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ヒロイン
「シンさん! シンさんは、たくさんの女の人としたいですか?」
食堂でコーヒーを飲んでいたシンは、向かいの席から身を乗り出して聞いてくるヒロインに
コーヒーを噴いてしまいそうになった。
シン
「…したいって何をだ…?」
ヒロイン
「え…何をって…その…」
ヒロインが言いにくそうに目を背けるのを見て、
「そういう事」を聞きたいのだと分かったが、
そんな事を聞いてくる事にシンは驚いた。
シン
「それを聞いてどうするんだ」
ヒロイン
「知りたいんです! シンさんはしたいですか?」
尚も真剣に聞いてくるヒロイン。
シンは面白半分で聞いてきているのではないと思った。
シン
「…男だったら、魅力的な獲物がいたら落としてみたいと思うのが本能だ」
シンのその答えを聞いて、ヒロインはしょんぼりとうなだれた。
ヒロイン
「そう…ですか…」
シン
「まぁ、そう思うヤツもいれば
そんな事気にしないヤツも… オイ!聞いてるのか?」
シンが話しているのにもかかわらず、ヒロインはフラフラとしながら
食堂を出て行ってしまった。
一体どうしたというのだ?
シンは疑問に思いながらも、そのまま座っていると
ヒロインと入れ違いにナギが入ってきた。
ナギは何も知らない様子で、シンの斜め向かいに座った。
シン
「おいナギ、お前の女がスゴイ事聞いてきたぞ?」
ナギ
「あ?」
ナギは、なんだとばかりにシンを見つめた。
すると食堂のドアが静かに開き、ソウシが入ってきた。
ソウシはナギとシンの顔を見るなり
驚いたような声で話しかけてきた。
ソウシ
「ねぇ今ヒロインちゃんにスゴイ事聞かれたんだけど…」
ナギはソウシの表情を見て眉間にしわを寄せた。
シン
「ドクターはなんて聞かれたんですか?」
ソウシ
「え…たくさんの女性と…」
そう言い掛けると同時に、ソウシの後ろから
ハヤテとトワが現れた。
2人はなんだか赤い顔をして、気まずそうにしている。
シン
「なんだお前ら…」
ハヤテ
「いや…なんかヒロインが、スゲー事聞いてきて…」
ナギ
「?」
トワ
「僕…なんて答えていいか分からなくて…」
ナギは何を聞かれたのか気になった。
ナギ
「…何を聞かれたんだ?」
トワ
「え…と…それはその…」
ハヤテ
「色んな女とやりたいかって…」
ナギ
「あぁ?」
アイツはなんて事を聞いて回っているんだ!?
ナギはその場で固まってしまった。
ソウシ
「私も同じ事聞かれたよ?」
シン
「…ドクターはなんて答えたんですか?」
ソウシ
「そういう男もいるって…」
シン
「ナギ、お前浮気でもしたのか?」
ナギ
「あ?!」
ハヤテ
「そうだよ! じゃなきゃヒロインがあんな事聞いてくる訳ねぇじゃん」
心当たりは全くないが、みんなの視線が集まっている事に気付く。
ナギ
「ありえねぇな…」
ソウシ
「ま、そうだよね… ナギがそんな事する訳ないよね」
シン
「…だったらなんでアイツはそんな事聞いて回ってるんだ?」
ナギは以前にヒロインが同じような事を聞いてきた事を思い出した。
その日も急にそんな事を言い出して、何を不安に思っているのか疑問に思った。
ハヤテ
「ナギ兄…まさかさ…
逆って事なんて…ないよな?」
ナギ
「逆?」
ハヤテ
「も、もしかしての話だからな?
もしかしてヒロインが…だよ? 色んな男と…その…」
ハヤテは言いにくそうに口ごもると、シンが助けるように言葉を続けた。
シン
「色んな男とやりたいって思ってる…か?」
そう言い切ると、ハヤテはコクリと頷いた。
トワ
「ま、まさか!! ヒロインさんに限ってそんな事…!!」
ナギはガタッと席を立った。
その行動にハヤテはギクッと肩を上げた。
ハヤテ
「ナ、ナギ兄! もしかしての話だって!!」
ハヤテは慌てて「もしかして」を強調した。
しかしナギは、ハヤテに冷たい視線を送るが
何も言わず食堂を出て行ってしまった。
ハヤテ
「はぁ… 今ぜってぇ殴られると思った…」
シン
「フン、くだらん事を言うからだ」
ハヤテ
「じゃあシンは、ヒロインがなんで聞いてきたか分かってんのかよ?」
ソウシ
「ほらほらケンカしない~!
ナギが話に行ったから平気だよ。
シン、港へは入港いつできそう?」
シン
「いつでもできます。 船長が起きて来ないので…
船長待ちです。」
ソウシ
「そっか…船長ね…」
ソウシはリュウガの存在を思い出し、この話にリュウガが出て来ない事を不思議に思った。
この手の話なら真っ先にリュウガに聞きに行くはずなのに…
ソウシはリュウガとヒロインの間に何かあったのではないかと考えた。
・・・・・・・・・・・・・・
ヒロインは部屋でナギにもらった雪の結晶のピアスを眺めていた。
ナギにもらった日から毎日つけていた。
もらった日にナギから、『ナギの溶けない気持ち』として、
ヒロインへの想いが変わらない証しとしてくれたが
数週間経った今、またしても疑問が沸いてしまっていた。
それというのも昨晩の宴で、リュウガが自慢げに女性との武勇伝を酔いながら話してきたからだ。
たくさんの女性とする事が、リュウガにとっては自慢で
どの港へ行っても、リュウガは必ず女性に声を掛けられる。
リュウガとナギの違いはなんなのだろう?
ナギもそう思う瞬間だってあるはずだ。
シンが言ってた通り、キレイでスタイルのいい女性がいたら
一度はしてみたいと思うのが、男の性なのではないか?
そういう女性と自分を比べた時、ナギは自分を選んでくれるだろうか?
ヒロインはポスッとベッドへ寝転ぶと、
ピアスをギュッと握りしめた。
(こんな気持ち…一番嫌な気持ち…)
すると、コンコンッとドアをノックする音が聞こえ
ナギが部屋に入ってきた。
ヒロイン
「ナ、ナギ!!」
ヒロインはガバッとベッドから起き上がった。
ナギ
「…どうした? 具合悪いのか?」
ヒロイン
「あ…う―うん…」
自分の目を見ようとしないヒロインに、ナギは少し不安を覚える。
何気なくヒロインの耳元を見ると、毎日つけていたピアスを外している。
『色んな男としたくなった…』
ハヤテとシンに言われた言葉が頭をかすめ
ナギは思い切り動揺してしまった。
なんで変な事を聞き回っているのか、問いただそうとしたが
それ以上言葉が出なくなってしまった。
(心変わり…したのか?)
そんな事考えられないが、もしそうだったら…
ナギはヒロインが自分から離れてしまうのではないかと
不安でヒロインから目をそらした。
大の男が、懸賞首の海賊が、何を怖がっているのだと
こんな情けない自分を見たら、メンバーは大笑いするだろう。
ヒロイン
「ナギ?」
ナギ
「あ…あぁ」
ヒロイン
「もう港へ着く?」
ナギ
「さぁな… …お前さ…」
ヒロイン
「ん?」
なんだか戸惑ったような表情を浮かべるヒロイン。
ナギはその顔を見て、ヒロインには好きな人が出来たのかもしれないと感じてしまった。
自分を傷つけまいと言い出せないでいるに違いない。
ナギは気持ちの整理が出来ず、「なんでもない」と言うと
そのまま部屋を出て行った。
ナギは締めたドアにもたれかかり、はぁ…とタメ息をついた。
こんな日がくるなんて…
ナギの胸は潰れそうに痛んだ。
ヒロインの笑顔が、自分を呼ぶ声が…全部がもう他の男のへ向けられるのかと思うと
とても一緒にいる事はできないと思った。
ギュッと目を瞑ると、できるだけ平静を保ち
キッチンへと向かった。
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