スノーフレーク
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ナギはなんだかトワに、嫉妬してしまいそうになる。
ヒロイン
「…トワくん…どうしちゃったのかな?
ナギも変だって思うよね?」
ヒロインは、心配そうな表情を浮かべてナギを見つめた。
ナギ
「…お前はなんでそんなにトワを気にしてる?」
ついにナギは口に出して聞いてしまった。
ヒロイン
「………」
ナギ
「トワが様子がおかしいと、お前までそんなになるのか?」
一度口に出したら、怒りの感情が沸き上がり
止まらなくなってしまった。
いつまでトワの事で悩んでやがる…と…
ナギ
「お前…トワの事好きなのか?」
ヒロイン
「え?」
ナギ
「トワにそっけなくされたくらいで、何を慌ててる?
いつまでお前はそんな気持ちでいるつもりだ!」
ヒロインはナギに胸の内を全て見透かされてしまい、
反論すらできない。
ヒロイン
「…好きとかじゃ…なくて…」
ナギ
「お前がしてる事は、そうとしか思えねぇんだよ!
ックソ!!」
ナギはついに感情が爆発してしまった。
頭に巻いていたバンダナをグッと掴み取ると
バンッと調理台に叩きつけて、キッチンを出て行ってしまった。
ヒロインはひとり取り残され、呆然としてしまった。
ナギの言う通りだ。
もし逆の立場だったら、いくらそういう感情がないとはいえ
トワの行動に振り回されている恋人をいいようには思わない。
どんな気持ちで自分を見ていたのだろう。
ナギは大人だから…と甘えていた。
ヒロインはジワッと涙が浮かぶ。
トワの行動より、ナギを怒らせてしまった事の方が何より辛い。
今すぐにもナギに謝りに行きたいが、ヒロインの心の中に
トワへ心配があるのも本当の事だ。
ヒロイン
「…ッヒ…ナギ…」
ナギは本当に呆れてしまったのだろうか?
あんな風に怒るのは初めてかもしれない。
いつもは怒られても愛情を感じていた。
でも今日は…
なんだかナギとの間にヒビが入ってしまったかのように
いつものように謝りに行けなくなってしまった。
仕方なくヒロインはチョコチップクッキーの生地を天板に乗せ
オーブンへと入れた。
そして気持ちを落ち着かせ、ナギを探した。
・・・・・・・・・・・・・・
今夜の不寝番はトワだった。
冬の不寝番はとても辛い。
いくら着込んでも、温かくしても寒くて堪らない。
しかしトワは内心ホッとしていた。
今日はこれ以上ヒロインを見るのは辛かった。
自分はなんて子供の感情で過ごしていたのかと
恥ずかしくてメンバーを見る事が出来なかった。
みんながヒロインの事を好意的に思っている事は知っている。
もしかしたら「好意的」だけでなく「恋愛感情」を抱いているメンバーもいるかもしれない。
だが、今までそう思った事はない。
みんなその感情を隠しているのだ。
なのに自分はどうだ…
ソウシに言われるまで全く気付かなかった。
みんな上手くやり過ごしているのに、自分ときたら
あんな風にヒロインにそっけなくする事くらいしかできなかった。
トワ
「…大人になりたい…!!」
トワは見張り台で膝を抱え、ギュッと拳を握り
顔を埋めた。
・・・・・・・・・・・・・・
ナギは船尾のデッキで、煙草を吸っていた。
手すりに腕を置き、左手で目を覆っていた。
(なんて大人気ない事をしてしまったんだろう)
あんな風に怒鳴って、何をしているんだ。
ヒロインがトワに恋愛感情がない事くらい分かっている。
だが、自分の目の前でいつまでも他の男を心配する姿は
どうにも我慢できなかった。
ナギ
「はぁ…」
タメ息と一緒に煙を吐き出す。
今日はダメだ、ヒロインにとても優しい言葉を掛ける事はできそうもない。
そんな事を考えていると、背後に気配を感じた。
ナギ
「…悪い…今、まともに話…できそうにない…」
声を出さなくても分かる、近くに来ただけで体が感じるヒロインの感覚。
ナギは一度も振り返らず、ヒロインに言った。
ヒロイン
「…うん…」
顔を見てないがヒロインはきっと泣いている。
ナギは抱きしめて、慰めたい衝動に駆られるが
ギュッと目を瞑り堪えた。
ヒロインの気配が消えると、ナギは短くなった煙草を消し
もう一度真っ暗な海を見つめた。