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ファジー
「ヒロインーーー!!!!」
まだベッドで寝ていたヒロインは、船中を駆け巡るその大きな声に飛び起きた。
ナギは既に起きていて、朝食の準備をしていた。
ドスドスと船内を歩く足音が近づき、
部屋の前で音が止まったかと思うと
勢いよくドアが開き、ファジーが飛び込んできた。
ファジー
「あんた見損なったよ!!」
ヒロイン
「へ?」
寝起きで何が起きているか分からないヒロイン。
ベッドの上から目の前で仁王立ちしているファジーをぼんやり見上げていた。
ロイ
「うぉ~ん! 頼むから嘘だと言ってくれヒロイン!!
…寝起きももの凄く可愛いな…」
後から部屋に入ってきたロイは
まじまじと寝巻き姿のヒロインを見つめた。
するとロイは後ろからゲンコツを喰らった。
ロイ
「ぐぁっ!」
ヒロイン
「ナギ!」
ナギは不機嫌な顔つきで立っていた。
ソウシ
「なんの騒ぎ?」
騒ぎを聞きつけて、続々とメンバーがナギとヒロインの部屋に集まってくる。
ヒロインは寝巻き姿が恥ずかしくなり、毛布を手繰り寄せた。
ナギ
「チッ…」
寝起きのヒロインを見せるのは、いい気がしない。
何の為にロイとファジーが乗り込んで来たかは知らないが
面倒な事になりそうだ…。
ナギは「はぁ…」とタメ息をついた。
ナギ
「…とりあえず、部屋だと狭いから食堂行くぞ」
ナギの低い声に、誰も文句を言えず
ぞろぞろと部屋を出て行った。
ヒロイン
「あっナギ!」
最後に部屋を出て行こうとするナギの背中を呼び止めた。
ナギ
「どうした?」
ヒロイン
「あの…そこのズボン取ってくれる…?」
ナギ
「!!!」
恥ずかしそうにヒロインは棚の上を指差した。
そう言えば昨晩、体を結んだ後
服も着ないで寝そうになったヒロインにナギが
下着とシャツだけ着せた。
ナギ
「…お前、下まだ履いてないのか?」
ヒロイン
「…うん…」
ナギはハッとして、部屋のドアを勢いよく締めた。
なんて事だ…。
いや、自分が迂闊だった。
こういう事も想定して、ちゃんと着せるべきだった。
ナギはヒロインのズボンを取ると、ベッドに腰掛けた。
ヒロイン
「…ナギ…ごめんなさい…」
ナギの不機嫌な空気を感じて、しょんぼりと謝った。
ナギ
「…別に怒ってねぇ…
ロイに見られなかっただろうな?」
ヒロイン
「うん! 布団はちゃんと掛けてた!」
自信満々に答えるが、もし布団を掛けていなかったら
見られてもおかしくなかったという事だ。
ナギ
「はぁ…」
ヒロイン
「?」
ナギはバッと布団を剥いだ。
慌ててシャツの裾をグッと引っ張り、足を隠すヒロイン。
ヒロイン
「な、何??」
昨日暗闇で着せる物が見当たらなかった為、自分のシャツを着せたが
こんな格好で恥ずかしそうに見上げられると
なんだかいやらしい気分になる。
ヒロイン
「ナギ? あの…皆待ってるから、ズボン…」
ナギ
「…こっち来いよ」
ヒロイン
「え…う、うん…」
もぞもぞとナギの近くまで行く。
ナギ
「…ここに来い」
そう言ってナギは膝の上に座れと手で太ももをポンポンッと叩いた。
ヒロイン
「い、今?」
何度も言わせるなと言わんばかりに、目で「来い」と言ってくる。
ヒロインは戸惑いながら、下着のままナギの足に乗った。
するとギュッとナギに抱きしめられた。
ヒロイン
「ん…ナギ? ど、どうしたの?」
ナギ
「…なんかムカツク…」
ヒロイン
「え…」
ナギ
「なんでお前の寝起きを色んなヤツが見てるんだ…」
ヒロイン
「!」
抱きしめるナギの腕に力が入り、ヒロインはナギの肩に深く顔を埋めた。
(ナギ…見られたくなくて怒ってるんだ…)
ヒロイン
「ふっ…クスクスクス…」
ナギ
「あ!?」
ヒロイン
「ふふっ、ナギ…もぉ大好き!」
ヒロインはチュッとナギの頬にキスをした。
そっと離れて、ナギと見つめ合うと
ナギは真っ赤な顔をしている。
ナギ
「…他のヤツにはするなよ?」
ヒロイン
「当たり前だよ! ナギだからこんな事するの!」
ヒロインも今さらこんな格好でナギの足に乗っている事が恥ずかしくなった。
2人して赤い顔になり、どちらとなく笑顔になった。
ナギ
「起きて、食堂行けそうか?」
ヒロイン
「うん!」
ズボンを受け取り、ヒロインは準備をした。
ナギ
「先行ってるな?
ゆっくりでいいから…」
ナギは部屋を出ると、食堂を目指した。
(ったく、ロイのヤツ何だって言うんだ…)
間違いなく面倒な事を持ってきたに決まっている。
でも、その発端がまさかヒロインとは
この時知る由もなかった。
・・・・・・・・・・・
着替えを済ませて急いで食堂へと走った。
ファジーは何にあんなに怒っていたのだろう。
ヒロイン
「お待たせしました!」
食堂のドアを開けると、待ってました!とばかりに
ファジーが勢いよく飛びかかり、胸ぐらを掴まれた。
ファジー
「あんたこの船の男全員手玉に取ってるって本当かい!?」
ヒロイン
「へ? く、苦しい…」
ファジー
「とぼけんじゃないよ!
シン様とどんないい事したんだい!白状しな!」
ヒロインは何の事だかさっぱり分からず、ファジーのされるがまま
問い詰められていた。
ソウシ
「ファジー、手を離しなさい。
女の子がそんな事しちゃダメだよ」
ハヤテ
「ホントにソウシさんって、女なら誰でも優しいのな…
ファジーなんてメスゴリラだろ?」
ファジー
「なんだって?このサル!!」
ファジーの気がそれて、ヒロインはパッと手を離された。
食堂に集まったシリウスメンバーは、何が起きているのかと
半べそをかいているロイに話を聞いた。
ロイ
「この近くの港に寄ったら、ものすごい噂になっていた」
リュウガ
「噂? なんの話だ?」
ロイ
「シリウス海賊団は、女を1人船に乗せて
その女にいいように弄ばれてるって…
嘘だと言ってくれーーーー!!」
ロイがガバッとヒロインに抱きついた。
しかしヒロインはロイの言っている言葉に思考が完全停止していた。
(私が弄んでる…?)
するとナギがロイの襟首を引っ張り、ヒロインから引きはがした。
リュウガ
「なんだよそのくだらねぇ噂!」
シン
「…このオレがこのちんちくりんに弄ばれてるだと?」
シンの冷たい視線がヒロインに刺さる。
ヒロイン
「わ、私が言ってるんじゃ…」
ソウシ
「で? その噂が何なの?」
ファジー
「女にうつつを抜かしてるシリウスなんて、
いつでも潰せるって、その港に寄った海賊船に吹き込んでるんだよ」
ハヤテ
「は? なんだよそれ」
シン
「お前は脳みそが少ないから分からないのか?
つまり襲ってくる連中が増えるって事だ」
ハヤテ
「あぁ? わ、分かってたっつーの!
別に襲ってきても、叩き潰せばいいじゃん」
のん気な声を出して、ハヤテは言った。
ナギ
「…アホか… こうしてる今もその噂はどんどん広がってる…
海中の海賊が襲ってきたらどうするんだ」
トワ
「確かに…海軍だって動きだすかもしれませんね」
シン
「フッ、トワの方がよっぽど分かっているな」
ハヤテ
「…!!」
そのやり取りにハヤテは何も言えなくなってしまった。
そして黙って腕組みをしていたリュウガが口を開いた。
リュウガ
「面倒臭ぇ事になる前に、どうなってるか様子を見に行った方がいいな」
ソウシ
「船長、近くの港って言ったら…」
リュウガ
「分かってる…」
ヒロインには何が起こっているか分からない。
ただ自分がいる事で、何かとんでもない事が起きようとしているのではないかと
不安で胸が潰れそうになった。
すると横に立っていたナギが、ポンッと頭に手を乗せた。
ナギ
「大丈夫だ。
お前はオレの側にいればいい」
ロイ
「そうだぞ! なんならこのオレ様の胸にずっと抱かれてても…グッ」
ヒロインに抱きつこうと近づいてきたロイの頬を
ナギが手の平でグッと押し返した。
ナギ
「…側に寄るな」
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