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ヒロインと別れたナギは、どこに向かっているのかも分からず歩き続けた。
ヒロインの為に最善の事をしたはずなのに
この気持はなんだ…
とても割り切れない気持ちに、ナギは後悔していた。
ヒロインに好きな人ができたとしても、本当は諦める事も
譲る事もしたくはなかった。
ヒロインの中にいる男の存在を消してしまうくらい
ヒロインの事を好きな自信はあるのに…
こんなにも感情に溢れた自分がいるのは、
ヒロインのお陰だ…
しかしこんな悲しい気持ちを知るのなら
前のままでよかった。
感情を持つと最後は結局傷つくのだ。
大切な物ができると失う怖さもついてくる。
ナギはヒロインと一緒の部屋へ帰る気になれなかった。
集合場所の酒場にも行かず
ヒロインが寝付く時間に宿へ戻る事にした。
・・・・・・・・・・・・・・・
日付が変わり、さすがにもうヒロインは寝ただろうと思い
宿へ戻る事にしたナギ。
しかし宿の前に着くと、ソウシが立っていた。
ソウシ
「あっ!ナギ!良かった」
ナギを見つけるとソウシは駆け寄ってきた。
ナギ
「…何かあったのか?」
ソウシ
「ヒロインちゃんも一緒だよね?」
ナギ
「いや…」
なんでヒロインの事を聞いてくるのかと、今一番聞きたくない名前だった。
ソウシ
「えっ?一緒じゃないの??
そっかー」
ナギ
「ヒロインがどうかしたのか?」
ソウシ
「酒場にも来なくてね?
ナギも来なかったからてっきり一緒かと…
さすがに2人とも遅いから心配でね?」
ナギ
「!? ヒロイン、酒場に行かなかったのか?!」
ソウシ
「? うん…ナギ、ヒロインちゃんと何かあった?」
ナギはソウシの話が終わらない内に走り出していた。
どこに行ったんだ?
こんなに夜遅くにひとりでいるなんて…
ナギはあんな風に別れを告げて、その場にいる事が辛すぎて
逃げるようにヒロインを置いてきてしまった事に後悔をした。
迷子になったのか? それとも何かに巻き込まれたのか?
ナギ
「クソッ!」
ナギはグッと唇を噛み、ヒロインと別れた場所へ急いだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
リュウガは賑わう夜の街を堪能していた。
そろそろ宿へ戻らないと、メンバーに明日何を言われるか分からない。
それに船を出る前にヒロインに、分からす為とはいえ
結構キツイ事を言ってしまったので、女が誘ってきても今日は乗り気がしなかった。
そんな事を考えて歩いていると、地面に膝をついているヒロインを見つけた。
リュウガ
「ヒロイン? お前こんな時間に何してんだ?!」
リュウガはこんなに遅くに街にいるヒロインに驚いた。
リュウガ
「ひとりか? ナギはどうした??」
ヒロインはぼんやりとリュウガを見つめるが、一向に返事を返す気配がない。
リュウガは何故か泥だらけのヒロインを立ち上がらせると
瞳を覗き込んだ。
リュウガ
「ヒロイン? どうした?
なんでこんなに泥だらけなんだ… 体も冷えてるじゃねぇか」
するとヒロインは小さな声で呟いた。
ヒロイン
「せんちょ…の言う通り…でした…」
リュウガ
「あ?」
ヒロイン
「ナギに…ナギに…別れようって…」
リュウガ
「!?」
リュウガは驚いた。
そんな事有りえるはずがないと…
ヒロイン
「わ…たし…やっぱり重い女だったんで…す…」
そういうとヒロインの目からボロボロと涙がこぼれた。
リュウガは堪らなくなり、ヒロインをギュッと抱きしめた。
リュウガ
「…ヒロイン…」
胸の中で泣きじゃくるヒロイン。
ナギは一体何を考えているのだ。
まさか本当に重い女なんて思う訳はないだろう。
メンバー全員が知っている、ナギがどれだけヒロインの事を大切に思っているか。
なのになんでそんな事を…
・・・・・・・・・・
その頃、ナギはヒロインを探して街の中を走り回っていた。
女々しい男と思うだろうか?
別れた今でもこんなに心配で会えたらいつものように抱きしめてしまいそうだ。
ナギ
「はぁ…どこいった…はぁ…」
ナギは人混みを掻き分け、必死でヒロインを探した。
何か言いたそうに話掛けてきたのに、とても聞く勇気がなく逃げるように去ってしまった。
肩を上下させ、当たりを見回すと
リュウガの姿を見つけた。
こんなところでリュウガを見つけるなんて…と
ナギは近づいた。
…が、その光景を見て足を止めた。
リュウガが抱きしめているのはヒロインか?
表情は見えないが、リュウガにしっかりと抱きしめられている。
抵抗している様子もない。
そういう事かとナギは全てが分かり、背中を向け宿へと歩き出した。
何故メンバーに「色んな女としたいか」と聞き回っていたのか…
ヒロインはリュウガを好きになり、リュウガの女好きが納得できず
メンバーに聞いていたのだろう。
ナギ
「ヒロイン…」
ナギは空に浮かぶ丸い月を見上げ、愛しいその名前を呼んだ…