drunkard
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今夜は満月。
シリウス号では、お決まりの宴が行われていた。
ハヤテ
「はぁ? お前酔った事ねぇの?」
ナギのおいしい料理を囲み、ヒロインはシリウスメンバーに驚かれている所だった。
リュウガ
「確かにお前が酔ってる所、見た事ねぇな…」
ソウシ
「そういえばそうだよね」
酒場で働いていた事もあってか、少しはお酒が強いと自負しているヒロイン。
ヒロイン
「なんかホワンって感じにはなるんですけど、意識はしっかりしてるんです!」
ソウシ
「へぇ、意識飛ばすくらい飲んだ事がないんだ?」
シン
「トワ、聞いたか?」
トワ
「うう… それって僕がいつも意識飛ばすっていいたいんですか?」
シン
「違うか?」
トワ
「…違わないです…」
しょんぼりとするトワ。
ヒロインはいつもと変わらない、和やかな宴に微笑んだ。
リュウガ
「でもよぉ、ヒロインのホワンってなってるトコ見てぇよな?」
飲むペースの早いリュウガは、上機嫌でその言葉を言った。
ソウシ
「…そうだね。
いつもこんなに可愛いのに、ホワンってしたら直視できないかも!」
ヒロイン
「そ、そんな! 全然変わらないです!
いつもと一緒ですから!
あっ…どちらかというと、眠くなって寝ちゃうタイプなのかも…」
シン
「一番襲われやすいタイプだな」
ヒロイン
「えぇ!? そんな!!
でも、ソウシさんもシンさんもナギも酔ったトコ見た事ないかも…」
シン
「フン、当たり前だろ?
泥酔して敵襲にでもあったらどうするんだ」
そう言ってシンはまたしてもトワを見た。
トワ
「なんれすかぁ?」
早くも酔いだしたトワ。
リュウガのペースに合わせて飲んだからだ。
ハヤテ
「ホント、トワは酒弱ぇよな!」
ソウシ
「クスクス…そういうハヤテも酔ってそうだけど?」
フラフラとしながら、ぼんやりとしているハヤテ。
ヒロインは、そのハヤテを見て笑ってしまった。
ナギは酔ったらどうなるんだろう。
トワはスキンシップが激しくなるし、ハヤテは…まぁ酔っても変わらない?
ナギ
「…なんだ?」
隣でじっと見つめてくるヒロインに、声を掛けた。
この話題になってから、まだ一言も言葉を発していないナギ。
その物の言い方に、ナギが不機嫌だという事がすぐに分かった。
ヒロイン
「…? 何怒ってるの?」
ナギ
「別に…」
(やっぱり怒ってる…)
ヒロインは何で機嫌が悪くなったのか分からず、黙りこんでしまった。
(もうナギの不機嫌スイッチはどこで入るか分からないんだからぁ!)
あまり感情が表に出ないナギなだけに、そういう微妙な変化がハッキリと分かってしまう。
リュウガ
「んぁ? なんだ?
ナギとヒロインはケンカでもしたのか?」
ヒロイン
「!! し、してません!」
相変わらず不機嫌なオーラを出して、一言も話さないナギ。
ヒロインも負けじと不機嫌になり、グビーッとお酒を一気に飲み干した。
リュウガ
「おぉ! お前、なかなかいい飲みっぷりじゃねぇか!」
ヒロイン
「当たり前です! 酒場で働いてたんですから、このくらい当然です!」
意地になってそう言うと、リュウガは面白そうに笑った。
リュウガ
「よぉし、よく言った!
今日はお前が酔い潰れるまで宴は終わらせねぇからな?」
ヒロイン
「望むところです!」
もう隣にいるナギなんか気にしない。
ヒロインは、いつもより早いペースでお酒を飲んで行った。
2時間後…
ソウシ
「…ヒロインちゃん大丈夫?」
ヒロイン
「はい! 余裕です!!」
いつもと変わらない顔色に、さすがのメンバーも驚いていた。
結構飲んでいると思うが、呂律もしっかり回っているし
意識もしっかりしている。
シン
「ハッタリかと思ったが、ホントに強いんだな?」
ヒロイン
「はい!」
シン
「…とか言って、立ち上がったら倒れるとか
そんなマヌケな落ちじゃないだろうな?」
そう言われ、ヒロインはスッと立ち上がった。
リュウガ
「なんだよ… 女はもっと酔いやすい方がかわいいぞ?」
ヒロイン
「期待に答えられずすみませんでした!
…お料理足してきますね?」
そう言ってヒロインは大皿を手に持つと、しっかりとした足取りで船内へと入って行く。
ソウシ
「結構飲んだよね?
ホワンッてなってるヒロインちゃん見たかったなぁ」
シン
「大の男が2人酔い潰れているというのに…」
シンは甲板の床に、幸せそうな顔をして寝そべっているハヤテとトワをチラリと見た。
リュウガ
「ホントだな! でもあれだけ飲めれば楽しめそうだ!」
リュウガは嬉しそうに、次はどの酒を飲ませようかと吟味している。
ソウシ
「強いからって、もうそろそろやめた方がいいですよ?
明日は港へ入るんですから!」
ソウシの窘める声を聞きながら、ナギはタメ息をつき
キッチンへと向かった。
キッチンのドアを開けると、ヒロインが調度皿を持って出ようとしている所だった。
突然現れたナギに、一瞬驚いたが
ヒロインはそのまま横をすり抜けて出て行こうとする。
ナギ
「…どういうつもりだ…」
ナギの苛立つ声に足を止めたヒロイン。
しかし振り向こうとはしない。
ナギは堪らず、ヒロインの腕を掴み
グッと振り返らせた。
ヒロイン
「な…に…?」
ヒロインの顔を見て、ナギは目を見開いた。
ナギ
「お前…」
ヒロイン
「腕…痛い…離して…?」
あまりの事に力が緩み、ナギの手からスルリと抜けて甲板へと出て行く。
ナギはハッとして後を追い掛けたが、もう遅かった。
ヒロインはニコニコと笑いながら、皿を置き
いつもと変わらない様子で宴を続けていた。
(アイツ…相当酔ってるな…)
一見普通に見えるが、さっきキッチンで見た顔は
明らかにホワンとしていた。
意識が飛ぶのも時間の問題だろう。
どうなってしまうのか見たい気もするが、他のメンバーには見せたくない。
何としてでもこれ以上飲ませない事と、早く宴を終わらせなくてはいけない。
ナギはヒロインの横にドカッと座ると、まだ酒を飲もうとしているヒロインのグラスを取り上げた。
ヒロイン
「!? 何?」
ナギ
「もうやめとけ」
ヒロイン
「何で? まだ飲めるもん」
リュウガ
「そうだぞナギ! ヒロインもあぁ言ってるだろ?」
ナギはそれでもグラスを渡さない。
ヒロイン
「ナギ返してってばぁ…」
リュウガ&ソウシ&シン
「!!?」
ナギ
「チッ…」
突然ヒロインが出した甘い声に、その場にいたメンバーが反応した。
ついに平気なフリをするのも限界に達し、ヒロインは初めて人前で意識を飛ばしてしまった…
ナギはそう思った。
リュウガ
「なんだよ、結構いい声出すじゃねぇか!
がっはっは!」
ソウシ
「かわいいね。
我慢してたんだ…ふふっ」
これだけの事でこんなに他のメンバーを喜ばしている…。
ナギはこれ以上はヤバイと感じた。
ナギ
「オイヒロイン! 部屋戻るぞ!」
ヒロインはトロンとした目で、ナギを見上げる。
ヒロイン
「なんでぇ? もっと飲めるもん… ん~~~」
コテッと反対隣にいたシンの肩にもたれて、ギュッと抱きついた。
シン
「…オイ、どうにかしろ…」
まんざらでもない表情をしながら、シンはナギに言った。
ナギ
「チッ! オラ、行くぞ!」
ナギはヒロインの手を取り、シンから離そうとすると
バッと手を振り払う。
そしてさらに隣にいるソウシの所へと転がる様に逃げて行く。
ヒロイン
「やっ!」
ソウシ
「ふふっヒロインちゃん?
ナギ困らせたら可哀想だよ? いい子だから部屋に戻りな?」
優しくソウシが諭すと、ヒロインはグッとソウシに顔を近づけた。
ソウシもナギもヒロインがキスでもするのではないかと、胸がドキリと鳴った。
ヒロイン
「あー! そう言ってぇ私が酔ってるみたいにぃ~
せんちょが負けを認めるまで帰りません!」
そしてまたしてもギューッとソウシに抱きつく。
ソウシ
「参ったなぁ…
ナギ…そんな怖い顔で見ないでよ」
聞きわけのないヒロインにナギはイライラしてしまう。
そしてナギは堪らず、グッとヒロインを荷物の様に抱き上げた。
ヒロイン
「うわっ! 降ろしてぇ!
まだ飲むーーーー!」
ナギ
「うるせぇ!」
有無を言わさずナギはヒロインを船内へと連れて行く。
その背中を見ながら、リュウガは寂しそうに言った。
リュウガ
「順番的に言えば、次はオレを抱きしめてくれる番だったのによぉ…
ナギも少しは空気読めよな…」
ソウシ
「空気を読んだから、連れて行ったんだと思いますよ?」
シン
「…下心丸見えの表情してますから…船長…」
リュウガはつまらなそうに舌打ちをすると、明日の事も考えて
今夜の宴はお開きにする事にした。
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