in my room
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こんなに天気がいいのはいつぶりだろう。
雲ひとつない快晴。
空が真っ青で、見上げると何とも清々しく
舳先で思いっきり深呼吸をしたヒロイン。
ヒロイン
「ん~~っはぁ~ 気持ちい~~!
あっ!トワくん!
スッゴイ気持ちいーよ!」
近くを通ったトワに声を掛ける。
トワ
「あっすみません!
僕、防腐剤塗るの頼まれてて…」
ハヤテ
「おいトワ!! さっさと持って来いよ!」
トワ
「はい!
ごめんなさいヒロインさん」
トワはバタバタと甲板を走っていく。
ヒロイン
「あっ!シンさん!
見てください! あの島って…」
シン
「話しかけるな」
見上げたデッキにシンの姿を見つけ、声を掛けたが
シンは一切こちらを見ず、何やら測量をしているようだ。
ヒロインは、ぷぅっと頬を膨らませ
船内に歩いていった。
すると通路の所で、ソウシと出会った。
ヒロイン
「あっ! ソウシさん!」
ソウシ
「えっと…ここもでしょ…」
ヒロイン
「ソウシさん!!」
二回目の呼びかけで、ようやく気付いたソウシ。
だが、いつものようには接してはくれない。
ソウシ
「あぁヒロインちゃん。
ごめんね? 今ちょっと計算してて…
後でも平気?」
ヒロイン
「…はい…」
ソウシは返事を返す前から、視線は手元のメモ帳に移っていて
そのまま船内のあらゆる部分を眺めて、ブツブツ言いながらどこかへ行ってしまった。
ヒロインは「はぁ…」とタメ息をつきながら
通路を歩き、ナギのいる厨房のドアを開けた。
ヒロイン
「…ナギ…入ってもいい?」
ヒョコッとドアから顔だけを出し、様子を伺った。
ナギ
「…なんだ?」
ヒロイン
「………」
ナギもみんなと一緒で、厨房の中で
寸法を計ったり、何やら紙に書き込んでいた。
またしても大きなタメ息をついて、ヒロインは厨房のドアを閉めた。
そして腕組みをしながら、不機嫌に歩いた。
シリウスメンバーがこんなにも躍起になっているのは
昨日の『あれ』が原因だろう…。
**********
昨日。
次の目的地となる港を目指していたシリウス一行。
船の上はいつもと変わらない光景だった。
リュウガは部屋で昼間から酒を飲み、ソウシは医務室で薬品の研究。
シンは航海室で舵を取り、ハヤテとトワは甲板掃除。
そしてナギとヒロインは、昼食の準備をしているところだった。
すると急に甲板が賑やかになり、何事かとナギは厨房から飛び出して行った。
ヒロイン
「あっ!私も行く!」
ナギ
「敵襲かもしれねぇから、そこで待ってろ!」
こういう時、いつもヒロインは置いて行かれてしまう。
仕方のない事なのだが…。
廊下で佇んでいると、医務室のドアが開きソウシが部屋から出てきた。
ソウシ
「何事?」
ヒロイン
「あ…分からないんですけど…
でも甲板で…」
それを言うと、ソウシの顔が急に引き締まり
ソウシもまた「隠れててね」とヒロインの頭をポンッと撫でていった。
ナギが甲板に出ると、見慣れた光景に「はぁ…」とタメ息がこぼれた。
ハヤテ
「何勝手に乗り込んできてんだよ!」
ロイ
「いちいちうるさいぞ?
ところでヒロインは?」
リカー号がシリウス号の横に並び、勝手に渡し板を掛け
ロイが乗り込んできていた。
また面倒を起こしにきたかと、ナギはうんざりした。
シン
「おいバカザル! お前は本当に使えないな!
船に乗り込まれてんじゃねぇ!」
二階のデッキから、シンが冷たく見下ろしている。
ハヤテ
「はぁ!?
ふざけんな! お前舵取ってんだから、リカー号が来たくらい分かるだろ?!
だったらさっさと知らせろよ!」
シン
「…お前が船が近づく音も分からないバカだったと知っていたらそうした」
ハヤテ
「あぁ!?
テメーさっさとこっち降りてこい!!」
トワ
「シンさんもハヤテさんも落ち着いてください!」
ロイ
「お…おいお前たち…」
自分そっちのけで、言い争うを2人にロイはオタオタしている。
すると腕組みをしたナギの背後からソウシが現れた。
ソウシ
「ナギ? 何があった…
……はぁ…こういう事…」
ソウシは目の前に広がる光景を見て、「またか…」と大きなタメ息をついた。
そして言い合っているシンとハヤテを
自分が割って入らなきゃいけないかと思うと毎度の事ながらうんざりする。
ソウシ
「…ねぇ、ナギが止めてもいいんだよ?」
ナギ
「…オレが出る時は、もう後がない時です… 出てっていいですか?」
確かにナギが出る時は、その場にいる誰もが何も言えなくなるような一言を放って
片が付くが、その後の何とも言えない空気をほぐす方が
格段に面倒な事だった。
ソウシ
「……はぁ…」
ソウシは薬品の研究に早く戻りたかった為
しょうがなく自分から割って入る事にした。
ソウシ
「シン、ハヤテ!
もうその辺にして…」
ハヤテ
「だってソウシさん!
シンの野郎がっ!」
ソウシ
「は~い、そういうのもうおしまい!
で? ロイはどうしてここにいるの?」
ようやく相手にしてくれるソウシが現れ
目をキラキラと輝かすロイ。
ロイ
「よくぞ聞いてくれた先生!!
今日はいち早くシリウスの諸君に見せてやりたいものがあってな♪」
ハヤテ
「はぁ? 何だよ見せたいものって」
勿体ぶるように満面の笑みを浮かべるロイ。
航海室から降りてきたシンも、その表情を見て
何とも不愉快になった。
シン
「…さっさと言わねぇと、お前の頭に穴が開くぞ?」
ロイ
「ま、待て!
何て気の短い連中だ…」
そんなやり取りをしていると、ほろ酔いのリュウガが甲板に現れた。
リュウガ
「な~に騒いでんだ?」
ヒロインの肩に手を掛けながら、リュウガは上機嫌で現れた。
ナギ
「!」
ナギはグッとヒロインの腕を引き、リュウガから離れさせた。
リュウガ
「んぉ!? 何だよ急にヒロインを引くなよ…
ん~~? あんだよロイか?」
ロイ
「昼間っから酒を飲んでるとは、随分のん気なヤツだな?
そんなんだからシリウス号はいつまでたってもカビ臭いボロ船なんだ」
リュウガ
「あぁん?」
ロイの一言で、リュウガのみならずメンバー全員の顔つきが変わった。
ロイ
「フン、お前たちがそうやってくだらない日々を送っている内に
オレ様のリカー号は、素晴らしいものになったのだよ!
さぁヒロイン! オレ様とリカー号へ行こう!」
そう言って、ナギからヒロインを奪い取ると
ロイはリカー号へと歩いて行く。
ヒロイン
「ちょっ! ロイ船長!?」
ナギはドスドスと怒りに満ちた足音を立て
ロイの方へと歩いていくと、突然トワが大きな声を上げた。
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