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シン
「…オイ、聞いてるのか?
着替えは…? なんだ?」
シンは蒼白したヒロインの顔を見て、初めてヒロインの後ろに誰かいる事に気付いた。
ナギ
「…なんでシンがいる…?」
ヒロイン
「あ…これはっ!」
慌てて振り返りナギを見つめようとするも、ナギは目を背けた。
ナギ
「…お前はさっきから他の男と何してるんだ…
もういい!」
ヒロイン
「ちょっナギ! 待って!」
パッと手を伸ばし、ナギのシャツを掴んだ。
ナギ
「…お前がしてる事をとやかく言うつもりはない…
一番いいと思う事をして欲しいって思ってる。
だが、今まともにお前の話聞ける自信がない…」
背中を向けたままそう言われ、ヒロインはそれ以上何もできなくなってしまい
掴んでいたシャツを離すと、ナギの背中はどんどん遠くに行ってしまった。
シン
「…ナギにフラれるのも時間の問題だな…」
部屋の中から、面白そうにシンが言う。
ヒロイン
「! 誰のせいだと思ってるんですか!?
何でそんな格好で出てきたんですか!」
ヒロインは悲しい気持ちと、シンの心ない言葉に涙が浮かんできた。
シン
「フン、オレのせいとか言うなよ?
だいたいオレを部屋に入れる事自体、おかしいだろ」
ヒロイン
「それは! シンさんだから…」
シン
「オレだから? オレが力づくでお前を襲うかもしれないとは思わなかったのか?」
ヒロイン
「そんな事…」
いつもよりキツイ口調でヒロインを諭す。
シン
「オレがナギだったら、こんな無防備な女許さないがな…」
シンに言われて胸が苦しくなった。
そんなつもりでした訳ではないのに、ナギも呆れてしまったのだろうか。
ヒロイン
「シンさん…ヒック…酷いです…ヒッ
私はただ…シンさんに風邪をひいて欲しくなくって…」
シン
「それがナギを不安にさせてるって思わないのか?
チッ…泣くんだったら、オレがいなくなってからにしろ!」
そう言われても目からは大粒の涙がボロボロとこぼれる。
シンは目の前でナギを思いながら泣くヒロインに我慢が出来ず
自分でも酷い事を言ってしまったと後悔した。
もう一度バスルームへ入り、服を着て外へ出ると
ヒロインはドアの近くにあるソファーで顔を覆って泣いていた。
シンは慰めたい気持ちでいっぱいだった。
抱きしめて、泣き止むまでずっと傍にいてあげてもいい…
しかしそんな事をしてもヒロインが喜ばない事を知っている。
シン
「じゃあな… そこで寝ると風邪ひくぞ?」
ヒロインはコクッと頷くだけで、一度も顔を上げなかった。
シンが部屋を出て行く音が聞こえると、部屋の明かりを消し
ベッドへともぐり込んだ。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。
誰かを思ってした行動が、全部裏目に出てしまった。
ヒロイン
「グズッ…ナギぃ…」
体を丸め、ナギの姿を思い浮かべながら目を閉じた。
すると、ずっと燻っていた雷が
ものすごい音を立てて落ちた。
ヒロイン
「きゃぁあ!!!」
雷が苦手なヒロインは、驚きのあまり声を上げてしまった。
ただでさえ苦手なのに、こんな夜中に落ちるとは
今日は本当に最悪な日だ。
それに今日に限って一人で寝なくてはいけないなんて…。
雷は容赦なく何度も何度も落ちる。
とても寝る事の出来ないヒロインは、毛布を頭の上までスッポリとかぶり
目をギュッと閉じ、耳を塞いだ。
こんな嵐早くいなくなればいい。
しばらくすると、ベッドが少し沈む感覚がした。
人が乗ったような…
真っ暗で何も見えない上に、この広い部屋で一人きり…
鍵もかけ忘れたことに今気づいた。
ベッドの端から手で探るように、ヒロインの事を探してる。
(ど、どうしよ~)
恐怖で動くことも声を上げる事もできない。
するとギュッと毛布を掴まれ、引き剥がそうとする。
ヒロイン
「い、いや!! ナギ助け…」
ナギ
「なんだ?」
暗がりから聞こえた声は、一番安心する声だった。
ヒロインはガバッと起き上がった。
ヒロイン
「え…ナギ…?」
ランプの明かりをベッドの横のテーブルに置くと、ナギはヒロインの目に浮かんだ涙を親指で拭った。
ナギ
「大丈夫か?
雷、怖かっただろ…?」
思いがけないナギの言葉に、張り詰めていた糸が切れ
ヒロインはナギの胸に飛び込んだ。
ヒロイン
「ナギだぁ…」
ナギ
「ふっ、やっぱ来て正解だったな」
雷が苦手な事を知っていたナギは、心配で様子を見にやってきたのだった。
ヒロイン
「ナギ…ごめんね?
私、自分勝手で…」
ナギの胸に抱かれるだけで、鳴り止まない雷の音が
何でもなく思えてしまう。
ナギは優しく頭を撫でてくれた。
ナギ
「オレも…余裕なくて悪かった。
シンから聞いた。」
ヒロイン
「シンさん?」
ヒロインは思わず、パッと顔を上げた。
ナギ
「あぁ、あの後部屋に来て
風呂を借りただけだって聞いた…」
あんな態度で部屋を出て行ったのに、シンはナギに事情を話してくれていた。
あのシンが、どうしてそんな事をしてくれたのか…
なんだか信じられない気持でいっぱいだ。
するとブニッと頬をつねられた。
ヒロイン
「んっ! いひゃいよ」
ナギ
「お前…また他の男の事考えてるだろ?」
ナギの顔が近づく。
(はぁ…ナギってなんでこんなにカッコイイの?
それに優しいし…)
頬をつねられてる痛みも忘れてしまうくらい、ぼんやりとナギを見つめてた。
ナギ
「…その顔をさせてるのは…誰だ?」
誘ってるとしか思えない、熱っぽい目で見つめられると
ナギも堪らなくなる。
ヒロイン
「それは…」
そう聞かれるとなんだか恥ずかしくなってしまう。
ナギ
「誰だよ…? 言ってみろよ…」
ヒロイン
「それは…ナ…」
『ナギ』と言おうとした瞬間、部屋の明かりが一気についたかと思うくらい
ピカッと明るくなり、大きな音を立てて雷が落ちた。
ヒロイン
「きゃぁぁあ!!!」
甘いムードが一気に壊れる程の悲鳴に、ナギは呆れてしまった。
ナギ
「ふはっお前… そんなに怖いのか?」
ヒロイン
「うぅ… 怖いよ!
なんでナギはそんなに平気なの?
私ひとりで寝るなんて無理だよぉ」
泣きそうになりながら言うヒロイン。
これは誘っているのだろうか?
ナギはベッドに体を乗せ、ヒロインの体を優しく押し倒した。
ナギ
「誰がひとりで寝かすって言った?」
ヒロイン
「え…?」
ナギの瞳が覗き込み、胸がドキドキと音を立て始める。
ナギ
「…その顔をさせてるのは誰だって言っただろ?」
ヒロイン
「…ナギ…だよ?」
そう言うとナギは優しく笑った。
ナギ
「もう雷なんて忘れさせてやるよ」
ヒロイン
「え…? んぅっ!」
ナギの言葉が聞き取れず、心の準備もないまま
柔らかい唇が重なった。
ナギ
「…ヒロイン…お前甘いな…」
ヒロイン
「ん…あ…クランベリーかな?」
ナギ
「ほら…口…」
ナギの親指が唇に触れ、少し開いた唇にナギの舌が入り込んで来る。
ヒロイン
「ん…んぅ…」
ナギの体温を舌で感じる。
何度も絡まる舌と、囁かれる『ヒロイン』という声に
体が甘く痺れる。
ナギ
「はぁ…ヒロイン…」
自分の舌とキスでこんなにも感じてもらえるなんて…
ナギの体はゾクゾクと疼いた。
このままキスだけで治まる訳がない。
ナギはスルッとヒロインのシャツの裾から手を入れた。
ヒロイン
「あ…ん…ナギ…」
ナギ
「嫌か?」
ヒロインはフルフルと首を振った。
ヒロイン
「でも…ここでしたら…」
冷静に考えれば、確かにそうだ。
こんな所で欲情してしまうなんて、どうかしてる。
ナギはとても治まりのつかない下半身を静めようと
意識を逸らした。
ナギ
「…じゃあ、もう寝るか?」
ヒロイン
「ホントに一緒に寝てくれるの?」
ナギ
「あぁ」
ポスッとベッドに寝転ぶと、ナギが腕枕をしてくれた。
ヒロイン
「ナギ優しい…」
ナギ
「…そうか?」
ヒロイン
「うん! ナギにギュッてされると安心する」
ホッとした表情で、ゆっくりと目を閉じるヒロイン。
ナギ
「…オレもだ…」
ヒロイン
「ん?」
胸に顔を埋めたまま、ヒロインは体から響くナギの声に耳を傾けた。
ナギ
「オレもお前が傍にいると安心する…」
ヒロイン
「…ふふっ、嬉しい」
外の嵐の事なんてすっかり忘れ、ナギとの甘く幸せな余韻に浸りながら
ヒロインは眠りに落ちて行った。