in my room
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静寂を取り戻したのは、それからしばらく経ってからだった。
船中を確認し、何も獲られず触られていない事を知ると
メンバーは食堂に集まった。
ハヤテ
「あ~~ハラ減ったぁ…
ナギ兄メシまだぁ?」
ナギ
「ちょっと待ってろ」
シン
「…こんな時間からメシなんてな…」
時刻は間もなく次の日を迎えようとしている。
ロッシュとの一件があり、夕飯どころではなかった。
ソウシ
「そうだよ、ナギも大変だから
簡単なのでいいよ?」
トワ
「あっ!そうだ!
ヒロインさんから買い物カゴの中に食べ物入ってるって言われてました!」
ヒロインは今、風呂に入っていた。
ハヤテ
「それを早く言えよ!」
そう言ってトワから買い物カゴを奪い取ると、
テーブルに中身を全て出した。
すると…
ソウシ
「…これって…」
テーブルにはヒロインが買い出した惣菜の他に
メンバーそれぞれに買ったと思われる品が転がった。
トワ
「あっ! コレ僕のシャツのボタンにそっくり!
この前取れちゃって、替えがなかったんです…」
ソウシ
「コレは私かな?
薬の研究の時ハメてるゴム手袋…
もう箱に残り少なくなったって、この前話したんだった…」
シン
「それしたらコレはオレか…?」
そう言って、品の良いデザインの缶に入った紅茶の葉を手に取った。
ハヤテ
「あぁん? オレは?
オレには何もねぇじゃん!!」
すると、さっきまでキッチンにいたナギがいつの間にか
輪に加わっていた。
ナギ
「…お前にはコレだろ?」
そう言って、ヒロインの買ってきた惣菜の中に
骨付きの肉が入った袋があった。
ハヤテ
「おぉぉ!! さっすがヒロイン!!」
そう言って、ハヤテはすぐに袋から肉を取り出し
かぶりついた。
ソウシ
「…何だかヒロインちゃんに悪い事しちゃったね…
自分たちの事でいっぱいになってたのに、ヒロインちゃんは私たちの事考えて…」
ソウシが申し訳なさそうに呟く。
トワ
「そう言えば、船内の掃除も洗濯物も全部終わってましたね…」
綺麗に整っている厨房や食堂を見渡した。
リュウガ
「…そうだな…
まぁオレ達のした事っつたら、アイツの為どころか逆に怒らせちまった事だな?」
リュウガはニカッと笑って見せた。
ナギ以外のメンバーも、「ふっ」と微笑んだ。
ロッシュに捕まりながらも、あんな風に怒鳴ってきたのは後にも先にもヒロインだけだろう。
あぁいう子だから、今ここにいるのだと納得した。
しかしナギはそれだけでは済まなかった。
和やかな空気に包まれた食堂を出ると、ヒロインのいる風呂場へと向かった。
コンコン…
ヒロイン
「…はい…」
ゆっくりと風呂に浸かり、ようやく落ち着いたヒロイン。
ちょうど浴室から脱衣所に出て来た所だった。
全裸の状態だった為、返事をしながらバスタオルを掴んだ。
ナギ
「…入るぞ…」
ヒロイン
「えっ…は、入るってちょっ!」
こちらの返事も待たずにナギがドアを開けて入ってきた。
ヒロインは慌ててバスタオルを体に巻き付けた。
少し怯えたような目をして見つめるヒロイン。
まだ髪も濡れ、水滴が滴っていた。
ヒロイン
「…ナギ…どうしたの…?
長湯だった…?」
無言で立つナギ。
あれからナギと話していないが、やはり怒っているのだろうか…。
すると、スッとナギの手が伸び
ロッシュに叩かれた頬を指がなぞる。
ナギ
「…痛むか?」
口の端が切れ、傷がまだ乾いていない。
少し青紫に腫れていた。
ヒロイン
「ん…触ると少しだけ…
…心配させて…ごめんね…?」
ナギの目が切なく見つめてくる。
さっきまで縛られていた手首も赤い痕が残り
足首も青紫の痕が残っている。
ナギは胸が苦しくなった。
どうしてヒロインが居なくなったことに気づいてやれなかったのだろう。
ヒロイン
「ナギ…?」
ヒロインはそっと頬に触れるナギの手に右手を重ねた。
ナギ
「…悪かった…お前の事、ちゃんと見てなくて…」
ヒロイン
「ナギは悪くないよ!
…私こそ、何も言わないで居なくなってごめんなさい…」
風呂上りで蒸気したヒロインの体がタオルからこぼれ
ナギは思わずギュッと抱きしめた。
ヒロイン
「! ナ、ナギ!
洋服濡れちゃうよ!」
ナギ
「…いい、そんな事…」
ナギは何度もロッシュに銃を突きつけられているあのシーンが頭をよぎり
こうして一緒にいれることに安堵した。
ナギ
「…ヒロイン…」
ナギの声が今にも泣き出してしまいそうで
ヒロインは力強くナギに寄り添った。
ヒロイン
「ごめんね? もう危ない事しない…
ナギの傍にいるね?」
ナギのこんな姿を他の海賊が見たら何て言うだろう。
あのナギがこんなにも弱々しく、彼女を抱きしめているなんて
誰も信じるはずがない。
だが、それほどナギは心配をしてくれ
大切に想ってくれているという事だ。
ナギ
「………」
ナギは無言のまま、しばらく存在を確かめるように
抱きしめてくれた。
言葉は無くても分かる。
ナギが何を考えて、何を思っているのか…。
ヒロインもそっと目を閉じ、この人を悲しませる事だけはしないようにしようと
ナギの胸に顔を埋めた。
ナギ
「…体冷えちゃうな…」
ヒロイン
「あ…んーん、嬉しかったよ?」
少しだけ離された腕の中から顔を上げ、ナギを見上げると
優しい笑顔がそこにあった。
ナギ
「ふっ…あぁ、オレも…
風呂上りのお前、色っぽくていいな…」
ヒロイン
「!」
抱きしめられててスッカリ忘れていたが、今とんでもない恰好をしている事に気付いたヒロイン。
ヒロイン
「あっ! ダ、ダメだよ!」
ナギの顔が近づき、チュッと首筋にキスを落とす。
ナギ
「…こんな姿見て、黙ってられるかよ…」
ヒロイン
「やっ…ん…それはナギが入ってきたからでしょっ!」
そう言って巻き付けたタオルを押さえていない手でナギの胸をグッと押し返した。
するとナギは顔を上げ、ヒロインと目を合わした。
もう何度もナギとはこの距離で見つめ合った事があるのに
ヒロインの胸はドキドキと高鳴った。
ナギ
「…そうだ… 早くお前を感じたかったから…」
ヒロイン
「え?」
その言葉に驚いていると、胸を押し返していた手も
タオルを押さえていた手も掴まれ、グッと浴室に入るドアに押し付けられた。
その拍子に体に巻き付けていたバスタオルがパサッと床に落ちた。
ヒロイン
「ナギっいや…んっ!」
唇に柔らかな感触が走った。
「いや」と言いながら、ナギの与えてくれる感触に
どんどん溺れていく。
抵抗していた両手の力がゆっくりと抜ける。
ナギはそっと唇の角度を変え、舌で唇を割った。
ヒロイン
「ん…っ…」
ナギの舌が、絡みついてくる。
溶けてしまいそうなナギの刺激に、ボンヤリとしていた。
すると、ピリッと口の端の傷口が痛み
ヒロインは思わず唇を離した。
ナギ
「…悪い…傷口開いたか?」
ヒロイン
「んーん…少し痛かっただけ…
そろそろ行かないと皆が心配しちゃう…」
体はとても納得してないくらい熱くなっていた。
ナギの目が名残惜しそうに見つめる。
ヒロイン
「…あとで…またしてくれる?」
ナギ
「!」
ヒロインはこんな姿で、しかもナギが欲しくて堪らなくなっている自分が恥ずかしくなり
顔を赤くしながら、そう言った。
その顔が可愛くて、ナギは「ふっ」と微笑んだ。
ナギ
「あぁ、約束な」
ヒロイン
「え…あっ! ナ、ナギ…んぅ…」
急にナギが胸に顔を沈め、唇で赤い痣を作った。
ナギ
「ふっ、なんつー顔してんだよ?
先戻ってるから、早く来いよ?」
ヒロイン
「う…ん」
ナギが脱衣所から居なくなると、ヒロインは甘い痛みを放つ痣を鏡で確認した。
ヒロイン
「やくそく…」
あんな事があった後かだからなのか、ナギの事が愛しくて堪らない。
いつまで経っても消えない唇の感触。
ヒロインはこの気持ちをメンバーに隠せるだろうかと
また胸がドキドキと鳴り出した。