一番好きなものは…
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ヒロイン
「ハヤテさん、トワくん! どこにいたんですか?」
ハヤテ
「あっ…色々してたから…」
2人とも気まずそうに俯いている。
何がそんなに気まずいのかと、ナギの「浮気疑惑」の事など
すっかり忘れてしまっていたヒロイン。
いつものように明るく話掛けた。
ヒロイン
「飾り付け途中みたいだったので…
よかったら手伝います!」
トワから飾り付けの袋を受け取り、脚立の上に登るヒロイン。
空元気の様に見えるその姿に
ハヤテもトワも、なんとも言えない気持ちになる。
ヒロイン
「? どうしたんですか??」
脚立の上に座り、2人を見下ろすヒロイン。
トワ
「あっ…いえ…」
ナギはみんなに声を掛けにキッチンを出て行っていた。
ハヤテ
「…お前は…平気なのかよ…」
ヒロイン
「え…?」
ハヤテ
「…ナギ兄…浮気してるかもしれねぇんだぞ?」
ハヤテの悲痛な顔を見て、ヒロインはハッとした。
ハヤテもトワも心配してくれているのだと、
ヒロインは温かい気持ちになった。
ヒロイン
「あの…ありがとうございます!」
ハヤテ
「は?」
トワ
「え?」
2人とも同時に顔を上げた。
ヒロイン
「心配してくれて…
でも大丈夫です! もし…浮気してたとしても
ナギはしてないって言ってたので信じてます!」
ヒロインはニッコリと笑って見せた。
ハヤテ
「で、でもお前…!!」
言い返そうとハヤテが切り出そうとしたが
ヒロインを見て、その言葉を止めた。
ヒロインも不安なのだ。
信じてはいるのだろうが、そうやって言葉にされるのが辛いのだろう。
悲しそうな顔がそう言ってる。
ヒロイン
「飾り付けしましょ?
もうお料理できてますよ!
みんな集まっちゃいます!」
ヒロインは壁の方を向くと、黙々と飾り付けを始めた。
するとすぐにドアが開き、シンが入ってきた。
シン
「なんだ、まだ飾り付けやってるのか
トロイやつらだな」
ハヤテ
「…んだとぉ?!」
トワ
「わぁ~2人ともやめてください!!
今日はクリスマスイヴですよ?
ケンカはしないでください!!」
ヒロイン
「そうです!!
今日はケンカなしです!」
シンは不機嫌そうに席に着き、ハヤテも拗ねた顔でツリーのてっぺんに星をつけた。
ヒロイン
「完成ですね! わぁ素敵!!」
嬉しそうなヒロインの顔を見て、その場にいたみんなの顔がほころんだ。
ソウシ
「今年はスゴイね!」
ソウシも優しい笑みを浮かべて食堂に入ってきた。
ナギ
「ヒロイン、料理運ぶから手伝え」
ヒロイン
「あっうん!」
そう言って脚立から降りようと足を掛けたが
一番上の段を踏み外してしまった。
ヒロイン
「キャッ!」
全員
「「!!!」」
誰となくヒロインに駆け寄り、抱き止めようと手を伸ばす。
ヒロイン
「うわぁ~ビックリしたぁ…
あ…れ? みんな…」
踏み外した足が次の段に掛かり、脚立から落ちなかったヒロイン。
見下ろすと脚立の下ではメンバーが集合していた。
全員が気まずそうに手を引っ込めたが、ナギは前に出て
スッと手を差し伸べた。
ナギ
「ちゃんと下見て降りろ!」
ヒロイン
「うん…」
当たり前のようにナギの手を取り、当たり前のようにヒロインを支えている。
その姿から全員が目を背けた。
ナギが当たり前にしている事が、自分たちにとってどれだけ
勇気がいって、特別な事なのかと…
嫉妬にも近い感情が沸いてくる。
リュウガ
「おっ!今年はスゲぇ気合入ってんなぁ!!」
朝から全く姿が見えなかったリュウガが、サンタの帽子をかぶって食堂へ入ってきた。
ハヤテ
「あー!船長!!
サボってどこいってたんだよ!」
リュウガ
「あ? 別に遊んでた訳じゃねぇよ
ちょっと買うものがあってな…」
リュウガはニヤリと笑うと、席についた。
リュウガ
「オラ!もう用意できたんだろ?
さっさと始めんぞ!
トワ! 倉庫からシャンパンとワイン持ってこい!」
トワ
「あっはい!!」
ナギ
「ヒロイン、早く料理運ぶぞ!
ハヤテ、脚立片付けとけ」
ハヤテ
「あ…あぁ…」
ナギとハヤテのやり取りを見て、リュウガは「はて?」と思う。
リュウガ、ソウシ、シンを食堂に残して、他のメンバーが外へ出ると
リュウガは前のめりに体を乗り出し、ソウシとシンに小声で話しかけた。
リュウガ
「オイ! ナギとハヤテはどうしたんだ?」
ソウシ
「あぁ…」
シン
「ナギが浮気してたらしく、ハヤテが見てたそうです。」
ソウシ
「シン!」
言わない方がいいのか戸惑っていたソウシをよそに
シンは何食わぬ顔をしてサラリと言い放った。
リュウガ
「へぇ!ナギもやるじゃねぇか!!
で、ヒロインにはバレたのか?」
リュウガはなんだかワクワクした顔をしている。
ソウシ
「はい…聞かれちゃった感じで…」
リュウガ
「う~~~ん」
アゴのヒゲをさすりながら、リュウガは思いを巡らせてるようだ。
ヒロイン
「お待たせしました~!!」
リュウガ
「おっ!スッゲェ~うまそうじゃねぇか!!」
ソウシ
「さすがナギだね~!」
ハヤテ
「おわっ!! スッゲ~!!」
脚立を片付け、戻ってきたハヤテも大興奮している。
いつものハヤテらしい反応にホッと安心するヒロイン。
酒を取りに行ったトワも戻ってきたところで、
ようやくクリスマスの宴が始まった。
リュウガ
「よぉ~し、ヤロー共酒は持ったかぁ~!?」
メンバーがそれぞれ酒の入ったグラスを高々と上げる。
リュウガ
「そんじゃメリークリスマ~ス!!!」
メンバー全員
「「メリ-クリスマ~ス!!」」
グラスが当たるカチンッという音が響き、
一斉に酒を飲み干すと、目の前に広がるご馳走に手を伸ばす。
ヒロイン
「ナギ本当にスゴイ!! あんまり手伝えなくてごめんね?」
ナギ
「気にするな…ホラ食えよ、なくなるぞ?」
ハヤテ
「うっめぇ~!! ヒロイン!この肉最高だぞ!」
トワ
「うわぁ! コレなんですか?!
口の中でとろけます!!」
大はしゃぎのトワとハヤテを見て、ナギも微笑んでいる。
シン
「このシャンパンどうしたんですか?
かなり上等なものですね」
リュウガ
「だろ? さすがシンだな!
この前戦った海賊船に積んであってな?
かなり高そうな箱に入ってたからなぁ!」
ソウシ
「みんな少し落ち着いて食べたら?
ホラ、ハヤテちゃんと皿に取って食べなさい」
ヒロインはその光景にクスクスと笑ってしまう。
買い物から帰ってきた時はどうなってしまうかと不安だったが
いつもと変わらないメンバーに安心した。
作るのにはあんなに時間がかかるのに、食べるのはあっという間だ。
メンバー全員が満足げに舌鼓を打っている。
それにしてもナギの料理は本当に人を幸せにするな とつくづく思った。
食べたら思わず笑みがこぼれてしまう。
ナギ
「どうした? うまくないか?」
ヒロイン
「うーうん、スッゴイおいしい!
エビとアボガドのサラダ大好き♡」
ナギ
「…だと思った」
ふっと一瞬見せた笑顔に、キュンと胸が鳴った。
ヒロイン
「…そういう不意打ち…ズルイ!」
ヒロインが拗ねた顔でナギを見つめると、ナギはまたしても「くははっ」と笑顔を見せてくれた。
そんなナギとヒロインのバカップルとも言えるやり取りを見て
酒が大分進んだリュウガが絡んできた。
リュウガ
「オイ!オメェら、何コソコソしてんだ!
そんな事より、ナギお前浮気してるそうじゃねぇか!?」
その言葉にヒロインのフォークから
食べようとしたカルパッチョがボトッと落ちた。
そして他のメンバーもその場で固まってしまった。
リュウガ
「あ? なんだよ?オレまずい事言ったか?」
ナギは持っていたフォークをカタンッと皿に乗せると
席を立って食堂のドアへとを歩き出す。
ヒロイン
「ナ、ナギ? どこ行くの?」
ナギ
「お前はそこにいろ」
そう言って、食堂を出て行ってしまった。
ソウシ
「はぁ…船長飲み過ぎですよ…」
シン
「フン、逃げたって事は認めたって事か?」
トワ
「ヒロインしゃぁん、僕は絶対浮気はしましぇんからぁ!」
ヒロイン
「ト、トワくん!飲み過ぎだよ!!」
トワはナギがいなくなった席に座り、ギュウッとヒロインを抱きしめた。
ナギはどこに行ったのだろう…
追い掛けた方がいいのか? それともシンの言った通り…
悪い考えがグルグルと回る。
ハヤテはなんだかこの場にいる事が嫌になり、上着を掴むと食堂を飛び出して行ってしまった。
ヒロイン
「ハヤテさん!」
ソウシ
「もぉ…船長…」
リュウガ
「がっはっは! 若けぇなぁ!!」
抱きつくトワ、大笑いしてるリュウガ
それを叱るソウシ、そして何事もないようにシャンパンを飲んでいるシン。
ヒロインはそれぞれをぼんやりと眺めていた。
「そこにいろ」って来るなって事?
ナギは何をしているのだろう?
ヒロインはせっかくのクリスマスが台無しになってしまったようで悲しい気持ちになった。