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以前この城を訪れた時は、全員が別々の部屋だったが
今回はナギとヒロインはひとつの部屋で用意されていた。
ヒロイン
「ナギと一緒なんて嬉しい♪
こんなに広い部屋でひとりなんて寂しいもん」
嬉しそうに部屋の中を歩き回るヒロイン。
ナギはどうも腑に落ちない気持ちでいた。
エドモンドがわざわざヒロインと一緒の部屋にしてくるなんて…。
いつもだったら、決して同室になんてさせない。
ヒロイン
「? ナギどうしたの?」
ナギ
「…いや…」
ヒロイン
「………」
何か考えているナギ。
ヒロインにはすぐに分かった。
ベッドに腰掛けているナギの傍まで行き、
ポスッと横に座った。
ナギ
「?」
ヒロイン
「…何かあった? エドさんのトコ来るって決まってから
ずっと不機嫌だね…?」
そう言われ、ナギは何だか情けなくなった。
(…そんなに表情出てたか?)
大きなタメ息をついて項垂れた。
最近…というか、ヒロインと付き合い出してから
感情が表に出るようになってきている。
今までだったら、こんなに読み取られることもなかったのに…。
更に黙り込んでしまったナギを見て、ヒロインはナギの手を握った。
ヒロイン
「…ナギ、エドさんの事で怒ってるの?」
そう言うと、ナギの肩がピクリと反応した。
そしてヒロインは、何だか素直な反応のナギが可愛くて
「ふふっ」と笑みがこぼれた。
ヒロイン
「私… 私にも少しは分かるよ?
その…エドさんが好意を持ってくれてる事…
でも私はナギの事しか考えてないし、そもそもエドさんお見合いというか…
結婚するし…」
自分でこんな自惚れたような事を口にするのは
何とも恥ずかしい事だが
ナギの機嫌が直ればいいと、思い切って言う事にした。
ヒロイン
「だから、せっかくお城に来れたんだし
しかも2人で一緒の部屋だし!
いつもと違う雰囲気だから、何だかドキドキしちゃうけど
一緒に楽しもうね♡」
少し顔を赤くしながら、ニッコリ笑った。
ナギはその笑顔を見て、胸がキュンと高鳴った。
そしてあまりにも可愛くて、握られた手を強く握り
そのまま胸に引き寄せた。
ヒロイン
「ん? ふふっナギ嬉しかった?」
ナギのこういう不意の行動は、大抵嬉しかった時だと
最近ようやく分かるようになってきた。
ナギ
「チッ… お前、どこまでオレを分かり切ってんだよ…」
頭の上から響くナギの声が、照れ隠しのようにぶっきらぼうだった。
ヒロイン
「クスッ、もう結構分かっちゃったよ?
ナギが結構心配性で、スゴク優しい人って事!」
ナギ
「!」
もうヒロインには何も隠し事が出来ないのかもしれない。
ヒロイン
「あとはぁ…意外と子供が好きだったり、口では面倒って言いながら
スゴク面倒見が良かったり… それから…」
ナギ
「…黙れ」
もっともっとナギの事を言えるのに、ナギはそれ以上言わせないよう
胸に抱いたヒロインの手首を掴み、そのままベッドへと押し倒した。
ヒロイン
「あっ!」
上から覆いかぶさるように見つめるナギ。
ナギ
「…お前…オレの反応面白がってるだろ?」
怒った声をしているが、照れた表情は隠せない。
ヒロイン
「ふふっ、私結構ナギの事見てるでしょ?
…だから、他の誰かを見てる余裕なんてないよ?
ナギしか見てないから…」
ナギ
「ヒロイン…」
どうしてこの子はいつもこうなんだ。
欲しい言葉をいつだってくれる。
正直、エドモンドの国に来る事自体、不愉快だった。
エドモンドがヒロインにちょっかいを出すのではないかと思ったからだ。
そしてここへ来る前も、シンと船長室で何かあったようだし…
酒の匂いをプンプンさせて戻ってきたのには驚いた。
シリウス号に乗っている間は、メンバーが出すちょっかいを気にして
船を降りてもエドモンドの事を気にして…。
よくよく考えれば、くだらない嫉妬心を沸かせて
勝手に不機嫌になって… 幼稚な自分に呆れてしまう。
ヒロインはこんなにも近くにいるというのに…。
ナギは優しくヒロインのオデコに唇を押し当てた。
ナギ
「…ごめん…な?」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「…なんか…余裕なくて…」
素直にそう言ってくるナギに、ヒロインは嬉しくなった。
ヒロイン
「んーん、全然だよ?
それにそうやってナギが思ってる事を話してくれるの嬉しい」
ナギ
「…ったく…お前は…」
どんな自分でも受け入れてくれるヒロイン。
他のメンバーの方が、よっぽどヒロインの事を喜ばせたり、甘やかしたりするのは上手いと思う。
それなのに、ヒロインは自分を選んでくれ
その上、今のままを受け入れてくれている。
もう長い間一緒にいるが、それでも何度も思ってしまう。
ヒロインと一緒に居れて良かったと…。
ナギはそのまま柔らかな唇にそっとキスをした。
ヒロイン
「ん…」
本当は着替えをして、メンバーとエドモンドの待つ大広間へと行かなくてはいけないのに
今は一生懸命気持ちを伝えてくれるナギのキスから離れたくない。
ヒロイン
「…ンッ…ナギ…」
ナギ
「…はぁ…チュ…ヒロイン…」
優しく触れていた唇が、パクッと唇を割り
自分の体温とは違う柔らかな舌が入り込んできた。
ナギとキスするなんて、もう数えきれないくらいなのに
それでも体は甘く痺れ、思考は完全に埋め尽くされていく。
ヒロインはナギにされるがまま、熱い息遣いと
絡み合う唇と舌の音が響く部屋で
何度も何度も気持ちを確かめ合った。
ヒロイン
「ん…はぁ…ナギ…今日スゴイ…はぁ…」
ナギ
「はぁ…お前のせいだ…」
そう言ってナギは体を起こした。
ヒロイン
「…私…?」
まだナギに溶かされてしまった思考が戻らずに
ぼんやりとした視線を送りながら
ゆっくり起き上がったヒロイン。
するとナギは少し顔を赤くして、照れ臭そうに言った。
ナギ
「お前がいちいち可愛い事言うからだろ?
オラ、さっさと着替えるぞ!
チッ…シャツとかタイとか堅苦しいの好きじゃねぇのに…」
話をすり替えるようにナギは、用意された洋服をハンガーから外した。
ヒロインはベッドに腰掛けたまま、そのナギを微笑ましく見つめた。
言葉数も、愛情表現も少ないナギ。
だが2人の時は、いつだってこうして甘やかしてくれる。
それを知ってしまうと、ナギの冷たく感じる言葉なんて
照れ隠しにしか聞こえなくなってしまった。
ナギの事を知る度にどんどん好きになっていく。
そんなくすぐったい感情を抱え、ヒロインも用意されたドレスに着替える事にした。
・・・・・・・・・・・・・・・
案の定、大広間には既に全員が揃っていた。
ヒロイン
「お、遅くなりました!」
ドアを開ける前に、ナギに何度も確認してもらった。
顔がニヤケてないかとか、変に赤くなってないかとか…
いつも顔に出てしまうので、ヒロインは気を引き締めて部屋に入った。
リュウガ
「…お前らいやに時間掛かったな?」
早速突っ込まれたと、ヒロインは言い訳を口にしようとしたが
その言葉はすぐに消されてしまった。
シン
「聞かなくても分かるでしょ?
あれだけヤキモチ妬いてたナギが、こんなに上機嫌で現れたんですよ?」
ソウシ
「ふふっホントだね?
あんなに眉間にシワ寄せてたのに、何だかホンワカした空気になってるし?」
ハヤテ
「最近ヒロインより、ナギ兄の方が顔に出てる事多いもんな?」
トワ
「そうですね!
これはもうヒロインさんがナギさんをご機嫌にしたってバレバレ…っ痛ぁ~」
ゴツンという音が大広間に響いた。
その行動が、全てを認めてしまう事になるのは分かっていたが
それでもナギは我慢が出来なかった。
トワ
「何で僕だけなんですかぁ~!!
皆さん言っていたのにぃ…」
頭を押さえて、涙を浮かべているトワ。
ヒロインは慌てて間に入った。
ヒロイン
「ちょっナギ! 大丈夫トワくん?」
トワ
「うぅ…はい…ナギさんのゲンコツ、いつもハンパない…」
ヒロインはそっとトワの頭を撫でた。
するとナギは不機嫌にヒロインの腕を掴み
ドカッと空いてる席に座った。
リュウガ
「くははっ! あのナギが信じられねぇな?!
まぁいい事じゃねぇか!
トワ、それも見習いの宿命と思って精進しろ」
トワ
「えぇ!? コレ見習いとか関係あるんですか?」
またしても不機嫌になってしまったナギ。
ヒロインは不安げにナギをチラリと見上げた。
すると空気を変えるかのように、エドモンドがヒロインの手を取って話し出した。
エドモンド
「……ヒロイン、やはりその色、スゴク似合うな!」
ヒロイン
「! あ、ありがとうございます!
いつも素敵なお洋服用意して下さって…」
エドモンドはニコニコしながらヒロインを見つめた。
リュウガ
「そういえば、エド
お前見合いするんだろ?」
エドモンド
「…あぁ、明日… 相手は昨日から城にいるが…」
ハヤテ
「?! 昨日から来てるのに、明日初めて会うのか?」
エドモンド
「そうだ… まぁ、今夜の晩餐会で会うと思うが
ちゃんと話すのは明日だ。」
ハヤテ
「スッゲェ美人らしいじゃん!
早く会いてぇとか思わないのか?」
ハヤテの野暮な質問に、ヒロインとトワ以外のメンバーは押し黙ってしまった。
会って確信したが、エドモンドは今回のお見合いを受け
そして結婚するつもりだろう。
ヒロインの事を諦めるつもりでいたのに、こうして訪れてしまった再開に
エドモンドはどれだけ心が揺さぶられただろう。
その迷いを払う為に、自分とヒロインと同室にさせた事も
そして、どこか無心でいようとする気力のないエドモンドも…
全部がヒロインを忘れる為に違いない。
食事が用意されるまで、執事の淹れた紅茶でしばらく談笑していた。
ナギはエドモンドの寂しげな笑顔を見ては、胸が痛み
いつも以上に無口になった。
もし自分がエドモンドの立場だったら、ヒロインを諦める事が出来るのだろうか?
そもそも海賊のヒロインが、国王の妻になる事は到底有り得ない話だ。
それでも、この子に出会ってしまった以上
忘れるなんて無理に決まっている…。
メンバーが楽しそうに話をしていても、ナギは輪に入れなかった。
そして自分と同じように、隣にいるヒロインも
何故か一言も話していない事に気が付いた。