シュガー☆ソウル
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上機嫌でスキップをしていると、少し先を行ったところに
制服を着た男の子の集団がいた。
この辺りでは見かけない制服で、制服を着ていると大人っぽく見えるが
今考えると、まだ14、5の男の子だったと思う。
男の子1
「なぁなぁここの港って、山も近いしこの図だけじゃ分かんねぇよ…」
男の子2
「地形の授業って、オレ苦手…」
道に座り込んだり、笑い声を上げている男の子たちが
なんだかとっても大人に見えて、その横を通るのが怖かった。
しかし、そこを通らなければ
また来た道を引き返さなくてはならない。
日は段々と傾きかけている。
ヒロインはギュッと瓶を抱きしめて、怯えながら歩いていると
目の前に男の子が立ちはだかった。
ヒロイン
「!!!」
男の子
「オイお前!」
ヒロインは「ひっ!」と声を上げて、ビクッと体が跳ねた。
ゆっくり顔を上げると、そこには片目に眼帯を掛けた男の子が立っていた。
眼帯の男の子
「海の近くに洞窟がある場所、知っているか?」
突然思いもよらない事を聞かれ、色んな洞窟が頭に浮かび
どう答えようかパニックになりそうだった。
眼帯の男の子
「聞いているのか? お前に言ってるんだぞ?」
冷たくキツイ口調に、怒られているようで
ヒロインは泣きたくなってきた。
男の子1
「そんなガキに聞いたって無駄だって!」
男の子2
「そうそう! お前の事怖がってるんじゃねぇの?!」
近くにいた男の子たちが面白そうに笑ってる。
ヒロインは一刻も早くこの場からいなくなりたいと思い、
眼帯の男の子の横を走り去ろうとした。
すると突然ガシッと腕を掴まれた。
ヒロイン
「は、はなしてぇ」
怖くて怖くて涙が溢れてきた。
眼帯の男の子
「…オレの話しを無視するなんていい度胸してるな?
そうやって逃げるのも、無視するのもやめろ。
お前には口があって、言いたい事が言えるだろ?」
眼帯の男の子の言っている意味がすぐに分らず、
ヒロインは大粒の涙をボロボロとこぼした。
ヒロイン
「ヒッ…ごめんなさぁい~ヒック」
眼帯の男の子
「チッ…だから泣く話しじゃねぇだろ!?
オレは洞窟を聞いているんだ!
知ってるのか知らねぇのか、どっちだ?!」
大きな声に怯えながらも、ヒロインは涙声で答えた。
ヒロイン
「グズッ…しってる…」
眼帯の男の子
「言えるじゃねぇか…」
すると掴んでいた手が緩み、眼帯の男の子はポンッと頭に手を置いてきた。
眼帯の男の子
「場所教えてくれるか?」
ヒロイン
「…でも、もうお家に帰らないと怒られちゃう…」
暗くなり始めた空を見上げ、眼帯の男の子は言った。
眼帯の男の子
「そうか… だったら、場所を言ってくれないか?
地図の解読が出来なくて困ってる」
そう言って広げた地図を渡してきた。
渡された所で、これが何なのかも分らないし
どっちが上でどっちが下かも分らない。
ヒロイン
「………」
男の子1
「何やってんだよ! 時間の無駄だって!」
眼帯の男の子
「バカめ、地元の子供はこういう所が遊び場になってるんだよ!
大人なんかに聞くより、よっぽど早い」
眼帯の男の子の言った『遊び場』という言葉でピンときた。
ヒロイン
「…上手く言えないから、ついてきて?」
ヒロインはそう言うと走り出した。
はたから見れば、制服の男の子たちに追いかけられている女の子に見えたのかもしれない。
何事かと通りすがる街の人たちが
怪訝な顔をして見ている。
眼帯の男の子
「オイお前! 走るの遅いからこっちにこい!」
ヒロイン
「!!」
いきなりふわっと体が浮いたかと思うと、眼帯の男の子の腕に抱き上げられていた。
眼帯の男の子
「オイ! 次はどっちだ!?」
ヒロイン
「あ、あっち! あの大きい岩の向こう側」
今日は知らない男に何度こうして抱き上げられたのだろう。
父親がいないヒロインは、こうして抱き上げられる事に慣れていない。
隣に住んでるおじさんか、近所に住んでいる年上の男の子にしてもらうくらいだ。
ヒロインは落とされないように、ギュッと眼帯の男の子に抱きついた。
それから5分程して、ようやく洞窟に着いた。
眼帯の男の子
「はぁはぁ…ここか?」
ヒロインを降ろすと、肩で息をしながら聞いてきた。
ヒロイン
「うん、ここはいつも海の中なの…」
眼帯の男の子
「海の中?」
ヒロイン
「うん…海のお水がいっぱいになると隠れちゃうの」
ヒロインの言葉を聞いて、眼帯の男の子はタメ息をついた。
眼帯の男の子
「はぁ…先生も随分と意地悪な課題を出したな…
引き潮じゃないと現れない洞窟を探せという事か…」
タメ息をついている姿を見て、ヒロインは間違ったのかと不安になった。
その表情を見て、眼帯の男の子が腕組みをしながら話し掛けてきた。
眼帯の男の子
「...ありがとな?」
ヒロイン
「え?! ここであってたの?」
眼帯の男の子
「あぁ、これで課題がクリアーできそうだ。」
いくつかの班に分かれてこの場所を探すのが課題だったという。
ヒロイン
「…よかったぁ」
ニッコリ笑うその笑顔がとても可愛く思えた。
ヒロインが一番初めにとった行動のように、大抵の子供は怖がって近寄ってこない。
こうして笑顔を向けられたのは、いつ以来だろう…
眼帯の男の子
「お前、家に帰らなくて平気なのか?」
ヒロイン
「あぁ!そうだ!!
母さんに怒られちゃう!」
そう言って、走り出そうとした。
眼帯の男の子
「待て! 岩場は足が滑るから気をつけろ!」
ヒロイン
「うん! …あっ!
お兄ちゃんは大きくなったら何になるの?」
この制服を着ているのに分らないのだろうか…。
眼帯の男の子は面倒臭そうに言った。
眼帯の男の子
「航海士だ。
この制服で分かるだろ?」
ヒロイン
「…こうかいし…?」
よく分っていない反応に、青年はまた深いタメ息をついた。
眼帯の男の子
「…そうだな…お前がいつか船に乗る時が来たら
その時はオレが舵を取って、お前を行きたいトコに連れてってやる」
ヒロイン
「ホント!? 船乗った事ないから嬉しい!」
眼帯の男の子は、その場しのぎの嘘をついた。
もう二度と会う事はないだろう。
ヒロイン
「でも…お兄ちゃんの事、見つけられるかな…」
眼帯の男の子
「…フン、縁があったらまた会える」
眼帯の男の子は、さっさと課題を済ませたい気持ちが強く
ヒロインとこんなおしゃべりをしている暇はなかった。
眼帯の男の子
「もぅいいか? 暗くなる前にさっさと帰れ」
冷たくそう言うと、ヒロインは急いで瓶の蓋を開けて
眼帯の男の子に差し出した。
眼帯の男の子
「…なんだ?」
ヒロイン
「コレ、取って?
魔法の薬なの!」
眼帯の男の子
「…ただの金平糖だろ?」
ヒロイン
「んーん、また会えるように…
どこかでまたコレを見かけたら思い出してね?」
眼帯の男の子が金平糖を取るまで動かない!と言った頑固な顔をしている。
仕方なく眼帯の男の子は手を入れて、粒を取り出した。
ヒロイン
「ふふっ、お兄ちゃん甘いもの好きでしょ?」
眼帯の男の子
「!!? …何故だ?」
誰にも話していない事なのに、初対面のヒロインにあっさりと見抜かれてしまった。
ヒロイン
「だって、いっぱい取ったから!
じゃあバイバイ!」
眼帯の男の子
「チッ」
手に掴んだ金平糖をその場に投げ捨てようかと、腕を振り上げた。
しかし岩場を歩いていくヒロインの後ろ姿を見て、
眼帯の男の子はポリッと一粒口に入れた。
今日は課外授業だった為、朝から甘いものを食べていなかった。
なんの変哲もない金平糖が、いつも以上に美味しく感じた。
制服の男
「おーいシンー!
洞窟の中入るぞー!」
同級生の声が聞こえ、シンは歩き出したものの
こんなに美味しいものだったかと頭を傾げた。
シン
「…まさかホントに魔法の薬…
……な訳ないな…」
そう言いながらも、洞窟へ戻るまでに
もらった金平糖は口の中で溶けていった。