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夕食の片付けが終わると、ヒロインは甲板に出て
外の風に辺りに行った。
舳先の特等席で、満天の星空を見上げるのがヒロインの楽しみだった。
あまり夜に甲板を歩いていると、「落ちたらどうする」とメンバーに怒られるところだが
シリウス号の舳先には、柵がついており
よっぽど覗きこまない限り落ちる心配はない。
その為、この場所だったら少しの時間出ていいとお許しが出ている。
ヒロイン
「うわぁ~今日もいっぱいだぁ~」
空を見ながら歩いていると、ふと舳先に誰かが立っているのが見えた。
ヒロイン
「あれ? エドさん?」
エドモンドは手すりに腕を置き、空を見上げていた。
エドモンド
「やぁヒロイン!」
ヒロイン
「エドさんも空を見てたんですか?」
エドモンドの横に立って、同じように空を見上げた。
エドモンド
「あぁ…素晴らしいな…
こんなに星が輝いていて! 流れ星を3回も見たぞ!?」
チラリとエドモンドの横顔を見ると、子供の様にキラキラと目を輝かせている。
ヒロイン
「ふっふふ」
エドモンド
「? どうした?」
ヒロイン
「クスクス…エドさん、小さい子みたいです!」
エドモンド
「な、何!? お前の方がひとつ年下だろう!」
少し怒った顔をしたが、照れ隠しにしている事が見え見えだ。
ヒロイン
「ふふっはい! そうでした!」
隣で笑うヒロインに、エドモンドは胸がドキドキと鳴り出した。
会えるだけでいいと思っていたのに、こんなに近くにいると思うと
それだけでは済みそうにない。
ナギの様に抱き寄せたりしたら、ヒロインはどんななのだろう。
どんな顔をして、どんな反応をするのだろう。
エドモンドはまたとないチャンスに、ゴクリと喉が鳴った。
そんな視線に気付かないヒロインは、エドモンドに話しかけた。
ヒロイン
「エドさん、あれからお母様にはお会いになったんですか?」
突然ヒロインと目が合い、エドモンドは見つめていた事がバレてしまったかと
慌てて話しを返した。
エドモンド
「あっあぁ! 母上とは…
そうだ!お前に礼を言いたかったのだ!
お前と作ったクランベリーのマフィン、
母上が喜んでな!
お前に会いたかったと言っていた!」
ヒロイン
「そうですか! よかったぁ」
エドモンド
「あの日以来、母上にも都合が合えば会いにも行けるし
城の雰囲気も大分変ったぞ?」
嬉しそうに話すエドモンドを見て、本当に良かったとヒロインも微笑んだ。
ヒロイン
「はい! エドさんの表情を見れば分かります♪」
エドモンド
「お前のお陰だ…」
ヒロイン
「そんな! 私は何も…」
エドモンド
「いや、お前に会えたからだ…
今までの私は、自分の意思で唯一出来る女遊びで
無駄な時間を過ごしていた」
エドモンドは自分で作り上げていた壁に、周りの者を一切寄せ付けず
亡き父の姿を必死で追いかけようと、全てを捨てて言われるがままに生きてきた。
しかしシリウス海賊団と会って、ヒロインと会って
それではいけないと、エドモンドは新しい自分を見つけたのだった。
エドモンド
「考えたら、本気で私と結婚しようと身を捧げた女もいたかもしれない…」
エドモンドは申し訳なさそうな顔をして、今まで自分がしてきた事を話してきた。
ヒロイン
「…でも…もう今は違うじゃないですか!
そう思えるだけで、前とは違うはずです!
それに、こんなエドさん初めて見ますもん!ふふっ」
海賊の格好をして、長めの髪は後ろでキュッとひとつに結んでいる。
それでもどこか気品が漂い、パッと目の引くこの雰囲気はなんだろう。
こんな格好をしていても、どこの女も飛びついてくるだろう。
エドモンド
「!? 似合ってないか?」
ヒロイン
「いえ! 海賊のエドさんもとっても素敵です!」
エドモンドの胸はキュンと締めつけられた。
やっぱり欲しい。
このまま黙って帰るなんて、出来るはずがない。
エドモンドはそっとヒロインの手を取った。
ヒロイン
「? エド…さ…」
エドモンド
「ヒロイン、お前ナギの事はどう思ってる?」
ヒロイン
「ど、どうって…」
エドモンド
「ナギと一緒にいて幸せか?
さっきのように不安がったり、言い合ったり…
そんな事私だったらさせない!
ヒロイン、私と一緒に来ないか?」
突然の事にヒロインは驚いた。
ヒロイン
「え…な、なんですか?」
するとギュッと抱きしめられた。
ナギとは違う、細い体に違う香り…。
ヒロイン
「ちょっエドさっ!」
エドモンド
「…お前をひと目見れればいいと思ってた…
だがダメだ。
もう気付いてしまった。」
ヒロイン
「え?」
エドモンド
「ヒロイン…国王でもなんでもない…
ひとりの男として言う。
お前が好きだ」
生まれて初めての告白をしたエドモンド。
全身が心臓にでもなったかのように、ドクドクとうるさいくらいに鼓動が響く。
答えなんかとっくに分かっている。
なのに何で緊張する必要があるのだろう…。
なかなか帰って来ないヒロインを探しに来たナギは、
エドモンドの告白を偶然にも聞く形となってしまった。
「オレのものだ!」と割って入ろうかとも思ったが、
エドモンドの本気の想いを邪魔するのに気が引けた。
ヒロインがしたいようにして欲しいと思った。
強引に連れ戻すのではなく、ヒロインの意思で自分を選んで欲しい。
決してどうでもいい訳ではない。
もしこれでエドモンドを選んだら、すんなり諦める事なんて出来るはずがない。
ヒロインの本心をこうして聞くしかできないだけの
ただの臆病者だ。
(…チッ…情けねぇ…)
影に隠れて、ナギはそっと様子を伺った。
ヒロイン
「…そうですね…
確かに不安になったり、心配したり…
面倒臭いですよね…」
その言葉にナギはハッと目を見開いた。
胸の奥が潰れそうに痛んだ。
(ヒロインの本心か…?)
そんな風に思っているなんて知らなかった。
どんなに不機嫌な態度をとっても、いつも歩み寄ってくれて
話し合って、仲直りして…
甘えていたのだろうか?
ヒロインはずっと自分の事を好きでいてくれると…
さっき部屋で寄り添っていたが、夢だったのではないかと思えてしまう。
ヒロインは相変わらずエドモンドに抱きしめられたまま
話し続けた。
ヒロイン
「…エドさんは、私のどこを好きになってくれたんですか?」
エドモンド
「ん? そうだな…
お前は気づかせてくれた。
自分しか見えていなかった私に、周りをもっと見るようにと…」
するとヒロインはそっと顔を上げた。
ヒロイン
「それは…私じゃないですよ?
ナギが…」
エドモンド
「いや、お前が教えてくれた。
この私に…」
エドモンドの顔が近づく。
なぜヒロインは拒まないのだ。
堪られなくなり、身を乗り出そうとした瞬間。
物凄い轟音が響き、シリウス号の側で水柱が立った。
ヒロイン
「きゃあぁ!!」
エドモンド
「なんだ!!?」
ナギ
「ヒロイン! エドと船内へ走れ!!」
ヒロイン
「ナ、ナギ?!」
ナギ
「急げ!!!」
突然の事で何もかもがパニックだ。
何故ナギがそこにいるのか?
しかしヒロインには何が起きたかすぐに分かり、
ナギの言う通りエドの手を引っ張って船内へと走り出した。
すると勢いよくリュウガが甲板へと飛び出してきた。
リュウガ
「ナギ! 見えるか!?」
ナギ
「いえ! まだ距離がありそうです!!」
リュウガ
「ったく、面倒臭せぇなぁ…
船に砲弾ブチ込む事も出来ねぇって事は海軍じゃねぇな…
その辺の三流海賊か?」
ヒロインはリュウガの声に足を止めそうになったが
ナギの言う通り船内へと階段を下った。
エドモンド
「ヒロイン! 何事だ?」
ヒロイン
「襲撃です! これから恐らく海賊が沢山乗り込んできます!!
だからエドさんは隠れていてください!」
エドモンド
「どうしてだ? 私も戦うぞ!?」
シン
「国王が海賊船に乗って負傷したなんてなったら
オレ達がどんな罪に問われると思ってるんだ」
背後からシンの冷たい声が聞こえた。
ヒロイン
「…というより、国王様が万が一命を落としたなんて事になったら…」
シン
「そういう事だ。 身の程を知れ!」
シンは銃に弾を詰め、ガチャリと音を立てながら
甲板へと歩いて行った
エドモンド
「アイツも同じ立場のクセに…」
ヒロイン
「シ、シンさんは、慣れているというか…
でも隠れていましょう!
私も足手まといにならないように隠れます!」
そう言ってエドモンドと倉庫へと身を隠した。