fireworks
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
・・・・・・・・・・・・・・・
ナギ
「…大丈夫か?」
ナギが風呂から出ると、ヒロインはベッドボードに背中をつけて
ぼんやりとしていた。
ヒロイン
「あ…うん…」
なんとかナギが風呂から上がる前に戻れたヒロイン。
バレていないかと胸がドキドキしてしまう。
濡れた髪をタオルで拭きながら、ナギはギシッとベッドに座った。
ナギ
「薬飲んだのか?」
ヒロイン
「う、うん。
ソウシさんの部屋で飲ませてもらった…」
ナギに嘘をつく事が心苦しくて、とても目を見る事ができない。
ナギ
「? どうした?
熱でもあるのか?」
ナギの手がオデコに触れる。
ヒロイン
「…ナギ…」
ナギ
「ん?」
自分勝手な事は分ってる。
ナギに怒られる事も… だけど、部屋に男が忍び込んできた事は言えない。
ナギはきっと気に病んでしまうから…。
明日の事を考えると、体が震えるほど怖いが
リュウガを信じて、自分の出来る事をしようと気持ちを切り替えた。
ヒロイン
「んーん、なんでもない!
ナギもう寝る?」
ナギ
「あぁ、お前具合悪いんだろ?
早く体休めた方がいい」
ヒロイン
「…うん…」
気のない返事を返すヒロインを不思議に思ったが
ナギはベッドへ上がり、ヒロインと一緒に横になった。
向かい合わせにギュッと体を抱きしめるナギ。
ナギ
「寝づらくないか?」
ヒロイン
「ん…安心する…」
ナギ
「…ヒロイン?」
ヒロイン
「ん?」
ナギ
「…何も心配しなくていいからな?」
ヒロイン
「……うん…」
気付かれたかと胸がドキリと鳴ったが、ヒロインはそのままナギの胸にすり寄った。
そして2人の部屋は静寂に包まれて
次の日の朝を迎えた。
============
翌朝。
ナギ
「ん… …!?ヒロイン?」
目を覚ましたナギは、ギュッと抱きしめていたヒロインがいない事に気がついた。
嫌な予感がする。
ベッドから飛び起き、部屋中を探した。
ナギ
「ヒロイン!」
しかし、どこにもいない。
ナギ
「チッ…」
ナギは急いでブーツを履くと、着替えもせずに部屋を出ようとした。
ヒロイン
「きゃっ!!」
ナギ
「!!?」
中と外で同時にドアを開けてしまい、ナギとヒロインは勢いあまってぶつかった。
ヒロイン
「ビックリしたぁ~」
オデコを擦りながら、ヒロインはナギを見上げた。
思い切りナギの胸にオデコをぶつけてしまった。
ナギ
「…どこ行ってた?」
ナギは驚くどころか、怒った様に
そう聞いてきた。
ヒロイン
「え…ソウシさんのトコ…
ナギまだ寝てたから…」
すると、ナギは壁に手をつき
「はぁ…」とタメ息を漏らしながら俯いた。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「…何も言わずにいなくなるな…
心配しただろ?」
ヒロイン
「…ごめんなさい…」
あまりにもナギがホッとしているので、良心が痛んだ。
昨夜、頭痛薬をソウシにもらいに行った事になっている為
ヒロインはソウシに事情を話し、話しを合わせてもらうように頼みに行っていた。
もちろん今日ヒロインがする事に、難色を示したが
ソウシも協力してくれると言ってくれた。
ションボリとしていると、ポンっと頭にナギの手が乗った。
ナギ
「…もう治ったか?」
ヒロイン
「あ…うん…」
ナギ
「そうか…
今日はお前が楽しみにしてた花火大会だろ?
見に行けるように無理すんなよ?」
ヒロイン
「うん…」
ズキン…。
また胸が痛んだ。
(花火…見れるかな…)
ヒロインは、暗い表情になってしまう。
ナギ
「? どうした?
花火やめとくか?」
ヒロイン
「! んーん!
見る! ナギと絶対見る!!」
あまりにも必死に答えるので、ナギは吹き出してしまった。
ナギ
「ふっ…何だよ…
そんなに楽しみなのか?」
ヒロイン
「うん! だってナギと花火見るの初めてだもん!
朝ごはん食べたら、一番良く見えるトコ探しに行こう?」
ナギ
「…急に元気になったな?
その前にお宝情報を仕入れる事忘れんなよ?」
ナギにそう言われ、「そうだった」とおどけて見せたが
そこに笑顔は浮かんではいなかった。
(そうだ、ナギと花火を必ず見る!!)
ヒロインは心に固くそう誓った。
・・・・・・・・・・・・・
朝食は宿の食堂で取る事にした。
食堂に行くと、シリウスのメンバーが揃っており
ナギとヒロインの姿を見ると、それぞれが全く異なった反応を返した。
リュウガ
「よぉ! おめぇらが一番最後だったな?」
ソウシ
「いつも船だと早起きだから、陸地の時くらいゆっくりしたいよね?」
いつもと変わらないリュウガとソウシを余所に、
シンとハヤテ、トワは、明らかにいつもと違った。
シン
「………」
ハヤテ
「…はよ…」
トワ
「…おはようございます…」
不機嫌で暗い表情で2人を迎えた。
ナギ
「?」
きっとリュウガからヒロインがひとりで乗り込む事を聞いたのだろう。
ヒロイン
「あっ! ナギ!
この島の定番の朝食セットがあるよ!」
ヒロインははぐらかすように、ナギの気をそぐと
一緒に朝食を取りに行った。
ナギ
「…ヒロイン…」
ヒロイン
「ん?」
急にナギが立ち止まり、低い声を出した。
ナギ
「お前、昨日から何か隠してるだろ?」
ナギは堪らずに聞いた。
ヒロインの心臓は痛いくらいに跳ね、思い切り動揺してしまった。
ヒロイン
「かっ隠してなんかないよ!!
何でそんな事…」
ナギの事を見る事が出来ず、目が泳いでしまう。
(ど、どうしよ~~)
すると、意外な人物から声が掛かった。
シン
「ナギ! ついでにコーヒー持ってきてくれ」
ナギ
「………」
ナギは納得していない様な表情を浮かべ、歩きだした。
ヒロインはホッと胸をなで下ろした。
シン
「チッ…嘘もつけないヤツが、余計な事をしようなんてどうかしてる」
ソウシ
「シン!」
ナギの耳には届かないような声で、ヒロインに皮肉をぶつけるシン。
シンもハヤテもトワも賛成ではないのだろう。
身勝手な事とは分っている。
しかし非力な自分に何が出来るかは分らないが
皆がいてくれる事に、心が強くなる。
ヒロイン
「…ご迷惑を掛けます…
でも、行きます! スッゴク怖いけど…でもやってきます!!」
決意をしっかりと伝え、ヒロインはナギを追いかけた。
リュウガ
「な? すっげぇ頑なだろ?」
シン
「…バカ過ぎて話しになりません…。」
ハヤテ
「オレも…納得できねぇ…
なんでアイツがひとりで行くんだよ?
皆で乗り込んじゃえば早い事なのに…」
トワ
「僕も心配です!
ヒロインさんひとりで行くなんて…
僕がナギさんだったら、絶対嫌です!」
ソウシ
「…きっと考えがあるんだよ…
私達はサポートしてあげるしかないよ…」
それでも面白くないとでも言いたそうな表情を浮かべる3人に、
リュウガもソウシも「やれやれ」とタメ息をついた。
リュウガ
「さぁて…あのじゃじゃ馬
今度は何をしでかすつもりか…」
リュウガは頬杖をつきながら、ナギとにこやかに会話をしているヒロインを見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・
それから日暮れまでの時間はあっという間に過ぎて行った。
ナギと一緒に街を歩いて、花火の一番良く見える場所を探した。
たまたま声を掛けてきた街の女が、花火の観覧用の席を設けていると教えてくれた。
ナギとヒロインは、シリウスのメンバー分チケットを購入した。
それほどまでに大きなイベントで、この花火を見に
隣の島や国から来るものも多いという。
ヒロイン
「チケット取れてラッキーだったね?」
ナギ
「あぁ」
そんな他愛ない会話をしていたが、今から考えてみれば
ナギには分っていたのかもしれない。
その証拠にナギは手をずっと握っていてくれた。
山賊から守る為だったかもしれないが、どこかに行ってしまわないようにと
強く握りしめていてくれた様にも思える。
ヒロインは心を落ち着かせる為に、「ふぅ…」と深呼吸をすると
花火のメイン会場のすぐ側にある宿屋のドアを開けた。