一番好きなものは…
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それからなんとか料理もケーキの準備も終わり、
ヒロインは、食堂でテーブルのセッティングをしていた。
ふと部屋の中を見渡すと、なんだか飾りつけが中途半端な感じで終わっている。
ツリーは飾りもなくそのままだし、壁につけてある飾りも途中で切れている。
ハヤテとトワが食堂に来ていた事も気付かなかった。
ヒロインは2人を探そうと
今度はしっかりと上着を着て、船内を探し歩いた。
だが、なかなか見つからず
ヒロインは、ソウシのいる医務室をノックした。
ヒロイン
「ソウシさん、入りまーす!」
そっとドアを開けると、にこやかにソウシが迎え入れてくれた。
ソウシ
「あれ? どうしたの?」
ヒロイン
「ハヤテさんとトワくん知ってますか?」
ソウシ
「見てないけど…?」
ヒロイン
「そうですか…どこ行ったのかな…」
いつもと変わりない様子のヒロインを見て、
ナギとあの後しっかり話をしたのだろうかと気になるソウシ。
ソウシ
「もう、準備できたの?」
ヒロイン
「はい! スッゴイご馳走ですよ~♪」
嬉しそうに微笑むヒロインを見て、ソウシも笑顔になる。
ソウシ
「ふふっ楽しみだなぁ!
あっそうだ! はい、ヒロインちゃん!
クリスマスプレゼントだよ?」
そう言ってソウシは綺麗な髪留めを手渡した。
ヒロイン
「え? こ、こんな素敵なの!!」
さっきシンもプレゼントを用意してくれていたが
ソウシのくれた髪留めもとても高そうな品だ。
ソウシ
「ほら横向いて?」
ソウシはヒロインの前に立ち、少し伸びた髪を耳に掛けた。
ソウシ
「…そういえば、このピアス毎日つけてるね」
ヒロインはその言葉にドキリとする。
シンにも言われた… みんながこんな小さな物を見ていた事に驚いてしまう。
ヒロイン
「さっきシンさんにも言われました…
これ…ナギから…」
ヒロインが横を向いたまま言うと、
ソウシの声色が変わり、不機嫌な雰囲気が伝わってくる。
ソウシ
「シンにも言われたんだ…
そう…ナギにもらったものならそうだよね…」
ヒロイン
「?」
急に変わったソウシの態度を不信に思い、体勢はそのままで
目線だけチラリとソウシを見た。
さっきまでの温かい笑顔が消えている。
ソウシはプレゼントした髪留めを耳に掛けた髪のすぐ横でパチリと留めた。
ヒロイン
「あ…ありがとうございます!
頂いてしまっていいんでしょうか…」
そういってソウシに体を向けるヒロイン。
ソウシは正面からヒロインを見て、その可愛さに胸が疼く。
ヒロイン
「? ソウシさん? あの…似合わないですか?」
ソウシ
「あ…いや、スゴク可愛くて見とれちゃった…」
ヒロイン
「もぉ…ソウシさんはすぐそうやって…
クスッでも嬉しいです! ありがとうございます!!」
いつものソウシの天然な誉め言葉かと聞き流していたヒロイン。
ソウシは堪らずにグッと腰に手を回して引き寄せた。
ソウシ
「もうちょっとひとり占めしてたいな♡」
ヒロイン
「ソ、ソウシさっ!」
今日はなんだかみんなのスキンシップが大胆で、
冗談でしているのかが分からない。
ソウシ
「だってこのまま出たら、みんなに可愛いって言われちゃうでしょ?
私があげたのになんだか悔しいな…」
見下ろしてくる優しい瞳に、ドキドキしてしまう。
ヒロイン
「そんな…私なんか…
ソウシさんは誉めるのが上手いです!
今日のケーキ楽しみにしててくださいね♪」
ソウシの本当の気持ちを込めた言葉も
ヒロインに上手くかわされてしまった。
ソウシはクスクスと笑い出した。
ソウシ
「参ったな… 結構本気で言ったんだけど…ふふっ」
ヒロイン
「え?」
ソウシ
「うーうん、なんでもない
ケーキはヒロインちゃん作ってくれたんだよね?
楽しみだな!」
そしてチュッとオデコにキスをした。
ヒロイン
「!!?」
ソウシ
「ふふっ、そんな顔で戻ったらナギに殺されちゃうな」
顔を真っ赤にしているヒロインを見つめ、ソウシは満足そうに笑った。
すっかりソウシのペースに巻き込まれてしまい、
ヒロインは慌てて「失礼します!」と言って、部屋を出た。
そしてドアにもたれ掛かりながら、はぁ…と大きく息をついた。
ヒロイン
「…やっぱりソウシさんは天然だ…」
自分も「天然」に近い「鈍感」のクセに、
ソウシの想いにも気付かず、キスされたオデコをさすりながら
ハヤテとトワを再び探し始めた。
すると後ろから呼びとめるナギの声がした。
ナギ
「オイヒロイン!」
その声にビクッと肩が上がるヒロイン。
悪い事した訳ではないのに、ソウシとの事が胸に引っ掛かり
ナギになんて話そうか考えてしまう。
ヒロイン
「ナギ…」
ナギ
「どこ行ってたんだよ? …これ…」
振り返ったヒロインを見て、ナギは耳の横にある髪留めに手をやった。
ヒロイン
「あっこ、これはソウシさんに…もらったの…
クリスマスプレゼントって…」
気まずそうに視線を逸らすヒロインに、ナギはさっきのシンと会っていた時と同じ反応に
眉根をひそめた。
ナギ
「…そうか…ドクターからか…似合うな」
ナギの不機嫌な表情に、急に不安になるヒロイン。
ヒロイン
「あっ外すね?」
慌てて髪留めに手をやると、その手をナギの手がギュッと握る。
ナギ
「いい…ホントに似合ってる…」
ヒロイン
「…あのナギ…ごめんね?
私…シンさんからもピアスもらったの…」
ナギ
「知ってる」
ヒロイン
「えっ? で、でも私受け取らなかったんだよ?」
驚いた顔でナギを見上げると、ナギはヒロインのエプロンのポケットから小さな箱を取り出した。
ヒロイン
「あっ!それ!!」
ナギ
「気づいてなかったのか? ったく、そんなんだから
他のヤツにちょっかい出されるんだよ!」
ペシッとソウシにキスされたオデコにデコピンをされた。
ヒロイン
「いっ…た…」
ナギに見透かされたのかと思い、なんだか薄い反応になってしまうヒロイン。
ナギ
「…なんだよ? そんなに痛かったか?」
ヒロイン
「あっうーうん!」
ナギ
「お前は特に隠し事が下手なんだから、隠そうとするな」
ヒロイン
「!?」
ナギ
「…返事は?」
ヒロイン
「!? はっはい!!」
必死に言うヒロインの姿に、ナギは笑ってしまう。
そのナギの笑顔がとてもカッコよくて
ヒロインの胸はキュンと締めつけられた。
ヒロイン
「…ナギはカッコいいね… そんな顔されちゃうと…」
ふと頭の中で考えてた事が口に出てしまった。
ナギ
「…なんだよ…?」
その先の言葉なんて決まってる。
「ナギが欲しい」だよ!
とても口にはできないが、ナギをじっと見つめる目が
熱を帯びていて、言われなくても分かってしまう。
ナギ
「…アホ…さっきも言ったろ?」
ヒロイン
「え…?」
ナギはグイッと手を引いて、キッチンの中へヒロインを引き込むと
ギュッと抱きしめた。
ナギ
「お前は隠すのが下手だって…」
ヒロイン
「ナ…んっ!」
ナギの茶色い瞳が近づいたと思うと、唇を塞がれた。
ナギがキッチンでこんな事をするなんて…と
驚いてしまうが、
そんな事が飛んでしまうくらいナギで頭の中はいっぱいだ。
ヒロイン
「ん…はぁ…ダメ…誰か来ちゃう…はぁ…」
ナギ
「…はぁ…煽ったのはお前だろ?」
ヒロイン
「そ…だけど…んっ」
ナギの舌が絡まり、自分の意思とは違う動きをする舌。
もう誰が来てもいい…
そう思っていると、チュッと音を立てて
ナギの唇が離れた。
ヒロイン
「…ナ…ギ…?」
ナギ
「…もうここまでだ…続きは部屋でな…?」
そう言ってスッとコンロの方へと歩き出すナギ。
ヒロインは急に冷めた態度を示すナギを
キョトンと見つめていると、
そのすぐ後にハヤテとトワが食堂へと入ってきた。
「さすがナギ…」と心の中で呟いてナギを見つめると
べッと舌を出してきた。
ヒロインはふふっと笑うと、食堂にいるハヤテとトワの元へと向かった。