gossip
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
運ばれてくる料理はどれも色鮮やかで、
見た目も味も高級感に溢れていた。
国王
「どうだ? 料理は気に入ったか??」
ヒロイン
「あ…は、はい!」
そう返事をしたものの、シリウスメンバーを見渡したヒロインは
皆の表情を見て、「やっぱり!」と思った。
ハヤテ
「美味いけど… やっぱナギ兄の方が美味いな!」
シン
「同感だな」
どんなに高級な食材を使っても、ナギの料理で舌が肥えているメンバーは
全員同じ想いのようだ。
国王
「何? 美味くないというのか?」
ソウシ
「いえ、とっても美味しいですよ?」
トワ
「はい! でもナギさんの料理はもっとおいしいんです!」
ナギは一言も発しなかったが、皆がそう言ってくれるだけで
とても嬉しかった。
国王
「そんなにアイツの料理は美味いのか?」
ヒロイン
「はい! とってもとっても美味しいです!
国王様もナギの料理食べたら…!」
ナギの料理を思い出し、興奮気味に話していると
横に座っていた国王がテーブルに片肘をつき、
ジッと見つめていた。
国王
「…お前にそんな顔をさせるのか…あの男は…」
耳の横に垂れた髪を、国王の手が絡め取る。
こんな至近距離で男の人に見つめられるなんて…
ましてやナギや皆のいる前で…
国王
「お前…かわいいな…」
バンッ!
大きな音に驚き、ヒロインはハッと音のする方を見た。
するとナギが怒りに満ちた表情で椅子から立ち上がり、
テーブルに両手をついていた。
国王
「騒がしいな?」
国王は意地悪な笑みを浮かべて、ナギを見つめた。
ナギは堪らずに、大股でヒロインの元まで近寄り
腕を掴むとヒロインを席から立ち上がらせた。
ヒロイン
「あっナギ!」
ナギ
「…行くぞ…」
ヒロイン
「えっ? ど、どこに?」
聞いても返事は返って来ない。
痛いくらいに力強く握るナギの手。
怒っている事が分かり、ヒロインも何も言えなくなってしまう。
国王
「ナギとやら!
お前に明日の朝食をお願いしよう!
厨房も自由に使うがいい。
それにこの天気だ、出航は無理だろう。
しばらく泊まって行くがいい」
国王の話が最後まで聞きとれない内に、ナギは部屋のドアを開け
ヒロインと一緒に廊下へと出た。
夜だというのに、廊下の窓を大粒の雨が激しく叩き付ける音がした。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「…悪い… 手ぇ痛かっただろ?」
ヒロイン
「え…?」
そう言って振り返ったナギの顔は、とても優しかった。
ヒロイン
「ナギ、怒ってるのかと思った…」
不安げにナギを見上げると、ポンッと頭に手が置かれた。
ナギ
「怒ってる… お前の事を狙ってるヤツを見ると
メシも食う気になれない…」
ヒロイン
「狙ってるなんて…そんな…
だって国王様だよ? 私の事気に入らなかったって皆言ってたでしょ?」
ナギは呆れて何も言えなくなった。
ヒロイン
「? 何?その顔…」
ナギは頭に置いた手を外し、頬に手を掛けようとした。
執事
「ナギ様。
国王よりお話を伺いました。
厨房へご案内致します。 お部屋も用意しましたので…」
突然声を掛けられ、ヒロインを触れようとした手は、行き場をなくしてしまった。
ヒロイン
「あの! 私は…私の部屋は別ですか?」
執事
「は?」
ヒロイン
「私ナギと… その…」
ナギ
「部屋…案内してください。
コイツには別の部屋を」
ヒロイン
「!?」
あれだけ「傍にいる」って言ってくれていたのに、
部屋を別にするなんて…
ヒロインは悲しくて、泣きそうな顔でナギを見つめた。
執事
「はい。
では、ヒロイン様は先ほどお着替えをされたお部屋をお使いください。
この通路の奥です。
ナギ様は下の階にご用意します。」
ナギ
「…コイツと一緒に厨房に行く。
着替えるのを待っていてもいいか?」
執事
「…はい。 ではお部屋へ…」
ナギ
「いい。 オレが連れて行く。
少ししたらコイツの部屋に迎えに来て欲しい」
執事
「かしこまりました」
執事は深々と頭を下げる。
ナギは暗い表情をしているヒロインに声を掛ける。
ナギ
「…行くぞ?」
ヒロイン
「うん…」
ドレスの裾を片手で掴むと、ヒロインはゆっくり歩き出した。
廊下にはナギとヒロインの足音が響く。
ナギ
「…機嫌悪いな…」
ヒロイン
「…そんなことないよ…」
ナギ
「部屋を分けたのは…」
ヒロイン
「いい! 分かってるから!
朝食の仕込み、手伝っていいの?
ドレス脱いだらすぐ行くね?」
ナギ
「は? 部屋に一緒に行くって言ってんだろ?」
ヒロイン
「大丈夫だよ! ほらあそこ!
あの白いドアの所だよ? 一人で…」
ナギはこちらを向かないヒロインの手を取って、
グッと胸に抱き寄せた。
ナギ
「…アホ…
一人で行かせるかよ… 何の為にお前と2人きりになったと思ってるんだ…」
ヒロイン
「え?」
ナギの胸に閉じ込められ、ヒロインは何が起きているか分からない。
部屋を分けたのは、ナギ自身がひとりになりたいからだと思っていたが…
ナギ
「…ッ! もういい!
とにかく部屋へ入るぞ!」
ナギは恥ずかしくなり、胸から離すと手を繋いで部屋へと入った。
部屋の中には誰もおらず、ナギとヒロインの2人だけになった。
ナギ
「…脱がすの手伝う」
ヒロイン
「え!?」
後ろに立つナギを勢いよく見上げた。
ナギ
「なんだよ? 一人で脱げるのか?」
ヒロイン
「脱げないけど… でも…恥ずかしいよ…」
当たり前のように言われるが、そんな心つもりをしていなかったヒロインは
胸がドキドキと鳴りだした。
もっと肌を見せる行為をナギとは何度もしているというのに
いつまで経っても慣れない。
ナギ
「ほら、前向けよ」
ヒロイン
「う…うん…」
大きな鏡の前に立たされ、シュルシュルと背中のヒモを解いていくナギ。
鏡越しにナギの表情を見るが、視線は背中に集中している。
こうして鏡の前で一緒に立つと、ナギの身長の高さがよく分かる。
前に自分が立っているのに、ナギの顔がよく見える。
ナギ
「…何見てんだよ?」
ヒロイン
「!!」
ヒロインは胸がドキリと鳴った。
顔を上げてないのに、視線に気付いたのだろうか?
ヒロイン
「あ… ナギ、どうして部屋別なの?
私、本当は一緒に…」
そう言うとナギの手がピタリと止まった。
ナギ
「…お前…あんま可愛いこと言うな
オレだって我慢してんだよ!」
ヒロイン
「え?」
鏡越しにナギと目が合う。
ヒロイン
「我慢って…?」
ナギ
「オレだってお前と一緒にいたいと思ってる…」
ナギが最後のヒモをシュッと緩めてくれると、締めつけていたものが無くなり
体が解放された様にホッとした。
ナギがとんでもなく嬉しい事を言ってくれているのに、
苦しいのを我慢していたので、そっちの方に気がいってしまった。
ナギ
「ふっ… お前、苦しくてあんまりメシ食えなかっただろ?」
ヒロイン
「え?」
鋭いナギの突っ込みにヒロインのオナカが「ぐぅ」と鳴った。
ナギ
「ふははっ! お前はぁ…ククッ」
鏡の中に大笑いのナギが映し出される。
大好きなナギの前でオナカが鳴ってしまい、恥ずかしくて思わず大きな声で言い返した。
ヒロイン
「もぅ!そんなに笑わなくてもいいでしょ!
…でも、ナギ私の事気にしてくれてたの?」
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「…ナギご飯中ずっと不機嫌だったし、私の方見ようともしなかったし…」
スルッとドレスを脱がされた。
下着姿になり、恥ずかしいはずなのに
なんだかナギの好きなようにされたい気になってくる。
ナギ
「…さっきも言っただろ?
国王のお前を見る目が気に入らねぇし、
さっさとドレス脱いで欲しかったし…」
ヒロインは首だけ振り返って、ナギを見上げた。
ヒロイン
「ふふっ、ナギにヤキモチ妬いてもらえるなんて…
なんか嬉しい♡」
ナギ
「あ? お前…」
警戒心もなく国王とにこやかに話している姿に、どれだけイラついたか分かっているのだろうか?
目の前で可愛く笑うヒロインを見ていると、そんな感情がどうでもよく思えてきてしまう。
ナギはペシッとヒロインのオデコにデコピンをした。
ヒロイン
「!? ったぁ…」
ナギ
「もぉいいから、早く着替えろ!
何か食うもの作ってやるから」
ヒロイン
「えっ!?」
痛みに歪んだ顔が、一気に明るくなり
ナギは思わず笑ってしまった。
ナギ
「ふっふは! お前はぁ…何食いたいんだ?」
ヒロイン
「ん~オムライス!!」
ヒロインにシャツを羽織らせているナギは手を止めた。
ナギ
「はぁ? オムライス?」
ヒロイン
「うん! ナギのフワフワの卵のオムライス食べたい!」
ナギ
「こんな城ん中で、そんないつでも食えるもの言わなくてもいいだろ?
もっといい食材だってあるだろうし…」
なんて欲のないヤツ…。
ナギはこういうヒロインだから、好きなんだとつくづく思った。
あれだけの高級食材を目にしておきながら、食べたい物が『オムライス』とは…。
ヒロイン
「ダメ?」
シャツのボタンをはめながら、見上げてくるヒロイン。
その可愛い顔にナギの顔は緩んでしまう。
ナギ
「ふっ、分かった。
デミグラスソースかけてやるよ」
ヒロイン
「やった♡ ナギ大好き!」
ヒロインは喜んでナギに抱きついた。
こんな自分にこうやって抱きついてくるのは、ヒロインが初めてだ。
ナギ自身もこんなに心を許す相手は、この先もヒロインしかいないだろう。
ナギ
「ヒロイン…」
ヒロイン
「ん?」
ナギの胸から顔を上げると同時に、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
ヒロイン
「あっはい!」
執事
「ご用意できましたか?」
ドアの向こうから声が聞こえる。
ナギ
「チッ… 来るのが早い…」
ヒロイン
「? ナギ?行こう!」
ヒロインに手を引かれ、ナギはヒロインと2人きりの甘い時間が終わってしまった事にがっかりした。