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ナギ
「…皆知ってたのか…?」
ヒロインがひとりで乗り込む事、そして自分が過去の仲間に絡まれていた事…
リュウガ
「…ナギ…」
ナギ
「だったら、何で止めないんですか!
ヒロインをひとりでこんなトコに…!」
ヒロイン
「ナギっ! 私が言ったの…
ひとりで行きたいって…」
ナギ
「!?」
ヒロイン
「船長もみんなも止めたよ?
でも私が行くって言い張ったの…」
何故こんな事をしたのか、全く分からない。
自分だけ何も知らなかった…
とてもショックを受けたナギ。
ソウシ
「ね、とりあえずここを出よう!」
シン
「船長、コイツらどうします?」
リュウガ
「そうだなぁ…」
・・・・・・・・・・・・・・
ハヤテ
「おぉ! すっげぇ良く見えんじゃん!!」
トワ
「わぁ~!」
仕事を終えたシリウスメンバーは、山賊の潜伏していた宿屋の屋根の上にいた。
ソウシ
「ホントだね~!」
シン
「花火なんて久しく見てなかったな…」
打ち上げられた花火が、夜空に輝き
歓声と拍手が起こる。
しかしナギもヒロインも素直にそれを楽しめない。
あれだけ楽しみにしていたのに、隣にいるヒロインは気まずそうに俯いていた。
ナギ
「ヒロイン…?」
ヒロイン
「うん…」
ナギは花火を見上げながら言った。
ナギ
「…オレの為に悪かった…」
ヒロイン
「!? 違うよ!
悪いのは私だよ…ナギに言われた事無視して
危ない事勝手にして…」
ナギ
「…どうしてひとりで行った?」
ヒロイン
「…それは…」
2人のやりとりを見かねて、ハヤテが口を挟んだ。
ハヤテ
「まぁいいじゃねぇか!
ヒロインも無事だったし、こうして花火が見れてんだし!」
トワ
「そうですよ♪
こんなトコで、花火見れるなんてないですよ!」
気になって正直花火どころではないが、
ヒロインが楽しみにしていたのを思い出し
ナギは問い詰めるのをやめた。
ナギ
「…せっかくよく見える席取ったのに…
行けなくなっちまったな…」
ヒロイン
「そんなのっ! …こうして一緒に見れるだけで…」
ナギ
「!?」
ナギはその言葉に驚いた。
リュウガ
「そうだぞ、ナギ!
どこで見たかじゃなくて、誰と見たかが大事だろ?
今のお前には、仲間がいる。
だからひとりで何かしようとか思うなよ?」
ナギ
「船長…」
シン
「そうしないと、お前にそっくりな誰かさんが
マネして面倒を起こすぞ?」
シンの言葉に気まずそうに俯くヒロイン。
花火は華僑に入り、連続して打ち上がる。
打ち上がった花火が海面に映り、何ともキレイだった。
あまりの迫力に、ヒロインはナギの腕を引いて
興奮したように声を上げた。
ヒロイン
「スゴイスゴイ!
ナギ、スゴイね~!」
目を輝かせているヒロインを見たら、本当に良かったと思った。
山賊に裂かれたシャツを隠す為、シンの上着を借りたヒロイン。
危ない目に合わせてしまい、普通の女の子だったら
泣いているに違いない状況なのに…。
会ったばかりのヒロインだったら、きっとこんな事はしなかっただろう。
強くなった分、その事に慣れてしまい
本来ならこんな事をしなくてもいいのに、自分とつき合ったから、そうさせてしまった。
ナギはそんな苦労を掛けさせてしまった事に
申し訳なさを感じた。
ヒロイン
「終わっちゃったね!
でも見れてよかったぁ~」
ナギ
「! あぁ…」
ナギは花火を見るよりも、ヒロインをこんなにも巻き込んできまった事に
頭がいっぱいだった。
ナギ
「…楽しみにしてたのに、少ししか見れなかったな…」
完全にネガティブな思考に覆われているナギは、
口を開けば「悪かった…」と言ってしまう。
今もその言葉を口にしようかとしたが、
地上から大きな声が聞こえた。
ハヤテ
「おぉ~い!!
まだ花火は終わってねぇぞ~!!」
トワ
「第二幕の始まりで~す!!」
いつの間にか地上に降りているハヤテとトワが
手持ちの花火や打ち上げ花火を用意して
屋根の上にいるメンバーに言った。
ヒロイン
「わぁ! スゴイ!!」
ヒロインは嬉しそうに屋根を降りて、ソウシと一緒にハヤテとトワの元へと向かった。
まだ立ち直れないナギは、ヒロイン達を見送ったまま
立ち尽くしていた。
すると、ポンッと肩に手が乗った。
リュウガ
「ナギ、おめぇはホント真面目なヤローだな?」
ナギ
「!?」
シン
「いい加減割り切ったらどうだ。」
何の事かと眉をしかめていると…。
リュウガ
「どうせヒロインを巻き込んだだの、危ない目に合わせただの
くだらねぇ事考えているんだろ?」
ナギ
「……くだらない…?」
リュウガ
「あぁ、くだらねぇな!
海賊のお前とつき合うって時点で、ヒロインは覚悟してるのに
お前は何かあるとグダグダと悩みやがって」
シン
「ある意味ヒロインの方が、肝が据わってるな?
ひとりで乗り込むって言い張った頑固な顔見せてやりたかった」
きっとそれは当事者じゃないから、リュウガもシンもそう思うのだ。
自分の彼女が、同じような事をしたら
2人は同じ事が言えるだろうか?
ナギ
「…これはオレとヒロインの問題だ…」
するとリュウガは「はぁ…」とタメ息をついた。
リュウガ
「ナギ、見てみろよ」
リュウガは顎をしゃくって、地上で花火をしているメンバーを指した。
リュウガ
「お前の過去はお前にしか分んねぇけど、
ソウシやお前、シン。
それからハヤテ、トワ…ヒロインがシリウスに入って…
オレ達は仲間なんだよ!
お前の過去もお前だけのもんじゃねぇ!
みんなで背負って行くんだよ!
見てみろ!
ヒロインの嬉しそうな顔。
これからも危ない目にも怖い目にも合わせちまうかもしれねぇけど
それがヒロインにとって、悪い事じゃねぇ気がするけどな?」
シン
「ま…アイツの場合、自分から火種に飛び込むタイプだから
なんとも言えないがな…」
腕組みをして、花火にはしゃぐメンバーを涼しい顔で見下ろしているシン。
リュウガ
「お前がひとりで背負い込む方が、アイツは何倍も苦しいと思うぞ?」
ナギ
「………」
リュウガやシンの言葉はとっても嬉しいが、そんな都合のいい事を考えていいのだろうか?
納得し切れない表情を浮かべていると
下から声が聞こえた。
ヒロイン
「ナーギー!
花火楽しいよぉ~! 早く降りてきたら?」
ほんの数十分前まで、あんな恐ろしい体験をしたのに
何もなかったかのような顔をしている。
リュウガ
「ホラ、降りてヒロインを見て納得してこい!
お前がつき合ってる女は、それほどヤワじゃねぇってな?」
リュウガに背中を押された。
シン
「アイツ…オレの上着着てるのに
あんなにケムリ浴びやがって…
キレイに洗わせてやる!」
そう言って降りていくシン。
ナギ
「…ありがとう…ございます。
みんながそう思ってくれているのは、すげぇ嬉しいんです…
でも…」
リュウガ
「あぁ~もぅ面倒くせぇな!
おめぇはシリウスのナギだろ!?
他の誰でもねぇ!
お前だけじゃなく、オレにだって皆に迷惑掛ける過去があるんだ」
シン
「…女の清算とか…」
降りたと思ったシンの声が聞こえた。
リュウガ
「んっ…ゴホン!
だから、迷惑掛けてんのはお前だけじゃねぇ!
持ちつ持たれつ…だろ?」
二カッと笑うリュウガ。
自分を拾ってくれた時と、なんら変わらないその笑顔に
ナギはようやく笑った。
ナギ
「ふっ…はい!」
リュウガ
「よっし、じゃあ花火やり行くぞ!」
リュウガの言葉はいつだって、温かい感情を与えてくれる。
それはリュウガだけじゃなく、ソウシやシン
ハヤテやトワだってそうだ。
こんな自分でも受け入れて、慕ってくれる。
そして何より…
ヒロイン
「ナギ見て! スゴイの!
こんなにやり切れるかなぁ?」
ハヤテとトワが大量に買い込んだ花火を指差し
右手には手持ちの花火が火花を散らしている。
シン
「お前、ジャケットに焦げ跡つけたら
海の真ん中に放り出すからな?」
ヒロイン
「き、気をつけます!」
シンのジャケットに気を使いながら、ヒロインはナギに花火を差し出した。
ヒロイン
「ナギもやろ?」
ナギの心配をよそに、可愛い笑顔を向けてくるヒロイン。
本当にこの子には敵わない。
どんな強靭な敵よりも、目の前にいるヒロインには
どう考えたって勝てそうにない。
ナギは「ふっ」と微笑むと、花火を受け取った。
ナギ
「…お前、それ逆に点けてるぞ?」
ヒロイン
「え?」
新しい花火に火を点けようとするも、なかなか点かない花火を不思議そうに眺めているヒロイン。
ナギ
「ふっ…それじゃ一生点かないぞ?」
意地悪く笑うナギに、ヒロインは拗ねたような顔で言った。
ヒロイン
「! ナギよりも私の方が花火上級者なんだからね?
こっちが逆って知ってましたぁ!」
明らかに照れ隠しとも言える、その言い方にナギは吹き出してしまった。
ナギ
「ふっふはっ! なんだよそれっ…ククッ
上級者ってなんだよ!?」
ナギがこんなに大笑いをするなんて…。
久しぶりに見るナギの笑顔に、メンバー全員が笑顔になる。
ヒロイン
「ヤマトには、そういうのがあるの!!」
ふてくされて言うその言葉に、ソウシが食いついた。
ソウシ
「そうなの?
知らなかったな… 風流なものだから、国民全員で尊重しているんだね。
そっかぁ…ヒロインちゃんは上級者かぁ…」
「なるほど」と、冗談で言った言葉を真に受けられてしまい
ヒロインはオズオズと、気まずそうに答えた。
ヒロイン
「あの…ソウシさん…
ウソ…です…」
ソウシ
「えっ?!」
シン
「…ドクター、かなりの天然ですよ?」
ハヤテ
「あははっ!
ソウシさんスゲー! ヒロインの冗談を本気に!クククッ」
トワ
「あはっホント意外です!
ソウシ先生可愛いです!!」
すると、ソウシは何も言わず
花火が入っている袋を漁り始めた。
ハヤテ
「? あっちに袋から出したヤツいっぱいありますよ?」
ソウシ
「あぁ、あった。
ハヤテとトワ、もうちょっとこっちに立って?」
ハヤテ&トワ
「??」
2人は言われるがままに、指示された場所に立つ。
ソウシ
「ん~…うん! そこ!
動かないでね?」
するとソウシは、地面に設置したロケット花火をハヤテとトワに向けた。
ハヤテ
「ちょっソウシさん何やってるんスか!?」
トワ
「わわわっ! やめてください~!!」
逃げ回る2人。
ヒロインも慌てて声を上げた。
ヒロイン
「ソウシさん! 危ないです!!
花火は人に向けちゃいけないんですよ!?」
すると、ソウシは優しい笑みで
そして優しい声で言った。
ソウシ
「あぁそうなの?
ごめんね? 花火初心者だから分らなかった…」
メンバー全員
「「!!!」」
その言葉に全員が反応した。
ソウシを怒らすと、とても恐ろしい事になると
学んだメンバーは
みんなで「ごめんなさい」と言った。
とても満足げなソウシ。
そんな他愛のない、いつもの光景が
何よりも嬉しくて、ナギはずっと笑顔を浮かべていた。