fireworks
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ヒロイン
「ねぇねぇナギ!
見て見て!!」
その声に、少し前を歩いていたナギは振り返った。
そこには嬉しそうな笑顔を浮かべたヒロインが
店先に貼ってある貼り紙を指差していた。
今日から数日間、シリウス号はある港町に停泊する事になった。
宿泊先の宿も見つかり、それぞれが自由な時間を過ごしていた。
もちろん、ナギとヒロインは一緒に行動し
この島の珍しい食材を探しにきていた。
ナギ
「なんだ?」
ヒロイン
「花火!
明日、海から花火打ち上げるんだって!
そういえば、海の真ん中に大きく組んだイカダみたいなのあったよね?」
ナギ
「あぁ、あそこから打ち上げるのか…」
ヒロイン
「花火なんてヤマトの夏を思い出すなぁ」
ナギ
「そうか、ヤマトは夏になるとどこでも花火上げてるもんな?」
ヒロイン
「うん!」
嬉しそうに貼り紙を見つめるヒロインを見て、
ナギは「ふっ」と微笑んだ。
ナギ
「…見に行くか?」
ヒロイン
「! いいの?」
ナギ
「あぁ、明日の夜だろ?」
ヒロイン
「うん!! やった♡
嬉し~~~♪」
さらに笑顔を輝かせて、ヒロインはニコニコとナギを見つめてくる。
今ではこんな事は当たり前になっているが
それでも幸せを感じてしまう。
ナギも優しい笑みを浮かべながら、ヒロインを見つめていた。
???1
「…ナギじゃねぇか?!」
その声にナギの顔が一気に曇った。
ヒロインは聞いた事のない声だと思い、ヒョコっとナギの体の向こうにいる人物を覗いた。
???1
「や~ぱりな!」
???2
「懸賞首のお前が随分のん気に歩いてんじゃねぇか」
ヘラヘラと笑いながら、近づいてくる男達。
ナギがこんな険しい顔をするのは見た事がない。
ナギ
「…お前ら…」
???1
「なんだよ忘れちまったか?」
???2
「あーんなヒドイ事しておいて忘れる訳ねぇよな?」
ゲラゲラと笑い上げる。
ナギ
「…あぁ…忘れたくても忘れられねぇよ…」
ナギの表情と、男達の雰囲気からピンときた。
山賊時代の仲間だという事を。
山賊1
「あ? なんだお前、女連れてんのか?」
山賊2
「いい身分だな? 裏切りのナギのクセによ!
お嬢ちゃん、コイツの正体知ってんのか?」
突然話しを振られ、ヒロインはドキリとした。
すると、ナギの手が守るように
背中の後ろにヒロインを隠した。
ナギ
「…コイツに話し掛けるな」
山賊1
「あぁん? お前、仲間を裏切っておきながら
よく言うよな?」
ナギ
「チッ」
ナギは忘れもしなかった。
この男達こそが、ナギを貶めた張本人だ。
山賊2
「オイ、捕まえて海軍に引き渡しちまおうか?」
山賊1
「…そんな事より、もっとおもしれぇ事しようぜ?」
そう言って、ヒソヒソと耳打ちをしては
汚い笑みを浮かべている。
ナギ
「………」
ナギは目の前で何を言われようが何も感じなかった。
当時はまだ大人になり切れていなかった。
こういう連中が浴びせてくる言葉を全て真に受け、
全ての罪を擦り付けられ、ナギは心身ともに参っていた。
しかし、あれから何年も経ち
体も心も大人になり、最高の仲間と恋人にも出会えた。
その全てが、ナギの支えであり
守るべく物だと思っている。
だから、男らの戯言なんて
子供のケンカにしか思えなくなっていた。
山賊1
「オイ、ナギ!
聞いてんのかよ?
お前は小せぇ頃から愛想がねぇんだからよ?」
山賊2
「お前、シリウス海賊団なんだろ?
オレら金に困ってんだ、少し分けてくれねぇか?」
(…くだらねぇ…)
何年経っても変わらない男達の態度に
ウンザリした。
ナギ
「…お前らにやるものは何もない。
行くぞ?」
そう言ってナギはヒロインの手を取る。
山賊1
「オイオイ、少しは敬えよ?
お前の世話焼いたのはオレらだろ?」
ナギ
「…お前らに感謝する気持ちなんて微塵もない。
さっさと失せろ」
ヒロインは少し怖くなった。
こんな冷たい声で、怖い顔をしているナギはあまり見た事がない。
ナギが本当に嫌がっている事が分かる。
山賊1
「あぁん? テメぇ何だその口の利き方!?」
山賊2
「裏切り者の上に恩知らずなんて最悪だな?」
男達は立ち退かず、ナギを睨みつける。
ナギ
「…どけ…」
ヒロインはマズイと思った。
これ以上続けると、争いが始まってしまいそうな気がする。
ナギが負ける事はないと思うが、しつこいまでの挑発に
ヒロインはとっても嫌な予感がした。
何か企んでそうな…そんな目をしている。
ヒロインは繋いだナギの手をギュッと強く握った。
ナギ
「!?」
ナギはハッとして肩越しにヒロインを見つめた。
ヒロイン
「ナギ、行こう?」
不安そうに見上げてくる瞳に、ナギは冷静な感情が消えかかっていた事を気付かされた。
ナギ
「…あぁ…」
ナギは振り返り、男達を無視するかのように
反対の道へと歩き出した。
山賊2
「オイ!待てよ!!」
山賊1
「まぁいい… 面白ぇ事思いついたからよ?」
ニヤリと笑みを浮かべているが、
ナギもヒロインも気づきはしなかった。
・・・・・・・・・・・・
ヒロイン
「はぁ…ナギっ! ナギってば!!」
ヒロインの声がようやく届き、ナギは足を止めてくれた。
ナギ
「………」
過去とは決別したはずなのに、ちょっと挑発されただけで
過去に引きずり込まれそうになった。
真っ暗で、なんの光も見えない闇の中へ…。
前の自分だったら、あのまま殴り掛かって
騒ぎを大きくしていただろう。
ナギはゆっくりと振り返り、心配そうに見上げてくるヒロインを見つめた。
あの時ヒロインが手を強く握ってくれたお陰で
理性を取り戻した。
ヒロインの声があの闇を、あっけなく砕き去ってくれた。
ヒロイン
「…ナギ…大丈夫?」
ナギ
「…あぁ…
ごめんな? 怖かっただろ?」
ヒロインにはあの時代の自分を知られるのが嫌だった。
こんな風に心配してくれるヒロインや、仲間に会えたから
ナギは変われたが、あのまま誰とも出会わずにいたら…
きっと今でも、あの闇の中を歩き続けていたのだろう。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「! …なんだ?」
気を抜くと、あの感情に覆われてしまいそうだ。
ナギはヒロインの声に顔を上げた。
ヒロイン
「怖くなかったよ…?
でもナギが…」
ヒロインは堪らずにギュッとナギのシャツの裾を掴んだ。
ヒロイン
「ナギが心配だったの…
…あの…私も、みんなもいるからね?
ナギが怖かったり、嫌な事は、みんなで守るからね?
だから…」
ヒロインはそう言って、ギュッとナギに抱きついた。
ヒロイン
「ひとりじゃないから…」
ナギ
「ヒロイン…
…ありがとな…」
ヒロインの頭をそっと撫で、ナギは胸がジンと熱くなった。
いつだってそうだった。
ヒロインはいつも欲しい言葉をくれる。
今まで誰も言ってはくれなかった言葉を…。
そう思いながらも、ナギは「ゴホン」と咳払いをした。
ヒロイン
「?」
どうしたのかとナギの胸から顔を上げるヒロイン。
ナギ
「…ヒロイン…嬉しいんだが…
また後でな?」
ヒロイン
「え…?」
そう言われ、よくよく場所を考えてみると
道の真ん中で、ナギの事を抱きしめていた。
ヒロイン
「あっ!! ご、ごめんね!?」
道行く人達が、クスクスと笑っている。
ヒロイン
「は、恥ずかしい~。。」
ナギ
「ふっ…ほら、買い物の途中だろ?
行くぞ?」
顔を真っ赤にしているヒロインに笑い掛け、
ナギは少し先を歩く。
ヒロインには分っていた。
ナギの背中で分かる。
そしてヒロインは、ナギに追いついて
横に並ぶと、ナギの顔を覗き込むように言った。
ヒロイン
「ふふっナギ?
今結構照れてるでしょ?」
ナギ
「!!!?」
ヒロインが言ってくれた言葉が嬉しくて、冷静を装っていたが
見抜かれてしまった。
ヒロイン
「やっぱり!
クスクス…ナギの事、結構分ってるでしょ?」
面白そうに意地の悪い笑みを浮かべるヒロイン。
ナギ
「お前…」
ナギはグッとヒロインの首に手を回すと
ヘッドロックを掛けた。
ヒロイン
「やははっ! ごめんなさい!!
きゃ~」
全然痛くないヘッドロック。
ナギとこんな風にじゃれるのが、なんとも幸せだった。
ソウシ
「随分仲が良いね」
トワ
「ホントです~!
ナギさんがそんなになるとは意外です!」
薬品の瓶や袋を抱えたソウシとトワがそこにいた。
パッと腕が外れ、ナギもヒロインも
何事もなかったかのように、姿勢を正した。
ヒロイン
「あっ…ソウシさんもトワくんもお買い物終わったんですか??」
ナギとの事をはぐらかすように言った。
ソウシ
「ふふっ、しっかり見させてもらったから
ごまかせないよ?」
トワ
「はい!
ナギさんがニコニコしてギュ~~ってしてたの… ! っ痛っ!!」
ゴン☆
という鈍い音がしたかと思うと、トワが両手で頭を押さえていた。
ヒロイン
「! ナギ!!」
ソウシ
「…トワ、そろそろ学ばないとね…
ナギを怒らすと怖いって…ふふ」
トワ
「うぅ~…はい…」
涙目のトワ。
ヒロインはいつもと変わらないやりとりに
微笑んだ。
ナギは何も言わず、トワが両手いっぱいに抱えている荷物を抱え
宿に向かって歩き始めた。
トワ
「あっナギさん!
僕持ちますから!!」
ムスッとしているナギだが、本当は怒ってないのを知っている。
そういうナギの優しを知ってしまうと
『好き』という気持ちが大きくなる。
ヒロインはソウシと一緒に
ナギとトワの後を追って歩いた。
「ねぇねぇナギ!
見て見て!!」
その声に、少し前を歩いていたナギは振り返った。
そこには嬉しそうな笑顔を浮かべたヒロインが
店先に貼ってある貼り紙を指差していた。
今日から数日間、シリウス号はある港町に停泊する事になった。
宿泊先の宿も見つかり、それぞれが自由な時間を過ごしていた。
もちろん、ナギとヒロインは一緒に行動し
この島の珍しい食材を探しにきていた。
ナギ
「なんだ?」
ヒロイン
「花火!
明日、海から花火打ち上げるんだって!
そういえば、海の真ん中に大きく組んだイカダみたいなのあったよね?」
ナギ
「あぁ、あそこから打ち上げるのか…」
ヒロイン
「花火なんてヤマトの夏を思い出すなぁ」
ナギ
「そうか、ヤマトは夏になるとどこでも花火上げてるもんな?」
ヒロイン
「うん!」
嬉しそうに貼り紙を見つめるヒロインを見て、
ナギは「ふっ」と微笑んだ。
ナギ
「…見に行くか?」
ヒロイン
「! いいの?」
ナギ
「あぁ、明日の夜だろ?」
ヒロイン
「うん!! やった♡
嬉し~~~♪」
さらに笑顔を輝かせて、ヒロインはニコニコとナギを見つめてくる。
今ではこんな事は当たり前になっているが
それでも幸せを感じてしまう。
ナギも優しい笑みを浮かべながら、ヒロインを見つめていた。
???1
「…ナギじゃねぇか?!」
その声にナギの顔が一気に曇った。
ヒロインは聞いた事のない声だと思い、ヒョコっとナギの体の向こうにいる人物を覗いた。
???1
「や~ぱりな!」
???2
「懸賞首のお前が随分のん気に歩いてんじゃねぇか」
ヘラヘラと笑いながら、近づいてくる男達。
ナギがこんな険しい顔をするのは見た事がない。
ナギ
「…お前ら…」
???1
「なんだよ忘れちまったか?」
???2
「あーんなヒドイ事しておいて忘れる訳ねぇよな?」
ゲラゲラと笑い上げる。
ナギ
「…あぁ…忘れたくても忘れられねぇよ…」
ナギの表情と、男達の雰囲気からピンときた。
山賊時代の仲間だという事を。
山賊1
「あ? なんだお前、女連れてんのか?」
山賊2
「いい身分だな? 裏切りのナギのクセによ!
お嬢ちゃん、コイツの正体知ってんのか?」
突然話しを振られ、ヒロインはドキリとした。
すると、ナギの手が守るように
背中の後ろにヒロインを隠した。
ナギ
「…コイツに話し掛けるな」
山賊1
「あぁん? お前、仲間を裏切っておきながら
よく言うよな?」
ナギ
「チッ」
ナギは忘れもしなかった。
この男達こそが、ナギを貶めた張本人だ。
山賊2
「オイ、捕まえて海軍に引き渡しちまおうか?」
山賊1
「…そんな事より、もっとおもしれぇ事しようぜ?」
そう言って、ヒソヒソと耳打ちをしては
汚い笑みを浮かべている。
ナギ
「………」
ナギは目の前で何を言われようが何も感じなかった。
当時はまだ大人になり切れていなかった。
こういう連中が浴びせてくる言葉を全て真に受け、
全ての罪を擦り付けられ、ナギは心身ともに参っていた。
しかし、あれから何年も経ち
体も心も大人になり、最高の仲間と恋人にも出会えた。
その全てが、ナギの支えであり
守るべく物だと思っている。
だから、男らの戯言なんて
子供のケンカにしか思えなくなっていた。
山賊1
「オイ、ナギ!
聞いてんのかよ?
お前は小せぇ頃から愛想がねぇんだからよ?」
山賊2
「お前、シリウス海賊団なんだろ?
オレら金に困ってんだ、少し分けてくれねぇか?」
(…くだらねぇ…)
何年経っても変わらない男達の態度に
ウンザリした。
ナギ
「…お前らにやるものは何もない。
行くぞ?」
そう言ってナギはヒロインの手を取る。
山賊1
「オイオイ、少しは敬えよ?
お前の世話焼いたのはオレらだろ?」
ナギ
「…お前らに感謝する気持ちなんて微塵もない。
さっさと失せろ」
ヒロインは少し怖くなった。
こんな冷たい声で、怖い顔をしているナギはあまり見た事がない。
ナギが本当に嫌がっている事が分かる。
山賊1
「あぁん? テメぇ何だその口の利き方!?」
山賊2
「裏切り者の上に恩知らずなんて最悪だな?」
男達は立ち退かず、ナギを睨みつける。
ナギ
「…どけ…」
ヒロインはマズイと思った。
これ以上続けると、争いが始まってしまいそうな気がする。
ナギが負ける事はないと思うが、しつこいまでの挑発に
ヒロインはとっても嫌な予感がした。
何か企んでそうな…そんな目をしている。
ヒロインは繋いだナギの手をギュッと強く握った。
ナギ
「!?」
ナギはハッとして肩越しにヒロインを見つめた。
ヒロイン
「ナギ、行こう?」
不安そうに見上げてくる瞳に、ナギは冷静な感情が消えかかっていた事を気付かされた。
ナギ
「…あぁ…」
ナギは振り返り、男達を無視するかのように
反対の道へと歩き出した。
山賊2
「オイ!待てよ!!」
山賊1
「まぁいい… 面白ぇ事思いついたからよ?」
ニヤリと笑みを浮かべているが、
ナギもヒロインも気づきはしなかった。
・・・・・・・・・・・・
ヒロイン
「はぁ…ナギっ! ナギってば!!」
ヒロインの声がようやく届き、ナギは足を止めてくれた。
ナギ
「………」
過去とは決別したはずなのに、ちょっと挑発されただけで
過去に引きずり込まれそうになった。
真っ暗で、なんの光も見えない闇の中へ…。
前の自分だったら、あのまま殴り掛かって
騒ぎを大きくしていただろう。
ナギはゆっくりと振り返り、心配そうに見上げてくるヒロインを見つめた。
あの時ヒロインが手を強く握ってくれたお陰で
理性を取り戻した。
ヒロインの声があの闇を、あっけなく砕き去ってくれた。
ヒロイン
「…ナギ…大丈夫?」
ナギ
「…あぁ…
ごめんな? 怖かっただろ?」
ヒロインにはあの時代の自分を知られるのが嫌だった。
こんな風に心配してくれるヒロインや、仲間に会えたから
ナギは変われたが、あのまま誰とも出会わずにいたら…
きっと今でも、あの闇の中を歩き続けていたのだろう。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「! …なんだ?」
気を抜くと、あの感情に覆われてしまいそうだ。
ナギはヒロインの声に顔を上げた。
ヒロイン
「怖くなかったよ…?
でもナギが…」
ヒロインは堪らずにギュッとナギのシャツの裾を掴んだ。
ヒロイン
「ナギが心配だったの…
…あの…私も、みんなもいるからね?
ナギが怖かったり、嫌な事は、みんなで守るからね?
だから…」
ヒロインはそう言って、ギュッとナギに抱きついた。
ヒロイン
「ひとりじゃないから…」
ナギ
「ヒロイン…
…ありがとな…」
ヒロインの頭をそっと撫で、ナギは胸がジンと熱くなった。
いつだってそうだった。
ヒロインはいつも欲しい言葉をくれる。
今まで誰も言ってはくれなかった言葉を…。
そう思いながらも、ナギは「ゴホン」と咳払いをした。
ヒロイン
「?」
どうしたのかとナギの胸から顔を上げるヒロイン。
ナギ
「…ヒロイン…嬉しいんだが…
また後でな?」
ヒロイン
「え…?」
そう言われ、よくよく場所を考えてみると
道の真ん中で、ナギの事を抱きしめていた。
ヒロイン
「あっ!! ご、ごめんね!?」
道行く人達が、クスクスと笑っている。
ヒロイン
「は、恥ずかしい~。。」
ナギ
「ふっ…ほら、買い物の途中だろ?
行くぞ?」
顔を真っ赤にしているヒロインに笑い掛け、
ナギは少し先を歩く。
ヒロインには分っていた。
ナギの背中で分かる。
そしてヒロインは、ナギに追いついて
横に並ぶと、ナギの顔を覗き込むように言った。
ヒロイン
「ふふっナギ?
今結構照れてるでしょ?」
ナギ
「!!!?」
ヒロインが言ってくれた言葉が嬉しくて、冷静を装っていたが
見抜かれてしまった。
ヒロイン
「やっぱり!
クスクス…ナギの事、結構分ってるでしょ?」
面白そうに意地の悪い笑みを浮かべるヒロイン。
ナギ
「お前…」
ナギはグッとヒロインの首に手を回すと
ヘッドロックを掛けた。
ヒロイン
「やははっ! ごめんなさい!!
きゃ~」
全然痛くないヘッドロック。
ナギとこんな風にじゃれるのが、なんとも幸せだった。
ソウシ
「随分仲が良いね」
トワ
「ホントです~!
ナギさんがそんなになるとは意外です!」
薬品の瓶や袋を抱えたソウシとトワがそこにいた。
パッと腕が外れ、ナギもヒロインも
何事もなかったかのように、姿勢を正した。
ヒロイン
「あっ…ソウシさんもトワくんもお買い物終わったんですか??」
ナギとの事をはぐらかすように言った。
ソウシ
「ふふっ、しっかり見させてもらったから
ごまかせないよ?」
トワ
「はい!
ナギさんがニコニコしてギュ~~ってしてたの… ! っ痛っ!!」
ゴン☆
という鈍い音がしたかと思うと、トワが両手で頭を押さえていた。
ヒロイン
「! ナギ!!」
ソウシ
「…トワ、そろそろ学ばないとね…
ナギを怒らすと怖いって…ふふ」
トワ
「うぅ~…はい…」
涙目のトワ。
ヒロインはいつもと変わらないやりとりに
微笑んだ。
ナギは何も言わず、トワが両手いっぱいに抱えている荷物を抱え
宿に向かって歩き始めた。
トワ
「あっナギさん!
僕持ちますから!!」
ムスッとしているナギだが、本当は怒ってないのを知っている。
そういうナギの優しを知ってしまうと
『好き』という気持ちが大きくなる。
ヒロインはソウシと一緒に
ナギとトワの後を追って歩いた。
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