糸
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シリウスメンバーと合流すると、待ってましたとばかりに
それぞれがチビヒロインを店に連れ込み
あらゆるものを買った。
リュウガはおもちゃ屋、ソウシは本屋
シンは洋服屋、ハヤテとトワはお菓子屋へと連れていった。
いつ大人に戻るのか分からないというのに
メンバーはかなり大量に買い込んだ。
シン
「寒いからとりあえずコレとコレを着て出て来い」
洋服屋で当面の洋服を調達し、シンのコーディネートで着替えをするチビヒロイン。
チビヒロイン
「…しんにぃちゃ…」
シン
「どうした?」
チビヒロイン
「…ぼたんいっぱいでできない…」
試着室から声が聞こえ、あのシンが嫌がりもせず入ろうとする。
遠くで見ていたナギはピクリと反応したが
グッと堪えた。
リュウガ
「ふははっ! ナギもそうなるんだなぁ!クククッ
ヒロインでそんなんじゃあ、娘なんか出来たら大変だな!?」
ナギ
「チッ…」
今朝から反応を面白がっているメンバーにウンザリしていた。
ソウシ
「船長、ナギをあまり怒らせないでください。
いつも痛い目みてるじゃないですか?」
リュウガ
「そうだが、こんなナギが見れるのは
なんだか嬉しくてなっ!
くははっナギ! ホントおめぇはいい親父になるぞ!」
ポンッと肩に手を置かれるも、ナギは不機嫌に腕組みをしていた。
そんな話をしていると、シンとチビヒロインが試着室から出てきた。
トワ
「わぁ!可愛い!!
ヒロインちゃんとっても可愛いよ?」
ソウシ
「うん! その真っ白なコート、よく似合ってる」
シンの選んだ真っ白なダッフルコートと赤い毛糸のマフラー。
タイツを履いた足には、茶色のボアブーツを履いていた。
リュウガ
「さっすがシンだな!」
あまりにも可愛くて、ナギも顔が綻んだ。
シン
「寒くないか?
あとこの手袋もしておけ」
マフラーと同じ、赤い毛糸でできたミトンの手袋だった。
ハヤテ
「シンのヤツ、妙に優しくね?」
ソウシ
「ふふっそうだね?
さすがのシンも小さいヒロインちゃんには何も言えないみたいだね?」
シンもナギと同様に、チビヒロインの可愛さにやられていた。
しっかりと着込ませ、暖かくしてやると
チビヒロインはシンに向かってニッコリ笑った。
チビヒロイン
「しんにぃちゃ、ありがと!
すっごくあったかい!」
シン
「ふっ…そうか、お前は何でもよく似合うな」
チビヒロイン
「しんにぃちゃ!」
シン
「ん?」
そう言ってチビヒロインの背丈に合わせて膝を折ると
チュッと唇に小さなキスをされた。
ナギ
「!!!?」
チビヒロイン
「しんにぃちゃだーいしゅき♡」
シン
「………」
無表情に冷たい視線をチビヒロインに向けていると思うと
突然ガバッとチビヒロインを抱きしめた。
チビヒロイン
「きゃ~きゃははっ」
シン
「悪い女だな? ナギから奪っちまうぞ?」
ナギ
「!?」
シンのあんな嬉しそうな顔は見たことがない。
それに今、サラリと爆弾発言をした。
焦っているナギをニヤリと見つめると
シンはチビヒロインを抱き上げた。
シン
「言っておくがオレからしたんじゃないからな?
お前のヒロインがしたんだからな? クククッ」
ナギ
「チッ…」
二人のただならぬ空気に、チビヒロインはキョトンとした顔でナギとシンに問い掛けた。
チビヒロイン
「どおしてなぎにぃちゃ…おこってるの?」
シン
「フン、ヤキモチってヤツだ」
チビヒロイン
「やきもき?」
シン
「ヤキモチだ! ヤ・キ・モ・チ!!」
チビヒロイン
「?」
何の事かさっぱり分からない様子のチビヒロインを見て、ソウシが口を挟んだ。
ソウシ
「ふふっヒロインちゃんには難しいよね?
ナギはね? ヒロインちゃんが他の人と仲良くしているのが嫌なんだよ」
チビヒロイン
「? どうして?
みんなとなかよくしちゃいけないの?」
何の汚れもない、純粋な言葉に
誰も何も言えなくなってしまった。
ソウシ
「ふっ…だって? ナギ?」
ナギ
「………」
ソウシ
「ヒロインちゃんも大人になったら分かるかな?」
チビヒロイン
「…おとな?」
誰よりも気まずそうな顔をしたナギは
シンの傍に行った。
ナギ
「…皆と仲良くするのは大事な事だ…」
本意ではないナギの言葉に、メンバー全員が吹き出してしまった。
ハヤテ
「くははっ! ナギ兄!!
顔! 顔めっちゃ引きつってる!!!」
リュウガ
「ナギぃ! お前よく言ったぞ!
あははっお前はホント、いい親父になりそうだ」
ソウシ
「ふふっよく言えたよ!
ナギも大人になったもんだ」
ナギ
「チッ!」
皆がいいように笑っている事が、何とも不愉快だが
そんな事よりも、当たり前のように抱いているシンから
チビヒロインを引き離した。
シン
「ふっ…どこが大人なんだか…
完全に独占欲の塊だな…ククッ」
(何とでも言え…。)
ナギは心の中でそう呟いた。
どんなに格好悪くても、やはり黙って見ている事なんてできない。
そんなナギの心配をよそに、当のチビヒロインは無邪気にナギに話しかける。
チビヒロイン
「なぎにぃちゃ! これね? ここの所がね
うさぎのおみみになっててね?
あとね、ここのぼたんがね? おめめでね?」
自分の知っているいる事を全てナギに伝えたくて、何度も何度も同じ言葉を繰り返しながら
一生懸命に話してきた。
ナギ
「ふっ、あぁホントだ。
可愛いよ、ヒロイン」
洋服よりもチビヒロインの可愛さに、ナギはすっかり翻弄され
何とも優しい笑みを浮かべながらそう言った。
チビヒロイン
「ふふふ~なぎにぃちゃ~」
嬉しそうにギュッ~~っと抱き付くチビヒロイン。
トワ
「…何だかナギさんだけは、やっぱり特別感ありますよね…」
シン
「フン、あんなの完全に父親感覚だろ?!」
ソウシ
「あっ、それを言うなら
私もお父さんだったらスゴク嬉しいって言われたよ?」
ハヤテ
「なんだよそれっ! ズリィよ!」
リュウガ
「がははっ!
皆メロメロじゃねぇか!!
しょうがねぇなぁオメーらは!」
他人事のように笑っているリュウガの持つチビヒロインに買い与えた物が入る袋は
どのメンバーよりも桁違いに多い。
シン
「…無自覚なのが一番ヤバイな…」
リュウガ以外のメンバーは小さく頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・
結局、その日は宿屋へ宿泊することになった。
メンバー内で誰よりも甘々なリュウガが
あんな寒い船内でチビヒロインを寝させられるかと
船長命令が下り、一泊する事になった。
ナギもソウシも、いつ薬の副作用が消え
大人に戻るか分からない状況で
外に居続ける事に不安を感じていた。
しかしリュウガの言う通り、冬場の海上での生活は
どんなに暖を取っていても、体に堪える寒さだ。
病み上がりのヒロインにとっては、いい選択だったのかもしれない。
ハヤテ
「ヒロイン! オレと一緒に寝るか?」
トワ
「ズルイです!
僕と一緒ですよ!」
そんな言い合いをしている2人に、ナギはゲンコツをお見舞いした。
ナギ
「アホな事言ってないで、さっさと寝ろ!
ヒロインはオレの部屋に決まってるだろ!」
ハヤテ
「チェッ、いーじゃんチビなんだし!」
いい訳ない。
前回も油断してリュウガと風呂に入ったチビヒロインは
そこで大人に戻ってしまったのだ。
ナギ
「…もう一発喰らうか?」
ハヤテ
「!! オ、オレもう寝るから!
オヤスミヒロイン!!
トワも行くぞ!」
トワ
「わわっ引っ張らないでください!
お、おやすみヒロインちゃん」
チビヒロイン
「おやすみなさい、はやてにぃちゃ、とあにいちゃ…」
チビヒロインはナギと手を繋ぎながら、眠たそうに「ふわぁ」とアクビをして目を擦った。
ソウシ
「ふふっ、もう眠いよね?
ナギ早く部屋に行ったら? あぁ、コレ寝る前に飲ませてあげてね」
ソウシが今日行った病院でもらった薬を渡してきた。
ソウシ
「もし熱上がったりしたら、いつでも起こしていいからね?」
ナギ
「ありがとうございます。
…ヒロイン、歩けるか? 抱っこするか?」
トロンとした目をナギに向け、両手を広げてきた。
ナギはギュッと抱きしめると、そのまま抱き上げた。
ナギ
「じゃあ、先に休みます…
ヒロイン、皆に挨拶したか?」
チビヒロイン
「せんちょ、そうしにぃちゃ、しんにぃちゃ
おやすみなさい」
ナギに抱かれたままペコッとお辞儀をする。
リュウガ
「おぅ! 暖かくして寝ろよ?」
ソウシ
「おやすみ~」
ナギの姿が部屋へと消えると、その場にいたメンバーは苦笑いをした。
シン
「すっかり父親気取りだな…」
ソウシ
「ふふっ、ホント可愛いよね。
ナギが過保護になる気持ち分かるなぁ」
リュウガ
「あれだけ骨抜きにされたら、大人に戻った時
ナギのヤツ寂しくなるんじゃねぇか?」
シン
「…ありえますね…」
そう言いながらも、前回急に元に戻ってしまった時
しばらく寂しい感じがしたのは、皆だって一緒だ。
大人のヒロインに戻れた事が嬉しいはずなのに
惜しげもなく愛情を振りまいてくれた子供のヒロインがいなくなり
ナギに対しての深い愛情を注ぐヒロインだけになってしまった。
ソウシ
「…ふっ、結局私たちは愛情に飢えているんだね?」
リュウガ
「がははっ違いねぇ!」
シン
「…一緒にしないでください。
先に寝ます…」
冷たくそう言い放つと、シンは部屋へと廊下を歩いて行く。
リュウガ
「ほーんと可愛げねぇなぁ…
ククッ、でもシンが一番チューされて喜んでたよな?」
ソウシ
「ふふっ、船長
そんな事言うと、シンがヘソを曲げますよ?
それに、今日はよからぬ所へは行かずに部屋で大人しく寝てくださいね?」
リュウガ
「んぅっ…あ、当ったり前だろっ!
あんな純粋なガキ見た後に、勃つかっつーの!」
ソウシ
「さぁ? 船長の性欲は計り知れませんから…
ふふっじゃあ私も休みます。」
リュウガ
「! オレも寝るっての!
ったく、人を発情期のオスみてぇに言いやがって…」
少しだけ…ほんの少しだけ
夜の街を歩いてみようかと思っていたリュウガの淡い期待は
あっさりと崩れ去り、今夜は大人しく眠りにつく事にした。
(…オレも丸くなったもんだ…)