糸
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ファジー
「そうだねぇ…
ヤキモチっていうのは、スゴク好きな人が
自分じゃない誰かに優しくされてたり、してたりすると
胸がモヤモヤして嫌な気持ちになる事だよ。」
チビヒロイン
「もやもや?」
ファジー
「ヒロインだって、バンダナがアンタに構わないで、ず~と他の子に優しくしてたら嫌だろ?」
チビヒロインは分からないなりにも、一生懸命考えてみた。
ナギが自分に気付きもしないで
他の子ばかり優しくしているところを…
チビヒロイン
「うん…いやだ…」
ファジー
「それと同じ気持ちだよ!
バンダナはアンタが他のヤツと仲良くしているのか嫌だったんだ」
チビヒロイン
「でも…なぎにぃちゃ、ヒロインのこときらいだよ…」
ファジー
「どうしてだい?」
たどたどしい言葉で、ナギがあんなにも怒っていた理由を話した。
知っている限りの言葉を尽くして話してくれるが
かなり想像力を働かせないと理解するのは困難だった。
しかし大体の事が分かったファジーは、優しく微笑んだ。
ファジー
「バンダナがアンタを嫌うはずはないよ。
今日の夕ご飯、アンタの好きなものばっかりだったろ?
あれはバンダナがアンタの好きなモノを全部紙に書き出してくれてたんだ。
それに、こうやって着替えも寒くないようにカーディガンを持たせたり
風呂で遊んだオモチャだって、バンダナが用意したんだよ?」
確かにさっき、ファジーと入ったお風呂に
今朝ナギと遊んだ水鉄砲があった。
ファジーの声が魔法のように、不安だった気持ちを溶かしていく。
ファジー
「だから安心しな。
アンタとバンダナは、もっと深いところで繋がってるんだよ。
アタイとロイ様のようにね!
…それと…アンタ、もうシン様にチューなんかするんじゃないよ?」
チビヒロイン
「? どうして?」
ファジー
「どうしてって… どうしてもだよ!」
チビヒロイン
「…やきもき…?」
今覚えたばかりの言葉を使われ、ファジーは苦笑いするしかなかった。
ファジー
「さぁキレイに梳けた!
体が冷える前にさっさとベッドへ入りな」
チビヒロイン
「………」
ファジー
「? どうしたんだい?」
ドレッサーの椅子に座ったまま動かないチビヒロイン。
言いにくそうに俯いている。
どうしたのかとファジーが傍にいくと、チビヒロインは恥ずかしそうに
ファジーのネグリジェをギュッと掴んだ。
チビヒロイン
「…ふぁじーねぇちゃ…あのね…」
その時チビヒロインの口から出てきた言葉に
ファジーはニッコリと笑った。
そしてチビヒロインにファジーは言った。
ファジー
「ヒロイン、いい事教えてやる!」
チビヒロイン
「??」
・・・・・・・・・・・・・
ナギは見張り台にいた。
今日の不寝番はトワだったが、ナギがかって出た。
リカー号で不審な動きがないか見守る為だ。
本来の「見張り」としての仕事は全くしていない…
あれだけ「怖い」と言われ、家出のような事をされているというのに
それでもこうしてココにいる…。
ナギ
「…はぁ…」
呆れるほど心配性な自分に嫌気がさす。
皆の言う通り、自分にもし娘が出来たら
こんな風になってしまうのだろうか…。
自分とヒロインとの子…。
もし好きな男が出来て、そいつがチャラチャラした男だったら…
考えただけでムカムカしてきた。
ナギはブンブンと頭を振り、そんなどうしようもない考えを振り払った。
するとリカー号の甲板に明りが灯った。
ナギ
「?」
身を乗り出して覗き込んだ。
ナギ
「!! ヒロイン?!」
ぼんやりと暗がりに見えたその姿に、ナギは見張り台から慌てて降りた。
飛び降りたと言ってもいい。
ナギ
「ヒロイン! どうした?」
毛布に包まれ、ファジーに抱かれている。
ファジー
「アンタが恋しくなっちゃったんだってさ」
ナギ
「!?」
ロイ
「本当に戻るのか?
オレ様と全然遊んでいないじゃないかっ!」
未練がましく問いかけるロイよりも、ナギはファジーに言われた言葉に衝撃を受けていた。
『恋しくなった』?
あれだけ怯えさせてしまったから、てっきり嫌われているかと思ったが…。
しかしナギは嬉しくて思わず顔が熱くなった。
今が夜で本当に良かった。
ナギ
「今梯子かける」
今出した声は、普通を装っていただろうか?
ニヤケてしまいそうな口元をキュッと引き締め
ナギは梯子を渡した。
甲板での騒ぎを聞きつけ、シリウスのメンバーも出てきた。
ハヤテ
「何事だ?」
トワ
「あれっ? ヒロインちゃんですか?」
ロイとチビヒロインを抱いたファジーが梯子を渡ってくる。
ファジー
「急に寂しくなっちゃったみたいでさ」
シン
「フン、面倒なガキだな…」
ファジーが毛布ごとナギにチビヒロインを預けると
チビヒロインはギュウッとナギにしがみついた。
そしてナギもまた、愛しそうな笑みを浮かべ
答えるように優しく抱き上げた。
ソウシ
「ふふっ、子供になったってラブラブだね」
リュウガ
「事情知ってるからありだけどよ?
ありゃロリコンの域だぞ?」
そんなシリウスメンバーの言葉をよそに
ナギは戻ってきてくれたチビヒロインを抱きしめながら話しかけた。
ナギ
「…ヒロイン?
ごめんな? 怖い言い方して…」
チビヒロイン
「ヒロインもごめんなさい…」
ナギ
「ふっ、いい子だな?」
肩に顔を埋めているチビヒロインの頭をそっと撫でた。
ハヤテ
「で? ロイはヒロインに変な事しなかったんだろうな?」
ロイ
「…するどころか、ファジーにべったりで手も繋げなかった…。」
泣き出してしまいそうなロイに、シリウスメンバーは笑い出した。
ファジー
「ロイ様! それこそロリコンですよ!
まったく… 寒いから引き揚げましょうよ! じゃあねヒロイン!
暖かくしなよ!」
そう言うと、パッとチビヒロインは顔を上げて
ファジーに声を掛けた。
チビヒロイン
「ふぁじーねぇちゃ! ありがとうございました!」
ファジー
「ふははっバンダナ! いい子じゃないか!
大切にしてやりな」
ロイ
「あぁ~ヒロイン!!
オレ様は? オレ様には何もないのかっ!?」
ファジー
「ロイ様行きますよ!?」
ファジーに襟首を掴まれ、ズルズルと梯子へと向かう。
チビヒロイン
「ろいたんも、ごはんおいしかった!
なぎにぃちゃがいちばんだけど…」
ロイ
「! い、今「ロイたん」って…っ!!!
ぐぁっ!!」
シンが手に持っていたランプをロイめがけて投げつけ
見事、腹にクリーンヒットした。
ロイ
「あっ危ないだろ!
火が燃え移ったらどうするんだ!」
甲板の上でボッと火を上げて消えたランプを指さし
ロイが声を上げた。
シン
「チッ…燃えなかったか…」
ロイ
「!? お前燃やすつもりで!?」
シン
「さっさと失せろ変態野郎!」
ロイ
「ぬぬぬ…覚えていろ!?
必ずヒロインを奪いにくるからなっ!!」
煤とランプの油で汚れたコートを気にしながら
ロイはリカー号へと戻っていった。
リュウガ
「よぉ、お帰りお姫様」
リュウガがナギに抱かれるチビヒロインの頬をスリッとひと撫でした。
ソウシ
「ふふっホントだね?
ナギがナイトに見えるよ…クスクス」
シン
「人騒がせな姫だな?
子供でも大人でもトラブルメーカーなのは変わらないな?」
ナギに抱かれているチビヒロインは、とても嬉しそうで
見ているメンバーも、嫉妬心を通り越して幸せな気分になる。
リュウガ
「ナギ、お前今日は不寝番をトワに代われ!
トワ、いいよな?」
トワ
「もちろんです♪」
ナギ
「いやでも…」
ソウシ
「いいから甘えなよナギ。
ナギも高熱が出てたヒロインちゃんの看病と、子供になっちゃって心配し過ぎて疲れたでしょ? ふふっ」
ハヤテ
「そうそう!
寝不足で、飯手抜きされても困るし!」
メンバーの言葉に甘えて、ナギはチビヒロインと一緒に部屋に戻る事にした。
ナギ
「寒くないか?」
チビヒロイン
「うん! ふぁじーねぇちゃがぐるぐるまきにしてくれた」
確かにコートを着て、マフラーも巻いた上に
毛布でグルグルに包まれている。
ナギ
「ふっ…そうか。
部屋寒いから、すぐベッドへ入れ」
チビヒロイン
「うん」
ファジーの気遣いには感謝しなくてはいけない。
男所帯では気づけない事や、言いにくい事を
上手く聞き出してくれたのかもしれない。
それにファジーがいたから、嫌々ながらもリカー号にヒロインを渡せた。
ロイだけだったら、何が何でも渡しはしなかった。
そんな事を考えていると、いつの間にか部屋の前にいた。