in my room
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ヒロイン
「わぁ……」
船内は予想以上に凄かった。
まるで貴族が乗るような豪華な作りで
新しい木の香りに包まれ、所々に石像や調度品
それに値の張る骨董品も飾られている。
ロイ
「どうだスゴイだろ!?」
ナギは不機嫌に腕組みをして見ていた。
確かにスゴイが、全く好みではない造りに
なんの魅力も感じなかった。
ナギ
「……別に…」
ロイ
「な、何?!
ふん、負け惜しみか?
まぁコレを見たらバンダナも黙ってないだろう。
ついて来い!」
ロイはナギの無反応に負けじと言い張る。
仕方なくついていくと、そこは調理場だった。
ナギ
「!!!!」
ナギの反応を見て、ロイはニヤリと笑った。
ロイ
「ふふん、どうだ?」
ヒロイン
「ス、スゴイ!! 何ですかコレ!!」
リカー号の調理場は大してシリウス号と変わらなかったはずだが
コンロやシンク、それに保冷庫まで全てが新調され
調理台に至っては、大理石で出来ているようだ。
ヒロイン
「…コレ、全部新品ですか?」
吊る下がっているフライパンや鍋、
それに食器までもが、ピカピカに輝いていた。
ロイ
「あぁそうだとも! オレ様ほどの器になると
ここまでの物を使わないと気が済まないからな」
あまりにもスゴ過ぎて、ヒロインはキョロキョロしていたが
ナギは呆然と立ち尽くしていた。
あそこにある鍋は、ナギが狙っていたものだし
これだけ整った調理場で料理をする事が出来たら
どんなに素晴らしいだろう。
オーブンも最新型で、あれだけ大きければ何だって作れそうだ。
ヒロイン
「あっ! ナギ見て!!
この包丁!!!」
ヒロインが調理台を指差すと、そこにはナイフスタンドが置いてあり
10本近い包丁が並んでいた。
どれも一級品で、一本でも驚く程の値段がする。
ナギも欲しくて何度も店先で眺めているが
なかなか手の出せない品だ。
ロイはナギの驚いた表情を確認すると
自慢げに微笑んだ。
ロイ
「いやぁ、見つかってしまったか!
包丁も使う人を選ぶとは、この事だな!
ふふふっこの切れ味を知ったら、他の包丁は二度と持つ気にはなれない」
ロイの顔が何とも憎らしく、ナギは「チッ」と舌打ちをした。
陽気なテンションのロイとは裏腹に、怒りのオーラに包まれているナギ。
この険悪なムードをどうしたものかと、ヒロインがオロオロしていると
救いの手が差し伸べられた。
ファジー
「ヒロイン~! アンタも来てたのかい!?
アタイの部屋に来てみなよ!!」
ヒロイン
「ファジーさん!
ね、ナギも行こ?」
そう言ってヒロインが腕に手を掛けた。
ファジーの部屋なんて、全く興味がないが
このままロイと居た所で、イライラが増すだけだ。
ナギはムスッとしたまま、一緒に歩き出した。
ヒロイン
「ファジーさん! リカー号スゴイですね!」
ファジー
「そうだろ? アタイもこの変わりように驚いたよ!」
ナギ
「…しばらく姿を見せなかったのは、この為だったのか?」
黙り込んでいたナギが、ようやく口を開いた。
ファジー
「そうさ! さぁ中に入っとくれ」
こんなに豪華に改装するには、それだけの資金が必要になる。
何故こんなにもロイは金があったのだろう。
ナギはその疑問を問い質そうとしたが、すぐにファジーの部屋へと着いてしまった。
ナギは廊下で待つつもりで、壁に背中をつけて寄りかかった。
すると、部屋の中から歓喜の声が上がった。
ヒロイン
「カ、カワイイ~~♡♡♡」
ファジー
「ふふふっ、アタイも気に入ってんだ」
ヒロイン
「前のお部屋もスゴく素敵でしたけど、今回もスゴイです!
わっ! アンティークなドレッサー素敵~♡」
ファジーの部屋は、全てが乙女一色に染まり、
ヒラヒラのレースや、置いてある小物もチェストも
女の子だったら憧れてしまう品物だ。
ヒロイン
「? コレなんですか?」
天蓋つきのベッドのカーテン部分に、宝石のようなものがたくさんついていた。
ファジー
「あぁ、コレかい?」
そう言うと、ファジーは窓の遮光カーテンを引き
部屋の中を暗くした。
そしてベッドサイドの大きめのランプに火を灯した。
するとランプの明かりに、宝石が照らされ
天井にキラキラとカラフルで柔らかな模様が映し出された。
ヒロイン
「わぁ~スゴ~イ!!
きれいですね!!」
ファジー
「宝石も本物だよ?
アタイのお気に入りさっ」
確かに夢のように素敵な部屋だ。
ファジー
「アンタも女なんだから、1人の部屋が欲しいんじゃないのかい?」
ヒロイン
「私は…」
すると急に廊下が騒がしくなり、視線をそちらに向けると
そこにはシリウスのメンバーが揃っていた。
ソウシ
「わっ! スゴイね!!
ファジーの部屋、素敵にしてもらったね」
ファジー
「女だったら、誰もが憧れるような部屋にしてもらったんだよ!
シン様どうです? 今夜一緒に過ごしませんか?」
シン
「こんな悪趣味な部屋で過ごすなんて、拷問としか言いようがない…」
ロイ
「ん? という事は、部屋が違えばファジーと過ごすという事か?」
ロイがそう尋ねると、ファジーは興奮気味に乗り出した。
ファジー
「そうなのかい!?
シン様、だったら…」
シン
「…バカらしくて何も言う気になれん…」
呆れたように重いタメ息をつくシン。
しかしヒロインは、夢のようなファジーの部屋にうっとりとしていた。
リュウガ
「ヒロインは随分熱心に見てんな?」
ファジーの部屋のドアにもたれながら、ヒロインを見つめた。
ヒロイン
「はい♡ だってこのお部屋カワイ過ぎます!!」
憧れのようなウットリした表情を見せるが
リュウガにはどこが可愛いのかなんて分かるはずもなかった。
ハヤテ
「それはそうとよぉ、何でこんなに豪華にできんだよ?」
シン
「同感だな。
何か盗みでもしたんじゃないだろうな?」
ロイ
「バ、バカを言うんじゃない!
オレ様は悪に立ち向かい、善に生きる男だぞ?
盗みなんて…」
リュウガ
「…盗みなんてなんだよ?」
リュウガの視線を感じ、ロイは言葉が詰まった。
何度となくシリウス号を乗っ取ろうとしたし、リュウガの酒を盗んだ事もある。
それに今目の前にいるヒロインの事だって、シリウスから奪おうとさえ思っている。
ロイ
「ん、ゴホン!
コレだけ改装できたのはオレ様のお陰だ!」
シリウスメンバー
「「はぁ!?」」
両手を腰に当てて、威張り散らしているロイを
シリウスメンバーは冷めた目で見つめた。
ソウシ
「ロイ…そういう事言っていると、信頼されなくなるよ?」
シン
「フン、既にそんなものは無いがな…」
ロイ
「なっ何を言う!
本当だぞ!! ある港に寄ったら、腕のある船大工に声を掛けられたんだ。
リカーのロイの船を改装したいと! しかも無償で!」
シリウスメンバー
「「無償!!?」」
リュウガ
「お前、何か騙されているんじゃねぇか?」
ロイ
「ふっ何とでも言え!
あんなオンボロ船に乗っている連中に何を言われても痛くない」
その言葉でシリウスメンバーのスイッチがオンになった。
リュウガ
「どこがオンボロ船だって!?」
ヒロイン
「せ、船長!」
ロイの胸ぐらを掴むリュウガ。
それでもロイは憎らしいほど、平然とかわす。
ロイ
「リカー号と比べたら、オンボロに違いないだろ?
錆びついた砲台に、穴だらけの床板…
あぁ、あんな船に乗る気がしれない。」
ハヤテ
「ぁんだとぉ!!!」
ハヤテが身を乗り出したのを、ソウシが止めた。
ロイ
「さぁヒロイン! リカー号で一緒に航海をしよう!!」
ヒロイン
「……えっと…」
ソウシ
「…そういう事… だったらシリウスに戻りましょう。
船長、私たちのやるべき事は決まりましたね」
リュウガ
「あぁそうだな!
シン、針路変更だ!!!」
************
そうして今。
選りすぐりの船大工がいるという島に着こうとしている。
先述した通り、シリウスの男たちは
完全にロイに挑発され、シリウス号も負けない装備にしようとしているようだ。
ヒロインには全くその気持ちが分からない。
確かにリカー号は素敵だったけど、シリウス号だって
十分な装備をしているし、何より年季の入ったこの感じがいい味をだしている。
昨日、リカー号から戻るなり
男たちは船内のあらゆる場所を補修したり
島についてから、改築改装する部分を話し合っている。
その為、その波についていけないヒロインは
蚊帳の外で
ナギにすら相手にされていない。
ヒロイン
「…はぁ…男の人ってホント分かんない…」
今のままでも十分なのに。。。
船長室に集まるよう言われたが、きっと皆その事で頭いっぱいで
改装に向けての案を出し合っていくのだろうと思うと気が重い。
一番最後に船に乗り込んで、しかも船の事なんて何も知らないが
リカー号に並ぶ必要が本当にあるのだろうか…。
ヒロインは疑問を抱いたまま、リュウガや他のメンバーの待つ船長室のドアをノックした。