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執事
「…今、国王様がって言われましたか?」
ヒロイン
「え? は、はい…
生地もジャムも国王様が…」
すると執事はスコーンを手に取り、一口口に入れた。
初老の執事は、目の横の皺をより深く寄せて
ニッコリと微笑んだ。
執事
「国王様、お母様の味によく似ております。
とても優しい味がします」
執事の温かい笑顔を見て、国王は満足げに微笑んだ。
国王
「そうだろう! 皆もたくさん食べてくれ!」
国王はヒロインの言っていた意味がハッキリと分かった。
『誰かの為…』 なんて気持ちのいい事だ。
こんな事で笑顔になってくれる人がいる。
幼い頃から王として扱われ。
優しい大人ばかりではなく、自分を蹴落とそうとしたり
騙そうとする大人…
なんとか自分の利益の為に、誘惑する大人。
そんな環境で育った国王は、人に心を許すをいう事に蓋をしていた。
しかしその蓋が開きかけている。
ヒロインという女に会ってから、たった一日の出来事ではあるが
なんとも清々しい気持ちで胸がいっぱいになった。
国王は楽しそうに笑うヒロインの横顔を見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・
時間はあっという間に過ぎ、海の様子を見に行ったシンが城に戻って来ると
出航可能という事で、この国を出発する事になった。
リュウガ
「世話になったな!」
国王
「もっといてもいいのだが…」
国王の視線はヒロインを捕える。
ソウシ
「私達は海賊ですから…
今回の噂で海軍もいつ動き出すか…」
国王
「ふっそうだな…」
名残惜しそうな笑みを浮かべる国王。
ヒロインは国王の元へと近づいた。
ヒロイン
「国王様! またこの国へ来るのを楽しみにしています!」
そう言って小さなバスケットにクランベリーのマフィンが3個乗っており
綺麗にラッピングされている。
国王
「? これは?」
ヒロイン
「…国王様のお母様にお渡しください!
きっと国王様の笑顔の源になります!!」
ニッコリ微笑むヒロインを見て、国王は離したくない気持ちになる。
国王
「…笑顔の源はもう見つかっているが…」
ヒロイン
「?」
国王はバスケットを受け取り、そのままグッとヒロインの腕を掴み
胸に抱き寄せた。
国王
「…いつかまた会った時は覚悟してろ?」
ヒロイン
「!!? こ、国王様!?」
その行動にナギだけでなく、シリウスメンバー全員がヒロインを引きはがしに来た。
リュウガ
「ヒロインに触っていいのはオレだけだ!」
ソウシ
「困りますよ暴走は…」
シン
「フン、エロガキが」
ハヤテ
「勝手に触ってんじゃねぇ!」
トワ
「そうですよ! ヒロインさん大丈夫ですか?」
ナギはそれ以上何も言う事が出来ず、慌てているヒロインをグッと引き寄せ
横に並ばせた。
国王
「ふっ…ふはははっ!!
噂はあながち間違いではなさそうだな?」
ヒロイン
「?」
ナギだけではなく、シリウスメンバー全員がヒロインの事を大切に思っている事が分かり
国王は笑ってしまった。
国王
「クククッ…上手に手玉に取られているではないか…」
目の前でどこかスッキリしたような自然な笑みを浮かべて
大笑いしている国王を見つめ、シリウスメンバーは気まずい表情で顔を見合わせた。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒