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まだ夜の明けない、厚い雲が覆った空のせいで
いつもより少し早く目が覚めた。
陽の差し込む加減で、体が勝手に覚えているはずなのに
場所が変わるとどうもずれてしまう。
ナギはモソッと体の向きを変え、まだ腕の中でスヤスヤと眠っているヒロインを見つめた。
なんて幸せな時間なのだろう。
こんな無防備な姿を見れるのは、彼氏の特権だろう。
それにしても安心しきっている表情を見ると
思わず微笑んでしまう。
ナギ自身も、小さなヒロインの体を抱きしめると
それだけで満たされた気持ちになる。
ヒロイン
「ん…」
薄っすらと長いまつ毛が動き、思わずギュッと抱きしめてしまったナギはハッとした。
ナギ
「…悪い」
ヒロイン
「んーん…もぉ起きる時間?」
ナギ
「いや、オレも早く起き過ぎた」
そう言うとヒロインは目を閉じたままクスリと笑った。
ヒロイン
「じゃあ…もう少しこうしてて?」
スリッとナギの胸に顔を埋めるヒロイン。
朝からなんて可愛い事を言うんだと、ナギはヒロインの頭に手を回し
ギュッと抱きしめた。
ヒロイン
「静か… 嵐行っちゃったのかな?」
ナギ
「まだ雲がかかってるみたいだ…」
ヒロイン
「今日出航できるのかな?」
ナギ
「どうだろうな… まだ海が荒れてたらシンが船出すかどうか…」
ヒロイン
「そうだよね…」
ナギ
「どうした?」
ヒロイン
「ん…なんか、お城ってスゴ過ぎて落ち着かない…
フカフカのベッドも、綺麗なお風呂もいらないから
早くナギと一緒の部屋で寝たい…」
ナギは体が一気に熱くなった。
ナギ
「お前…さっきから可愛い事言ってんなよ?」
ヒロイン
「ふふっ、だって嬉しいんだもん」
ナギ
「お前ぇ…」
胸からヒロインを離すと、仰向けに押し倒した。
ナギ
「わざと誘ってんな?」
ヒロイン
「ん…だって、ナギと…したいもん…」
ナギ
「!!? …お前朝からやらしいな…」
見下ろすヒロインが色気のある顔で誘ってくる。
ヒロイン
「ナギ…」
そっと目を閉じるヒロイン。
ナギはその誘惑に負けそうになる。
しかしナギはヒロインのオデコにチュッとキスをした。
ヒロイン
「!?」
予想と違う事をされ、驚いて目を大きく見開いたヒロイン。
ナギ
「アホ! オレはそんな事じゃ落ちねぇ」
目の前で意地悪な笑みを浮かべるナギ。
ヒロイン
「うそ! ナギだってエッチな顔してたもん!」
ナギ
「はぁ!?」
ヒロインは悔しくて、ガバッと起き上がり
勝ち誇った顔をしているナギに負けじと言った。
ヒロイン
「トロ~ンって、エッチな目で見てたもん!」
ナギ
「あ? それってどんな顔だよ?」
ベッドの上で向かい合いながら、ナギは面白くて
頭をガシガシ掻きながら笑った。
ヒロイン
「! こ、こんな顔!
こんな風に『ヒロイン…』って!」
少し上目遣いをして、ナギのマネをしているのだろうか
吐息まじりの低い声でそう言った。
ナギ
「ふはっ! 何だよそれ! …ククッ」
ナギはマネをしたヒロインを見て、大笑いした。
ヒロインは何だかものすごく恥ずかしくなって、顔がカァっと熱くなった。
ヒロイン
「も、もう知らない!!
もうナギとはエッチしないんだから!」
プイッと顔を背けるヒロイン。
その顔も何とも可愛くて、ナギはついからかいたくなる。
横を向いたヒロインのアゴに手を掛け、こちらを向かせた。
ナギ
「…怒んなよ…」
ドキ! ヒロインはさっきマネをした様な熱い目で
ナギが真剣に見つめてくる。
ナギ
「…ヒロイン…」
そのカッコよさに目を奪われてしまう。
ぼんやりと見とれていると、ナギのとびきりの笑顔が目に映った。
ナギ
「ふははっ! やっぱお前可愛いな…」
ヒロイン
「!? ひ、ひどい!
からかったの??」
ナギ
「クククッ 悪かった!」
ヒロイン
「もぉ!! ナギなんて大嫌い!!!
絶対絶対エッチしないんだから!」
ボスっとナギの顔に枕を投げつけ、ヒロインはベッドを降りると
バスルームへと向かった。
ナギ
「もう起きるのか?」
ヒロイン
「誰かさんのせいで目が覚めちゃったの!」
ツンッと顔を逸らしてバスルームへと入って行く。
ナギは少しからかい過ぎたかと思ったが、
なんとも可愛いヒロインが見れて大満足だった。
しかし本当にしてくれなくなったらどうしたものか…
バスルームから聞こえるシャワーの音を聞きながら、
ナギは思い出し笑いでもしてしまいそうな自分に驚いた。
(オレもこんな風になれるんだな…)
・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒロイン
「ん~! いい匂い!!」
オーブンの前で焼き上がったクランベリーのマフィンに鼻を近づけた。
ナギ
「オラ! 鉄板に顔近付けんな!!
鼻、火傷すんぞ!」
少し離れた場所から怒鳴るナギ。
ヒロインはポニーテールにした髪を揺らして、
フイッとナギを無視した。
部屋を出てからずっとそんな態度で、ナギは少し後悔した。
そう言えば、あぁいう感じでヒロインが甘えてくるのはあまりない。
もしかして結構傷つけてしまったのではないか?
ナギ
「ヒロイン?」
ヒロイン
「……何?」
まだ誰も来ていないキッチンにはナギとヒロインの2人しかいない。
目線はマフィンに落としたまま、不機嫌にヒロインが答える。
ナギ
「…怒ってるのか?」
ヒロイン
「…知らない!」
イーッと顔をしかめて、大きなバスケットに大量のマフィンを詰めて
ヒロインは食堂へと行ってしまった。
ナギ
「…はぁ…」
どうやら本気で怒らせてしまったらしい。
ナギはサラダのドレッシングをガシャガシャとかき混ぜながら、うなだれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
国王
「おはよう、ヒロイン!」
ヒロイン
「おはようございます!」
食堂へ国王が入ってきた。
朝からなんとも爽やかな笑顔を浮かべ、やっぱり王様にふさわしい人だと心から思った。
国王
「よく眠れたか?」
ヒロイン
「はい! 夜の雷は驚きましたけど…」
国王
「そうか… それなら私と一緒に眠ればよかったな」
ヒロイン
「?」
えっ?と思い、国王の顔を見つめると
その後ろからナギが不機嫌そうに大きなサラダの乗ったお皿を手に持ち立っていた。
ナギ
「…おはようございます…」
国王
「あぁ、おはよう!
やぁなんてスゴイ料理だ!」
国王はテーブルに並んだ料理に目をキラキラさせた。
ナギ
「こんなのよりもっとスゴイ料理食べてるだろう」
国王
「そうだろうか…」
ヒロイン
「ふふっ国王様!
きっと昨日お料理したからですよ?
今日みんなで一緒にゴハン食べたら、もっともっと美味しいですよ!」
にこやかに微笑み、ヒロインは食堂を出て行った。
国王
「…いい子だな…」
ナギと2人になった国王はボソリとそう呟いた。
もちろんナギにも聞こえていたが、ナギは一切聞こえてない風に
黙々と食事の準備をした。
国王
「…ふっ、なんだ? 機嫌が悪いな?」
ナギ
「…別に…」
国王
「妬いてるのか? ふふっ」
見事に見抜かれナギはギクリとした。
国王
「ふははっ! 大海賊も恋をするのだな…」
面白そうに笑う国王に、ナギは「チッ」と舌打ちをして部屋を出て行こうとした。
国王
「あぁ、そうだ。
礼を言わなくては… ヒロインが私に色々と大切な気持ちを教えてくれた」
ナギ
「あ?」
それがなんだと言うのだ?
しかもそんな事、何も知らなかったナギは余計に苛立った。
国王
「昨日私にマフィンを作る事を勧めたのはヒロインだが、
お前のしている事をヒロインは感じて…
それを一生懸命私に教えてくれた…
国王の私に…クスクス…」
何を言っているかさっぱり分からず、ナギは眉間にしわを寄せた。
国王
「…お前ほどヒロインに愛されているのが羨ましい…
ヒロインは真剣にお前をいつも見ているぞ?
そういう愛情深いお前の気持ちがヒロインには伝わっているのだろう。
現に私にはそれが伝わった」
国王は少し残念そうな顔をしてそう言った。
自分よりも年下の男に、大人な発言をされナギは恥ずかしくなった。
何の事を言っているかは、やはりさっぱり分からないが
ヒロインが自分の行動を見て、国王に何かを伝えたのだろう。
あの子はいつだって真剣にぶつかって、受け止めてくれていた。
ナギの胸はズキリと痛んだ。
朝、冗談でしたコトがもしかしたら本当に傷つけてしまったのではないか?
不安な気持ちが広がった。
ヒロイン
「あ! ナギ!
準備終わった? そろそろお城の皆さんも揃いだしたよ?」
その声にハッとし、なんだか情けない表情でヒロインを見つめた。
ヒロイン
「? どうしたの?」
ナギ
「いや…」
しばらくして食堂は城の使用人たちが集まり、
シリウスのメンバーも一緒に席を並べ朝食が始まった。
昨日の夜とはまるで違う
笑い声と「美味しい!」という歓喜の声が
食堂の中には響き渡った。
ヒロインは国王を見ると、見た事のない笑顔で執事や他の使用人と話している。
端麗な容姿がさらに甘くなり、その場にいる女達はタメ息をもらした。
トワ
「国王様ってああやって笑うと、さらにカッコいいですよね!」
ヒロイン
「うんうん! やっぱ笑顔がいいよね!」
少し大きな声でチラリとナギの方を見たヒロイン。
相変わらず仏頂面なナギは、その視線に気づき「チッ」と舌打ちをした。
ソウシ
「それにしても一日でこんなにお城の雰囲気が変わるなんてスゴイよね?」
リュウガ
「がっはは! さすがナギの料理だよな!」
リュウガは隣に座るナギの背中をバンバンッと叩いた。
ナギ
「…オレじゃないですよ…ヒロインが…」
シン
「何を言ってる?
コイツにそんな事できる訳がないだろう」
ヒロイン
「どういう意味ですか!?」
ハヤテ
「あぁ~もぅそんな事どうでもいいだろ!
ヒロイン! そのマフィン取ってくれ!!」
ヒロイン
「はい! これ国王様の手作りですよ?」
ヒロインがそう言うと、今までワイワイと盛り上がっていた食堂が
一気にシーンとなり、シリウスメンバー以外全員の動きが止まった。