in my room
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あれだけの余裕をかましてリュウガの部屋を出たヒロインは
締めたドアにもたれ掛かり、ズルズルと床に座り込んだ。
ヒロイン
「あ…危なかった…」
リュウガの冗談には慣れているが、今日のはそんな感じじゃなかった…。
(せっかくいい話をしてくれたと思ったのに!)
そう考えるとムカムカしてきて、勢いよく立ち上がると
ドスドスと階段を降りて行った。
本当にリュウガの考えている事は分からない。
尊敬出来る素晴らしい人にも思えるし
それがいやらしい事をしたいが為の作戦なのか…
それとも無意識にそうなのか…。
どちらにしても、リュウガの前では毅然とした態度を取ろうと
ヒロインは「うん!」と力強く頷いた。
階段の最後の段を降りると、廊下の向こう側からナギが歩いてくるのが見えた。
ヒロイン
「ナギ! お風呂出た?」
首にタオルを掛け、Tシャツとスウェットのパンツ姿で現れたナギ。
しっとりと濡れて、いつもより下がった髪のせいで
印象が変わり、少し幼く見える。
ナギ
「あぁ… 船長のトコ居たのか?」
ヒロイン
「あ…う、うん…」
さっきまでのリュウガのやり取りなんて知られるはずもないのに
ナギに聞かれ、胸がドキッと跳ねた。
ナギ
「……そうか…
もう寝れるか? 疲れただろ…」
ヒロイン
「う、うん…ナギも疲れたよね…」
廊下を一緒に歩きながら部屋へと向かう。
ヒロイン
「ねぇナギ…さっき船長から聞いたんだけど…
今回の船の改装…私の事を思ってだったって…」
その言葉に、横を歩くナギがピクリと反応した。
ヒロイン
「…ナギは何を考えてくれたの?」
ナギを見上げると、何だか恥ずかしそうに
わざと前だけを見つめてる。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「………」
問い掛けても、ナギは知らないふりを押し通す。
ヒロインはそれでも負けずに、トトトッと駆け出し
ナギの前に立ちはだかった。
ヒロイン
「ナ~ギ?」
ようやく足を止め、目が合うと
ナギはヒロインの手を取って、部屋へ押し込んだ。
ヒロイン
「わっ! ちょっナギ!!」
ドアが閉まると、ナギはドカッとベッドに座り込んだ。
ヒロイン
「………」
もしかして怒らせてしまったのだろうか…。
あんな事があった後だから当然だ。
不謹慎だった。
夕飯前の風呂場での一件があってから、すっかり気持ちが緩んでいたが
こんな風に普通に話し掛けてはいけなかったのかもしれない…。
ヒロインは申し訳なくなり、黙ってドアの前に立っていた。
ナギ
「……部屋…」
ヒロイン
「!? えっ?」
突然呟いたナギの一言を聞き逃したヒロインは
パッと顔を上げてナギを見つめた。
するとナギは、顔を少し赤くしながら言った。
ナギ
「…お前の部屋…作ってやりたかったんだ…」
ヒロイン
「部屋?」
聞き返すと、ナギはさらに顔を赤くし
口元を右手で覆った。
ナギ
「…ファジーの部屋行った時、お前目ぇ輝かせてたから…
この船じゃあんなもんないし、オレと一緒の部屋じゃ狭いし…
お前の好きなもんで埋まった部屋を考えてた…」
ヒロイン
「…ナギ…」
おかしいと思ってた。
いつもだったら、こういう事になかなか乗り気にならないナギが
ここまで熱中していたのは、自分の部屋の為だったのかと思うと
顔がニヤケてしまう。
ナギ
「…オレと一緒だと、好きなもんも置けねぇし
ベッドも狭いだろ? それにオレが朝早い時もわざわざ起きる必要なくなるだろ?」
そんな事まで考えてくれていたなんて…
ナギの優しさが何とも嬉しくて
目の前で照れているナギを見つめた。
その姿が可愛くて、胸がキュンと締め付けられた。
ヒロインはナギの前までゆっくり歩くと
ベッドに座るナギの横に腰掛けた。
ナギ
「………何笑ってんだよ…」
ヒロイン
「ふふふっだって嬉しいんだもん♪」
ナギ
「あ?」
ヒロインはコテンとナギの肩に頭を乗せた。
ヒロイン
「ナギがそんな事考えてくれてるなんて知らなかった…
ありがとう」
そう言うと、いつものぶっきらぼうな言い方で
「別に」と答える。
表情は見えないが、ちょっと拗ねたような顔をしているんじゃないかと思うと
胸がくすぐったくなる。
ヒロイン
「…でも…お部屋はいらないよ?」
ナギ
「?」
ヒロインはナギの肩から顔を上げると
ニッコリ微笑み、見つめた。
ヒロイン
「…だって、もし私のお部屋が出来ちゃったら
ナギとこうして当たり前のように出来なくなっちゃう…」
ナギ
「ヒロイン…」
ヒロイン
「好きなものいっぱいのお部屋も嬉しいけど
大好きなナギと一緒の部屋の方が
もっともっと嬉しいよ?」
好きな女からそんな事を言われたら、もう止まらなくなってしまう。
ナギはグッとヒロインの腰を抱き、向かい合わせになるよう
膝の上に座らせた。
ヒロイン
「! ナ、ナギ?」
ナギ
「…覚えてるだろ? 約束…」
ヒロイン
「お、覚えてるけど…んっ!」
いきなり唇を塞がれ、風呂場での続きのようなキスをするナギ。
ヒロインは少し抵抗するそぶりを見せたが、すぐに思考がナギで埋め尽くされ
ナギの肩に手を掛けた。
ナギは深いキスをしながらも、右手で腰を支え
左手でシャツのボタンを外していく。
ヒロイン
「んっ…はぁ…ナギ…待っ…」
ナギ
「チュッ…はぁ…無理…」
ナギのキスに溺れそうになる。
もう2人を遮るものは何もない。
最後のボタンに手が掛かり外されると、ナギは細いヒロインの肩からシャツを脱がせた。
「チュッ」と音を立て、唇が離れると
ナギはヒロインの胸を見た。
ヒロイン
「ん…ナギ…?」
思い切り色っぽい表情で見つめられ、ナギの体はゾクゾクと震えた。
色の白い肌に浮かぶ、赤い痣。
一目で「オレのモノ」だと分かる。
征服感にも似たような感情が湧き、何だか嬉しくなった。
ナギ
「…ヒロイン…していいか?」
こんな状態で聞いてくるなんて、意地悪にも程がある。
ヒロインは少し怒ったように、口を尖らせた。
ヒロイン
「…こんなにしておいてズルイ…」
すると、ナギは「ふっ」と柔らかく笑い
ヒロインの体を抱くと、ポスッとベッドへ寝かせた。
何度も見ている姿なのに、やっぱり興奮する。
今からされる事に、恥じらいながら待つヒロイン。
その表情が堪らない。
ナギはもう一度「チュッ」と唇に軽いキスをすると
そのまま首筋へとキスをずらしていった。
ヒロイン
「ん…ぁ…」
すぐに甘い声が漏れ始め、甘い甘い余韻へと
2人は沈んでいった。
・・・・・・・・・・・・
しばらくして、静寂を取り戻した部屋。
ナギとヒロインは心地良く、互いの温度を感じながら
目を閉じていた。
不意にナギがサラッと髪を梳かすように撫でてきた。
ヒロイン
「…ん…」
そっと目を開け、ナギを見つめた。
月明かりでぼんやりと明るい部屋。
ナギの目がしっかりと、自分を見つめているのが分かった。
ヒロイン
「どうしたの?」
向かい合わせで寝ている2人。
ナギは表情も変えずに、話し出した。
ナギ
「…お前…オレには何もなかったな…」
ヒロイン
「え?」
何の事かと、キョトンとしていると
ナギは少し不機嫌に言った。
ナギ
「…街に買い物行った時、オレ以外のメンバーの買い物はしてたのに…」
それを言われ、ヒロインは目を大きく見開いた。
ナギ
「…何だよ…?」
ヒロイン
「…ナギ…ヤキモチ妬いてるの?」
ナギ
「あ? …別に…」
照れ臭そうに視線を逸らす。
ヒロインは意地悪く体を起こし、逸らした視線の先に顔を持っていった。
ヒロイン
「ふふー、ヤキモチ妬いてる~!」
まだ裸のままの2人。
フニッとヒロインの柔らかな胸の感触が、腕に当たった。
ヒロイン
「…ふふっ、ナギにもちゃんと買ってきたよ?」
そのままヒロインの腕を掴み、抱きしめようかと腕を伸ばしたが
ヒロインはスルリと体を返し
ベッドサイドにあるキャビネットへと手を伸ばした。
ナギ
「…何だよそれ…?」
振り返ったヒロインの手には中くらいのボトルが数本握られていた。
ヒロイン
「コレはボディクリーム!」
ナギ
「…オレに使えってのか?」
ヒロイン
「違うよ! コレは私が使うの!!」
シーツに包まりアヒル座りをしているヒロイン。
ナギも体を起こし、頭をガシガシ掻きながらヒロインを見つめた。
ナギ
「お前が使うんじゃオレのもんじゃねぇだろ?」
そう言うとヒロインは得意げに言った。
ヒロイン
「コレね? フルーツの香りがするクリームでね?
ほらオレンジに、マンゴーでしょ?
あとイチゴにレモン、あとキウイ!」
一生懸命に香りを説明してくれるが
ナギは何を意味して言っているのか分からない。
ナギ
「…美味そうだな…」
そう言うとヒロインは嬉しそうに笑った。
ヒロイン
「ふふっ、でしょ?
…だから、フルーツの匂いがしたら私の事思い出してね?」
ナギ
「!」
ヒロイン
「…何かに夢中になってても、思い出してね?」
ナギ
「ヒロイン…」
今回ヒロインの為ではあったが、かなり放置をしてしまい
挙句危険な目にまで合わせてしまった。
きっとこのクリームを買う時は、ヒロインの為の改装とは知らなかっただろうから
ヒロインなりのアピールのつもりだったのだろう。
ナギはこのクリームを選んでいるヒロインの姿を思い浮かべ
「ふっ」と微笑んだ。
少し拗ねたような表情で、自分にしっかり分からせようと
必死に選んだに違いない。
ナギはヒロインの手を取り、グッと抱き寄せた。
ナギ
「あぁ…、もう放ったりしねぇよ。
…美味そうだから、食ってもいいのか?」
その言葉に胸がドキリとなるヒロイン。
さっきあれだけ深く愛し合ったというのに…。
ヒロインは顔を上げて言った。
ヒロイン
「ダーメ! だってまだクリームつけてないもん!」
するとナギはイタズラな目をして覗き込んできた。
ナギ
「…じゃあ何だよこの甘い匂いは…」
ヒロイン
「! …それは…」
ナギ
「ふっ… 言えねぇならもう黙れ」
そう言ってナギに唇を塞がれる。
もう放っておけないほどの、甘い甘い香りに
ナギは夢中でヒロインを抱いた。
誰にも邪魔されない、狭い2人だけのこの部屋で…。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒