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ヒロイン
「やっぱりない…」
昨日から失くしてしまったピアスを探しているヒロイン。
暗くなってからはどんなに探しても見つからず、太陽が昇ったらまた探そうと思い
朝日が顔を出すと共に宿を飛び出した。
はぁ…と寒さにかじかむ手に息を掛けた。
もう3時間は探してるだろうか…
なんでこんなにも見つからないのだろう。。
ナギに嫌われた今、ピアスを探す事になんの意味があるのだろう。
昨日言われた言葉を思い出すと、またジワッと涙が浮かぶ。
グッと涙をぬぐうと、地面に膝をつき探し始めた。
すると通りから離れた植え込みにキラッと光るものがある事に気付いた。
もしかして…と思い駆け寄ると、例のピアスの片方を見つけた。
ヒロイン
「あった!! あったぁ~!!!」
嬉しくてギュゥと両手で握りしめると、また涙が溢れてきた。
もう片方もきっと見つかる。
見つかったらナギに気持を伝えよう。
どんなに嫌われてもいい。 ナギが好きだって伝えよう。
ヒロインはもう一度しゃがみ込み、植え込みの辺りを探った。
ナギ
「…何してんだよ…」
その声にギクリとした。
振り向かなくても分かる。 ナギだ…。
まだ怒っているだろうか?
とても顔を見る事ができない。
ヒロイン
「え…と…」
ナギは振り返らないヒロインに、気持ちが折れそうになる。
しかし服を泥だらけにして何をしてるのかと不思議に思った。
ナギ
「お前…」
ナギが話掛けようとした瞬間、同じ植え込みの奥に
もう片方のピアスを見つけたヒロイン。
ヒロイン
「あっあっ!! あったぁ~~~~~!!」
植え込みに体を押し込み、やっと手にしたヒロインは、
嬉しくて嬉しくて、ナギに嫌われてしまった事も忘れて
大喜びしてしまった。
ナギ
「何か探してたのか?」
ヒロイン
「!! あ…うん…」
ハッと気付き、ヒロインは気まずそうにナギの顔を見た。
ナギは見上げてきたヒロインの顔を見て、目を見開いた。
寒さで頬も鼻の頭も真っ赤で、しかも泥だらけだ。
ナギ
「お前いつからここにいるんだ…?
昨日の夜もここにいただろ?」
ヒロイン
「いつからって…それは…」
またしても目を逸らすヒロイン。
ナギは負けじとヒロインに問いかけた。
ナギ
「…ヒロイン…何してるんだお前は…
オレはお前の事が分からなくなりそうだ…」
ヒロインはハッと泣きそうな表情でナギを見つめると、
観念したかのように、両手を広げた。
凍えて震える手の中にあったのは、ナギのあげた雪の結晶のピアスだった。
ナギ
「これ…」
ヒロイン
「あの…未練がましくてごめんなさい…
でもこれ…ナギにもらった時嬉しかったから…
もう一緒にはいれないけど、宝物だから…」
なんて言われるかと少し怯えながらヒロインはナギを見つめた。
ナギ
「宝物って…だって、お前船長と…」
ヒロイン
「? ナギ昨日から船長ってずっと言ってるけど、
船長どうかしたの?」
ナギ
「はぁ? お前船長の事好きになったんだろ?」
ヒロイン
「…えぇ!!? なにそれ!?」
何を言い出すかと、ヒロインは驚いた。
ヒロイン
「なんで船長なの?? 私はナギが好きだよ? ずっとずっとナギしか考えてないよ?」
ナギ
「!?」
必死に言うヒロインの顔に嘘はない。
ナギはさっぱり分からなくなってしまった。
昨日のヒロインがメンバーに聞き回っていた事、
ピアスを外していた事。
そしてリュウガに抱かれていたこと…
何がどうして自分達は、こんなにもすれ違った事をしていたのだろう。
ヒロイン
「ナギこそ…私のこと、もう好きじゃないのに…
心配だったの…?」
ナギ
「好きじゃないってなんだよ?」
ヒロイン
「だって…別れようって言ってきたのナギだし…」
ナギは俯くヒロインを見つめた。
そしてグッと腰を抱き、胸の中へと引き寄せた。
ヒロイン
「えっ?ナ、ナギ??」
ナギ
「……あんな言葉…言いたくもなかった…」
ヒロイン
「え…?」
ナギ
「…とにかく宿へ戻るぞ!
お前体も冷え過ぎだ! また風邪ひくぞ!!」
そういうとナギはヒロインを抱き上げた。
ヒロイン
「ひゃっ!ナギ!! 私歩けるよ?」
ナギ
「黙れ…もう離さねぇ…」
ヒロイン
「ナギ…」
ヒロインはナギのその言葉を聞いて、胸の中がじんわりと温かくなった。
ナギと今まで通りいていいって事?
聞きたい事はたくさんあるのに、ナギの力強い腕の中にいるだけで
安心して、張り詰めていた気持ちが解けていく。
部屋に戻るとそっとベッドへ座らされ、ナギはバスタブにお湯を溜め
待っている間に、食堂から温かいスープと、フカフカのマフィンを持ってきてくれた。
ナギ
「お前昨日から何も食ってないだろ?」
ヒロイン
「…うん…」
ナギ
「腹鳴ってたし…」
ヒロイン
「えぇ!?? うそ!!」
いつものヒロインの反応に、ナギはふっと笑みがこぼれた。
ヒロインの横に座ると、頬についたマフィンを指で取った。
ナギ
「…で?…どっちから話す?」
ヒロイン
「わ、私から話します!」
ヒロインは食べていたマフィンをトレーに置くと、ベッドの上に正座した。
ナギ
「? なんだそれ…」
ヒロイン
「え…あっヤマトでは、ちゃんとした話をする時は
こうやって正座して話すの!」
ビシッと背筋を伸ばし、緊張気味の表情にナギは笑ってしまいそうになる。
しかしヒロインはとても真剣にしているので、頑張って堪えた。
ナギ
「…オレもそうやって聞いた方がいいのか?」
ヒロイン
「い、いえ…ナギさんはそのままで平気です…」
ナギ
「何だよその言い方」
ヒロイン
「なんか…私のせいでとんでもない事になっちゃったから…
ごめんなさい」
ヒロインは正直に全てを話した。
ヒロイン
「…私ナギに言われても、やっぱり不安だったの…
男の人がずっと同じ女の人だけで満足するのかって…
それでシリウスの皆にも聞いたし、船長にも聞きに行ったの…」
ナギは泣き出してしまいそうなヒロインの手をそっと握った。
ヒロイン
「船長に聞いた時、言われたの…『お前は重い女』だって…
ナギに毎日好きって言ってもらわなきゃわかんねぇのかって…
それでホントにそうだと思ったの…ナギに寄り掛かって、甘えてたって…」
ヒロインから出てくる言葉に、ナギは驚いた。
『重い』だなんて一度も思った事がない。
ヒロイン
「…ナギが別れようって言った時、やっぱりそうだったって…
ナギは私の事、嫌いになったんだって思ったの…
そしたら外してたピアス、あの場所で落としちゃって、
そのまま無くなっちゃったら、本当にナギと終わっちゃう気がして
何がなんでも探そうって思ったの…」
ナギはなんて言うだろう。
ナギの別れたいって気持ちは、もう消えたのだろうか?
抱きしめられて、いつものように優しくしてくれてるが
また彼女として、こうしていていいのだろうか?
ナギ
「…なるほどな…」
静かに目を閉じるナギ。
それ以上何も言ってこない。
やはり呆れて、嫌われてしまったのだろうか?
するとナギはゆっくり目を開けると、握っていたヒロインの手を引き寄せ
ギュッと抱きしめた。
ヒロイン
「わっ!ナ、ナギ??」
ナギ
「もう離さないって言っただろ?」
ヒロイン
「…許してくれるの?」
ナギ
「許すもなにも、不安にさせて悪かった…」
ナギ
「!? ち、違うよ!!私が勝手にそう思っちゃっただけで
ナギは何も悪くないの!」
慌ててナギの胸から顔を上げた。
ナギはそっと頬に手を掛け、優しく微笑んだ。
ナギ
「…よかった…お前が他のトコに行かなくて…」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「オレだって…不安に思う時だってある…
お前がいつか好きなヤツが出来たり、気持ちが冷めたり…
そんな事考えたくもなかったのに、ホントにそんな事考えなきゃいけない日が来るなんて思わなかった…」
ナギは寂しそうな目でヒロインを見つめる。
ナギ
「お前だけは…誰にも渡したくない…」
そう言われヒロインは、ジワッと涙が浮かぶ。
大好きなナギが、こんなに嬉しい言葉を言ってくれるなんて…
ナギ
「…もうオレだけのモノって思っていいのか?」
ヒロインはコクコクッと勢いよく頷いた。
ナギ
「ヒロイン…」
ふわっとナギの柔らかい唇が触れる。
ナギとキスをするのは、もう数えきれない程なのに
なんだか初めてキスをしたかのように、胸が大きく鳴った。
そっと唇が離れると、ナギと目が合った。
ナギ
「ふっ泣き虫…」
こぼれ落ちた涙を指で拭ってくれた。
ナギとまたこうしていられる事に、幸せを感じるヒロイン。
ナギもまた同じように、幸せな気持ちで胸が満たされた。
ヒロイン
「ナギ…」
ナギ
「…そんな顔すんなって…止まんなくなる…」
ナギの目が熱を帯びる。
ヒロイン
「…ナギ…今日…みんなの予定は?」
ナギ
「船長とドクターとシンはもう出掛けた。
ハヤテとトワは、酒場回りして情報収集してるはずだ」
ヒロイン
「ナギは?」
ナギ
「…オレは…」
ナギはとても言葉にできなかった。
ナギの仕事は「ヒロインと仲直りする事」だ。
だからリュウガもメンバーもああやって、尻を叩いてきたのだ。
ヒロイン
「?」
ナギ
「オレは…今日は休みだ…」
ヒロイン
「お休み…?」
ヒロインの表情がやけに色っぽい。
こうしてお互いの気持ちが繋がっていると分かった今、
ナギはもっとヒロインを感じたくなっていた。
ナギ
「ヒロイン、風呂入ってこいよ
体冷えただろ?」
ヒロイン
「………」
何か言いたげに見上げてくるヒロイン。
ナギ
「? どうした?」
ヒロイン
「…ナギも入ろ?」
ナギは思いっきりやられてしまった。
こんな可愛い事言われて、断る男がどこにいるだろう。
ヒロイン
「恥ずかしいから先入ってるね?
後から…きてね?」
ヒロインはするりとナギの胸を抜けると
風呂場へと入っていった。