cure
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ようやく準備が整い、宴が始まった。
ナギの料理がズラリと並び
メンバーそれぞれの大好物がたくさん用意されていた。
リュウガ
「いゃあ、さっすがナギだなっ!
ナギの料理にかなうものはないなっ!」
シン
「…無駄な抵抗ですよ?」
ソウシ
「そうですよ!
そもそもちゃんと謝ったんですか?」
リュウガ
「ん?!」
料理を運んできたナギをチラリと見るリュウガ。
運良くヒロインは酒を取りに行っている。
リュウガ
「ん、んんっ! ナギ…」
咳払いをし、神妙な面持ちで話し始めた。
リュウガ
「その…ヒロインとはだな…」
すると、ナギは運んできた料理をテーブルに置き
リュウガの方を向いた。
ナギ
「…大体分かってる…」
そう言ってナギはリュウガに近づく。
リュウガ
「? …オイ…ナギ!
お前手に何持ってる!?」
ナギの右手には、タバスコが握られていた。
ナギ
「感覚なくなるまで、流し込んであげますよ?」
リュウガ
「!? ちょっ待て!
ソウシ! ナギを止めろ!」
ソウシ
「いい薬になりますよ?
女性との関係を見つめ直す、いい機会じゃないですか」
リュウガ
「バッバカヤロウ!
いい薬の訳ねぇだろ!? オ、オイ!シン!!」
シン
「…オレもナギに賛成です。
船長の女関係の尻拭いされるの、いつもオレらですから…」
こうも相手にされないとは…。
リュウガは迫りくるナギを、真っ青な顔で見つめるしか出来ない。
ナギの目は本気だ。
ゴクリッと固唾を飲んだ瞬間ーーー
ヒロイン
「船長! 船長の言ってたお酒見当たらな…?!
な、何…? どうかした?」
救世主の登場で、リュウガはサッと身を起こすと
ヒロインの横へ立ち、グッと肩を抱いた。
リュウガ
「そうか! 酒、見当たらなかったか!
オレと一緒に探しに行こう!」
そう言って食堂を出て行こうとするリュウガ。
ヒロイン
「えっあのっ船長!」
すると、グッと腕を掴まれ
ナギの胸に引き寄せられた。
ナギ
「…ホント言っても分からない人ですね…」
リュウガ
「あ…いやコレはだな…」
ヒロインの肩に掛けていた手をグーパーさせるリュウガ。
ハヤテ
「大人しくタバスコ流し込んでもらった方がいいんじゃないッスか?」
トワ
「常習犯ですし…」
リュウガ
「お前ら…」
メンバーに取り囲まれ、リュウガは逃げ場を失ってしまった。
ヒロイン
「み、皆さん、お料理冷めちゃいます!
食べませんか?」
その声に、メンバー全員の気が逸れた。
そして振り返ると、ニッコリといつもの可愛い笑顔を浮かべたヒロインがいた。
シン
「…命拾いしましたね…」
ナギ
「次はタバスコじゃ済まないですからね?」
ソウシ
「タバスコの上っていったら、ハバネロとか?
あははっスゴイ事になりそうだなぁ」
リュウガ
「………」
収拾はついたものの、明日からの行いを改めねばと
リュウガはひとり考えていた。
トワ
「船長? 宴の掛け声お願いします!」
リュウガ
「お…おう!
それじゃカンパーイ!」
メンバー全員
「「カンパーイ」」
ようやく始まった宴。
ヒロインも他のメンバーも、いつものように楽しんでいる。
リュウガはその光景を温かい目で見守っていた。
ソウシ
「ふふっ顔がほころんでますよ?」
リュウガ
「ん? やっぱ仲間に囲まれて飲む酒は美味いな!」
ソウシ
「そうですね…
でもそれだけじゃないですよ…きっと…」
そう言ってヒロインに視線を向けるソウシ。
ソウシ
「あんないい子が、シリウス海賊団にいるんです。
それだけで皆が温かい気持ちになるんですよ。
ふっ…私もあんな昔話するつもりなかったんですけどね…クスクス」
何の事だがさっぱり分からなかったが、そういうソウシの顔も
とても温かく、いい表情をしていた。
リュウガ
「…そうだなぁ…」
どのメンバーもヒロインに甲斐甲斐しく世話を焼いている。
トワ
「ヒロインさーん!
これスッゴクおいしいですよ!」
ハヤテ
「ヒロイン! 何チマチマ食ってんだよ!
肉はもっとガッと食らいつくんだよ!!」
シン
「この組み合わせでこのワインを飲む気が知れない。
魚料理には白ワインだろ?!」
ナギ
「…ヒロイン、デザートは最後に食え。」
あんなに言われて鬱陶しいとは思わないのだろうか?
しかし当のヒロインは、何とも嬉しそうに笑っていた。
ナギ
「…美味いか?」
ヒロイン
「うん!!」
そのとびきりの笑顔に、誰もが癒されている事。
この子は知っているのだろうか?
リュウガもまた何とも柔らかい笑みを浮かべた。
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ナギ
「先に宿戻ってていいんだぞ?」
ヒロイン
「んーん、一緒に片付けする!」
洗い物をするナギの横で、洗い上がった皿やグラスを拭いているヒロイン。
今日の宴も本当に楽しくて、ほとんどのメンバーがそのままシリウス号に残って
部屋で寝てしまったようだ。
皆本当にこの船が好きなんだと、微笑んでしまった。
ナギ
「お前、タルト食えたか?」
ヒロイン
「うん! 危なくハヤテさんに食べられちゃいそうだったけど
ちゃんと食べれたよ?
カスタードがスッゴイ美味しかった~!」
ナギ
「ふっ良かった。
お前タルト好きだから…シンがもらってきたイチジクも使いたかったんだが…」
ヒロイン
「イチジクのタルトも美味しそう♡
あっコンポートにして、パンケーキにかけてもおいしそうだなぁ~」
皿を拭きながら、うっとりとした表情を浮かべるヒロイン。
ナギ
「ふっ、お前あれだけ食っといて
まだ食い物の話しができるのかよ?!」
ヒロイン
「うん♪」
呆れ顔を見せるナギだったが、実はとっても嬉しかった。
まだ顔にも腕にも昨日の傷痕が残っているが
もう随分と前の出来事のように思えてしまう。
キュッと水道を絞り、タオルで手を拭くと
ナギはヒロインの頬を触れた。
ヒロイン
「んっ! 冷たい…
どうしたの?」
拭き途中の皿を持ったままナギを見上げる。
ナギ
「…まだ痛むか?」
ヒロイン
「あ…んーん…
もう痛くないよ? ナギこそ…」
そう言うナギだって、よく見ると傷やアザがある。
ナギ
「平気だ…」
ナギの手が拭き途中の皿を取り上げると、シンクに寄り掛かったナギの胸に抱き寄せられた。
突然の事に、胸がドキドキと音を立てる。
でもナギの心地のいい胸の中にいれば
安心して、何も怖いものなんてないように思える。
ヒロイン
「…ナギ?」
ナギ
「ん?」
ヒロイン
「…さっき…なんて言おうとしたの?」
ずっと気になっていた。
倒れてしまうくらい驚く事ってなんだろう。
しかしナギからの返事は返ってこない。
反応すらない事を不思議に思い、そっとナギの胸から顔を上げた。
ヒロイン
「ナギ? 聞いてた?」
ナギ
「…あぁ…」
ヒロイン
「…教えてくれないの?」
するとナギはスッと手を取り、指先にチュッとキスをした。
ヒロイン
「っ! ナ…ギ?」
ナギのキスは止まらずに、グッと腰に手を回し
ヒロインをさらに抱き寄せると
オデコに、目に頬に…
思考がナギで埋め尽くされていく。
ヒロイン
「ん…ナギっどうしたの?」
それでもナギはキスを続ける。
唇が塞がれると、胸がキュウと締めつけられた。
さっきまで賑わっていた船内で、こんな事をされるなんて…
それだけで、体が熱くなりそうだ。
ナギの舌で唇を割られると、柔らかな舌が入ってくる。
自分の体温とは違う熱い舌が、何度もいやらしく動く。
ヒロイン
「は…んっ…」
思わず甘い吐息が漏れてしまう。
ナギのキスは激しさを増し、唇を味わい尽くすと
首筋へと舌を這わせ、何度も甘いキスを落とした。
ヒロイン
「ぁんっ…はぁ…ナギ…待って…んっ」
こんな場所であまりにも激しいキスをされ
堪らずにヒロインはクテッとナギの胸に倒れ込んだ。
ヒロイン
「ん…はぁ…ナギ…ズルイ…」
目を閉じて、充分にナギを感じたヒロインは
少し怒った声でそう言った。
ナギ
「ふっ…バレれたか?」
ヒロイン
「…もぉ…」
これ以上聞かれないように、ナギはヒロインを充分に酔わせた。
しかしナギはチュッとヒロインの頭にキスをすると
思い掛けない言葉を発した。
ナギ
「…あとで充分分からせてやるから…
こんな事でヘタってる場合じゃねぇぞ?」
ヒロイン
「!!?」
驚いて大きく目を見開いてナギを見つめると
ナギは何とも意地の悪い笑みを浮かべていた。
果たしてヒロインは、倒れずにいられるのだろうか…。
それを知るのは、シリウス号を後にした
宿屋の小さな部屋の中だった。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒