一番好きなものは…
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ハヤテ
「これで全部か?」
ハヤテは両手いっぱいに、シリウス号へ飾るクリスマスの飾り付けを抱えていた。
ヒロイン
「あとは、クラッカーですね」
ハヤテ
「あれあると、盛り上がるもんなぁ~」
楽しい事が大好きなハヤテは、ワクワクした声を出している。
今日は、ハヤテと2人で買い出しを命じられ、
ナギはトワと食材の調達に行っている。
街中がクリスマス一色に染められ、
クリスマスイヴである今日は、一段とクリスマスムードで盛り上がっていた。
ハヤテは横でクスクスと笑うヒロインを見つめ、
なんだか恋人同士のような雰囲気に、嬉しくて
つい顔がほころんでしまう。
ヒロインが彼女になったら、こんな感じなのかと
想像以上に浮かれている自分がいた。
ヒロイン
「? ハヤテさん大丈夫ですか?
荷物、少し持ちますよ?」
ハヤテ
「へ、平気だっつーの! 余計な心配すんな!!」
ハヤテはそんな気持ちを悟られまいと、口調がキツクなってしまった。
ヒロイン
「? そ…ですか?
あっ! そうだ!!ハヤテさんはケーキ、何が好きですか?」
ハヤテ
「そうだな…全部うまいもんなぁ…」
ケーキを思い浮かべているかのように、ぼんやりと空を見ながら歩いているハヤテ。
ヒロイン
「ふふっそうですよね? ハヤテさんならそう言うと思ってました」
ニッコリと微笑むヒロインに、ハヤテの胸は高鳴った。
こんなかわいい笑顔を自分だけに向けてくれるなんて…
ナギと付き合ってなかったら、間違いなく自分の物にしていた。
ヒロイン
「ハヤテさんはクリスマス、何か欲しいものありますか?」
ハヤテ
「あ? そんなガキみてぇな事…」
ヒロイン
「あー!そんな言い方よくないです!!
クリスマスはとっても素敵な日なんですよ?
欲しいもの、もしかしたらもらえるかもしれないのにぃ!」
顔をしかめてハヤテを見上げるヒロイン。
ハヤテはペシッとデコピンをした。
ハヤテ
「バーカ! もらえるもんなら、とっくにもらってるっつーの!」
横でオデコをさするヒロインを追い越して
少し速足で歩きだした。
もらえるんだったら、とっくにお前をもらってる…
ハヤテは、決して声に出す事のない想いを
また胸に閉じ込めた。
すると、大きな通りの反対側にナギとトワの姿を見つけた。
・・・・・・・・・・・・・
トワ
「ナギさん、 早く帰って準備しないと、
お料理間に合わないですね!」
ナギ
「そうだな」
メンバー全員の食べたい物のリクエストに答える為
大量の食材を買い込んでシリウス号へ向かうナギとトワ。
トワ
「ナギさんの作るご馳走楽しみです♪」
ナギ
「ケーキはヒロインが作るってはりきってたぞ?」
トワ
「ホントですか?! わぁ何のケーキだろ?」
嬉しそうな声を上げるトワに、ナギも微笑んでしまう。
ヒロインが船に乗ってからというもの、メンバー全員が
こういう笑顔を時折見せるようになった。
元からトワはこういう性格だが、他のメンバーの変わりようは
ナギが見ても分かる程だ。
トワ
「ナギさんは何のケーキが好きですか?」
ナギ
「………」
トワに問いかけられている事にも気付かず、
ナギは目の前を通り過ぎる女を目で追った。
トワ
「…ナギ…さん?」
その目線にトワも気付いた。
ナギが女性に対して、そんな風に目で追うなんて初めて見た。
ナギ
「…悪い、先に帰ってくれ…
用済ませたら、すぐ戻る!」
トワ
「えっナ、ナギさん!!?」
ナギはトワの声が届いてないかのように、通り過ぎて行った女性を追い掛けて行った。
・・・・・・・・・・・・・・
ヒロイン
「ハヤテさん?」
その声にドキリと肩が上がるハヤテ。
遠くで見ていたハヤテは、ナギの不審な行動に困惑していた。
ハヤテ
「…ヒロイン…船、ひとりで戻れるか?」
ヒロイン
「え…?」
ハヤテ
「ク、クラッカー買ってくるから、先帰ってろ!」
ヒロイン
「ハヤテさん!」
ハヤテはヒロインを残し、通り向こうにいるトワの所へと走った。
トワ
「あれ!? ハヤテさん!!」
ハヤテ
「ナギ兄、どうしたんだよ!?」
トワ
「あ…なんか…女の人…」
ハヤテ
「追うぞ!」
トワ
「え? でも、帰ってろって言われたって事は
知られたくないんじゃ…」
ハヤテ
「そんな事言ってる場合かよ! 見失うぞ?」
慌てて走り出そうとするハヤテ。
しかしトワはハヤテの腕を掴み、問いかけた。
トワ
「ハヤテさん、ヒロインさんはどうしたんですか?
ひとりにしたんですか?」
ハヤテ
「しょうがねぇだろ? ナギ兄がヒロインを裏切るような事したらオレ…!!」
トワ
「そ…それはそうですけど…
僕、心配です。 ナギさんの事は帰ってから聞けますけど
ヒロインさんはこの街初めてなのに…」
自分より年下のトワの方が、よっぽどヒロインを心配している。
ハヤテ
「…だったら、お前がヒロインのトコ行けよ」
トワ
「!?」
ハヤテ
「オレはヒロインの悲しむ顔を見るのは嫌だ…」
ハヤテはトワの顔を一切見ずに、人混みの中へとナギを追い掛けていった。
・・・・・・・・・・・・・
この辺りにいるはずのナギの姿を探した。
ナギは何を考えているんだ?
今までのナギを考えると、あり得ない行動だ。
ハヤテはキョロキョロと辺りを見渡した。
すると、人混みの切れた隙間からナギの姿を見つけた
駆けつけようと踏み出した足がピタリと止まった。
ナギは先ほどの女と、ヒロインにしか見せないような
優しい笑顔を浮かべている。
一緒にいる女もニコニコとナギを見つめていた。
そしてしばらくすると2人は別れて、ナギは船の方へと向かって行く。
ハヤテは怒りが込み上げ、尾行するだけのつもりだったが
とてもそれだけでは治まらない。
ナギの背中を捕えると、グイッと肩を掴んだ。
ハヤテ
「ナギ兄!!」
ナギは一瞬その剣幕に驚いたように目を見開いたが
すぐにいつものナギに戻った。
ナギ
「ハヤテか…どうした?ヒロインと一緒じゃなかったのか?」
ハヤテ
「どうしたじゃねぇよ! どういう事だよ!」
ナギ
「何がだ?」
ハヤテ
「なんで女なんか追っかけてんだよ?
何笑い掛けてんだよ!?」
見られていたのかと、思わず顔が赤くなるナギ。
その反応に、さらに怒りが増すハヤテ。
ハヤテ
「ふざけんなよ! ナギ兄だからオレ我慢してんのに、何だよ!
ヒロインの事その程度なんだったら、もういいよ!」
ハヤテはそう言い捨てて、船へと走って行った。
ナギ
「ハヤテ待て!!」
ナギの声にも一切振り向かない。
ナギ
「チッ!」
ナギはハヤテの後を追った。
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