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空は晴れていて、星や月が明るいまでに輝いている。
当たり前の日常過ぎて、この綺麗な夜空を見ても何も感じなくなっている。
今夜の不寝番も何事もなく済みそうだ。
ここ何日も、危険な事や敵襲もなく
穏やかな夜が続いている。
ヒロインはもう眠っただろうか?
離れている時間、何をしているか気になるところだが
こんな夜はレシピ本を持ち込んで、次に挑戦する料理を考えるに限る。
持ち込んだランプに体を寄せて、ナギは読みふけっていた。
しばらくすると、見張り台の梯子を誰かが登ってくる音が聞こえた。
立ち上がり、梯子を覗き込むとヒロインが一生懸命登ってきていた。
ナギ
「ひとりで登れるか?」
ヒロイン
「あっナギ! お疲れ様!」
見上げた先にナギを見つけ、思わず笑顔になるヒロイン。
ナギ
「しっかり足元見ながら登ってこい!」
そう言ってナギは手を伸ばし、ヒロインの手を掴んだ。
見張り台まで引き上げてもらうと、ヒロインは安心して息をついた。
ヒロイン
「はぁ…ありがとう!」
ナギ
「お前、あれだけ夜はここに登るなって言っただろ?
船が揺れたらどうすんだ!」
ヒロイン
「でも私だってもう慣れたよ?
ここ登るの数えきれないくらいだし…」
ナギ
「そういう問題じゃねぇ!
昼と夜とでは勝手が違うって分かってるだろ?」
やっとの事で会いにきたのに、怒られてしまい
なんだかしゅんとなってしまうヒロイン。
その表情を見て、ナギは少し優しい声で話しかけた。
ナギ
「…何しにきたんだ?」
ヒロイン
「あ…差し入れ持ってきたの…」
というのは口実で、ナギに会いに来たかっただけのヒロイン。
不寝番の夜は、ひとりで寝る為
ナギに会いたくてしかたなくなる。
狭い見張り台の中で、座りこんでいるナギと向かい合わせで膝をついているヒロイン。
いつもはもっと近い距離にいるというのに、なんだかドキドキしてしまう。
ナギ
「…そうか…何か作ったのか?」
少し気まずくなってしまった空気を変える為、ヒロインはニコッと笑った。
ヒロイン
「差し入れは…私だよ?」
右のホッペに人差し指を当てて、出来るだけ可愛く言ったつもりだが、
ナギは驚くほど無表情だった。
ヒロイン
「う…すみませんでした…
ホントは…」
そう言って後ろに置いたバスケットから差し入れのサンドイッチと紅茶を入れたポットを取り出そうとすると、
グッと腕を掴まれ、ナギの胸に引き寄せられた。
ヒロイン
「ナ、ナギ??」
突然ナギに抱きしめられ、ヒロインの胸はドキドキと鳴り出した。
ナギ
「…お前…差し入れなんだろ?」
ヒロイン
「え…? ちょっナギ!!」
ナギの手がしっかりと腰を抱き、逃げる事ができない。
ナギ
「静かにしろ」
ヒロイン
「で、でも見張りしないと!!」
ナギ
「耳で聞いてる… もう黙れ」
ヒロイン
「!!!」
ナギの手が頬に掛かり、顔が近づく…
ヒロインは本当にこんな所でいいのかと
ギュッと目を瞑り、ナギのキスを待った。
ヒロイン
「…?」
なかなか触れないナギの唇に
あれ?っと思い、ソロリと目を開けると
ナギは何かを感じたように、聞き耳を立てている。
ヒロイン
「…ナギ? どうしたの?」
ナギ
「…船だ… 船がこっちに向かってる」
ヒロイン
「こんな時間に?」
ヒロインには全く音が聞こえない。
立ち上がり暗闇に目を向けるナギ。
ナギ
「まだ距離あるな…
ヒロイン、ゆっくり降りていい
船長に知らせてきてくれ」
ヒロイン
「う、うん!
海賊船なの?」
ナギ
「まだ分からねぇ」
ナギは険しい顔つきで、海を見つめたままだ。
一気に緊張感が走る。
ヒロイン
「じゃ、じゃあ船長に伝えてくるね!」
少し震える体を奮い立たせて、見張り台から
梯子へと足を掛ける。
ナギ
「ヒロイン!」
ナギに声を掛けられ、下へ降りようとしていたが
顔を上げると、ナギの大きな手がギュッと見張り台の縁に掛けた手を握りしめた。
ナギ
「大丈夫だ! オレがいる。
怖い思いなんかさせねぇから!」
ヒロイン
「うん!!」
いつもの安心させるナギの表情。
足手まといにならないように、自分に出来る事をしなきゃと
離れた手に残るナギの感触が消える前にと、ヒロインは全力で船長室を目指した。
・・・・・・・・・・・・・
リュウガ
「もうじき横に並ぶな…
お前ら準備出来てるだろうな?」
メンバー全員
「「アイアイサー!!」」
さすが海賊だ。
リュウガのいる船長室に飛び込むと同時に、警戒区域に入ってきた船を知らせる為に
見張り台にいるナギが鐘を鳴らした。
すると、さっきまで寝静まっていた船室のドアが一斉に開く音が聞こえ
リュウガと一緒に甲板に出ると、すでにメンバー全員が外に出ていた。
リュウガ
「ナギー! どうだ?海賊か?」
見張り台にいるナギに大きな声で叫ぶリュウガ。
ナギ
「まだ分かりません! ただ船の感じはかなりキレイです!」
ソウシ
「海軍かな?」
シン
「チッ…こんな夜中に面倒掛けやがって…
一瞬で終わらせてやる」
カチャリと銃を手に握りしめて、シンは暗い海に浮かぶ謎の船を睨みつけた。
ハヤテ
「なんだよ! 久しぶりに暴れられるんだぜ?
じっくり楽しみてぇよ!」
うずうずと体を弾ませながら、ハヤテはニコニコとしている。
トワ
「もし海賊船だったら、ヒロインさんは中に入って隠れててくださいね?」
ヒロイン
「う…うん…」
こういう時、『一緒に戦う!』と言えない自分に腹が立つ。
守られてばかりで何も役になんか立てない。
(どうか海賊船でありませんように…)
皆が無事でいられるように、そう祈る事しかできない。
シン
「あの速さだと、あと10分で横に並びますね」
リュウガ
「あぁん? なんだあの船…海賊船じゃねぇな?
あんなこじゃれた船持ってるやつなんていねぇ」
ソウシ
「そうですね…何だかあれって…紋章?」
船の舳先に金色に光っているエンブレムが見えた。
シン
「…どっかで見たな…」
トワ
「あっ!もうすぐですよ!!」
ヒロインも船の様子が見たいと、手すりに身を寄せると
グイッと腕を掴まれた。
ヒロイン
「?」
ナギ
「アホ! わざわざ存在を明かすな!」
ナギに引っ張られ、船内の方へと連れて行かれていたが遅かった…。
トワ
「並びました!!」
トワの声と同時に、向かい側の船から黒い影が飛び込んできた。
あまりの事にメンバー全員があっけにとられ、ヒロインも思わず足を止め振り返った。
???
「ヒロイン!!!!」
影はヒロインに近づこうとした。
しかし傍にいたナギが、鎖鎌を構えた。
ナギ
「それ以上近づくな」
???
「ナギ… お前は船の中でもヒロインにベッタリなんだな…」
タメ息まじりの声に、ナギもヒロインも聞き覚えがあると感じた。
不安を感じ、ヒロインはナギの後ろに隠れて、ギュッとシャツを掴んだ。
ナギ
「…お前…」
???
「なんだ? もう忘れたのか?」
明かりの近くにその影が移動すると、ようやく顔を見る事が出来た。
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