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エドモンドがシリウス号に乗ってから3日経ったある日の事。
ヒロインはいつものようにカゴに入った洗濯物を
トワと一緒に2階のデッキに張り巡らされたロープへ干しに来た。
ハヤテ
「よっしゃ! オレの勝ちぃ~!!」
エドモンド
「クッ! 卑怯だぞ!!」
甲板の掃除をしているハヤテとエドモンド。
どうやらデッキブラシで競争をしていたらしい。
2階から微笑ましく眺めていた。
ヒロイン
「あの2人、スッゴイ仲良くなってるね」
トワ
「はい! エドさん全然弱音吐かないですし、国王様なのに気どってないし…」
トワの言う通りだ。
きっと「出来ない」や「なんでそんな事…」と仕事を嫌がるだろうと誰もが思っていたが
エドモンドはどんな仕事も嬉しそうに目を輝かせて働いた。
初めこそ険悪なムードだったが、ハヤテとエドモンドはとても気が合うようだ。
ヒロイン
「ホント! なんか子供みたい…クスクス」
きっと城では周りの人が全てしてくれているだろうに
わざわざ苦労を買って出るなんて…
ヒロインはエドモンドの人柄に感心していた。
トワ
「あっ! でもヒロインさんは気をつけてくださいね?」
ヒロイン
「? どうして?」
トワ
「だってエドさん、ヒロインさんの事好きで…」
トワが心配そうにそう言う。
ヒロイン
「もぉ…だから無いってば!
ナギもそう言ってくるけど、国王様だよ?
私なんかを好きな訳ないよ」
トワ
「…そうでしょうか…」
恋愛経験の少ないトワにだって分かる。
エドモンドが、ヒロインを好きな事くらい…
今日まで目立った行動はしていないが、ヒロインを見つめる視線は
自分もヒロインに対して抱いた事のある感じの目だ。
ヒロインをあぁやって見つめた事に覚えがある。
きっとエドモンドも一緒だろう。
『ただそれだけで満足』という事。
もちろんナギのような存在になれたら嬉しいが、エドモンドの立場上
自分の気持ちを優先すればヒロインに迷惑が掛かる事くらい分かっているのだろう。
トワ
「エドさん…お城ではまだ前の様に窮屈な生活を送っているのでしょうか…」
トワの寂しそうな声に、ヒロインもエドモンドを見つめた。
ソウシ
「そんな事ないと思うよ?」
トワ
「ソウシ先生!」
ヒロイン
「ソウシさん!」
振り向くとにこやかな笑顔を浮かべたソウシが立っていた。
ソウシ
「今日は天気が良くて気持ちいいね!
洗濯物もよく乾きそうだ」
空を見上げた後、デッキにいるハヤテとエドモンドを見つめた。
ソウシ
「エドは…きっとお城でも同じように過ごしてるはずだよ?」
トワ
「分かるんですか?」
ソウシ
「う~ん… 多分…だけどね?
今回この船に乗ってきたのだって、本当だったら周りの人たちが大反対したはずだよ?
それでもこの船に来たって事は、単なる我がままだけじゃないと思う。
だって、あんなに沢山食材を持ってきてくれたり
私にくれた論文もそうだけど、エドの周りの人たちも協力して
エドに自由な時間をあげようとしたって考える方が自然じゃない?」
ソウシに言われて確かにと思った。
船に乗ってきたエドは以前とは表情も態度もまるで違う。
自信を帯びた雰囲気は、ただの『国王』という名前の威力だけでなく
内面から出るものだ。
たった3ヶ月程度しか経ってないのに、この変わりようは驚きだ。
ヒロイン
「…そうだったら、素敵です!
エドさんの気持ちと周りの方たちの気持ちが繋がるなんて
そんな素敵な事ってないです!!」
ヒロインは笑顔の溢れた城の様子を思い浮かべて、嬉しくなっ
た。
ソウシ
「ふふっ本当だね。
でも、そういう風にエドを変えさせたのは…」
ヒロイン
「?」
ソウシの何か言いたげな視線を感じ、ヒロインはキョトンとした表情をした。
ソウシ
「あははっそういうヒロインちゃんだから、また会いたくなったんだろうね?」
自分がエドモンドにどれだけの事をしたか丸で分かっていない。
エドモンドにとってヒロインとの出会いは、人生を変える程の大きな出来事だというのに…。
(それを言うならナギも…私たちも…かな?)
尚も?マークを浮かべながら首を傾げているヒロイン。
ソウシはポンッと頭を撫でると、優しく微笑んだ。
ソウシ
「まぁ、いる間は存分に楽しませてあげよう?」
トワ&ヒロイン
「「はい♪」」
同時に出た言葉に、トワもヒロインも
そしてソウシも一緒に顔を見合わせて笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
夕食の時間が近づき、ナギとヒロインはキッチンで忙しく準備をしていた。
ナギ
「ヒロイン、コレ皮剥いてくれるか?」
ヒロイン
「うん!」
なんだか機嫌のいいヒロインに、ナギも嬉しそうに聞いた。
ナギ
「なんかいい事あったのか?」
ヒロイン
「うん!」
ナギ
「そうか…」
何でそんなにも嬉しそうな顔をしているのかは知らないが
ヒロインの笑った顔を見るのは、なんとも癒される。
少し鼻歌まじりで皮むきをしているその姿が可愛くて、
ナギも小さく笑った。
ヒロイン
「? ナギどうしたの?」
ナギ
「ふっ、お前なんだか嬉しそうだな?」
ヒロイン
「うん! だって…ホントかどうかは分からないけど
そうだったら素敵だなって、考えたら嬉しくて♪」
ナギ
「? 何の話だ?」
ヒロイン
「エドさんのお城の話!
ソウシさんが、前のような冷えた関係じゃなくて
エドさんの為に皆が動いてくれてるんじゃないかって!
気持ちが繋がったんじゃないかって…!」
ナギ
「…それで機嫌よかったのか?」
ヒロイン
「うん! だってやっぱり嬉しいよ!」
ナギは「はぁ…」とタメ息をついた。
ヒロイン
「…ナギ…怒った?」
つい思っている事をそのまま話してしまったが、他の男の話しを聞いて
ナギが面白い訳はない。
ナギ
「…まぁ…そうだな…
お前はそういうヤツだもんな…」
ヒロイン
「え?」
ナギはパタリと包丁を置くと、ヒロインの方に向き直った。
ナギ
「人の事…そうやって自分の事のように喜べるって
お前のいいトコだって思ってる。
エドの事で喜んでるのはいい気はしねぇが…」
ナギは平気な顔をしてそう言っているが、
ものすごく嬉しい事を言われ、ヒロインは思わずボッと顔が熱くなった。
ヒロイン
「…ナギ…」
ナギ
「? なんだ?顔赤いな…
熱でもあんのか?」
オデコにそっと手を当ててくる。
ヒロインはナギを見上げた。
ヒロイン
「熱…ないよ?
ナギが嬉しい事言ってくれたから…」
ヒロインの顔が自分を意識して、熱っぽく色気が漂っている。
ナギは堪らなくなり、オデコに当てた手でヒロインの腕を掴んだ。
ナギ
「…お前…そういう顔、オレが喜ぶって知ってるか?」
ヒロイン
「え? あ…ちょっナギっ!」
ナギ
「うるせー、もう3日もしてねぇんだぞ?」
ヒロイン
「そ、そうだっけ? でもここキッチン…」
乗り気のないヒロインにナギは動きを止めた。
キスも情事もエドモンドが来てから一度もしていない。
なんだか自分ばかりがそんな事を気にしているようで、ナギは悲しくなった。
ナギ
「…もういい…」
そっけなくヒロインから離れると、何もなかったように作業を続けた。
ヒロイン
「ナギ?」
急にどうしたのかと、不安が胸をよぎる。
ナギ
「………」
ヒロイン
「………」
明らかにさっきまでとは違う空気が流れている。
キスを断ったからだろうか?
いつもキッチンでするのを嫌がるのはナギの方なのに…。
それ以上何も聞く事が出来ず、重い空気の中
無言で料理を作るしかなかった。