シュガー☆ソウル
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夜になり、不寝番のナギは見張り台にいた。
しかし今日はひとりではない。
ヒロインが一緒に行くと言ってついてきた。
珍しく頑なに言うので、ナギも仕方なく返事をした。
ヒロイン
「やっぱり夜は少し冷えるね?」
ナギの横に立って、ヒロインは「すぅ」っと息を吸った。
ナギ
「…お前いいのか?
こんなトコで寝ると体痛くなるぞ?」
ヒロイン
「うん、平気!
それに…今日はナギと話ししたかったから…」
ナギ
「話し…?」
見下ろすと、嬉しそうに微笑んで見上げているヒロインがいた。
ヒロイン
「うん!コレ…」
そう言って取り出したのは、朝見た金平糖の入った瓶だった。
ナギ
「…お前、もうそんなに食ったのか?」
持っている瓶には、金平糖が数粒しか残っていなかった。
ヒロイン
「んーん、皆にもお裾分けしたの!
これスッゴイおいしいの!」
ナギ
「金平糖なんて、どれも同じ味だろ?」
ヒロイン
「ん~… そうかもだけど、なんかもっと美味しい気がする…
あんな夢見たからかな…」
その言葉に、ナギはピクリと反応した。
今朝もそんな事を言っていたが、一体どんな夢だったのだろう…。
気になっているものの、聞き出せずにいたナギ。
チラリとヒロインを見ると、瓶から金平糖を取り出して食べる所だった。
そして思い出すかのように話し出した。
ヒロイン
「あのね? …私、小さい頃よくいじめられててね?」
ヒロインは、小さい頃の話しを懐かしそうに話した。
そういえば、小さい頃の話しなんてあまり聞いた事がない。
聞けば聞くほど、あの山道で会った女の子じゃないかと
確信せざるえなくなってくる。
そしてそんな中、不思議な出会いをした一日の話しになった。
自分以外の出会いは、初めて聞いたが
やはりシリウスのメンバーとしか思えない。
こんな偶然、あるだろうか…。
でも、ナギが一番聞きたかったのは、次の日の事だった。
いじめてくる男の子に、ちゃんと言い返せただろうか?
もっとヒドイ事をされてはいないだろうか…?
初めて会った女の子なのに、そんな心配をずっと抱いていた。
ヒロイン
「でね? 次の日になってね?」
ナギの胸はドキリとした。
ナギ
「…金平糖なくなっちゃったんだろ?
ちゃんと言い返せたのか?」
黙って聞いていたナギは、堪らずに口を挟んだ。
ヒロインは、そこまで詳しく話していないのに
何で知っているのかと驚いた。
しかしすぐに笑顔になった。
ヒロイン
「…ふふっ、ちゃんと言い返せたよ?」
ヒロインはまたポリッと音を立てて、金平糖を食べる。
ヒロイン
「次の日になって、学校に行くのスゴクスゴク嫌だったんだけど
よく考えてみたの…
そしたら、イジメてくる男の子よりも港で会ったヒゲの男の人も初めは怖かったし
眼帯の男の子なんて、初めホントに怖かったし…
名前忘れちゃったけど、金髪の男の子の存在も心強かったし
それに…」
ナギ
「それに…?」
『山賊に会ったのが怖かった』なんて言われたら、
分っていながらも、さすがにショックだ。
ヒロイン
「それに、絶対暗くなってから入っちゃダメって言われてる山道に
ひとりで入ったんだもん!
それ以上に怖い事なんてないって思ったの!」
ヒロインが口にしたのはそれだけだった。
それに今話してきた話しに、ナギは登場していない。
山道で山賊に会った話しは出てこない。
他のメンバーと思わしき思い出は残っているのに、
自分との思い出は忘れてしまったのだろうか…。
もう過去の事なのに、ナギは寂しくて
『オレがあの時、お前を背負った男だ』と
今にも口に出してしまいそうだった。
しかしナギはそれを飲み込んだ。
そして、あの日以降イジメられる事はなかったと聞き
それだけで良かったのだと、必死になった自分を少し恥ずかしく思った。
すると、また横からポリッという音が聞こえた。
ナギ
「…お前、まさか全部食う気じゃねぇだろうな?」
ヒロイン
「ん?」
瓶にはもう1個しか残っていない。
ナギ
「…他のヤツらには、ちゃんと渡してるのに
何でオレだけくれねぇんだよ?」
少し拗ねた顔をするナギ。
ヒロインは、その顔が可愛くて
思わず微笑んだ。
そして空を見上げた。
ヒロイン
「今日も星がいっぱい!」
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「ねぇナギ知ってる? 空にも金平糖があるコト…」
ナギ
「!!!」
ナギは驚いて目を見開いた。
ヒロイン
「あのね? あの金平糖はずっとあるんだよ?
朝になっても見えないだけであるの!
だから、なくなっても平気なの…」
嬉しそうに空を見上げるヒロインの横顔を見つめた。
やっぱりあの子だ。
ヒロインは忘れずにいてくれた。
ナギは嬉しくて、ヒロインの腰に手を回し
グッと自分の胸へと抱き寄せた。
ヒロイン
「わっ! ナギ、どうし…」
ナギ
「…やっぱりお前だったんだな…?」
ヒロイン
「?」
何の事か分らずに、ナギの胸に顔を埋めていると
アゴに手が掛かり、グッと上を向かせられた。
ナギ
「…やっと言える…」
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「…ありがと…な?」
ヒロイン
「???」
「?」マークがいっぱい頭に浮かんでいるヒロイン。
ナギは優しく微笑んだ。
ナギ
「…オレは空の星だけじゃ満足しねぇんだけど?」
ヒロイン
「え?」
繰り出される言葉に、全くついて行けず
キョトンとしていると
抱えていた瓶から、最後の金平糖を取り出すナギ。
ヒロイン
「それ…最後の一個…」
ナギ
「!?
お前、まさかホントにオレにはくれねぇつもりか?」
ナギ自身、そこまでして金平糖を食べたいわけではないが
ここまでもらえないと、さすがに悲しくなってくる。
ヒロインはニッコリ笑うと、ナギの手から金平糖を取った。
ヒロイン
「…ナギには、もっと甘いのあげたかったの…」
ナギ
「ん?」
すると、金平糖を口に挟み
ゆっくり目を閉じるヒロイン。
ナギは「ふっ」と笑った。
ナギ
「あぁ、甘そうだな…」
ふわっとナギの唇が重なると、金平糖の柔らかな甘さより
もっと甘い、痺れるような感覚が体に走った。
ヒロイン
「はぁ…ナギ?」
ナギ
「ん?」
唇が離れると、ヒロインはゆっくりナギを見つめた。
ヒロイン
「…今日は星…いっぱい出てるから、私勇気出して言うね?」
ナギ
「!?」
急な展開にナギは胸がドキリと鳴った。
金平糖が魔法の薬だなんて、子供騙しのリュウガの言葉が
今になって、大人のナギをドキドキさせている。
するとヒロインは、とびきりの笑顔を見せてナギに言った。
ヒロイン
「ナギ、大好き♡
ずっとず~っと大好きだよ?」
チュッと背伸びをしてキスをしてきた。
不意をつかれたナギは、思いっきり照れた顔をして言い返した。
ナギ
「アホ… とっくに知ってる…」
何年も前に出会っていた2人。
今日もあの日と同じような星空の下で、恋人同士としての時間を過ごしている。
それはナギだけが気付いた。
甘い甘い昔話し。
次の流れ星が落ちてくるまで、2人はそっと唇を寄せた。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒