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陽が沈み、食事の用意が出来たと執事が部屋へ迎えに来た。
待ってましたとばかりに、ハヤテはソファーから飛び起き
一目散に執事の元へと駆け寄った。
ソウシ
「ナギ、行くよ?」
ナギはその声に、ゆっくりと立ち上がった。
執事が呼びに来る前に、女の使用人が数人現れ
ヒロインを別の部屋へと連れて行った。
何でもせっかくの食事だからと、国王が特別にヒロインにドレスを着せると言ってくれたそうだ。
きっと普段着のヒロインを思ってしてくれたのだろう。
女好きの国王らしく、気に入らない女性にも優しい。
ナギは自分の傍にいない事と、ドレスを着るという事に不安を覚える。
ナギ
「…オレここで待ってます」
執事の後について、食事をする部屋へと入ろうとするメンバーに
ドアの前で待つと告げるナギ。
ヒロインの事となると、とても心配症になるナギを
メンバー全員がニヤリと笑い部屋の中へ入っていった。
ナギ
「チッ」
その反応にナギは恥ずかしい気持ちを隠すように舌打ちをし
腕組みをしながらドサッと壁に寄り掛かった。
(それにしてもデカイ城だな)
待っている廊下はその先が見えないくらい遠くまで続いている。
ヒロインがひとりでここへ来たら、間違いなく迷子になっていただろう。
迷子になってアタフタとしている姿を思い浮かべ、
ナギはふっと笑ってしまった。
すると廊下の奥から、靴の音が聞こえた。
ナギは顔を上げ、音のする方に視線を送った。
ヒロイン
「あれ? ナギ…もう皆は中に入ってるの?」
ナギは目を奪われてしまった。
ヒロインのこういうドレスアップした姿は何度か見た事はあったが
今日着ているドレスは、とても品があって
ヒロインのイメージにピッタリと合っていた。
ヒロイン
「変…かな? なんか言われるがままに着たんだけど…」
恥ずかしそうにナギの顔を見上げるヒロイン。
化粧をしているのか、いつもより大人っぽい印象を受ける。
ナギ
「…変じゃない… そのむしろ…」
ヒロイン
「?」
なんだこの可愛さは…
ナギは目の前で着飾ったヒロインをまっすぐ見れない。
ヒロイン
「あ…皆待ってるよね?
国王様もいるのかな? 早く行かないと…」
意識が自分から逸れ、部屋のドアへと向く。
このドアをくぐったら、自分以外の全員が知る事になる。
ヒロイン
「ナギ? 行こ?」
ナギを覗き込むと、急にギュッと抱きしめられた。
ヒロイン
「!! ナギ?」
ナギ
「…見せたくねぇ…」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「…こんな可愛いお前を何で他のヤツに見せなくちゃいけないんだ」
抱きしめられてナギの表情を見る事はできないが、
ナギからこんな事を言われるなんて、とても信じられない。
抱きしめる手に力が入り、ヒロインはナギの胸に深く埋まった。
ナギ
「…国王にはもう見せたのか?」
ヒロイン
「え? 国王様? うーうん、誰も見てないと思うけど…」
ナギ
「…そうか…」
この姿を見たら、きっと気付かなかったヒロインの可愛さに気付くだろう。
そして外見だけではない、ヒロインの純粋で綺麗な内面に気付くのも時間の問題だ…。
束縛をするつもりはないが、自分だけが知っていたい。
他の誰にも知られたくないという、今まで沸いた事のない感情が心を埋める。
ヒロイン
「ナギ…? 可愛いって思ってくれたの?」
胸の中で顔を上げるヒロイン。
こんな近距離で、澄んだ黒い瞳で見つめられると
とても正気ではいられなくなる。
ナギ
「…あぁ…」
ナギは少し視線をずらし、顔を赤くしてそう言った。
ヒロインは驚いて目を見開いたが、こんなに素直に言ってくれる事に
心から嬉しく思った。
ヒロイン
「嬉しい! ナギにそう言ってもらっただけで…」
ナギ
「…ヒロイン…」
ニコニコと可愛い笑顔を向けるヒロイン。
ナギは堪らなくなる。
ナギ
「…お前…
クソッ!それが可愛いって言ってんだ!」
ヒロイン
「んぅ!」
少し強引に唇を塞がれるヒロイン。
ナギの体温が伝わる様に、柔らかな舌が口の中に入ってくる。
ヒロイン
「はぁんっ…ナギ…口紅…取れちゃうっ!」
ナギ
「…はぁ…うるせぇ…」
ナギはスイッチが完全に入り、止まらなくなってしまう。
腰を抱いていた手を上に上げ、さらに近づくようにヒロインの頭の後ろに手を回し
深く唇を重ねた。
静かな廊下に、ナギと舌を絡め合う音が響く。
ヒロイン
「はぁ…も…ダメ…ナギ待って…」
ナギの激しいキスに耐えきれず、ナギの唇から離れた。
ヒロイン
「…もぉナギぃ…ふふっ…」
ヒロインはナギのキスに反応して色気のある顔で
ポスッと頭をナギの胸に当てた。
ナギ
「…苦しかったか?」
ヒロイン
「んーん… 私ドレス脱いでくるね?
ナギに見てもらえれば充分だもん」
ナギの胸から顔を上げると、ニッコリと微笑んむ。
ヒロイン
「あっ! ナギ…やっぱり口紅少しついちゃった…
ここ…」
唇をヒロインの細い指がなぞる。
その何でもない動きに、ナギの体は敏感にゾクッと反応してしまった。
シン
「…オイ、バカップル…
早く部屋へ入って来い!」
ナギの背後からシンの冷たい声が聞こえる。
ヒロイン
「シ、シンさん! いつからそこに…」
シンはその問いに答えず、ナギの前に出るとヒロインを一瞥した。
シン
「…ほら早く来い。
国王がお待ちかねだぞ?」
シンがヒロインの手を取ると、グッと引っ張られ
そのまま部屋へと歩いて行く。
ヒロイン
「あっシンさっ! ちょっと待ってくだっ!!」
すると横からナギの手がシンの手を掴んだ。
ナギ
「…オレが連れてく。
すぐ行くから先に行っててくれ」
シン
「…フン…」
シンは面白くなさそうに鼻を鳴らすと、部屋の中へと消えた。
ナギ
「大丈夫か?」
ヒロイン
「あ…うん… これ以上待たせられないね…」
不安そうに見つめるヒロイン。
ナギはそっとヒロインの唇を触り、さっきヒロインが自分にしてくれたように
ずれた口紅を親指で拭き取った。
ナギ
「…オレが傍にいる…」
ヒロイン
「うん!」
ナギはヒロインのおでこにチュッとキスをすると
部屋のドアを開けた。
中に入ると、長テーブルにメンバーが向かい合わせに座り
一番奥の席に国王が正面を向いて座っていた。
トワ
「わぁ! ヒロインさん!!
そのドレス、スッゴクお似合いです!」
部屋に入った瞬間、トワがヒロインを見て声を上げた。
ソウシ
「ホント!
そういう感じのドレス姿初めて見たけど、
すごく綺麗だよ」
みんなに誉められ、顔が一気に赤くなった。
ヒロイン
「本当ですか?」
恥ずかしそうに笑うその顔を見て、
その場にいた全員、ドキッと胸が鳴った。
リュウガ
「お前は、そういうの着ると雰囲気がグッと変わるな!
どれ近くで見せてみろ!」
リュウガが手招きをして傍に来いと言っている。
いつもそうやって、お尻を触られたり
腰を抱かれているヒロインは、「大丈夫です」と
横にいるナギの後ろに隠れた。
そしてこのやり取りに全くついていけてないのが国王だった。
国王
「…お前…ヒロインだな…?」
ヒロイン
「え…? はい…?」
一番遠くの席にいる国王は、目を見開いて固まっている。
ナギの後ろからヒョコッと顔を出すヒロイン。
何か気に入らない事をしてしまっただろうか?
そもそも気に入られてない自分が、感謝も述べずにドレスを着て
当たり前のように過ごしている事に苛立っているのかもしれない。
ヒロインはナギの後ろから前に出て、国王に向かってお礼を言った。
ヒロイン
「あの…ドレスありがとうございます!
こんな素敵なドレス初めて着ました…それで、えっと…」
横でしどろもどろになっているヒロインを見て、ナギは「はぁ…」とタメ息をついた。
国王が固まっている理由が分かってないヒロイン。
ナギは堪らずに、ヒロインの腕を取って空いている席へと歩き出した。
国王
「待て!」
ナギ
「チッ…」
(ついに気付きやがった…)
国王
「ヒロインは私の隣に座れ!」
ナギはヒロインを掴んだ手に思わず力が入る。
ヒロイン
「んっ…ナギ、痛い…」
ナギ
「あっ…悪い…」
離したくない。
ただでさえ、この姿を他のヤツらに見せたくないのに
ヒロインを落とそうと狙っている国王の隣に座らせて
とても食事なんてする事が出来る訳ない。
国王
「早くしろ!」
ヒロイン
「あ…ナギ? 私なら大丈夫だから…行った方がいいよね?」
不穏な空気を感じ、ヒロインはスルッとナギの手から腕を離し
国王の元へと行った。
国王
「お前、どうして黙ってた?」
ヒロイン
「?」
国王
「危うく見落としてしまう所ではないか!
まぁいい、早くここに座れ」
国王の隣に椅子が用意され、なんとなく近い距離に不安を感じながら
椅子に座った。
国王
「よし! では食事を始めよう!」
満面の笑みを浮かべる国王。
ナギはすぐにでもヒロインをあの席から連れ去って
さっさと船に戻りたいところだ。
シン
「お前、もう少し大人かと思ってたぞ?
ククッ、そんなに他の男が狙っているのが嫌か?」
ナギ
「!!?」
隣でシンが面白そうに笑う。
ソウシ
「こらシン! ナギもそんなに敵意むき出しにしないで
ほらせっかくだから戴こう」
ハヤテ
「うわっ!うまそ~!!
こんなの食えるなんてラッキー!」
ナギの気も知らないで、ハヤテは目の前に次々と運ばれてくる高級料理に目をキラキラさせている。
リュウガ
「いやぁ~こんな美味いワインは久しぶりだな!
国王様は若いのに、酒の味がよく分かってるな!
わははっ!!」
酒ですっかり丸めこまれたリュウガに、ナギはうなだれた。
もしリュウガが同じように不快に感じたなら、ここを早く去る事ができるのではないかと踏んでいた。
シン
「ナギ、諦めろ。
あと一時間もすれば嵐になる…
そうなれば船は出せない、ここに泊まる事になるな」
ポンッと肩に手を置かれ、シンは窓の外を見るように促す。
確かに夜だと言うのに、厚い雲の隙間からゴロゴロと音を立てて
雷の筋が走っている。
(ここに泊まる?)
ナギは国王の横で、戸惑いながら話し相手をしているヒロインを見つめた。