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ヒロイン
「!! こ、国王様!??」
以前、妙な噂を流され
その噂の真相を確かめる為に寄港した国の国王だ。
若くして国王となり、随分と女性関係で遊び
国政の事には無縁の状態だったらしいが
シリウス海賊団と会って、彼はすっかり更生していた。
国王
「あぁ覚えていてくれたか!
やっと会えたな!」
ヒロイン
「はい…でもどうして…」
国王は隣にいるナギを全く気にもしないで、ヒロインの手を取ると
チュッとキスをした。
国王
「お前に会いに来たに決まっているだろう!
やはり実物は可愛いな!」
国王の手が髪を撫で、頬にそっと触れる。
ナギは堪らずに、ヒロインの頭に手を回すと
グッと胸へと引き寄せた。
ナギ
「勝手に触るな…
…何しにきたんだ?」
不機嫌な声でそう言うと、国王は得意げな笑みを浮かべリュウガの方へと振り返った。
国王
「海賊になりにきた!
しばらく世話になるぞ!!」
ハヤテ
「はぁ?!何言ってんだよ?」
メンバー全員が国王を見つめていると、シリウス号に梯子を渡し
遅れて執事と他の召使も乗り込んできた。
執事
「国王様! お荷物はこちらでよろしいですか?」
どんどんと山のように積み重なっていく荷物。
リュウガは慌てて声を上げた。
リュウガ
「オイオイオイ! ちょっと待て!」
国王
「世話になる礼にコレを…」
国王が差し出したのは、ワインのボトルだった。
リュウガ
「甘めぇな… オレがそこいらの酒で…」
国王
「世界に3本しかない高級なワインだ」
すると、リュウガの目の色が変わり、
バッとワインに食いついた。
リュウガ
「コレはっ!!
…なかなか交渉がうめぇねじゃねぇか!
おもしれぇ!よっし面倒見てやるか!!」
明らかにワインの力で、リュウガは簡単にも受け入れてしまった。
ソウシ
「あーぁ、船長はお酒に弱いですね。
冷静に考えてください? 一国の王がこんな海賊船に…」
国王
「おぉ、そなたには最近噂になっている新薬の論文だ。
出回ってない物を特別に模写させてもらった。
どうだ? 興味はないか?」
ソウシもリュウガと同じように、あっさりと罠に掛かった。
ソウシ
「…そうですね… しばらくだったら…」
ソウシの目はその論文に釘付けだ。
シン
「チッ…どいつもこいつも…
オイ! お前、国王なら大人しく国の為に何かしてろ!
海賊船に乗って何がしたい?」
国王
「…それを言うならお前もだろう?
お前も一国の王ではないか! 何の為に海賊船に乗っている?」
シン
「!!! ………」
これには贈り物に酔いしれているリュウガとソウシ以外のメンバー全員が驚いた。
あのシンを言い負かしてしまった。
ハヤテ
「…アイツすげぇな…シリウスの事熟知してるぞ?
オレはそうはいかねぇからな!
さっさと帰れよ!」
すると国王は一番大きな箱を二つ開けた。
そこには大量の高級肉と新鮮な野菜や食材が詰め込まれていた。
ハヤテ
「コ、コレ…」
ハヤテの喉がゴクリと鳴った。
国王
「世話になるんだ! コレくらいの事はさせてくれ!
皆の口に合うといいのだが…」
これには少し離れた場所にいたナギも食いついた。
ナギ
「…この肉って…」
国王
「あぁ、滅多に手に入らない品だぞ?
特殊な飼育方法で育てたらしい!
あとこの野菜やフルーツは我が国で獲れたものだ!」
みずみずしい食材にナギもウズウズしてしまう。
ヒロイン
「ナ~ギ~?」
隣でクイッとシャツの袖を引かれ、ナギはハッとした。
ナギ
「…た、確かにすげぇ食材だが、何しにきたんだ?
世話になるって…」
執事
「まだお話になっておられなかったのですか?
国王様は外の世界を見たいと言われ、1週間シリウスの皆様のお世話になる事になりました。」
ヒロイン
「…なりましたって…」
国王
「恥ずかしい話だが、私は城の外の事は全く知識がないのだ。
これでは国王としてよくないと思ってな!」
腰に手を当てて、自信満々に言ってくる。
トワ
「でもなんで海賊船に?
外の世界を知るなら、もっと安全で安心できる場所が…」
国王
「何故って? 決まっているだろう!
ヒロインがいるからだ!」
ナギ
「!?」
ヒロイン
「えぇ?!」
国王
「お前の事があれから気になってな…会いたくてしかたなかったのだ」
国王の熱を帯びた目が何かを訴えるように見つめてくる。
ナギ
「ダメだ… そんな理由なら帰れ!」
ナギは国王の視線を遮るように、目の前に立ちはだかった。
シン
「途中までは分かったが、ヒロインがいるからこの船に乗るなんて
どうかしてるぞ? こんなガキ…」
ヒロイン
「シンさん!」
トワ
「わわっ! と、とにかく!
…どうします? 船長もソウシ先生もハヤテさんも丸め込まれてしまいました…」
不穏な空気を感じ、トワが慌てて前に出た。
シン
「どうするって言われてもな…」
執事
「それでは国王様、1週間後にお迎えに上がります。
くれぐれも無理をなさいませんように」
ヒロイン
「え? ちょっと待って下さい!!!」
有無を言わさず梯子を外すと、国王を乗せてきた船は
さっさと引き返して行ってしまった。
シン
「…随分強引なやり方だな?」
国王
「ははっ! 時には強引になるのも大事だろ?」
この勝気な言い方に、反論する術もない…。
ヒロイン
「もぉ船長!! ちゃんと考えてください!
一大事ですよ?」
リュウガ
「それより見ろよ! このラベル!!
金掛かってんなぁ…どんな味すんだろうなぁ…」
一度もこちらを見ずに、ペロリと舌舐めずりをするリュウガに、
怒りが頂点に達し、ヒロインはグッとリュウガからワインのボトルを取り上げた。
リュウガ
「あっオイ!何を…!!!」
ヒロイン
「船長! ワインがどうなってもいいんですか?
真剣に考えてください!!!!」
今にも床に叩きつけそうなヒロインの剣幕に、リュウガは慌てて頷いた。
リュウガ
「分かった!分かったから一回それを箱に戻せ!」
ヒロイン
「嫌です! 船長はワインの事しか考えてないです!」
リュウガ
「そ、そんな事はねぇ!
それなら持ったままでもいい、話しをしようじゃねぇか!
…ただもっとボトルの上を持て!
お前の手の熱でワインが…! いやなんでもねぇ…」
鋭く睨みつけられ、リュウガはやれやれと頭をガシガシ掻きながら
国王へと向き直った。
リュウガ
「で? 国王様は一週間何がしてぇんだ?」
国王
「普通の暮らしがしてみたい!」
ハヤテ
「だったら陸でしろよ!
そもそも海賊なんて普通の暮らしじゃねぇだろ!」
珍しくハヤテがまともな事を言っていると、皆がハヤテを見つめた。
ハヤテ
「あぁん? なんだよ?」
シン
「たまにはそう言う事も言えるんだな?」
ハヤテ
「どういう意味だよ?」
シン
「フン、そのままの意味だ」
ハヤテ
「テメェ、バカにしてんだろ?!」
こういう時、止めに入るはずのソウシは相変わらず論文の世界に行ったままだ。
ナギは呆れて腕組みをしながら、やりとりを見ていた。
国王が船に乗る事は構わないが、ヒロイン目当てで乗り込んでいるというのは気に食わない。
本当の目的はなんなのか…。
隣でワインのボトルを握りしめているヒロインを見つめた。
国王
「あぁこういうやりとりを見るのも新鮮だ!
うん、私の事は国王と思わずに接してくれ!
…そうだな、私の名はエドモンドだ。
エドと呼んでくれ!」
リュウガ
「…なんだかよく分かんねぇが、もう船は行っちまったんだ!
1週間みっちり海賊扱いするからよ?
疲れただの出来ねぇだの抜かすなよ?エド!」
エドモンド
「あぁ! もちろんだとも!!」
エドモンドは嬉しそうにニッコリと微笑んだ。
こうして無邪気に笑うと、ヒロインと歳が変わらない事がハッキリと分かる。
王族の衣装を身にまとっていると、年齢よりも上に見える。
トワ
「…その服…ちょっと目立ちますね…」
エドモンド
「そうか? 一番ラフなものを選んだのだが…」
確かに以前に会った時よりは、動きやすそうな格好をしているが
そこらじゅうに付いているフリルや、無駄に膨らんだ袖は
とても海賊とは見えないだろう。
シン
「シリウス号が国王を乗せてるなんて知ったら、誘拐したと思われるだろうな…」
ハヤテ
「それって海軍が知ったら面倒臭ぇ事になるじゃんか!」
シン
「今日のお前は冴えてるな」
ハヤテ
「あ?!」
トワ
「とっとにかく!服着替えましょ!」
リュウガ
「それより、もう夜も遅せぇし
朝んなってからでいいじゃねぇか!」
すっかり忘れていたが、もう真夜中だ。
リュウガの言う通り、全て夜が明けてからする事にした。
リュウガ
「…となると、誰がエドと一緒の部屋になるかだな…」
その言葉に全員が顔を見合わせた。
エドモンド
「私はヒロインと寝る!」