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ヒロイン
「うわぁ! 大きな街ですね!!」
港にはたくさんの船が着き、人混みで近くの市場は賑わっていた。
ソウシ
「ここの国の王様は、若くして王になったから
賑やかな事が好きで、とっても栄えているよ」
シン
「オイ、よそ見してるとはぐれるぞ!」
ロイ
「よっし、ヒロイン! 手を繋ごうじゃないか!」
ヒロイン
「え、遠慮します!」
ヒロインは慌ててナギの後ろに隠れた。
ロイ
「ムッ、バンダナ! またヒロインを1人占めするのか?!」
絡んで来るロイを呆れた顔で見下ろすと、ナギは「はぁ…」とタメ息をついた。
ハヤテ
「つーか、何でロイとファジーもいるんだよ!
お前らちゃっかり朝飯まで食っていきやがって!」
ファジー
「そりゃ真相を掴まないとだよ!
私のシン様にヒロインがちょっかい出してたらただじゃおかないよ!」
ヒロイン
「だから、絶対ないです!!」
ヒロインがいくら言っても、ファジーもロイも納得しない。
そもそも何で今さらそんな噂が立っているのだろう。
リュウガ
「そいじゃ別れて情報収集といくか!
ナギとヒロインは一緒がいいだろ…
ソウシはハヤテ、シンはトワと回れ!」
ヒロイン
「船長はどうするんですか?」
ソウシ
「ヒロインちゃん、それは聞かなくても…でしょ?」
ニッコリ微笑むソウシを見て、ヒロインは「あぁ!」と納得した。
リュウガ
「ゴホッ!とにかく、情報を掴んだら船に集合だ!」
全員
「アイアイサー」
・・・・・・・・・・・・・・
そうして散り散りに情報収集を始めたシリウス海賊団。
ナギは今回の噂の出所が大体予想できた。
それはリュウガもソウシもシンもそうだろう。
ヒロイン
「情報っていってもどこに聞きに行けばいいのかな?」
人混みを縫うように歩いているナギとヒロイン。
ナギ
「………」
横を歩くナギを見上げるが、一向に返事が返ってこない。
ヒロイン
「ナギ?」
どうしたのかとナギの服の袖を少し引いた。
するとナギは急に立ち止まった。
ナギ
「…ヒロイン…」
ヒロイン
「? あっ!ナギ!
あそこ酒場があるよ!入ってみる?」
ナギの肩越しに酒場の看板が目に入った。
しかしナギは動こうとしない。
ヒロイン
「ナギ…どうしたの?
ここ人多いから、あっ!ごめんなさい!」
追い越そうとする人とヒロインの肩がぶつかった。
立ち止まっているナギとヒロインをウザッたそうに
睨みつけて通り過ぎて行く。
ナギ
「…連れて行きたい場所がある」
ヒロイン
「え…でも、情報…」
ナギは話も聞かずにヒロインの手を取ると、
そのまま歩き出していった。
ナギは色々と話すタイプではないし、
表情で読み取るなんて事はなかなかできない。
でも何か話したがっている。
やっと分かるようになってきたヒロインは、
黙ってナギの背中について行った。
しばらく歩いてナギが連れて来てくれたのは、小高い丘だった。
この地方は温暖な気候で、一面野の花の絨毯が敷かれている。
そして丘からの眺めはさっきまでいた港が一望でき
とても素敵な景色だった。
ヒロイン
「うわぁ~!!」
ナギはキラキラした笑顔を浮かべて、満足しているヒロインを見て微笑んだ。
ヒロイン
「スゴイ素敵! ナギありがとう!」
その顔がなんとも可愛くて、ナギは連れてきて良かったと思った。
そしていつも何も言わずについて来てくれるヒロインに温かい気持ちでいっぱいになった。
ヒロインは無邪気に野原を走り回って、かわいい花を見つければ匂いをかいだり
鳥がいれば空を嬉しそうに見上げていた。
ナギはそんな他愛のない姿を微笑ましく思った。
ゴロリと片肘をついて野原に寝転ぶナギ。
こうしてここに連れてきたのは正解だった。
これからきっとヒロインは面倒な事に巻き込まれる。
ヒロインがそれをどう受け止めるかは、アイツ次第だが
またここにこうして来れるようにと願うばかりだ。
ヒロイン
「ナギー!見て見て!!
雲の形がパンみたいー! ハヤテさん見たら喜ぶね!」
少し離れた場所で空を指差すヒロイン。
ナギは暖かい日差しに目を細め、空を見上げた。
ヒロインがどうして自分と一緒にいてくれるのか、
どうして自分を選んでくれたのか…
こんな事簡単に聞けるはずなのに、ナギはとても聞くことができない。
ヒロインの事となるとどうも弱くなってしまう。
ぼんやりと空を見ながら考えていると、
カサッと近くの草を踏みしめる音がした。
ヒロイン
「ナギ、そろそろ戻らないと怒られちゃうかな?
みんな私の為に聞き回ってくれてるんだもんね」
ナギの横に座るヒロイン。
するとゴロッとナギの頭が腿に乗り
膝枕をする感じになった。
ヒロインは驚いたが、目を閉じているナギの顔がカッコよくて、
ふふっと微笑んだ。
ヒロイン
「ナギ、甘えん坊さん」
ナギ
「…お前さ…」
ヒロイン
「ん?」
ナギ
「お前が一番いいって思う事を選択しろよ?
オレがどうとかじゃなくて…」
ヒロイン
「え?」
何の事を言っているのか分からない。
ナギは目を開けると、まっすぐヒロインの目を見つめた。
ナギが自分を見上げるなんて滅多にない。
その姿と視線にドキドキしてしまう。
ナギ
「…聞いてんのか?」
ヒロイン
「あ…うん…」
その声にハッと意識を戻すと、ナギは左手を野原につけて起き上り
顔を向かい合わせた。
そしてそっと右手をヒロインの頬に添えた。
ナギ
「…お前が選択した答えなら、オレは受け入れる…
でもそうじゃないなら、何が何でも離す気はねぇ!
どこにも誰にもやる気はねぇから…」
ヒロイン
「…? ナギ?
何の事…んっ…」
聞きたい事はたくさんあるのに、ナギのキスはこれ以上何も聞くなというように
深いキスだった。
誰もいないとはいえ、こんな場所でこんな激しいキスをしてくるなんて…
ヒロイン
「…はぁ…ん…ナギ? どうしたの?」
ナギ
「…別に… そろそろ行くか」
そう言ってナギは立ち上がった。
なんだか胸の中でモヤモヤが広がる。
ヒロイン
「ナギ! あの…私、ニブイし
ナギや他の皆のように上手く悟れないけど…
でもナギの事少し分かるよ?
何言いたいかは分からないけど、私はナギの事…一番大事だよ?」
伝え方も分からず、思いつくままを伝えた。
きっとナギもよく分らなかっただろう。
目の前で「何だ?」とばかりにキョトンとした表情をしているナギ。
ヒロイン
「それだけ言いたかったの!
情報収集行こ!」
今度はヒロインがナギの手を取って、緩やかな丘を下って行った。
ナギは少し前を歩くヒロインの背中に、小さな声で「ありがとな」と呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・
元の街へと戻ると、相変わらずの人混みで
情報収集するのもウンザリしてしまう。
ヒロイン
「ナギ、どうしようか?」
ナギは情報収集をする所か、ヒロインの手を引くと港の方へと向かって行く。
ヒロイン
「あっあれ? ナギ!そっちは船に戻っちゃうよ?」
ナギ
「…もうみんな船に戻ってるはずだ…」
何でそう思うのか、不思議に思ったが
今日のナギはなんだかいつもと違う。
ヒロインは何も言わずにナギと一緒に船に戻った。