drunkard
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翌日。
ナギ
「…起きたか?」
まだ陽が昇る前の、薄っすらとした明るさの中
ヒロインは目を覚ました。
ナギは片肘をつき、なんだか無表情で見降ろしてくる。
まだ眠たそうな目を、ゆっくりと開けるヒロイン。
お互いに一糸纏わぬ姿でベッドにいた。
(どうせ覚えてねぇだろ?)
ナギはきっと裸で寝てしまった事に驚き、ヒロインが慌てるだろうと
呆れ顔でヒロインを見つめていた。
ヒロイン
「…おはよ…ナギ…」
しかしヒロインは何も気にせず、コロンっとナギの胸の中に転がってきた。
しっとりとした柔らかいヒロインの肌が、胸に触れ
ナギの体は朝から反応しそうになった。
ナギ
「…お前、昨日飲み過ぎただろ?」
何も反応しない所を見ると、まだ酒が抜けていないのかと
ナギは怒りだしそうになった。
ヒロイン
「ん…いっぱい飲んじゃった…」
ナギ
「もう分かっただろ? 酔うといい事ないって事…」
そう言ってヒロインの顔に掛かった髪をそっと手でかき上げてやると
ヒロインは不思議そうに見上げてきた。
ヒロイン
「? どうして?」
ナギ
「あ? お前、昨日の事覚えてねぇだろ?
オレになんて言ったか覚えてるか?」
覚えてたら、こんな風に抱きついてくるはずがない。
顔を真っ赤にして、申し訳なさそうにするだろう。
ナギは意地悪くそう言った。
ヒロイン
「ん…覚えてる…」
ナギ
「?! 何?」
ヒロイン
「? 覚えてるよ?」
ナギ
「…何て言ったか言ってみろ」
覚えてないのに、怒られるのが嫌で言っているのか?
ナギはあまりにも自然な反応に戸惑ってしまう。
ヒロイン
「え? 今言うの?」
ナギを見つめると、そうだと言わんばかりに目が物を言っている。
ヒロイン
「え…と… ナギと…したいって…」
顔を真っ赤にして俯きながら昨晩聞いた言葉を言ってきた。
そしてナギは目を見開いた。
ナギ
「! お前…」
ヒロイン
「? ナギ…どうしたの?」
ナギ
「覚えてるのか?」
ナギは慌てた。
昨晩、ヒロインは何度も『酔ってない』と言っていたが
本当に酔っていなかったという事か?
ヒロイン
「うん…? 覚えてるよ?」
そう言われ、今度はナギの方が顔を赤くした。
ナギ
「…じゃあ何でシンやドクターに抱きついた?」
ヒロイン
「それは…確かに少しだけホワンってなってたけど
ナギがお酒取り上げたり、酔ってるってあまりにも言うから…」
ナギ
「でもお前…」
ヒロイン
「私、ホワンってなるけど
意識はちゃんとあるって言ったでしょ?」
ナギの表情が固まった。
ヒロイン
「ナギ…?」
ナギ
「…ウソ…だろ…」
ナギは自分がした事を思い出し、恥ずかしくて
とてもヒロインと顔を合わす事が出来なくなった。
向かい合わせになっていたが、ゴロッと仰向けになり
両腕を目の上に置いた。
ヒロイン
「ナギー?」
心配になったヒロインは、モソッと起き上がり
ナギを覗き込んだ。
ナギは少しだけ腕をずらし、恥ずかしそうな顔を覗かせた。
ナギのこんな表情を見る事は滅多にない。
ヒロインの胸がキュンと締めつけられた。
ナギ
「…お前が酔ってると思ってたから…」
ヒロイン
「? え?」
自分を心配そうに見つめるヒロイン。
裸だって事が分かっているのだろうか?
白く細い肩に、長い髪が掛かっている。
昨日激しく愛してしまった事を反省しているはずなのに
柔らかく膨らんだ胸や、布団に隠れているウェストのラインを見ると
昨晩のいやらしく乱れたヒロインを思い出してしまう。
ナギは不埒な考えを消そうと、ヒロインの腕を引いて
胸の上で抱きしめた。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「…体…大丈夫か?」
抱きしめるとこんなにも細く、壊れてしまいそうなのに
昨日は一生懸命答えてくれた。
ナギは抱きしめる手に力が入る。
ヒロイン
「ん… 初めての事が多くて上手く出来なかったけど…
でも嬉しかったよ?」
ナギ
「?!」
ヒロインは顔を上げて、胸に顎を乗せ
ナギを見つめた。
ヒロイン
「ふふっナギがぎゅう~~ってしてくれて嬉しかった♡」
可愛い笑顔で微笑まれ、ナギは迂闊にも一気に下半身に血液が集まってしまった。
ヒロイン
「!? …ナギ…?」
太ももに固い感触を感じ、ヒロインは驚いた。
ナギ
「…ッ… お前…反則なんだよ…」
ヒロイン
「えっ?えっ?」
ナギ
「あぁ! もう起きるぞ!!
オラ、早く服を着ろ!!」
ガバッと起き上がり、ナギはベッドから抜けだした。
そしてベッドの周りに脱ぎ散らかした洋服や下着を見て
どうかしてたと罪悪感に見舞われた。
あんな抱き方したかった訳じゃない。
まだベッドの中にいるヒロインを見つめた。
ヒロイン
「?」
キョトンとした顔で見つめてくる。
ナギ
「…今日、朝何食いたい?」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「お前の好きな物作ってやる」
ヒロイン
「ホント!?」
目を輝かせるヒロイン。
ナギはヒロインに優しくしたくなった。
昨日、とても優しくなんか抱かなかった事に心を痛めたナギ。
何も気にしてないようにしているが、体はきっとツライはずだ。
初めてする体位もした。
あんな状況でしてしまった事。
そして感情のコントロールが出来ず、勢いに任せてしまった事。
考えれば考える程、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
ナギ
「あぁ。
もう少し休んでてもいいぞ?」
ヒロイン
「うーうん、昨日の片付けも途中だよね?」
そう言われ、ナギはさらに暗い気持ちになった。
(ホントに全部覚えてやがる…)
ナギ
「…そう…だな…」
さっき熱くなった体は一気に冷め、一足先に部屋を出る事にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒロイン
「おはようございます! ソウシさん」
ソウシ
「おはようヒロインちゃん
…二日酔いしてるかと思ったけど、元気だね?」
今日も食堂に一番乗りのソウシに元気よく挨拶をした。
ヒロイン
「二日酔いしてませんよ?」
ソウシ
「ホント? 結構飲んでたし、酔っぱらってるみたいだったから…」
ヒロイン
「ふふっ大丈夫です!
私はお酒強いんです! あっソウシさんコーヒーと紅茶どっちにします?」
何だか上機嫌のヒロインに、ソウシも思わず笑顔で答えた。
ソウシ
「じゃあ紅茶で…クスクス
ヒロインちゃん、何か良い事あったのかな?」
するとニコニコと可愛い笑顔を見せるヒロイン。
ヒロイン
「分かりますか? 今日ナギがフレンチトースト作ってくれてるんです♪」
ソウシ
「あぁどうりで! いい匂いすると思ったんだ」
ヒロイン
「はい! 楽しみです~♪
紅茶淹れてきますね?」
ソウシ
「ありがとう」
嬉しそうに食堂を出て行く姿を見て、ソウシは昨晩ナギといい事があったなと思った。
…というか、声が聞こえていた。
きっとナギとヒロインは何度も体を結んでいるだろうが、
今まで一度もそういう音や声を聞いた事がない。
しかし昨晩、たまたま部屋の前を通った時に微かに聞こえた。
ヒロインの甘い声が…。
あんなに感じて、ナギの名前を可愛い声で呼んでいた。
正直あんな声を出すなんて想像していなかった。
もし自分が抱いたら、あんな声を出してくれるのだろうか?
きっと泣いちゃいそうな可愛い顔で、愛しそうに名前を呼んでくれるのだろうか…
ソウシは朝からそんな考えが浮かんだ。
ヒロイン
「…ソウシさん?」
ソウシ
「!? あっ…ごめんね?
紅茶ありがとう」
いきなり目の前にヒロインがいて驚いた。
まさか自分の事を妄想されてるなんて思いもしないだろう。
ソウシは爽やかな笑顔を浮かべて、いい香のする紅茶を一口飲んだ。
すると食堂のドアが開き、不機嫌な表情でシンが入ってきた。
ヒロイン
「あっシンさん! おはようございます!」
シン
「………」
あからさまに無視をして、ドカッと席に座るシン。
その態度を見て、ソウシはピンときた。
(シンも聞いたんだな…)
何に怒っているのか、丸で分かっていないヒロインは
シンの態度に戸惑っていた。
ヒロイン
「あっあの…シンさん?
コーヒーでいいですか?」
毎朝コーヒーを飲むシンに、一応お伺いを立てるヒロイン。
しかしシンは一言も答えない。
ヒロイン
「…シンさんどうしたんですか…?」
恐る恐るシンに問いかけると、シンは冷たい笑みを浮かべた。
シン
「…誰かさんのせいで寝不足だ…」
ソウシ
「シン!」
声が聞こえてたなんてヒロインが知ったら、どれだけ傷つくだろう。
シンはそれが分かって、嫌みっぽく言おうとしている。
思わずシンの名前を呼んで、制止させようとした。
シン
「フン… お前ら昨日は…」
シンが核心を突いて話そうとすると、キッチンからカウンター越しにナギが声を上げた。
ナギ
「シン! その話だったらオレが聞く。
今話す話しじゃねぇだろ…」
ヒロイン
「???」
自分の知らない所で話しが進み、ヒロインはどうしたものかとオロオロしていた。
ソウシは優しく微笑み、そっとヒロインの頭を撫でた。
ソウシ
「大丈夫だよ? シンはコーヒー飲むみたい。
私はあとミルクもらえると嬉しいな?
今日はミルクティーにしたい気分」
ヒロイン
「はい! お持ちしますね?」
ソウシの言葉に安心したのか、ホッとした笑みを浮かべて食堂を出て行くヒロイン。
バチッと目が合ったシンに、ソウシは厳しい視線を送った。