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部屋を出るとナギとヒロインは、食堂に足を向けた。
ヒロイン
「誰かいるかなぁ?」
ナギ
「どうだろな…」
食堂を覗くと、やはり誰もいなかった。
みんなまだ帰ってきていないのだろうか?
ヒロイン
「どうする?」
ナギ
「外出て、誰にも会わなかったら
オレ達だけでメシ食えばいい…」
そういってナギはヒロインの手を取って、歩き出した。
夕食時という事もあってか、街は昼間のように賑わっていた。
ヒロイン
「わぁ…スゴイ人だね!」
ナギ
「よそ見してんと、ぶつかるぞ!」
ナギはグッと繋いだ手を引き寄せた。
港に着いてから、ナギとの事があり
ゆっくりとお店を見ていなかったヒロインは、
もうすぐクリスマスという事もありイルミネーションで輝く街に
見とれてしまった。
ヒロイン
「ね、ナギ!きれいだね~!」
ナギ
「あ? あぁ…クリスマス近いもんな」
ヒロイン
「今年もみんなでお祝いできるかなぁ」
そんな事を話していると、街の中心地に大きなツリーが立っていた。
ヒロイン
「すっご~い!!」
こんなに大きなツリーは初めて見るヒロイン。
キラキラと光りを放ち、細工の込んだ可愛いオーナメントもたくさん飾ってある。
ヒロイン
「ね! 近くに行ってみようよ!」
ナギ
「しょうがねぇな…」
こんなに喜んでるヒロインを見たら、行かない訳にはいかない。
近くにくると確かに見事なツリーで、ナギも見上げて見とれていた。
ヒロイン
「こんな時に来れてラッキーだったね!」
嬉しそうにキラキラした笑顔を浮かべながら、
ヒロインはナギの腕にしがみついた。
いつもだったら、こんな街中でくっつくなって言いたいトコだが
今日は喜んでる可愛い笑顔に免じて、許してやろう。
すると隣にいたカップルが、いきなりキスをし始めた。
ナギもヒロインも、もちろん気付いたがナギは何食わぬ顔をしているのに対して
ヒロインは思いっきり意識している。
ナギ
「アホ…なに意識してんだ…」
ヒロイン
「だ、だって…」
すると反対隣にいる老夫婦の話が聞こえてきた。
妻
「あらぁ、若い人はいいわねぇ…」
夫
「このツリーの前じゃしょうがないな」
ヒロイン
「? このツリーなにかあるんですか?」
ヒョコッとナギの向こう側にいる老夫婦に声を掛ける。
妻
「あら? 旅の方かしら?
そうなの、このツリーの前でキスをすると幸せになれるって言われてるの」
ヒロイン
「そうなんですか!」
嬉しそうな声を上げるヒロインにナギは嫌な予感がした。
夫
「そうだよ、私達も若い頃この時期はよくここにきたもんだ」
妻
「懐かしいわ… そうだ、あっちでお菓子でできたオーナメントも配ってるのよ?」
ヒロイン
「わぁ!素敵!! 後で行きます!
ありがとうございます」
老夫婦はにこやかに笑い掛け、ツリーから離れていった。
ヒロイン
「これだけ素敵なツリーだもんね…」
ナギ
「言っとくけど…しねぇからな?」
ヒロインはナギを見上げると、ふふっと笑ってしまった。
ヒロイン
「うん、分かってる!
ね、お菓子もらい行こう!!」
ヒロインはグイッと組んだ腕を引いて歩き出そうとする。
ナギは「分かってる」と言われ、なんだか腹が立った。
ヒロイン
「ナギ?」
動こうとしないナギを不思議に思い、振り返ると
ナギの大きな手が後頭部を優しく包み
柔らかい唇がふわっと重なった。
ヒロインは突然の事に、目を閉じるのも忘れてしまう。
ほんの一瞬の出来事だろうが、時間が止まってしまったように感じる。
そっと唇が離れ、ヒロインはナギを見つめた。
ナギ
「…なんだよ…文句あんのか?」
その照れた顔を見てヒロインは、とびきりの笑顔を見せた。
ヒロイン
「ありがとうナギ… 言い伝え…ホントだね?」
ナギ
「あ?」
ヒロイン
「幸せに…なっちゃった…えへ♡」
思わずもう一度キスをしてしまいたい衝動に駆られたが
さすがに人前でするのは、限界だ。
ナギは赤い顔をしたまま、ヒロインの手を引いてツリーの前から立ち去った。
・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、シリウスメンバーと会う事の出来なかったナギとヒロインは
酒場に入り、夕食を取る事にした。
何を頼もうか悩んでいると、聞き慣れた声に話掛けられた。
???
「あれー? ナギにヒロインちゃん!」
ヒロイン
「ソウシさん! あれっみなさんも!!」
ハヤテ
「あれっじゃねぇよ! こっちは仕事してたっつーのによ!」
シン
「いいから席詰めろよ」
そう言ってシリウスメンバーは同じ席についた。
そして全員がさっきのツリーの側で配っていた、お菓子でできたオーナメントを持っていた。
ナギは「チッ」と舌打ちをした。
もしかして見られてたか…?
ヒロイン
「船長は?」
トワ
「もう来ますよ! あっせんちょー!こっちです!」
リュウガ
「おぉ! よぉナギにヒロイン!
オメェら仲直りできたのかよ!?」
ヒロインはなんでみんなが知ってるのかと、手に持っていたメニューを落としてしまった。
リュウガ
「がっはっは!その様子じゃ元に戻ったみてぇだな?
よかったじゃねぇか!」
ソウシ
「ホントだよね…ナギがあんなに情熱的だったとはね…ふふっ」
シン
「意外だな…あんな公衆の場で…」
ナギ
「チッ…」
(やっぱり見ていやがった)
ヒロインはなんの事か分かっていないようだ。
ハヤテ
「オレもオレも! なんか本に出てきそうなやり方…っ痛てぇ!!」
ナギは隣に座るハヤテにゲンコツをお見舞いした。
ナギ
「これ以上何かいうヤツは、船に戻ってからのメシ、ないと思え」
リュウガ
「ふっ、お前そんな事言う元気出てきたじゃねぇか!」
ナギ
「!?」
ヒロイン
「え?ナギ…元気なかったの?」
トワ
「そうですよ! ナギさん、ヒロインさんを大事にしないなら船長でも許さないって…」
シン
「そうだったな…やけに朝早くから情けない顔して食堂にいたりな…」
ヒロインは出てくる言葉に驚いて、ナギを見つめた。
ナギはきまり悪そうにメニューをバンッと席に叩きつけると
席を立って店の奥へと行く。
ヒロイン
「ナ、ナギどこ行くの?」
ナギ
「店員に酒頼んでくる!!」
ヒロインは心配そうにナギの背中を見つめる。
ソウシ
「大丈夫だよ? ナギ恥ずかしがってるだけだから…」
ヒロイン
「…はい…」
ハヤテ
「オレも見たかったなぁ…」
リュウガ
「あんなナギはオレもあんま見た事ねぇな…
な? ヒロイン。
お前が心配する事なんて何もなかったろ?」
リュウガに優しく笑い掛けられヒロインはニッコリと笑った。
ヒロイン
「はい!」
その笑顔が妙に可愛く、メンバーはドキリとしてしまう。
もしかしてナギとやり直させたのは失敗だったのか?
遠くからナギの戻ってくる姿を見つけ、嬉しそうに見つめるその顔を
見つめられている事に気付かないヒロイン。
その目がいつかこっちに向けばいい…
誰しもがそんな想いを胸に抱いていたのだった。
☆END☆ おまけ&あとがき⇒