in my room
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トワ
「あぁ!!!
み、見て下さい!!」
指さす先を見て、メンバーはハッと目を見開いた。
ハヤテ
「何だよあれ!?
リカー号の砲台が二機増えてねぇ!?」
シン
「マストの木も新しいな…」
その言葉にロイはニヤリと笑みを浮かべた。
ロイ
「気づいてしまったか!
いやぁ~自慢しているようで嫌だったんだが…」
ソウシ
「…船、改築したの?」
ロイ
「改築…そうだな。
まさにこのオレ様に相応しい仕様にしたまでだ」
リュウガ
「何!?」
ロイの勝ち誇った笑顔を見て、ほろ酔いだったリュウガは
パチッと目を開け、勢いよくリカー号に乗り込んで行った。
トワ
「あぁ!船長!!」
トワもリュウガを追ってリカー号に乗り移ってしまった。
ソウシ
「もぉ…しょうがないなぁ…」
そう言ったが、ソウシも満更でもない様子で
リカー号に乗り込んだ。
ロイ
「ふっ、驚くがいい。」
そう言ってロイはヒロインを連れて船に戻ろうとしたが
ナギがそうはさせなかった。
ナギ
「ヒロインは後から行く。
オレと一緒にシリウスに残る。
シン、ハヤテ、見たいなら先に行って来い」
そう言って、ロイからヒロインを引き離し
ナギとヒロインはシリウス号に残った。
ハヤテ
「別に興味ねぇけど…
そこまで言うなら行ってやってもいい」
シン
「どうせチンケなものだろうが、見てやるか」
皮肉めいた言葉を発するが、皆とても気になっているのがよく分かる。
ロイ
「ヒロイン! オレ様はリカー号で待っているぞ!
すぐに来てくれよ!」
ヒロイン
「あ…は、はい…」
一緒に行けない事が残念そうに、悲しい表情を浮かべてリカー号に戻るロイ。
ナギ
「チッ…」
ヒロイン
「…あ…ナギも行きたかったよね…?
ごめんね?」
そう言うとナギは無表情で見下ろしてきた。
ヒロイン
「?」
ナギ
「…お前と居る方がいい…」
ヒロイン
「えっ!?」
聞き間違いかと思う程、ナギの口から出た言葉は意外なものだった。
しかしナギはすぐに甲板を歩き出した。
ナギ
「昼飯の用意、途中だろ。
早く戻るぞ」
ヒロイン
「あ、うん!」
そう言ってナギの背中を追い掛けた。
…しかし、その背中…何だがいつもと様子が変だ。
もしや…と思い、ヒロインはナギを追い越して前に回り込んだ。
ナギ
「!」
ヒロイン
「やっぱり! ふふっ」
ナギの顔を見て、思わず微笑んでしまった。
ナギはさっき言った言葉に照れて、顔が赤くなっていた。
そんなになるんだったら、無理に言わなくてもいいのにと
ヒロインは今にも口から出てしまいそうだった言葉をグッと飲み込んだ。
こんなに可愛いナギの表情を見られるのは
彼女である特権だ。
嬉しくニコニコと笑っていると…
ナギ
「…お前…昼飯抜きにするぞ…」
ヒロイン
「!!? えっ!?」
ナギ
「…お前笑ったろ…」
ヒロイン
「わ、笑ってないよ!
嬉しくて笑ったの! ナギが可愛なって思ったら…あっ…!」
ナギ
「…昼飯なし決定な…」
ヒロイン
「違うのっ! ね、ナギ!!」
ナギはこうやって『可愛い』と言われるのが何とも恥ずかしく、照れ臭かった。
そんな風に自分の事を見るのはヒロインが初めてだし
そう言われても上手く返せるほど、口は達者ではない。
しかし目の前で、必死に言い訳をしているヒロインは
それ以上に可愛い。
少し意地悪をしたくなるくらい、こうして自分の料理を大切に想ってくれるのは気分がいい。
ヒロイン
「ねぇナギ! 可愛いって言ったのは…」
ナギ
「…もういい…」
ヒロイン
「!?」
本当に怒ってしまったのかと、ヒロインは胸が痛くなった。
ナギは『可愛い』と言われる事を嫌がっているのは知っていた。
でもいつものように笑って終わると思っていたのに…。
すると、ナギはヒロインの腰を抱き
グッと自分の体に引き寄せた。
ナギ
「…お前が慌ててる可愛い顔見れたから許してやる」
ヒロイン
「!」
ナギ
「ふっ…ロイのお陰だな…」
甲板から船内へと降りる階段で、こんな風にイチャイチャ出来るのは
今この船に誰も乗っていないからだ。
ヒロインもニッコリ微笑んでナギを見上げた。
すると優しい笑みを浮かべているナギの顔が近づく。
本当にロイが来てくれたお陰だと、一段上の段にいるナギに合わせるように
背伸びをして唇を重ねた。
ナギ
「…みんなが戻ってくる前に、早くメシ作らねぇと…」
唇が離れると、いつものナギの調子に戻り
それがおかしくてヒロインはクスクス笑った。
ヒロイン
「ふふっうん! そうだね」
それからナギとヒロインは真面目に昼食の用意をした。
ただ2人きりの船内という事もあり、目が合えばどちらとなく微笑んだり
いつも以上にくっついても、ナギが嫌がったりはしない。
こういう時間は滅多に取れないので、ヒロインはウキウキしながら食堂で皿を並べていた。
すると開け放ったドアから、トワが通り過ぎた背中を見つけた。
ヒロイン
「トワくん?」
明らかにこの場所に自分たちが居る事が分かっていたにも関わらず
素通りしたトワを不思議に思った。
手に持っていたフォークの束をテーブルに置き
ヒロインは廊下へと出た。
ヒロイン
「お帰り… ? トワくん?」
トワ
「あっ…た、ただいまです…」
何だか元気のないトワが心配になり
ヒロインは傍に寄った。
ヒロイン
「どうかした?
みんなはまだリカー号?」
トワ
「…はい…
あっナギさんとヒロインさんも行ってきてください。
船長が呼んできてくれって…」
ナギも廊下に顔を出した。
ナギ
「…ヒロイン、行くぞ」
ヒロイン
「あっ…うん…
トワくん行ってくるね?」
トワ
「…はい…」
トワの事は心配だが、ヒロインはナギを追い掛けた。
甲板に出ると、ナギに話掛けた。
ヒロイン
「ねぇナギ、トワくんどうしたのかな…
元気なかったよね?」
ナギは背を向けたまま、歩き続ける。
ナギ
「……大体分かるがな…」
ヒロイン
「?」
何がなんだか分からないが、ナギとヒロインはリカー号へと掛かる板に差し掛かった。
ロイ
「ヒロイン~~~!!
待っていたぞ! さぁ早くオレ様の胸に飛び込んで来…ぐはっ」
先に板を渡っていたナギから、鳩尾に痛烈な蹴りをお見舞いされた。
ナギ
「…悪い、板から降りようとしたら足が当たった…」
ロイ
「うぅ…わざとだ…絶対わざとだぁぁ!!」
オナカを押さえながら、うずくまるロイ。
ヒロインが板を渡りきると、ナギが抱き上げて
甲板へと降ろしてくれた。
ヒロイン
「ありがとう」
ロイ
「ぐっ…ヒロイン…よ、ようこそリカー号へ!」
あんなにもダメージを受けているにも関わらず
ロイは満面の笑みを浮かべヒロインを迎え入れた。
ヒロイン
「ロイ船長…大丈夫ですか?」
ロイ
「あぁ、ヒロインと熱い口付けをしたら
こんな痛さ何ともなくなる」
そう言って抱きついてこようとするロイの額に、ナギが腕を伸ばして立ち往生させた。
ロイ
「むっ…離せバンダナ!
オレ様とヒロインの仲を邪魔するな!」
ナギ
「誰と誰の仲だ…
くだらねぇ事してないで、さっさと案内しろ」
ナギが冷たくそう言うと、隣に立っていたヒロインが「わぁ~」と声を上げた。
ヒロイン
「スゴイ!! 床板全部張り替えたんですか?
あっ帆も新しくなってる~!!」
今は丸めてある帆だが、明らかに色が違っている。
他にもデッキの手すりや、船室の外装もキレイになっている。
目をキラキラさせているヒロインに、ロイは満足そうな笑みを浮かべる。
ロイ
「中はもっとスゴイぞ!」
そう言って、懲りずにヒロインの手を掴み船内へと入っていく。
ナギ
「……はぁ…」
ナギは大きなタメ息をつきながら
ロイの後についていった。