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すっかり頭の中はナギで支配され、離れた唇の余韻に浸っていたヒロイン。
トロンとした目でナギを見上げた。
ヒロイン
「…ん…ナギ…?」
ナギ
「はぁ…まだ終わってねぇ…」
ヒロイン
「んぁ…も…これ以上したら…んぅ…」
体に力が入らなくなる。
しっかりと体を抱いてくれているが、ナギも堪らずに
ヒロインの背後にある食器棚の台にヒロインを座らせた。
ヒロイン
「ナギっちょっと待って!」
ナギ
「もぉ待てない…」
ヒロイン
「こんなとこで…やん! ダメ!」
ナギのキスが首筋へと落ちる。
ヒロインはグッとナギの胸を押した。
ナギ
「…はぁ…部屋…行くか?」
いつになく激しく体がヒロインを求めている。
ソウシにキスされた事に苛立っているからだろうか?
いや、今日のヒロインは一段と女っぽいからだ。
他の男にキスされて、いつもと違うキスに戸惑いながら意識している。
今日の夕食でソウシとヒロインの間には、2人だけの秘密の空気が流れていた。
自分以外の男が、ヒロインの心を掻き乱しているかと思うと腹が立つ。
ヒロイン
「でもまだ仕込みも途中だし…」
熱を帯びた目で見つめられると、正気ではいられなくなる。
ナギ
「…そんだけ焦らすって事は期待していいんだな?」
ヒロイン
「え?」
ナギの顔を見つめた。
ナギ
「…ふっ、冗談だ。
早く終わらせなきゃな?」
ポンッと頭に手を置かれ、優しく微笑むナギ。
ヒロインは見とれてしまった。
ゆっくりナギが台から降ろしてくれる。
ヒロイン
「ナギ…」
ナギ
「ん?」
ヒロイン
「怒ってないの?」
見下ろすナギの顔をゆっくり見つめた。
なんて可愛い顔をしているのだろう。
ナギはなんとか抑えた欲情が沸き上がりそうになる。
さっきのキスに感じて、さらに色気が増している。
本当にここでこのまま襲ってやろうかと思ってしまう。
ナギ
「…別に怒ってねぇよ…
まぁ…キス拒まれた時はショックだったけど…」
ヒロイン
「それは!」
必死に見上げるヒロイン。
ナギ
「ふっ、分かってる。
スッゲェ嫌だけど、ヒロインのいい顔見れたからいい」
ヒロイン
「? どんな顔?」
そう言うと、アゴに手が掛かり
グッと上を向かせられると、ナギは意地の悪い笑顔で言った。
ナギ
「…オレの舌に感じてる顔」
ヒロイン
「!! …か、感じてないもん!
ナギのキスなんか…」
ナギ
「…なんだよ…」
見つめてくるナギの目に、クラクラしてしまいそうになる。
今この人とキスしたんだ…。
あの唇…あの舌… 思い出しただけで体が熱くなる。
ナギ
「オレのキスなんか…何だよ?」
ヒロイン
「な、なんでもない!」
思わず口走ってしまい、ヒロインは慌てて俯いた。
ナギの言う通り、思いっきり感じてしまった。
ナギ
「…ふ~ん… 顔真っ赤だぞ?」
ヒロイン
「え!?」
ナギ
「ふはっ、冗談だ!
ククッお前はホント分かりやすいな」
目の前で笑っているナギの笑顔がカッコよくて、
またしても見とれてしまう。
どうしてナギの事がこんなに好きなのだろう。
ヒロイン
「もぉ! 知らない!!」
ヒロインはこれ以上ナギに気持ちが悟られないように
顔を背けて仕込みの続きを始めた。
ナギとは仲直りができたが、ソウシとは気まずいままだ。
夕食の感じからすると、気にしているのは自分だけで
ソウシは何もなかったように平然としていた。
大人ってみんなそうなのだろうか?
ナギもどんなに甘い夜を過ごしても、朝になれば何事もなかった顔をしている。
自分が子供だからだろうか?
それともナギもソウシもそこまでの感情がないからなのか…?
ソウシはともかく、ナギの感情がその程度だったとしたら
かなりへこんでしまう…。
そんな堂々巡りの思いが頭の中でグルグルと回っている。
ヒロインは思い切って、ソウシに話に行こうと思った。
ソウシにとっては何でもない事で、リュウガがしてくるような
スキンシップの一環だったのかもしれない…。
でもあの瞬間、本当に本気でキスをされたのではないかと思うくらい
ソウシの目は真剣だった。
勘違いに決まっているが、ソウシはそんな人であって欲しくない。
ヒロインは、このまま何もなかったように流すのはとても無理だと感じ
この後ソウシの部屋に行こうと決めた。
・・・・・・・・・・・・・・
先に風呂へ入ったナギはベッドに入っていた。
ヒロインは一番最後に風呂へ入り、
ようやく上がった所だった。
まだ濡れている髪のまま、ソウシの部屋の前を通ると
中から明かりが漏れているのが分かった。
どうしようかと悩んだが、明日も悩むのは嫌だと思い
ヒロインはソウシの部屋をノックした。
コンコン
ヒロイン
「遅くにすみません、ヒロインです」
ソウシ
「どうぞ」
思ったより早く返事があり、ヒロインは恐る恐るドアを開けた。
ソウシは椅子に座り、何か書き物をしていたようだ。
ヒロイン
「…こんな時間にすみません」
ヒロインを目で捕えたソウシは、表情には出さなかったが
風呂上がりのヒロインが、とても色っぽくて驚いた。
蒸気して赤く染まった頬や、まだ乾ききっていない濡れた髪。
胸元が大きく開いたシャツを着ている。
ナギのシャツだろうか?
華奢な体のヒロインが男のサイズを着ると、余計色気が増す。
ヒロイン
「ソウシさん?」
その声にハッとした。
ソウシ
「あぁごめんね? どうしたの?
私の所へ来るなんて意外だな… 嫌われちゃったと思ったから」
大人な表情を浮かべて言うソウシの言葉にヒロインはグッと拳を握った。
ヒロイン
「…嫌い…になりたくないんです!」
ソウシ
「ヒロインちゃん?」
ヒロイン
「…私は子供だし、ソウシさんからされたキスで
頭の中いっぱいになっちゃうし、隠す事も
普通にする事もできないんです!」
ヒロインは思いつくままにソウシにぶつけた。
ヒロイン
「ソウシさん、私は大人の人のキスの意味がよく分かりません…
ソウシさんは冗談で好きでもない人とキスできるんですか?」
澄みきった瞳で言われ、ソウシは面を喰った。
こんなに正直にキスされた相手に聞きにくる子がどこにいるだろうか?
目の前で少し自分の事を警戒して距離を保ちながら
必死に伝えようとしている。
その姿が何ともかわいくて、ソウシは優しく微笑んだ。
ソウシ
「ふふ、そうだね。
あんな事しておいて何もなかったようにしてるのは
大人とかだからじゃなくて、卑怯だよね?」
ヒロイン
「ソウシさ…」
気まずくて本当はすぐにでもこの話をやめたい。
しかしヒロインは、しっかりとソウシを見つめた。
ソウシ
「…こんな事言う事になるなんてね…
自業自得だよね…」
何の事か分からずヒロインは「え?」と小さく声を上げた。
ソウシ
「う~ん…冗談っていうか、あの時のヒロインちゃんが本当にかわいくて
ナギのモノじゃなかったらいいのにって思ったよ?」
ヒロイン
「!? かわいいって!」
ソウシ
「うん? ヒロインちゃんはかわいいよ?
今もホントはそんなトコいないで傍に来て欲しいくらい」
ニッコリ微笑むソウシ。
ヒロインはドキッとしてしまう。
こういう所がソウシの天然的なタラシと言われる部分なのではないかと思う。
ヒロイン
「ソウシさん! そういう事はいろんな女性に言ってはいけないと思います!
ソウシさんに本当に好きな人ができた時、ソウシさんが傷つきます!」
ソウシ
「私が?」
ヒロイン
「そうです! 大切な人にしか言っちゃいけない言葉です!!」
どこまで純粋なんだとソウシはやれやれと
おでこに手を当ててうなだれた。
ソウシ
「…そんな事分かってるよ?
いい加減、意識して欲しいんだけど…」
ヒロイン
「え…?」
ソウシ
「私はいつまで対象外のいい人でいればいい?」
ソウシが何を言っているか分からない。
ヒロインは俯いているソウシがどんな表情をしているか分からない。
ソウシ
「………」
ソウシはいつになく感情がコントロールできず、
苦しんでいた。
ヒロインのように素直に胸の内が話せればいい…
しかしやはり大人の感情がその考えを制御する。