうして魔法使いなんだ?」
チビヒロインは、嬉しそうにナギの首に手を回すと
キャッキャッと弾む声で話した。
チビヒロイン
「だって このおようふくも あたまのギザギザもよういしてくれたよ?
それに おいしいおかしもくれたし…」
その言葉を聞いてようやく理解が出来た。
エドモンドに頼まれ、全てのモノを用意したこの執事が
チビヒロインには、まるで魔法でも使ったかのように思ったのだろう。
こんなドレスもクラウンも、『シリウス号』に乗っていたら用意できるはずもない。
執事
「それはそれは光栄です。
ヒロイン姫様が喜んで頂けて何よりです」
執事は話を合わせるように、優しく微笑んだ。
ナギ
「…なんて言うんだ?」
ナギが促すと、チビヒロインは恥ずかしそうに言った。
チビヒロイン
「ひつじのおじいさん ありがとうございます!」
そして言い切ると、クルッとナギの肩に顔を埋め
ギュッとしがみついてきた。
ナギ
「ふっ、何照れてんだ?」
執事
「ふふっ、こちらこそありがとうございます。
では私は晩餐会の用意がありますので、失礼いたします」
執事が部屋を出て行くと、エドモンドは呆れたように笑った。
エドモンド
「ふっ… ナギ、随分いい父親だな?」
リュウガ
「だろ? オレもいつもそう思ってんだよ」
ソウシ
「ヒロインちゃんが小さくなると、ナギって父性が湧くんだね」
シン
「フン、どうせ嫉妬心むき出しで
過保護になるのが目に見えているがな?」
ナギ
「チッ…」
言いたい事を言っているエドモンドとメンバー。
思い切り不機嫌になったナギだったが、抱いているチビヒロインがブニッと両方の頬をつねってきた。
ナギ
「……あにしてる?」
チビヒロイン
「…なぎにぃちゃ…おこってる…
にこってしてないと、おかおがそうなっちゃうよ?」
ナギ
「!」
チビヒロインの言葉に、その場にいた全員が大笑いした。
ハヤテ
「あははっ! さっすがヒロイン!
子供んなってもよく分かってんなぁ~」
トワ
「ははっ ナギさん!
もう不機嫌顔できませんね? クスクス」
ナギは何とも決まり悪く、「チッ」と舌打ちをすると
チビヒロインを床に降ろした。