in my room
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食堂に戻ると、ナギは全員の視線を浴びた。
ナギ
「?」
リュウガ
「随分遅かったな?」
ニヤニヤとした表情を浮かべている。
さっきまでのヒロインとの行為を
見抜かれてしまっただろうか?
ナギ
「…ヒロインの様子見に行っていたので…」
シン
「フン、それだけじゃないだろ?」
ナギ
「…どういう意味だ」
ナギはあくまでもシラを切ろうと、無表情で答えた。
トワ
「…だって…ナギさん洋服濡れてますよ?」
ナギ
「! …チッ…」
いつものナギにしては、間の抜けた行動だ。
きっとそんな事も考えずに、ヒロインの事を抱きしめたのだろうと思うと
メンバー全員、羨ましく思えた。
本当だったら、自分だってその立場に立ってみたい。
そんな事を考えていると、ナギの背後にある食堂のドアが開き
ヒョコッとヒロインが顔を出した。
ヒロイン
「あの…お風呂出ました…」
湯上りのヒロインを見て、皆が反応した。
ふんわりと香る石鹸の匂い。
濡れた髪に、しっとりとした肌。
全てがいやらしく見えてしまう。
ヒロイン
「?」
ヒロインはみんなの視線を感じ、どうしたのかとキョトン顔をした。
ナギ
「チッ… もうメシ出来るから、お前もさっさと席につけ」
ヒロイン
「えっ…あ…うん…」
ヒロインと入れ替わりにナギが食堂のドアへと振り返った。
ポンッと頭にナギの手が乗り、そのままナギは厨房へ行く。
ヒロインは視線の集まる中、食堂に入り
まず謝らなければと、ギュッと手を握った。
ヒロイン
「あ、あの!
今回はご迷惑掛けて…」
そう言うと、その言葉を遮るようにリュウガが話し出した。
リュウガ
「いやぁ~お前の説教は響いたなぁ」
シン
「あの状況でオレ達にあれだけの事を言える度胸は褒めてやろう」
ヒロイン
「え…?」
てっきり怒られるかと思っていたヒロインは俯いていた顔を上げた。
ハヤテ
「…この肉結構旨いな… お前も食えよ!」
ヒロイン
「!」
ハヤテが食べ物を分けてくれるなんて…
何が起きているか分からず、ヒロインは茫然と立ち尽くした。
トワ
「僕もありがとうございます!
覚えててくれて嬉しいです♪」
ヒロイン
「え?」
ソウシ
「私もありがとう。
…あれ? ヒロインちゃん、口の傷開いちゃったの?」
ヒロイン
「あ…」
そう言われ、ハッと唇に手を添えた。
さっきナギからされたキスで開いてしまった傷口。
ヒロインは一瞬で、ナギからもらった甘い余韻が蘇り
顔がボッと赤くなった。
メンバー
「「!!?」」
言い逃れようのないその反応に、メンバー全員が吹きだした。
ソウシ
「ふっふふふ、しょうがないよね?
クスクス…ちょっと医務室から消毒液と絆創膏取ってくるね?」
ヒロイン
「あ…すみません…」
この状況と雰囲気に全くついていけず、ヒロインはソウシを見送っていると
大皿を持ったナギが食堂へと戻ってきた。
ナギ
「まだ座ってなかったのか?
オラ、早く席につけ」
ヒロイン
「あ…うん」
トワ
「ヒロインさん、ここどうぞ!」
トワがにこやかな笑顔でそう呼びかける。
ヒロイン
「うん」
本当はちゃんと謝りたかったのに
メンバー皆が、そんな事しなくてもいいとでも言うように
ヒロインの暗い気持ちを流してくれる。
何だか納得できない空気に包まれながらも、
ソウシが戻るといつものように賑やかなシリウス海賊団の夕食が始まり
いつの間にかヒロインも、そんな違和感がなくなっていた。
・・・・・・・・・・・・
夕食が終わると、ヒロインはリュウガの部屋に向かった。
皆が気にしないようにと、流してくれていたが
やはりそれだけでは済まない気がすると思い
ヒロインはリュウガにきちんと謝ろうと思っていた。
ヒロイン
「…船長、入ってもいいですか?」
リュウガ
「ヒロインか? いいぞ」
リュウガの返事はすぐに帰ってきた。
ドアを開けると、リュウガは音楽をかけながら
優雅にロッキンチェアに座り、あれだけ飲んでいたにもかかわらず
まだ酒をあおっていた。
ヒロイン
「…また飲んでますね?」
そう言うと、リュウガは「ふっ」と微笑んだ。
リュウガ
「当たり前だろ?
船は無事だったし、お前も帰ってきた。
こんなめでたい日に酒を飲まないヤツがいるか!」
リュウガらしい理屈に、ヒロインも笑いながら「そうですね」と答えた。
リュウガ
「で? どうした?」
ヒロイン
「あ…その…今日の事…ちゃんと謝りたくて…」
リュウガ
「なんだよ、まだそんな事気にしてのか?」
ギッと音を立てて、揺らしていたロッキンチェアをリュウガが止めた。
ヒロイン
「はい… 皆さん優しいので、さっきも何も言わないでくれたけど…
私には船の事、全然分からないのに咄嗟とはいえ
あんな言い方してすみませんでした」
ヒロインは深く頭を下げた。
すると、コンッという音が響き
顔を上げると、リュウガが手に持っていたグラスを机に置いた。
リュウガ
「ホントおめぇは真面目だな…」
リュウガは安心させるような、ニカッとした笑顔を浮かべる。
リュウガ
「まぁ作戦の為ではあったが、ロッシュの言いなりになってるのは
正直オレも不愉快だったし?
それに、お前の言葉。
あれは結構グッときたぞ? 『海賊でしょ!』ってあぁも言われると、真っ向勝負するしかねぇって燃えたしな?クククッ」
ヒロイン
「ホ、ホントにすみませんでした!!!」
思い出しただけで、顔が赤面する。
海の事も、海賊の事も知らない自分が
なんて図々しい言い方をしたのだろうと、後悔する。
リュウガ
「気にすんなっての!
確かにロイの野郎に挑発されたトコもあるが、みんなそれだけで改装に夢中になってたんじゃねぇぞ?」
ヒロイン
「え?」
パッと視線をリュウガと合わすと、リュウガは優しい目をしていた。
リュウガ
「皆見てくれとかの為にしてたんじゃねぇっての!」
ヒロイン
「ど…いう事…ですか?」
思いもよらない言葉に、ヒロインは言葉が詰まった。
リュウガ
「ん?
リカー号に乗った時、お前スゴイスゴイって連発してたろ?」
確かにあの時、あまりにも変わっていたリカー号を目の当たりにして
全てのモノにそう言っていた。
リュウガ
「皆お前がリカー号褒めてるのが悔しかったんだ。
だったらもっといいのにしてやろうってな?」
ヒロイン
「えっ!?」
ヒロインは驚いた。
まさかそんな事があるはずない。
ナギだったら分かるが、他のメンバーがそん風に思うはずがない。
リュウガ
「男ってのは単純なんだよ」
ヒロイン
「そんなはずないです!
だって皆さん私の反応なんて…」
すると、リュウガは背もたれに寄り掛かっていた体を起こし
両膝に肘を載せ、前屈みに見つめてきた。
リュウガ
「ふっ…お前、そろそろ自覚しろ」
ヒロイン
「な、何をですか?」
リュウガ
「…お前は皆に大切に想われてるって事だ」
リュウガは優しく笑い掛ける。
ヒロイン
「そ、そんな事ないですよ!
ソウシさんとトワくんだったら少し分かりますけど…
シンさんとハヤテさんは絶対ないです!!」
あの2人の日頃の態度を見ていれば分かる。
大切に想われているどころか、都合のいい手下くらいにしか思われていない。
リュウガ
「ふははっそうかぁ?
ま、だから気にすんな!
お前の為を思っての改装だったが、逆にお前を振り回しちまったな…」
ヒロイン
「違います! それは私が…」
いつまで経っても折れないヒロインに、リュウガは苦笑いをしながら立ち上がった。
リュウガ
「女は素直に受け入れる方が可愛いぞ?
…それに、結構オレは嬉しかったしな?」
ヒロイン
「え…?」
リュウガを見つめていると、そっと怪我をした頬に手を添えられた。
リュウガ
「…この船、大切に想ってくれて…
オレもコイツとはちょっとじゃ語れねぇくらいの思い出がある。
豪華にするのも悪くねぇが、オレも今のシリウス号が好きだ」
リュウガの優しい眼差しに、ヒロインは胸がドキッとした。
「好きだ」という言葉は、「シリウス号」に対しての言葉なのに
この状況だと、まるで自分に言われているようで錯覚してしまう。
ヒロイン
「っ! そ、そうですね!
私も好きです。 シリウス号!」
「シリウス号」を強調して言ったが
リュウガは何だか熱を帯びた目で優しく微笑むと「そうか」と答えた。
(こ、これって…)
話が終わったのに、リュウガは離れるどころか
さらに近づき、唇が触れそうな距離にまでなった。
リュウガ
「…今日のお前、何か色っぽいな…?」
ヒロイン
「ちょ…せんちょっ近い…」
ふいっと顔を背けたが、頬に添えた手が
今度はアゴを掴み、正面を向かす。
ヒロインは後退ったが、ドンッとドアにぶつかり
もう逃げ場はこれ以上なかった。
ヒロイン
「大きい声…出しますよ?」
リュウガ
「ふっ…出す前に塞いでやるよ」
ヒロイン
「!?」
お酒の香りがこんなに近くで感じるなんて…
ヒロインは強くリュウガを見つめた。
リュウガ
「っ!」
リュウガは殺気を感じ、パッとヒロインから離れた。
リュウガ
「…お前…」
危ない所だった。
もし離れなければ、リュウガの股間は
ヒロインの膝に潰されていただろう。
想像しただけで、縮み上がりそうだ。
ヒロイン
「私もいつまでも前のままじゃないですよ?」
その強い瞳を見て、リュウガは不適に笑った。
リュウガ
「そうだったな…
お前は頭に銃突きつけられてもビビんねぇ女だったな?」
ヒロイン
「そうですよ?
次からは遠慮なく入れますからね?」
リュウガ
「!!?
お前そんな事したら、オレのナニが潰れちまうだろ!」
慌てて股間を守るリュウガ。
ヒロイン
「…だったら、もうしない事ですね。
失礼します」
そう言って、やけに色っぽい目をしてヒロインは部屋を出て行った。
リュウガ
「チッ…段々返しが上手くなってきやがって…」
最近なかなかヒロインとスキンシップの取れないリュウガは
またしても悶々と耐えるしかなかった。